柏崎刈羽原子力発電所のトラブル状況(1985年度~1998年度)

1985年度の対象トラブル

1985年5月31日:1号機

定格出力で試運転中(建設中)、タービン建屋地下2階で蒸気タービン復水器の3系統ある循環水配管の1系統から海水が漏えい。
原因は、配管内面の塗膜が欠損し、海水と直接接触した配管の電気化学的腐食による。
発生後直ちに出力を60%に降下し、漏えい防止処置後、6月1日定格出力に戻した。6月11日からの計画停止を利用して調査補修を行い、7月10日補修完了。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:通達対象1

1986年度の対象トラブル

対象トラブルなし

1987年度の対象トラブル

1987年8月17日:1号機

定格出力で運転中、3台ある非常用ディーゼル発電機のうち1台の定例試験中、ディーゼル機関冷却水のディーゼル機関燃焼室内への流入があった。
原因は、シリンダーヘッドの製作不良により、シリンダー上部から冷却水が燃焼室内に流入したもの。8月25日復旧。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:通達対象2

1988年度の対象トラブル

対象トラブルなし

1989年度の対象トラブル

対象トラブルなし

1990年度の対象トラブル

1991年2月21日:2号機

定格出力で運転中、蒸気タービン主軸潤滑油の圧力が低下し、タービンが自動停止し、原子炉も自動停止。
原因は、油タンクの弁の誤った開操作により、タンクの油面が低下したため。2月27日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象1
評価尺度:レベル1

1991年度の対象トラブル

対象トラブルなし

1992年度の対象トラブル

1992年5月27日:2号機

定格出力で運転中、送電線への落雷の影響により出力を降下。送電線復旧後の出力上昇中、復水器真空度の低下のため、原子炉手動停止。
原因は、気体廃棄物処理系の排水器の動作不良による。6月2日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象2
評価尺度:レベル0

1992年12月18日:1号機

定格出力で運転中、原子炉冷却材再循環ポンプ1台の軸封部に機能低下が認められ、念のため軸封部を交換することとし、原子炉手動停止。12月23日原子炉再起動。
原因は、軸封部の摺動面に微細なごみなどが侵入したためと推定。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象3
評価尺度:レベル0

1993年度の対象トラブル

対象トラブルなし

1994年度の対象トラブル

1995年1月5日:4号機

定格出力で運転中、主変圧器の保護回路が作動し、発電機、タービンが自動停止し、同時に原子炉自動停止。
原因は、落雷により主変圧器に加わった異常な電圧の周波数が、主変圧器の一部の巻線部の固有周波数と一致し、この巻線部で高い電圧が発生したため絶縁が低下し、巻線が損傷したため。定期検査を前倒し実施し、5月30日営業運転再開。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象4
評価尺度:レベル0+

1995年度の対象トラブル

1995年7月13日:5号機

定格出力で調整運転中(定期検査中)、タービンバイパス弁付近から油の漏えいが認められたため、原子炉手動停止。
原因は、タービンバイパス弁制御油蓄圧槽と配管を接続するフランジ部の取り付け不良によりパッキンが損傷したため。7月16日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象5
評価尺度:レベル0-

1996年2月23日:6号機

出力27.9万キロワットで試運転中(建設中)、10台ある内蔵型原子炉冷却材再循環ポンプのうち1台の電源装置に異常があり、ポンプが停止したことから、点検調査のため原子炉手動停止。
原因は、2系統ある電源装置制御回路のうち動作中の回路に異常が発生し、待機中の回路に切り替わる際、電源回路のコンデンサが十分放電していなかったため過電流が流れ、電源装置の保護回路が動作したため。3月12日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象6
評価尺度:レベル0-

1996年度の対象トラブル

1996年6月20日:3号機

定格出力で運転中、残留熱除去系の定例試験中に3台ある残留熱除去系ポンプのうち1台の電動機から発煙があり、当該ポンプを停止。
原因は、当該電動機の上部軸受部締付ナットの施工不良により、ゆるんだナットと油切り(カバー状のもの)が接触し、その摩擦熱により潤滑油が白煙となったもの。6月25日修理完了
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:通達対象3
評価尺度:レベル0+

