令和2(2020)年12月所信表明

赤いカーペットの敷かれた議場で多くの議員の前に立って所信を表明する市長

令和2(2020)年12月7日、柏崎市議会12月定例会議で、櫻井柏崎市長が所信表明を行いました。

はじめに

改めまして、柏崎市長を拝命いたしました櫻井雅浩であります。

「強くやさしい柏崎」を創り上げるため、引き続き私が持ち得る全ての力を、時間を振り向ける覚悟でございます。市民の皆様、議員の皆様におかれましては、何とぞよろしくお願いいたします。

日々新面目あるべし

歌人 會津八一先生の「学規」の結びに書かれた言葉です。

柏崎の歴史を表した言葉のように思えます。

市勢要覧を新しくしました。表紙に「保守、そして進取」と掲げました。

もちろん、政治スタイルを示したものではありません。歴史、伝統を大切なものとし、しかしそこにとどまらない、同時に新しいものを求めていく。柏崎がこれまで歩んできた道、これから歩む道を示したものであります。

會津先生の「日々新面目あるべし」につながります。

私は前任期の4年間で申し上げてきたこと、つまり「少し変わる勇気」、「洗練された田舎」、「強くやさしい柏崎」にも通ずるものがあります。というよりも同義でさえあります。

政治姿勢

眼鏡をかけスーツを着た市長が演台に立ち前を見つめて演説している画像

元柏崎市議会議長 故丸山敏彦さんのことを申し上げます。

丸山さんが「軽い母、重い母」という文章を書かれたことがあります。

けがをされたお母様を丸山さんがおぶわれた時、その軽さにお母様の「老い」を感じられ、同時に戦争で夫を亡くされ、女手一つで丸山さん御兄弟を育ててこられたお母様の生涯を思うとき、「軽いのだけれども重い」と感じられた、という文章であります。

丸山さんは一貫して原発推進派でいらっしゃいました。4年前、平成28年(2016年)8月、その丸山さんと原発反対50年の議員さんからお声がけをいただき、私は3回目の市長選挙への挑戦、立候補を決意しました。

つまり、「原発再稼働の価値を認める。一方、徐々に確実に減らしていく。同時に再生可能エネルギー、環境エネルギー産業を柏崎において構築していく」と申し上げ、当選させていただいたのです。それぞれ異なる価値観を持つお二人が折り合いを付けていただき、私を送り出していただいたのです。

元柏崎市議会議長 故今井元紀さんからお父様である第6代今井哲夫市長のことを伺いました。助役時代から、そして、市長として原発のことを考えると眠られない日々が続いた、とのことでありました。平成9年(1997年)、23年前、プルサーマル問題が話題となったとき伺った話であります。今井さんは「原発は認めるけれども、プルサーマルは反対だ」と旗幟を鮮明にされ、私と激しく対立しました。しかし、平成2年(1990年)、市議会議員への立候補を御相談して以来の信頼や友情は変わることなく、多くのことを教えていただきました。多くの点で認識を共にし、喜びや悲しみ、楽しさや辛さ、時を共有してきました。

私は丸山敏彦氏、今井元紀氏に見識の深さ、確固たる信念、そして、潔さを学びました。公平であり、正々堂々たる姿でありました。

先日、深夜、役所から帰るとテレビでは、チャレンジド(障がいを持つ方)の挑戦、「私は左手のピアニスト」という番組を放送しておりました。右手や足に障害を持ち、左手のみでピアノを演奏するというコンテストに挑戦する様子を記録した番組でした。

「色彩あふれる音のハーモニー」という表現が私の胸に響きました。

もとより色と音は、別物であります。音を色で表現する。視覚で聴覚を表現しているのです。

私は、従来、率直に、正直に、正々堂々、正面から議論・行動する方に心からの敬意を払ってまいりました。そして、今後も私自身、自らの考えを表明し、意見が異なる方とのできる限りの共有点、お互い折り合いを求めながら進む政治姿勢を引き続き、堅持してまいります。

政策 約束11イレブン

以下、公約として掲げたことを改めて申し上げます。

1.新型コロナウイルス感染症の克服に尽力します

医療・検査体制の更なる充実・強化をいたします。柏崎市刈羽郡医師会、各病院との信頼関係を更に密接なものとし、子ども専門の発熱外来を含む発熱外来・PCR、抗原など新型コロナウイルス感染症感染判定体制を更に充実、強化してまいります。医療、福祉、教育関係者の安全・安心を確保してまいります。

国、新潟県の施策に併せ、春から展開してまいりました柏崎市独自の経済対策を更に強化・継続いたします。また、これを機に中・長期的、体質改造的施策を組み立ててまいります。工業、商業、農業、林業、水産業、福祉、教育、あらゆる産業領域においてDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められております。デジタル化、高付加価値化への支援をしてまいります。デジタル地域通貨実現への取組を始めます。

