市長臨時記者会見での質疑応答(令和3(2021)年3月16日)

令和3(2021)年3月16日(火曜日)の市長臨時記者会見での報道機関の質問と、市長の回答です。

質疑応答

記者:先ほどの会見で、更田委員長は少なくとも1年以上かかる可能性があると発言していた。市長はこの問題が起きる前に、今年はいろいろな動きがある重要な年になると話されていたが、あらためてこの件をどう受け止めるか。

市長:人員のかけ方によって、1年という期間が短くなる可能性もあると理解しています。再稼働問題は、県知事の代で言うと3代にわたって議論されています。今回の規制委員会の判断によって、今までの積み重ねが結果的にリセットされたかたちになります。私のみならず、多くの方が大きな喪失感を感じていると思います。

記者:個人的には更田委員長の、悪い意味で東電スペシャルという発言が印象に残っている。これは、規制委員会の発足前の段階でも、データ改ざんなど他の電力会社にはないことがずっと起きていて、原発事故後に意識は改めたとしながらも結果的に企業体質が変わっていないということだが、この件に関する受け止めも伺いたい。

市長:東電スペシャルと発言したところは公務中で聞いていませんでしたが、東京電力に安全文化が欠如している、培われてこなかったという意味で発言されたのであれば、残念ながら更田委員長の指摘のとおりだと思わざるを得ません。

私自身もブランクはありますが、少なくとも30年前から議員として、特に20年前はプルサーマルの問題で、東京電力の原子力発電所と関わってきました。そして、市長として4年間再稼働の問題と関わってきた立場としては、この年月を経てもなおかつ原子力規制委員会の委員長が東電スペシャルという言葉を使わざるを得ない東京電力の存在は、私も含めて日本国民が一人一人考えなければいけない厳しい現実だと思います。

記者:原子力規制庁からの資料によると、柏崎刈羽原子力発電所は組織として核物質防護施設の復旧の必要性を認識していたにもかかわらず、復旧に時間を要していた。また、東京電力の社員警備員は代替措置に実効性がないことを認識していたにもかかわらず、改善していなかったという記載もある。これは、根本的な企業体質が変わっていないということで、果たして原子力発電所を運転する資格があるのかという点につながると思うが、その辺りはどう思うか。

市長:日本のエネルギーをどうしていくのかという国家的な大きな課題を目の前にして、立地自治体や住民の方々を巻き込み、賛否で争ってきた歴史を、東京電力も身に染みているはずだと思っています。それにもかかわらずこのような状況になるということは、福島の事故のことや20年前のプルサーマルに関わることを東京電力の社員一人一人が真剣に意識して業務に携わっていないということだと思います。きっかけは一部の方の行いかもしれませんが、それによって国家的な事業が頓挫してしまうということになると、結論は、意識を変えることができなかった組織の問題に帰するのではないかと思います。

20年前と同じようなことが繰り返されてしまったということは、今の気持ちとしては喪失感が大きいです。

記者:この案件は、市民の皆さんが危険にさらされていたということになると思うが、怒りの感情は湧いてこないか。

市長:IDカード不正使用が重要度「白」だと伺った段階では怒りが湧いてきました。今回の重要度「赤」という評価を伺った段階では、力を抜かれてしまったような感じがして、怒りを生み出すエネルギーがまだ出てこないというのが正直なところです。

記者:この事案を知ったのはいつ頃か。

市長:会見の流れなどは知っていましたが、内容は皆さんと同じようについ先ほど知りました。

記者:市長自身は、6・7号機の再稼働の価値はあるという考えに変わりはないか。

市長:誰が再稼働するかということになると、今は東京電力です。その東京電力がこのような状況であることは別問題としながら、原子力発電所の再稼働、当面の間の意義についての考え方は変わっていません。

記者:この案件に対して、市として申し入れや抗議などを行う考えはあるか。

市長:早晩、東京電力の方から、原子力規制委員会からこのような暫定評価を受けたという報告はいただけるだろうと思っています。これから東京電力がどのような姿勢で臨むのかという話もいただけるだろうと思いますので、今の段階では申し入れなどを行うつもりはありません。まずは東京電力からの報告を待ちたいと思っています。

記者:先ほど、今までの積み重ねがリセットされたという発言があったが、この言葉の意味するところをもう少し詳しく伺いたい。

市長:文字通りリセットで、言葉を変えればゼロに戻るということです。先ほど更田委員長が話された2千時間/人という検査が1年かかるということになってしまうとすると、東京電力が考えていた再稼働のスケジュール感とは大きくずれます。県の三つの検証などがどのように関わってくるかなども含めると、あらためて見通しがつかなくなったということでリセットという言葉を使わせていただきました。

記者:昨年の市長選の結果をもって、ある程度民意を把握できたと話されたと思うが、今回の件で東京電力が原発を動かすことに対する市民理解が得られる状態になっていると思うか。

市長:IDカード不正使用の件も含めて、今の段階では市民の皆さんが非常に厳しい評価をしていることは承知しています。しかし、不安や東京電力に対する怒りを話される方は多くいらっしゃいますが、私の原子力発電所や再稼働の意義に対する考え方は変えていないということに対して、再稼働はやめろということをおっしゃった方は、少なくとも私が直接会った方の中にはいません。

記者:今回の事案の概要について、特にどの辺りを問題視しているのか。

市長:私も正直申し上げて、なぜ「赤」なのかと思いました。IDカード不正使用の方が、重要度が高いのではないかと思っていました。

先ほどの更田委員長の会見の中でも同じような質問がありました。更田委員長は「IDカード不正使用に関しては、元々入ることのできる人が他人のIDカードを不正に使用して入ることができた。今回の事案に関しては、核物質防護設備の機能の一部が喪失したことによって悪意ある第三者が入ることができる要素があった。また、不正な侵入を検知できない可能性がある期間が30日を超えていたため、このような評価になった。」とおっしゃっていましたので、なるほどと思いました。

記者:市長の認識としても、更田委員長のおっしゃった部分を問題視しているということか。

市長:私自身はIDカードの不正使用の方が大きな事案かと思っていましたが、更田委員長のお話を聞いてなるほどと思いました。「白」でも「黄」でもなく一番厳しいレベルの「赤」であったことに大きな衝撃と喪失感を感じました。

記者:先日の報告書は、東京電力は外部脅威に対する意識はあるが、内部脅威に対する意識がないという内容だった。今回の事案で、外部脅威に対しても認識が甘いことが分かったが、その辺りはどのように考えるか。

市長:本日配布した参考資料には、令和2年3月以降、複数箇所において不正な侵入を検知できない可能性がある状態となっていたとあります。つまり、悪意ある第三者が令和2年3月以降、複数箇所において不正に侵入できる状態が続いていたということになります。代替措置に実効性がないことも認識していたということなので、内部の問題でもあり外部への課題も露呈する事案だったのではないかと思います。

先ほどの更田委員長の会見の中で、委員会の指示で休日・夜間に抜き打ち検査を行ったという発言がありました。このことから、原子力規制委員会も、悪意ある外部からの侵入を許し得るような深刻な事案として考えているということが理解できました。ICカード不正使用よりも重い「赤」であることにも納得がいきました。

この記事に関するお問い合わせ先

総合企画部 元気発信課 情報発信係

〒945-8511
新潟県柏崎市日石町2番1号 市役所 本館2階
電話:0257-21-2311/ファクス:0257-23-5112
お問い合わせフォームはこちら

更新日:2021年04月01日