柏崎刈羽原子力発電所のトラブル状況(2003年度~2005年度)

2003年度の対象トラブル

2003年10月4日:7号機

定期検査中、タービン駆動原子炉給水ポンプ(A)の内側に一部欠損があることを確認。これによる水および放射能の漏えいは無かった。原因は、設計値より肉厚が薄く製造されていた箇所が圧力変動により疲労破壊したためと推定。
対策として、欠損部の整形加工などを行い、補修前後でポンプ性能に有意な変化がないことを確認。
通報連絡対象:極く軽度な事象20
評価尺度:-

2003年10月18日:1号機

定期検査中、原子炉格納容器内において残留熱除去系の水張り作業を行っていたところ、排水ラインの排水口から水の漏えいを確認。
漏水量は約2リットルで、放射能量は約22万ベクレル。
原因は、作業時に閉じているべき弁が開いていたため。
通報連絡対象:極く軽度な事象21
評価尺度:-

2004年2月3日:7号機

定期検査中(調整運転中)、原子炉隔離時冷却系に不具合があり当該系統が動作不能と判断し、保安規定に従い他の非常用炉心冷却系が動作可能である事を確認するなど必要な措置を講じた。
原因は、同系統を制御する油圧系統の弁の駆動部にゴミが混入し、それをかみ込んだため一時的に弁が動かなかったものと推定。
再発防止対策として、防塵用のカバーを設置し、定期的に点検を行うこととした。
通報連絡対象:極く軽度な事象22
評価尺度:-

2004年2月20日:6号機

運転中、復水器内にある細管をスポンジボールで洗浄する装置に不具合があることを確認。プラント運転において安全上支障は無いが、点検・清掃作業を実施することとし、2月28日から3月2日にかけて出力を一時降下させた(最低値:約54.0万キロワット)。
原因は、スポンジボールを回収する装置に貝などの海生生物が大量に付着したため。
通報連絡対象:極く軽度な事象23
評価尺度:-

2004年3月26日:6号機

運転中、10台ある原子炉冷却材再循環ポンプのうち1台に不具合があることを確認。原因調査のため当該ポンプを停止。これに伴い、電気出力を約4パーセント降下させた(約134.1万キロワット)。
原因は、電源制御基板の故障。
4月6日に出力を102万キロワットまで降下させて部品を交換し、4月7日に定格熱出力一定運転に復帰。
通報連絡対象:極く軽度な事象24
評価尺度:-

2004年3月29日:6号機

運転中、制御棒操作監視系の不具合により制御棒8本が一時的に動作不能となった。当該事象発生時に制御棒の操作はしておらず、また、制御棒の緊急挿入機能は確保されており、プラントの安全上の問題はなかった。
原因は、制御装置の基板の故障と推定。基板を交換し、同日復旧。
通報連絡対象:極く軽度な事象25
評価尺度:-

2004年3月29日:1号機

起動操作中、原子炉隔離時冷却系の動作に不具合があることを確認。代替機能を果たす非常用炉心冷却系の動作が可能であり、原子炉の安全性に問題はなかった。
原因は、部品の取り付け不良。
4月5日、当該設備を修理して正常に動作することを確認。
通報連絡対象:極く軽度な事象26
評価尺度:-

2004年度の対象トラブル

2004年6月16日:5号機

定格熱出力一定運転中(約113万キロワット)、185体ある制御棒の緊急挿入用装置のうちの1体で圧力低下を確認。保安規定に定める圧力値を確保できないことから、当該規定に定められている処置(当該制御棒の全挿入)を行うため、約98万キロワットまで出力を一時降下させた。
原因は、施工不良によるOリングと呼ばれるパッキンの損傷。当該パッキンを新しいものと交換し、6月17日に定格熱出力に復帰。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象:法律対象24
評価尺度:レベル0-

