第五中学校区(高柳地域)地域懇談会を7月27日に開催しました

高柳地区の皆さんが、高柳コミュニティセンターで地域からのテーマや自由懇談など、さまざま意見や要望を市長と語り合いました。

写真:参加者の話を聞く市長
写真:参加者がマイクを持って質問をしています

日時

令和4(2022)年7月27日(水曜日)午後6時30分~8時30分

場所

高柳コミュニティセンター

参加者数

52人

市の出席者

市長、総務課(課長、係長、主査)

懇談概要

市長の地域に関する施策の説明(市長)

「株式会社リケンと日本ピストンリング株式会社との経営統合」「新型コロナウイルス感染症の状況」「第五中学校区(高柳地域)の市の事業」等について説明しました。

地域からのテーマ

事前に提出されたテーマについて、市長が回答し、その後質疑を行いました。

説明者とは「地域からのテーマ」の趣旨を説明した方です。

高柳の移住・定住推進についての提案

説明者:柏崎市の第二次移住・定住推進行動計画では、「仕事」という現実的な視点を重視して策定した」とあり、「本市には、商工業、農林水産業、医療、介護、福祉分野などの「仕事」でやりがいを感じ、誇りを持って働いている方が多くいます」とあります。これは高柳地区においても、あてはまることであり、ぜひ進めていってほしいと思います。

その上で、高柳地区ならではの仕事の一つ目は、雪と農業だと思います。豪雪地帯の高柳では農業だけで生計を立てることは難しく、多くの農業者は、冬場に除雪の仕事を行っています。酒蔵での冬の酒造りには、季節限定で地域の若者が働いており、スキー場スタッフも、多くが夏場は農業をしている地域住民です。私が働く門出和紙も、紙漉きに雪解け水を多く利用しており、原料の保存や上質な紙を作るために雪はなくてはならない存在です。

こうしたさまざまな仕事と組み合わせながら、雪をうまく活用した仕事ができるのが、高柳ならではの「仕事」のやり方だと思います。今後、除雪の仕事やスキー場に限らず、雪そのものを活かしたビジネスが生まれる余地が高柳には十分あると思います。「雪があるから住みにくい」ではなく「雪があるから住める」という発想の転換こそ、高柳で魅力ある仕事を次代につなげていくために大切です。そのためにも住民と市が一体となって、これまで以上に、ここでの暮らし方を外に向かって伝えていく場が必要です。SNSや動画作成といったデジタルでの発信に加え、地域住民の移住相談会への参加など、アナログでの発信も不可欠であり、あえて、冬の厳しいお試し移住も大切だと思います。そして、雪を主体とした仕事を、柏崎市を支える産業の一つと捉え、先進事例の視察や情報提供など、今まで以上のご支援も合わせてお願いします。

二つ目は移住・定住政策に高柳のコミュニティ力を活かすことです。柏崎市への移住相談に来る方々は、何かしら柏崎に縁がある方が多いと聞き、そして、移住を決める際に重要視するのは市のHP等のデジタル媒体より、親族や知人などからのアナログ情報だということです。市のHPやハローワークの求人情報よりも、より確かな二次情報を得るのに、その会社を知る人の情報は不可欠です。

そこで提案したいのが地域主体による「地域の仕事リスト」と「地域の空き家リスト」の作成です。「地域の仕事リスト」とは、私たち地域住民が主体となって、その地域にどんな仕事があり、どのような仕事をしているのか、求人の有無等を調査してリスト化します。そして求人中、もしくは近々事業継承を行いたいと思っている企業や個人事業主もリスト化し、具体的に求めている人材や持っていると有利な資格等もまとめて明記します。

「地域の空き家リスト」とは、全国対象の「空き家バンク」に登録していなくても、現在持ち主が居住していなく、賃貸、または売買しても良いという家をあらかじめ、各地区で把握し、データ化、リスト化するというものです。

どちらも地域としてはコミセンが一括管理するのが良いかもしれません。行政だけでは把握しきれない、実際に地域に住んでいる人、働いている人にしか分からない情報を掘り起こし、俯瞰的に「見える化」することが目的であり、移住希望者が知りたいアナログ情報を得やすくすることができます。

この二つのリストの活用法としては、例えば市に対して、事情により柏崎中心部以外に居住や仕事を希望したいという移住相談者が来た場合、市が該当するコミセンを探すことで、コミセンが二つのリストを活用して地域の仕事と空き家の詳細情報を提供することができます。また、高柳出身者が帰郷を望んだ際に、コミセンに相談すると速やかに地域の仕事と空き家を照会できるという利点もあります。そこに地域住民の助言やアドバイスがあれば、帰郷を後押しすることにもなり、地区住民も照会できるようにすれば転職希望の知人に仕事を紹介しやすくなるかもしれません。