2.豊かな高齢化社会の充実を目指してまいります

「介護する側の難儀も理解してほしい」というメモを市民の方からいただきました。特別養護老人ホーム待機者の半減、具体的には要介護4・5の判定をされ、かつ、御自宅で介護を受けておられる特養入所待機者を一刻も早く解消いたします。そのためには、介護従事者の確保が必要であります。3年前に事業峻別の後、始めさせていただいた介護従事者に対する夜勤対応手当に対する補助を継続するなど、待遇の改善を始め、あらゆる策を講じます。デジタル、ロボ技術等の導入により、労働条件を改善し、お年寄りの介護に当たることの矜持が得られるよう努力いたします。

コツコツ貯筋体操、パワーリハビリで健康・元気なお年寄りをもっともっと増やしてまいります。ヤングシニアと言われる60歳~70歳人材の活躍の場の拡大を民・官において図ります。

3.チャレンジド(障がい克服に挑戦されている方)、小さなコミュニティ、地域農業への合理的支援を行います

米山町、北条など先進的な取組をしている地域をモデルとし、地域交通手段を確保・充実させます。チャレンジドの就業の場の確保・開拓などを行い、併せて生活することへの不安を少しでも軽減できるよう制度の見直しを国に求めてまいります。地域おこし協力隊への更なる取組を支援いたします。

4.更に力強い産業支援を行います

DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に対応し、デジタル人材、IT技術者を育成いたします。特に若い人材の育成と雇用の場を確保いたします。基幹産業たる製造業を圧倒的に支援いたします。情報産業の底上げを図ります。現在までに売上約40~50億円で推移してきた情報産業を令和10年(2028年)までに70億円規模に拡大させます。

柏崎市認証米コシヒカリ「米山プリンセス」を柏崎のお米のトップリーダーとして据え、極早生品種葉月みのりから晩生(おくて)品種新之助に至る米作りを支援し、新たなるマーケティング、販路開拓を実践いたします。枝豆、玉ねぎ等園芸農業の振興を図り、もうかる産業としていきます。イノシシ対策を徹底いたします。

5.環境エネルギー産業(水素、蓄電池、廃炉、風力発電部品製造等)を創出し、育成いたします

地域エネルギー会社の設立、運営を行い、電気料金の50%割引を目指し、圧倒的に安い電力供給による産業支援、新たな企業誘致促進策を進めます。柏崎市は、日本海側で作られる再生可能エネルギー・電力を首都圏に送るハブ機能を担います。国が掲げる2050年カーボンニュートラルを前倒しし、2035年(令和17年)、脱炭素のまち・柏崎市スタートを目指します。柏崎市は強い意志と日本の経済成長は柏崎の石油と原子力が支えてきたという矜持を持って、脱炭素のまち・柏崎を必ずや実現させます。

6.教育環境を更に整備いたします

教育大綱を作りました。アナログ的に、つまり先生による直接対面指導を重視し、書く・話す・歌う・作る・描く、体を動かす等子どもたちに寄り添った学習支援を行い、デジタル的にはICT・AI利活用時代に、プログラミング教育に配意し、デジタルリテラシーを向上させるべく、1人1台パソコンの環境を十分に機能させます。アナログ・デジタル教育のバランスを確立いたします。指導補助員、介助員を更に充実させ、現在中学において県内1の環境を、小学校においても県内1を目指します。

柏崎の児童・生徒の学力を向上させます。全国平均から5ポイントアップを目指します。先生方の「働き方改革」を支援し、少しでもゆとりある環境で、子どもたちの教育、指導がなされるよう労働環境を整えてまいります。

柏崎の海、山、川を体験する自然・環境教育を充実させ、柏崎で生まれ育つことの喜びを正に体験できるようなプログラムを実践いたします。

7.観光産業の高度化を目指します

「柏崎市観光ビジョン」を具体化、実践します。若手人材による新たな発想を支援し、補助金を新設いたします。風の丘米山、高柳じょんのび村、石地海水浴場、西山ふるさと公苑を再興し、多くの方が柏崎の魅力を体感し、味を楽しみ、お買い物をしていただける拠点として重点整備いたします。

松雲山荘、高柳・貞観園、新道・飯塚邸秋幸苑の三園巡りに食・文化(茶道・華道・書道、演劇等)のコラボレーションによるプレミアムプランを実施いたします。釣り人口の更なる呼び込みを目指し、環境を整備し、柏崎市海釣り年間大物賞を新設いたします。

8.原子力発電所の安全確保、安心向上を不断に求めてまいります

国による安全性審査、県のいわゆる「三つの検証」、市議会での御議論を見極めながら柏崎刈羽原子力発電所7号機再稼働に関する最終判断を行います。従来から申し上げておりますように私自身の考え、つまり「条件付き再稼働容認」、「7つ全ての再稼働は認めない」という立場、姿勢は変わりません。基数、期間限定的ながら原子力発電所再稼働の価値を認め、集中立地によるリスク軽減を図りながら、安全で、市民の皆様からより一層安心していただけるような施策を事業者である東京電力ホールディングス株式会社及び国に求めてまいります。再稼働後、同社から提出される「廃炉計画」の具体性を厳格に見定めてまいります。この「廃炉計画」の提出とその内容は、東京電力ホールディングス株式会社という会社が信頼され、原子力発電所を運営するに足る公器であるか否か、ということを占う試金石でもあると考えております。続く6号機の再稼働に関しましても、同様であります。核燃料サイクルの進捗を厳しく注視してまいります。使用済核燃料の搬出促進を求め、実効性ある避難計画の更なる充実、不断の見直しを求め、実践してまいります。柏崎港の利活用を今まで以上に具体化させ、海上自衛隊や海上保安庁との連携強化を図ります。原子力災害対策特別措置法の改正を求め、「予防的措置」としての避難道路の道路改良、除雪体制の充実などを国による財源で行うことを求めてまいります。新潟県税である「核燃料税」の地元配分比率のアップを継続して求めてまいります。