2004年6月21日:1号機

定格熱出力一定運転中(約112万キロワット)、復水器真空度の低下が確認されたことから、発電機出力を約80万キロワットまで手動で降下させた。その結果、復水器真空度はほぼ正常値に復帰。
原因は、原子炉圧力容器内構造物の応力腐食割れの予防保全のために設けられている水素・酸素注入設備の不具合。7月5日、この設備の運用を停止したまま定格電気出力に戻した後、定格熱出力運転に移行。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象:法律対象25
評価尺度:レベル0-

2004年7月9日:1号機

運転中、「発電機地絡」保護リレーが動作し、発電機が停止したため、原子炉が自動停止した。
原因は、発電機用の計器用変圧器の故障。故障した変圧器を新品に交換し、7月15日に原子炉起動。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象:法律に該当しない原子炉自動停止事象1
評価尺度:-

2004年8月24日:6号機

定期検査中、主蒸気隔離弁機能検査のため原子炉スクラム機能を一時的に解除した際、全制御棒が全挿入状態で動作しないよう処置すべきところ、約2時間、3本の制御棒が動作可能な状態となっていた。プラントの安全上の問題はなかった。
原因は、検査に関する作業票に運転上の制限に関わる検査である旨の記載がなかったことなどから、関係者の共通認識に至らなかったため。
通報連絡対象:極く軽度な事象27
評価尺度:-

2004年9月24日:4号機

定期検査中、原子炉冷却材浄化系に3つある熱交換器のうち、1つの器内で漏水を確認。
原因は、伝熱管4本の損傷。損傷の確認された伝熱管に閉止栓を取り付けた。
通報連絡対象:極く軽度な事象28
評価尺度:-

2004年10月20日:6号機

調整運転中、移動式炉心内計装系に係る弁の閉が確認できず、翌21日午前に保安規定に定める運転上の制限の逸脱を宣言。当該弁に係る設備の点検および弁の閉止作業を実施し、21日午後に通常運転に復帰。
当該弁は格納容器隔離弁の一つで、保安規定で規定する運転上の制限を逸脱する状態が半日以上続いたにもかかわらず、誤認により、結果的に運転上の制限を満足しない場合に要求される措置を速やかに講じなかったことから、保安規定違反とされ、原子力安全・保安院より改善指示が出された。
通報連絡対象:極く軽度な事象29
評価尺度:-

2004年10月21日:4号機

定期検査中、原子炉付属建屋の中央制御室用送排風機室(非管理区域)で火災警報が発報。
原因は、同建屋屋上に設置のディーゼル発電機排気筒に巻き付けてあった防炎シートの一部が焦げて煙が発生し、その煙が送排風機室に吸い込まれて火災報知器が発報したもの。
通報連絡対象:ごくく軽度な事象30
評価尺度:-

2004年10月31日:2号機

運転中、原子炉隔離時冷却系の定例試験で、動作の不具合を確認。代替機能を果たす非常用炉心冷却系の動作が可能であり、問題はなかった。
原因は、原子炉隔離時冷却系のタービン回転数検出器のセンサー異常。
同センサーを新品に交換後、当該系統の動作確認を実施して動作に問題がないことを確認し、11月2日、通常運転に復帰。
通報連絡対象:極く軽度な事象31
評価尺度:-

2004年11月4日:7号機

運転中、午前8時57分の地震に伴い「タービンスラスト軸受摩耗トリップ」の警報により原子炉が自動停止。
調査の結果、地震によりタービン軸が軸方向にわずかに動いたため、損傷防止のためにタービンが自動停止し、それに伴い原子炉が自動停止したもの。タービン軸に問題は確認されなかった。
11月11日に原子炉起動、13日に発電機並列。
通報連絡対象:法律に該当しない原子炉自動停止事象2
評価尺度:-

2005年1月6日:1号機

運転中、タービンの電気油圧式制御装置(EHC)で軽故障警報が発報。
原因は、当該制御装置を構成する3つの基板のうちの1つの故障で、当該基板を交換。
交換作業時に、タービンへの流入蒸気を制御する弁の開度が一時的に変化したため、電気出力が約1.8パーセント一時的に上昇。
通報連絡対象:極く軽度な事象32
評価尺度:-