市としても、高柳地区だけでなく、多くのコミセンでこのような取り組みが広がれば、移住希望者のプラットホームとなり、「移住者の選択肢を増やす」という点で大きなメリットとなり、市から各コミセンを紹介することで、紹介できる仕事や住居の幅を広げることができ、移住者の増加につながると思います。もちろん、これを実際に行うことは容易ではないと思います。具体的な運用方法や情報公開の仕方も検討していかなければなりません。実際に仕事や住居を紹介できる地域コーディネーターのような存在を確保することも大切なことです。

しかし、普段からコミュニティのつながりが強く、地域内での情報交換が積極的に行われている高柳地区で、やってみる価値はあると思います。もちろん、市の担当職員にも、これまで以上に我々地域住民と交流し、互いに、情報交換が行われることを望みます。

柏崎市の目指す「洗練された田舎」の実現には、市と地域住民とがデジタルとアナログ両面でしっかりと結び付き、それぞれの場所で豊かに住み続けていくにはどうするか、互いに知恵を出しながら、共に行動していくことが大事だと思います。スピード感はもちろん大事ですが、この手の取組は往々にして時間がかかります。そこに住む人々の気持ちに寄り添い、自然に寄り添いながら、自分たちのペースで無理なく進めていくことが何より大事かと思います。

柏崎市においては、高柳地区での住民主体による「仕事」の継承と新たな「仕事」の創出。そして、「仕事」と「居住」を通じて、人と人、人と自然が結びつき、地域での暮らしが循環していけるような環境作りのためのご支援を、これからもお願いしたいと思います。

市長:まずは、除雪の話ですが、高柳の方々にとって除雪が大事な仕事になることは十分承知しています。高柳町内にある市道はすべて、県道・国道に関しても高柳の事業者、高柳にゆかりのある事業者にお願いしています。このように除雪を中心に高柳の方々の冬場の仕事をサポートしているところですが、今の段階では、さらにこれ以上雪に携わる仕事については、想像がつかないところです。例として今から25、6年前に鵜川で地域の方々と雪室作りを試みましたが、上手くいかずに失敗した実態もあり、今の段階では除雪という仕事に携わっていただいているのが限界かと思います。

二つ目の「地域の仕事リスト」と「地域の空き家リスト」の作成は、本当に素晴らしいご提案だと思います。コミュニティで対応できるのであれば、市も協力したいと思います。ただ、法律的に難しい部分もあり、空き家に関しては個人情報の問題があります。しかし、考え方や発想は大変ありがたいので、地域コミュニティでやっていただける範囲の中で、市も考えたいと思います。

また、情報発信については、SNSを含めたHP等を含め、おっしゃるとおりです。デジタルだけでなく、人と人が直接会って紹介することが一番です。二番目は、人の声を聞き、反応しながら電話をすることです。ご提案のありましたアナログとデジタルの組み合わせといった考え方を、ぜひとも行政にもご指導いただきたいと思います。

説明者:除雪に関しては、除雪の仕事を増やしてほしいということではなく、「雪」そのものを活用した仕事を、私たちでこれから見つけていかなければならないという提案です。雪室の件も私は知りませんでしたし、何を行うにしても情報や準備、人材が必要です。過去の失敗事例から学んで、別のアクションも取れますので、市長の貴重なご意見として、今後皆さんと考えていきたいと思っています。

「地域の仕事リスト」と「地域の空き家リスト」の提案は、ほとんど私の思いつきで、コミセン担当者と調整をしないまま提案しました。法律の問題など、検討しなければならない課題があるのはもちろんだと思っていますし、市の方に予算があれば、今後、本気でやっていきたいと思っています。

学区再編成案について

説明者:一つ目、学区再編案に関しては、市へ要望文書をあげていますので、高柳地区住民の高柳を守っていきたい、地元に学校を存続させたいという思いは届いていると思います。地区で何度も話し合いを重ね、第五中学校に統合し、やっと落ち着いて新しい第五中学校区に慣れようとしている今、この再編成案により大人も子どもたちも新しい伝統を築くことに集中できないと感じられます。再編成案では、新校舎も6年しか使用しないことになりますが、ここまでして、文部科学省のいう適正な学校規模という単位を柏崎市が重視する理由は何でしょうか。

二つ目、3月に「柏崎市立地適正化計画」も出ています。これは国土交通省から出された「コンパクトシティの形成」に基づいていると思われますが、そのコンパクトシティの支援施策に「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」が載っています。その中の「基本的な考え方」の3番目に「コミュニティの核としての学校の性格や地理的要因・地域事情等に配慮する必要。特に過疎地など、地域の実情に応じて小規模校の課題の克服を図りつつ小規模校の存続を選択する市町村の判断も尊重」とあります。

