【参考】分類に含まれない保安規定違反3以上と判断された事象

 保安規定違反区分は、原子力安全への影響が大きい順に「違反1」「違反2」「違反3」「監視」の4段階がある。

平成21(2009)年10月28日、福島第二原子力発電所で、放射性水素（トリチウム）を含む可能性のある排水が流れる配管が、非放射性物質を処理する配管に誤接続されていた。その後、柏崎刈羽原子力発電所でも同様の事象が、1号機で3カ所、5号機で1カ所見つかり、東京電力は配管の是正を行った。

なお、本事象について、県の周辺環境監視評価会議委員は、「放射能による外部への影響はなかったと考えられる」と評価した。

原子力安全・保安院は、保安規定に違反していると判断（違反3）し、根本原因を究明しそれを踏まえた再発防止対策の策定を指示した。

平成22(2010)年度第3回保安検査中、柏崎刈羽原子力発電所2・3号機で、過去に点検周期を超過し、その後点検を実施した計器があることが確認された。また、その後の調査により、柏崎刈羽原子力発電所全号機、福島第一・第二原子力発電所でも、点検周期を超えた機器が多数確認された。

原子力安全・保安院は、保安規定に違反していると判断（違反3）し、根本原因を究明しそれを踏まえた再発防止対策の策定を指示した。

平成23(2011)年度第4回保安検査中、特別な保全計画(注釈)の実施状況を確認したところ、中越沖地震以降運転を停止している2・3・4号機の計測制御設備で、点検周期を超過していることが確認された。

原子力安全・保安院は、保安規定に違反していると判断（違反2）し、根本原因を究明しそれを踏まえた再発防止対策の策定を指示した。

(注釈)特別な保全計画とは、地震や事故等により長期停止を伴った保全を実施する場合に、特別な措置として、予め当該原子炉施設の状態に応じた保全方法及び実施時期を定めた計画。

平成27(2015)年9月18日、柏崎刈羽原子力発電所6号機で、工事のケーブルルート確認のため中央制御室床下内の調査を行ったところ、床下内ケーブルピットの安全区分を分離する分離板が倒れ、ケーブルが異なる安全区分間を跨いで敷設されていることを確認した。また、その後の調査により全号機で同様の不備が多数確認された。

東京電力は再発防止策を実施するとともに、不適切なケーブルの是正を行うとしている。

原子力規制委員会は、保安規定に違反していると判断（違反2）し、さらなる調査を指示した。

福島第二原子力発電所に対する平成30年度第3回保安検査で、平成29年度および平成20年度上期に福島第二原子力発電所で発生した不適合事象について、予防処置の必要性の検討「要」と判定されたにもかかわらず、予防処置の必要性を検討するスクリーニングが実施されていない状況が確認された。その後、柏崎刈羽原子力発電所でも、過去3年間で予防処置の必要性の検討「要」と判定された不適合事象のうち、17件が機会処理システムに未登録で、予防措置の必要性を検討するスクリーニングが未実施であることが確認された。

原子力規制委員会は、保安規定に違反していると判断（違反3）した。東京電力によるすみやかな予防措置プロセスの履行と再発防止対策が検討されていることから、今後の保安検査等で引き続き確認を行うこととした。