2005年1月16日:7号機

定格熱出力一定運転中、原子炉補機冷却系(B)ポンプで異音を確認。同日午後11時52分に保安規定に定める運転上の制限の逸脱を宣言し、当該ポンプを停止。
原因は、軸受油の飛散防止部品がゆるみ、他の部品と接触していたため。翌日、当該部品を元に戻して締め付け作業を行い、ポンプの試運転を実施。異常が認められなかったことから、午後2時52分に通常運転に復帰。
通報連絡対象:極く軽度な事象33
評価尺度:-

2005年2月4日:1号機

定格熱出力一定運転中(約113万キロワット)、タービン建屋地下2階の復水器近くの配管で蒸気の漏えいを確認。原因調査のため原子炉を手動停止。
原因は、復水器に接続される配管の曲がり部に直径1ミリメートル程度の貫通孔があり漏えいしたもの。貫通孔は配管内で液滴が高速で曲がり部に衝突し浸食されてできたものと推定。当該配管を取り替えた。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象:法律対象26
評価尺度:レベル0-

2005年3月10日:5号機

タービン建屋2階で使用済燃料貯蔵プールの燃料ラック取り替え作業で発生した金属廃材を詰めたドラム缶をクレーンで階下につり下ろす作業をしていたところ、ドラム缶が落下。これにより内容物の一部がドラム缶外に出た。出た廃材などの放射能の量は約5万ベクレル(推定)。
この事象による作業員の負傷および汚染はなかった。また、外部への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象:極く軽度な事象34
評価尺度:-

2005年度の対象トラブル

2005年4月15日:7号機

定期検査中、第6給水加熱器(A)の伝熱管内点検中に、半リング状の小片を確認。20日に回収。
当該小片は直径約20ミリメートル、重さ約0.6グラムの金属片で、配管の切れ端と推定。また、その形状・材質やこれまでの補修状況を調査した結果、当該号機建設工事の際に混入した可能性が高いと推定。
通報連絡対象:極く軽度な事象35
評価尺度:-

2005年4月26日:1号機

定格熱出力一定運転中、2005年4月に燃料から原子炉内部への放射性物質漏えいの疑いがあり、6月14日から開始の定期検査で燃料集合体全数(764本)の調査を行った結果、燃料集合体1体からの漏えいを確認。
当該燃料集合体は健全なものと交換。
周辺環境への放射能の影響はなかった。
通報連絡対象:極く軽度な事象36
評価尺度:-

2005年6月21日:5号機

定格熱出力一定運転中、海水熱交換器建屋地下1階にある原子炉補機冷却海水系(注釈)の予備ポンプを起動したところ、ポンプ軸封部から異臭およびもやを確認。当該ポンプを停止するとともに、保安規定に定める「運転上の制限」の逸脱を宣言。
点検の結果、異臭およびもやの原因は、当該ポンプ軸封部へ潤滑水が行き渡る前に、摩擦により当該部の温度が一時的に上昇したためと推定。当該ポンプを補修し通常運転に復帰した。
(注釈)原子炉建屋内の補機(ポンプの軸受けなど)を冷却するための水を、海水を用いて冷却する系統。
通報連絡対象:極く軽度な事象37
評価尺度:-

2005年7月3日:5号機

定格出力運転中(110.0万キロワット)のところ、復水器の真空度の低下によりタービン保護装置が作動し、タービンおよび発電機が停止。これに伴い原子炉が自動停止。
原因は、定期検査のため、原子炉停止の準備操作として、タービングランドシール蒸気(注釈)の蒸気源を補助ボイラーに切り替える操作を行ったところ、蒸気量が不十分となり、復水器内に空気が流入し、真空度が低下したもの。
(注釈)タービンの軸と軸全体を包むカバーとのすきまから放射能を含む蒸気を外部へ出さないように、また、復水器へ空気が流入しないようにするために、軸部分に流している蒸気。
通報連絡対象:法律対象27
評価尺度:レベル0+