また、市長は「柏崎の場合、人口集中地域と中山間地域で同様の施策を展開する対応はできない。」と柔軟な考え方を持たれていると思います。全国では小中一貫教育が注目されており、十日町では「まつのやま学園」が開校されております。人口集中地域と私たちの鯖石地区や高柳地区といった中山間地域での同様の施策展開は、この考えには当てはまらないのだろうかと思っています。

文部科学省の適正規模を基準とした、柏崎市教育委員会の示す人口集中地域に施設を移動させていくこの案は、誰が考えても各地区の衰退を早め、ひいては柏崎市の魅力をなくしていくと思います。この案が行われていけば、柏崎市の魅力ある場所が一つずつ消えていくことが容易に予想できるのですが、その点についての考え方をお聞かせください。

市長:二つご質問をいただきましたが、共通している部分がありますので、まずは、令和4(2022)年2月議会答弁をご覧いただきたいと思います。

【令和4年(2022)2月議会答弁動画(村田議員との答弁)を視聴】

高柳では地域と学校がどのように関わってきたのかということを検証しながら、いかに子どもたちと学校を大切にしているかということを学びました。一方、昭和の時代から、一桁のときだけでなく、46人という人数であっても、統合してきたという歴史があることもご理解いただきたいところです。なぜ文部科学省の基準にこだわるのかというと、それが子どもたちにとって良いことだからです。学校は、やはり複数の友達がいて、その中で学び、ときに争い、けんかをしながらも、仲直りをして人間関係を身に付けていく、学力を上げていくことが学校だと私も国も考え、適正規模を設定しています。

少人数学級や小規模校のマイナス面を挙げれば、複式学級の年度途中で転校した場合、学習できない科目が出ることや学力検査を受けることができないといったことがあり、実際に起きています。中学校では、英語、音楽、芸術などの専門科目に対応する先生が配置できなくなります。なお、高柳小学校では今年度から教頭先生が配置されていません。また、全国学力検査においては、複式学級の「わたり」と言われている授業形態を行っている少規模学校は、全般的に学力が他校に比べて劣るというデータもあります。

地域の実情を考慮する柔軟性も必要ですが、今の高柳小や第五中学校の状況には、その柔軟性を越えるほどの厳しい現実があります。この高柳地区では、一桁の人数で統合を重ねてきたという歴史があり、それは地域の方々の子ども達に対する思い、より良い教育環境を整えたいという思いから、その選択をしてきたと考えます。子どもたちの教育環境を整えたいということから、たたき台という形でご提案させていただいたことにご理解をお願いします。

説明者:昔から今まで、適正規模でやってきた歴史は分かります。でも、その歴史のままなら、ここはなくなります。適正規模の考え方はあってもいいのですが、「やはりここが良い。ここでの教育が良い。」と言って来てくれている人に目を向け、そういう特徴のある地区として残すという案があってもいいと思います。

少数人数のメリットを最大限に生かし、デメリットを最小限に減らす取り組みを考えてほしいと思います。最適化の案だと、やはりつぶれてしまいます。例えば、新道小学校にある綾子舞などの文化を残して守っていくことが柏崎の魅力につながるのだとすれば、中心部とは別の学校を残すという策があっても良いと思います。北条中学校と第五中学校が統合しても良いと思いますが、東中学校というのは文化圏や積雪等が全然違うと思うので、もう少し、違う考え方をしてもらいたいです。

全部を最適化で押されると、優秀な人はみな出ていってしまうので、今後柏崎に戻ってくる人がどれだけいるかという心配もしています。柏崎市には、ここで新しいことをしようという人が重要なのではないかと思っています。

市長:文部科学省の適正規模だけを基準にしているわけではありませんが、これも大事なスタンダードです。歴史が証明してきたということは、その必然があったからだと考えます。

学校は子どもたちのものであり、子どもたちの教育環境を整えることが、私たちの仕事だと思います。やはり、一定規模の学校があった方が子どもたちの可能性が伸びると考えていますし、国も県も他の自治体も、そういった考えに基づいていると思います。子どもたちの可能性を伸ばす場が学校だとするならば、1学年が一桁に近いような中学校について、やはり、より大きな可能性を求めて適正な規模を整えることが私たちの仕事であると考え、この方針を取らせていただいたところです。

行政から出た話ではありませんが、学区等審議会委員の中から、高柳小学校にかかっているコスト、各小学校の子ども一人当たりにかけているコストを出してほしいというご意見がありました。小規模校にかけるコストは、いわゆる適正規模の学校の30倍から40倍のお金をかけています。小規模校にも良いところはありますが、1学年一桁、小学校なら全校で一桁というのは、限界を超える数字ではないかというのが私どもの考え方です。

自由懇談

「柏崎市の食料・エネルギー自給率の向上」「人口減少による今後の限界集落・地域」「統合に伴う今後の教育の在り方」について懇談しました。

 

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更新日:2022年12月05日