9.医療体制を更に充実させ、市民の皆様の安心を確保いたします

柏崎市刈羽郡医師会、柏崎市歯科医師会との更なる連携強化をいたします。首都圏在住の医療人材にお力添えをいただき、休日・夜間急患センター体制を充実、強化いたします。柏崎総合医療センター、国立病院機構新潟病院を始め各病院との更なる連携強化、支援を行います。

10.子育て施策を更に充実させます

子どもの遊び場整備の補助率をアップさせ、キッズマジックと連携し、施設の有効活用を図ります。現市役所庁舎跡地に検討を進めている(仮称)セントラルガーデンに子どもの遊び場エリアの設置を検討します。「かしわ★ざ★キッズ スターチケット」の利便性向上を目指し、デジタル地域通貨構想への連結を検討いたします。御指摘をいただいております保育園途中入園待機への対応を迅速に行い、市立保育園の民営化に併せ、受入体制を強化いたします。

11.不断の行政改革・事業峻別を行い、健全財政を維持いたします

公の在り方・規模を常に検証する事業峻別を恒常的に実践し、市民の皆様のニーズにできる限り速やかに対応できるような体制を作ります。(仮称)株式会社柏崎パブリックサービス設立を目指し、ヤングシニアと言われる60歳~70歳の民・官退職者、障がい者を登用します。

将来負担率、実質公債費比率、経常収支比率の更なる改善を果たすべく、歳出の厳しい見極めと新たなる財源確保を検討、実践いたします。

原子力発電所に関して

選挙の翌日、新聞にこのように書かれました。

『「原発だけが市政課題ではない」との争点外しの姿勢では、再稼働問題に関して「信任」を得たとは必ずしも言えない。』

私は4年前も「原発再稼働の価値はある」と申し上げ、条件付き再稼働容認派当選と、見出しを打たれました。そして、4年間、「当面の間、原発は限定的ながら再稼働の価値はある」、「原発は徐々に確実に減らすべきだ。風力、太陽光、水素、蓄電池など再生可能エネルギーを柏崎の産業として組み立てていくべきだ」と同じことを繰り返し申し上げ、今回も当選させていただきました。少なくとも「原発再稼働の価値はある」と申し上げ続けてきた私が、「再稼働には反対だけれども」という方を含め非常に多くの市民の皆様から御支持をいただき、柏崎市長として再任され、「信任」されたことは、事実であります。この民意を否定できるものではありません。

むすび

国旗と市旗が掲げられた壁を背に市長が多くの議員に向かって所信を表明している画像

今年、令和2年、2020年は雪がほとんど降らず、卒業式も入学式も制限され、成人式は延期されました。赤坂山を始めとする花見も閑散としていました。子どもたちも大人も心待ちにしていたえんま市もぎおん柏崎まつりも中止となり、海水浴場には人の姿もまばらで、お盆の帰省、お墓参りもままなりませんでした。綾子舞の現地公開もなくなり、市展もWEB開催となりました。正しくあっという間に師走となりました。冬もなく、春もなく、夏、秋もなく、コロナという季節だけがあったのです。そして、現在も進行形であります。

私たちは好むと好まざるにかかわらず、急速なスピードで進展する事態に対応しなければなりません。消耗戦です。コロナのことばかりを申し上げているわけではありません。人口減少も著しいわけであります。30年前、10万人を目指していた柏崎市が8万人を切ることも目前であります。

しかし、私たちはこの消耗戦を何としてでも勝ち抜き、少しでも光明を見いだす努力をしなければなりません。「量よりも質」、大きさ、多さよりも豊かさ、賢さ、やさしさ。厳しい現実から目をそらさず、私たちは認識を変え、行動しなければなりません。今まであったものを当たり前のこととして享受できる時代は、終わりました。今こそ私たち一人一人が「少し変わる勇気」を持たなければなりません。

私たちの前にそびえたつ山は険峻で、頂は雲に隠れ、その姿さえ見せてくれません。しかし、私は雲間から差し込むわずかな光を信じ、前に進みたいと思います。冒頭、申し上げましたが、再度申し上げます。私が持ち得る全ての力、時間を私が愛する柏崎のために、柏崎市民の皆様のために振り向ける覚悟でございます。そして、私は道を切り開き、必ずや大海原を展望できる、可能性に満ち溢れたその頂に皆様を導きます。市民の皆様、その代表たる市議会の皆様の御理解とお力添えを心よりお願い申し上げ、所信といたします。

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更新日:2020年12月09日