2005年8月1日:1号機

定期検査中、原子炉建屋3階のオペレーティングフロアで作業中のところ、プールゲート連絡通路(注釈)にワッシャー状の金属(直径約18ミリメートル)を発見し、回収。
(注釈)原子炉と使用済燃料プール間で燃料などを移送するための水路。
通報連絡対象:極く軽度な事象38
評価尺度:-

2005年8月2日:2号機

定格熱出力一定運転中、原子炉建屋1階にある二重扉を操作していたところ、2つの扉が一時的に両方開状態になった。その後直ちに扉の閉操作を実施し、この状態は解消。当該事象の連絡を受け、当直長は保安規定に定める「運転上の制限」からの逸脱を宣言するとともに、あわせて復帰を確認。当該事象による原子炉建屋の負圧変化はなかった。
(注意)原子炉建屋は事故時に放射性物質を閉じこめられるよう、内部の気圧を常に外部よりも低く(負圧)保つ設計としている。そのために、建屋出入口に二重扉を設置し、2つ同時に開かない設計となっている。
通報連絡対象:極く軽度な事象39
評価尺度:-

2005年9月1日:5号機

定期検査中、原子炉ウェル(注釈1)の水抜き作業を行っていたところ、「燃料プール(注釈2)水位低」警報が発生したことから、保安規定に定める「運転上の制限」からの逸脱を宣言。燃料プールへの水張り作業を実施したところ、当該警報が解除されたことから、「運転上の制限」の満足を確認。
その後、水抜き作業を再開したところ、再び同警報が発生。「運転上の制限」の逸脱を宣言し、水張り作業を実施し、当該警報の解除を確認し、「運転上の制限」を満足していることを確認。
原因は、水抜き作業中のプールゲート(注釈3)の密閉性および燃料プールの水位確認方法が不十分だったこと。
(注釈1)原子炉圧力容器および原子炉格納容器を収容している空間で、定期検査中は水を満たして作業を行う。
(注釈2)使用済燃料プールのこと。使用済燃料などを貯蔵している。
(注釈3)原子炉と使用済燃料プール間で燃料などを移送するための水路を仕切る板(炉側とプール側とを仕切る)。
通報連絡対象:極く軽度な事象40
評価尺度:-

2005年10月18日:5号機

調整運転中、原子炉隔離時冷却系(注釈)の機能検査実施中に、当該系統のポンプが停止したことから、保安規定に定める「運転上の制限」の逸脱を宣言。当該宣言に伴い要求される措置(他系統の動作確認)を直ちに行い、問題がないことを確認。

調査の結果、ポンプ駆動用タービンに供給する蒸気を緊急時に遮断する弁の動作に係る部位に適正な裕度がなかったため、検査中に当該弁が動作して蒸気が遮断されたためと推定。当該遮断弁の調整を行い正常な運転状態に復帰した。
(注釈)原子炉水位が異常に低下したとき、原子炉で発生した蒸気を使ってタービンを回し、原子炉内に水を供給する系統。
通報連絡対象:極く軽度な事象41
評価尺度:-

2005年12月24日:3号機

低下していた出力(注釈1)を上昇させる操作をしていたところ、制御棒引抜監視系(2系統)のうち1系統が、当該系統を選択するスイッチで除外(切り離して動作しない状態にすること)していないにもかかわらず、動作しない状態になっているのを確認。「運転上の制限」を満足していないと判断し、「運転上の制限」の逸脱を宣言。動作しない状態となっていた系統の除外操作(注釈2)を行い、逸脱状態からの復帰を宣言。
原因は、電気回路部品の動作不良。
(注釈1)2005年12月22日午前8時57分頃、悪天候による送電線への影響により、3号機原子炉冷却材再循環ポンプ(B)が停止。これにより、発電機出力が約40万キロワットまで低下した。
(注釈2)保安規定上、当該系統は1系統動作不能であれば、それを除外することは可能。
通報連絡対象:極く軽度な事象42
評価尺度:-

この記事に関するお問い合わせ先

危機管理部 防災・原子力課 原子力安全係

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更新日:2020年01月31日