1996年8月24日:6号機

定格出力で試運転中(建設中)、原子炉冷却水中のよう素濃度および排ガス放射線モニタの指示に増加傾向が認められので、原因調査のため原子炉手動停止。
原因は、燃料集合体1体からの漏えい。当該燃料集合体を健全なものと交換し、10月4日に試運転を再開。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象7
評価尺度:レベル0-

1997年1月27日:2号機

原子炉停止中(定期検査中)、燃料集合体の漏えい検査を実施したところ、漏えいのある集合体を1体確認。
原因は、燃料被覆管の微小な穴からの漏えいと推定。当該燃料集合体を健全なものと交換。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:通達対象4
評価尺度:レベル0-

1997年2月8日:1号機

定格出力で運転中、巡視点検中に制御棒1本の制御弁付近で異常音を確認したことから、当該制御棒(全引抜き位置)の動作確認を実施したところ、挿入操作で所定の位置に停止せず、全挿入された。
原因は、制御弁を構成する電磁弁の1個にゴムパッキンの破片が混入し、弁が全閉状態にならなかったため、当該制御棒へ駆動水が流れ続け、全挿入したものと推定。
当該電磁弁を交換し、2月9日当該制御棒を全引抜き位置に復帰。
通報連絡対象の分類:極く軽度な事象1

1997年3月13日:2号機

定格出力で調整運転中(定期検査中)、原子炉残留熱除去系B系統の逆止弁(原子炉格納容器内に設置)の開閉試験を実施後、通常全閉となるべきところが全閉とならず、点検調査のため原子炉手動停止。
原因は、前回の当該逆止弁の分解点検後の組立不良。3月20日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象8
評価尺度:レベル0-

1997年度の対象トラブル

1997年5月21日:7号機

定格出力で試運転中(建設中)、低圧タービンB付近で異音が認められ、点検調査のため原子炉手動停止。
原因は、タービン入口圧力の性能確認用圧力検出配管が破断し、破断部が互いにぶつかり異音が発生したもの。5月30日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象9
評価尺度:評価対象外

1997年7月15日:7号機

定格出力で運転中、発電機励磁装置故障の警報が発生し、タービン建屋1階発電機励磁制御盤室において発煙が認められた。全5台の制御盤の内1台の冷却ファン3台が全て停止し、この励磁装置が温度上昇により自動停止。定格出力で運転は継続された。
原因は、冷却ファン用変圧器に絶縁不良があり、これに伴う熱影響により発煙するとともに、地絡電流によるヒューズ溶断によりファンが停止したものと推定。
消防本部は火災には該当しないものと判断。
変圧器およびモータを交換し、7月18日に当該励磁装置を復旧。
通報連絡対象の分類:極く軽度な事象3

1997年7月18日:7号機

定格出力で運転中、タービン建屋2階のタービングランド蒸気系蒸化器計装ラックにおいて、圧力スイッチからの蒸気漏えいが発見され、当該圧力スイッチの元弁を閉じ漏えいは止まった。
計装ラック前面の床に2~3リットル程度の水がたまっており、この放射能は約370ベクレル。建屋内の放射線モニタの値に変化はなく、外部への放射能の影響もなかった。これによる被ばく者はいなかった。定格出力で運転は継続された。
原因は、圧力スイッチ内部のベローズが破断し、ここから漏えいしたものと推定された。7月19日に当該圧力スイッチを新品と交換。
通報連絡対象の分類:極く軽度な事象3

1997年7月25日:1号機

定期検査中(原子炉停止中)、原子炉建屋地下5階において、弁グランド部漏えい処理系の弁の分解点検中、養生ビニールがはずれ、中にたまっていた微量の放射能を含んだ水が床にこぼれた。約2リットルで約3,600ベクレル。
これによる被ばく者はいなかった。
通報連絡対象の分類:極く軽度な事象4

1997年8月19日:1号機

定格出力で調整運転中(定期検査中)、タービン駆動原子炉給水ポンプ(A)の出口逆止弁付近から原子炉給水系の水が漏えいし、「床漏えい」警報が発生。当該弁の点検調査のため、約54万キロワットまで出力を降下。
原因は、前回当該弁を分解点検した際、組立時にプラグが所定の位置まで挿入されず、シール機能が低下したため。シール材を新品と交換し、8月21日定格出力に復帰。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:通達対象5
評価尺度:レベル0+

