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地域おこし協力隊が活動する「高柳町門出集落」を紹介します。(令和元(2019)年8月19日活動開始)
冬になると毎年2メートル以上もの積雪がある、新潟県柏崎市高柳門出(かどいで)集落。全国棚田百選にも選ばれた棚田や、新潟県の銘酒「久保田」のラベルをつくる越後門出和紙の工房などがあることでも有名です。
他の地域と同様に高齢化が進んでいますが、ここ数年でIターン者や若手就農者が少しずつ増えてきました。そんな中、集落の若手によって「門出・田代べとプロジェクト」が組織され、地元産小麦を活用したピザを商品化して近隣のイベントで販売するなど、住民が主体となって、スモールビジネスや地域づくり活動に精力的に取り組んでいます。
▲囲炉裏を使った鮎焼き
▲かやぶきの里を運営しているお母さん方
この集落には1991年から地域のお母さん達が運営してきた『かやぶきの宿』があります。地元で作られた食材を使った田舎の“ごっつぉ(「ごちそう」の意)”を提供し、時には囲炉裏を囲む輪の中にお母さん達も混じって、料理の説明をしたり、土地の様子について話したりする温かい雰囲気の宿です。地方志向の進む都会の人たちに、郷土料理を振る舞い、人情に触れながらの田舎暮らし体験を楽しんでもらっています。
現在は、年間1,200~1,300人の方が宿泊し、お母さん達のごっつぉやおもてなしを求めて、海外からのリピーター客が宿泊数の20パーセントを占めるなど、国内外問わず愛される宿です。
お母さん達が年を重ね、だんだん働くことが難しくなってくると、若いお嫁さんにバトンタッチします。28年続くかやぶきの宿は、こうして集落のお母さん達のつながりによって受け継がれています。
これからの目標は「攻めの現状維持」!
宿を切り盛りするお母さん達も、お客さん達もだんだんと高齢になり、かやぶきの宿の利用者数は緩やかに減少していて、この傾向は今後ますます強くなっていくものと思われます。
これまでお母さん達によって受け継がれてきたかやぶきの宿を今後も残していきたい! でも、このままの営業を続けていては先細りしてしまう! 現状を維持するために、さまざまな仕掛けをしていかないといけない!
地域おこし協力隊の方には、お母さん達に教わりながらかやぶきの宿の運営をサポートしつつ「攻めの現状維持」に向けた新規顧客獲得などに取り組んでいただきます。
地域おこし協力隊の方には、まずはお母さん達と一緒になってかやぶきの宿を切り盛りしていただきます。これらを通じてお母さん達から、ごっつぉの作り方や地域の風土などを学んでいただきたいと思います。
かやぶきの宿の運営や体験プログラムの充実を図りつつ、新しい顧客の開拓に向けた各種発信・営業などの活動に取り組んでいただきます。
「真の豊かさは、五感に宿る。五感を育むのは自然」の考えのもと、自然に寄り添う集落の暮らしの教育的価値を活用して、農村体験プログラム「大地の学校」を行っています。今後これをさらに飛躍させて、訪れた人たちに“感心”ではなく“感動”していただけるような深い体験の場を提供したいと考えています。
地域おこし協力隊の方には、集落が培ってきた資源・文化・人材などを生かし、このプラグラムの企画や運営を一緒にやっていただきます。
地域おこし協力隊である前に、門出集落に暮らす一人の住民として、地域の行事やイベントなどのほか、若手グループ「門出・田代べとプロジェクト」などにも積極的に加わっていただきたいと思います。
活動内容が多岐にわたるため、地域おこし協力隊の方の要望や特技を踏まえて、どちらに重点を置くか、どこから進めていくか、一緒に話し合っていきたいと考えています。
小林康生さん(門出ふるさと村組合⻑)にお聞きしました。
かやぶきの宿を運営する門出ふるさと村組合は「住みよい豊かな村づくり」を目指して平成3年6月に発足しました。
組合の活動目的は、都市部との地域間交流、特産品の開発や販売を進めて、豊かな村づくりや地域の活性化に寄与することです。
いつまでも宿が長く続けられるように営業を展開していきたいですね。それには門出らしさを失わず、身の丈の交流で、ありのままの生活文化を提供し、体験してもらうことが大切だと考えています。
▲「門出ふるさと村組合」組合長の小林康生さん(中央)と、宿を切り盛りするお母さん達
今後は、門出集落の新しい役割(価値観)を新しいビジネスに構築していくことが重要だと考えています。その役割とは、現代の方たちに農村に来てもらい、五感や人間力を育み、真の豊かさに繋げることではないかと考えています。
集落にとって身近な存在であるかやぶきの里や、自然とともに歩んできた暮らしかたを生かし、新しいビジネスを構築・継続発展していけるよう模索したいですね。
地域おこし協力隊の任期は最長で3年ですが、その後も集落内の人材と一緒に地域づくりに携わる仲間ができるとうれしいです。
「目標は現状維持」というと言いすぎですが、稼ぐ稼ぐという方向にも進みすぎるべきではないと考えています。
しかし、今のお客さんも高齢化していますし、現状を維持するには変わり続けないといけません。それは攻めの姿勢です。このままではいけないと感じています。そのこともあり、地域おこし協力隊を募集しました。
ベースは宿の運営のサポートですが、協力隊の方にはその攻めの部分として「大地の学校」構想に携わってもらい、情報発信にも取り組んでもらいたいです。
感心するような宿は全国にたくさんあるので、どこにもない、ここでないと味わえない五感に響くような、感動する宿にしたいですね。
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