1997年10月28日:4号機

調整運転で出力上昇中(定期検査中)、約42万キロワットにおいて「アンペア系原子炉自動スクラム」警報が瞬時発生し、原因調査のため29日に原子炉手動停止。
原因は、タービン蒸気加減弁制御油圧系統の圧力スイッチが、振動のため誤動作したもの。
圧力スイッチ取付架台を改善し、圧力スイッチの接点部を新品と交換した後、11月1日に原子炉起動。2日に発電機並列をしたところ、再度圧力スイッチの誤動作が発生し、「蒸気加減弁急速閉トリップ」警報が発生し、調査のため再度原子炉手動停止。
圧力スイッチ取付架台を振動の影響を受けにくい場所に移設するとともに、念のため、圧力スイッチを耐振動性の高いものに交換。11月19日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象10
評価尺度:レベル0+

1998年1月16日:1号機

定格出力で運転中、排ガス放射線モニタの指示に増加傾向が認められ、点検調査を行うため、17日に原子炉手動停止。当該燃料集合体を健全なものと交換し、2月25日原子炉再起動。
原因は、燃料集合体1体からの漏えい。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象11
評価尺度:レベル0-

1998年1月30日:1号機

原子炉停止中(1月16日のトラブルに関する燃料集合体検査中)、装荷されていた他の燃料集合体6体の外観点検を実施したところ、2体においてスペーサの一部に位置ずれが確認された
原因は、前回定期検査において、当該燃料集合体の点検後にチャンネルボックスを再装着する際、過大な荷重をかけたためスペーサ固定板がはずれ、炉水の流れによりスペーサが上方にずれたものと推定。当該燃料集合体を健全なものと交換し、2月25日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象12
評価尺度:レベル0+

1998年度の対象トラブル

1998年4月5日:3号機

定格出力で運転中、2台ある原子炉冷却材再循環ポンプのうち1台が停止し、出力が約54万キロワットまで低下。点検調査のため6日に原子炉手動停止。
原因は、当該ポンプの電源装置制御回路の誤信号により過電流が発生し、かつ、予備の制御回路への切替が過電流状態継続により的確に行われなかったため。制御回路の基板を交換するとともに、過電流が速やかに減衰し制御回路の切替が的確に行える制御方式に変更し、4月14日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象13
評価尺度:レベル0-

1998年8月29日:6号機

定格出力で運転中、送電線への落雷に伴い、6号機主変圧器と発電所開閉所を結ぶケーブルの保護継電器(500キロボルト表示線保護継電器)が動作したことにより、発電機およびタービンが自動停止し、同時に原子炉自動停止。
原因は、当該継電器の電流検出回路に誤配線があり、落雷に伴う瞬時の電流増加により継電器が誤動作したもの。配線を正しくするとともに、誤配線防止対策を施し、9月2日に原子炉再起動。
なお、本事象は通商産業大臣通達にも該当する。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象14
評価尺度:レベル0+

1998年10月8日:1号機

原子炉停止中(定期検査中)、原子炉開放点検の準備のため、主蒸気配管および原子炉圧力容器への水張り作業中、原子炉格納容器内の排水槽から水があふれた。床面にたまった水の量は約300リットルで、その放射能は約900万ベクレル。
原因は、操作員の作業引継が不適切で、水張り作業中は閉であるべき弁が開であったため排水槽に水が流入し、その排出容量を超えたもの。再発防止対策を実施し、10月16日に作業を再開。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:通達対象6
評価尺度:レベル0+

1999年3月31日:7号機

定格出力で運転中、排ガス放射線モニタの指示および原子炉冷却水中のよう素濃度に増加が認められ、点検調査を行うため、原子炉手動停止。
原因は、燃料集合体1体からの漏えい。当該燃料集合体を健全なものと交換し、5月7日原子炉再起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象の分類:法律対象15
評価尺度:、レベル0-

この記事に関するお問い合わせ先

危機管理部 防災・原子力課 原子力安全係

〒945-8511
新潟県柏崎市日石町2番1号 市役所 本館3階
電話:0257-21-2323/ファクス:0257-21-5980
お問い合わせフォームはこちら

更新日:2020年01月31日