エネルギーとものづくりのまち

まちの誇りを未来へ 柏崎市×柏崎あい・あーるエナジー(株式会社) =脱炭素のまち:柏崎3.0

写真:柏崎市役所屋上に設置してある太陽光発電

柏崎市役所屋上の太陽光発電設備

環境・経済両面で持続可能な「脱炭素のまち」を目指して

写真:かしわざきあい・あーるエネジー会社設立時の集合写真

令和4(2022)年3月30日に会社設立

エネルギーのまちである柏崎市は、脱炭素エネルギーを利活用することで、環境・経済両面から持続可能で豊かに生活できる社会「脱炭素のまち:柏崎3.0」を将来像として目指しています。太陽光や風力、小水力などの再生可能エネルギー、蓄電池の利活用を進めます。また、現在関東方面に送電するためだけの存在であった原子力発電による電力を柏崎市でも使えるように取り組みを進めています。その大きな取り組みの1つが、柏崎市と民間事業者の計9者が出資した地域エネルギー会社「柏崎あい・あーるエナジー株式会社」です。

地域エネルギー会社の必要性とは

柏崎あい・あーるエナジーは、柏崎市の内外から脱炭素電力を集めて市内の事業者や家庭に販売する電力小売事業の会社です。脱炭素への取り組みがあらゆる産業で求められつつある今、柏崎市は、脱炭素エネルギーの供給を通じて地域産業の競争力を向上させ、温室効果ガスの排出低減も両立するためにこの会社を設立しました。電力契約の切り替えという手軽な方法で脱炭素電力を使うことができる環境をつくり、脱炭素社会の構築を実効的に進めるとともに、地域の環境・エネルギー産業の中核として頼られる存在になることを目指します。

柏崎市はこれまで、公共施設の脱炭素化に向けて太陽光発電や地中熱利用設備などの導入を進めてきました。さらに、柏崎あい・あーるエナジーの設立により得た脱炭素エネルギーを地域で活用する実効力を生かすよう、市内への再生可能エネルギー発電の導入拡大を進めています。この電力を柏崎あい・あーるエナジーが市内に販売することでエネルギーの地産地消を進め、「脱炭素のまち:柏崎3.0」の基盤づくりを強力に推進していきます。

将来的には首都圏への送電も 脱炭素エネルギーのハブ拠点化

画像:海底電線を通じて北海道や東北でつくられた再生可能エネルギーを柏崎市に集め、首都圏と地域に供給

柏崎市には原子力発電に伴う首都圏への大容量送電線があるため、国が検討を進める海底直流送電線を陸揚げし接続することで、日本海側から首都圏のカーボンニュートラルを支える脱炭素電力の供給拠点となるポテンシャルがあります。この首都圏への送電インフラと地域の送電網を接続し、さらに大型蓄電池などを整備することで、出力変動を抑えた安定電力の首都圏供給と、地域への脱炭素電力の一部融通を両立することができます。柏崎市は、柏崎あい・あーるエナジーと共にこの考えを将来構想や中長期的事業に掲げ、関係機関との協議や意見調整などを積極的に行うことで実現に向けた取り組みを進めています。

これまで国のエネルギー政策を支えてきた地域の誇りを将来に引き継ぎ、さらに持続可能な環境・エネルギー産業を地域で発展させ、環境・経済両面から持続可能な豊かに生活できるまち「脱炭素のまち:柏崎3.0」を実現するため、柏崎市と柏崎あい・あーるエナジーは着実に歩み出しています。

次世代エネルギーの取り組みも始まっています—水素製造

天然ガスから水素とアンモニアを製造する実証事業が市内で始まります。事業者の株式会社INPEXは、水素製造時に出るCO2を自社の枯渴ガス田に圧入することで、クリーンな水素製造技術の確立を目指すとともに、製造した水素を利用して発電を行う予定です。柏崎あい・あ一るエナジーでは、この電力を地域に供給したいと考えています。柏崎市の発展を支えた天然ガスの採掘資産を活用し、将来に向けた水素エネルギーを生み出すこの取り組みは、令和6(2024)年度中の運転開始を目指しています。

エネルギーのまちのあゆみ

明治21(1888)年、柏崎では日本石油会社(現ENEOSホールディングス株式会社)が設立され、その3年後には、当時の我が国では初となる石油の機械掘りの成功を収めました。石油の噴出によって、柏崎市は多くの近代化の恩恵を受け、産業・社会文化など大きく発展を遂げるとともに、石油産業のまち(柏崎1.0)として近代日本経済のエネルギーを支えてきました。そして、昭和60(1985)年に営業運転を開始した柏崎刈羽原子力発電所は、平成9(1997)年に7号機が完成し、世界最大級の出力規模になりました。原子力発電所は雇用と市民生活の豊かさをもたらし、柏崎は「エネルギーのまち」(2.0)として、エネルギーの安定供給を担い、日本の経済成長に貢献してきました。

現在は再生可能エネルギーと原子力発電が共存し、成長が期待される環境・エネルギー産業を生み出す段階(2.5)です。その先にある「脱炭素のまち(3.0)」を見据えて、環境・経済両面から持続可能な社会を目指します。

画像:石油、原子力、再生可能エネルギー、脱炭素のまちへと変遷する柏崎のあゆみ

これからも日本と世界を支える 柏崎のものづくり技術の挑戦

写真:多くの企業が入る柏崎フロンティアパークの地図
写真:柏崎市役所内の電磁自動車急速充電器で充電をする車

電気自動車用急速充電器(市役所内)

柏崎市は「ものづくりのまち」として製造業が盛んであり、特に自動車部品製造は柏崎市の経済・産業をけん引してきただけでなく日本の自動車産業の発展に大きく貢献してきました。また、製造事業者が培ってきた高い技術力は、自動車部品製造にとどまらず他分野においても生かされています。

ものづくりの分野においても脱炭素化やカーボンニュートラル、デジタル化などの動きが加速している中、柏崎市ではこれらを成長の機会と捉え、新規事業への進出や企業体質の改善などに取り組む製造事業者を強力にサポートしています。

キーワード1 グリーン・EVシフト

ヨーロッパから始まったEV(電気自動車)シフトの潮流が、柏崎市の基幹産業である製造業に大きな影響を与えることは必至です。こうした社会経済の変化に対応し、さらなる成長に向けた新分野展開や事業転換を実現するため、柏崎市では次世代自動車産業や環境エネルギー産業など、新たな産業分野へ挑戦する製造事業者を積極的に支援しています。

キーワード2 デジタル・産業のDX

を変革し、企業の労働生産性向上や競争力強化を図る「産業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化」が、今後の企業経営に必要といわれています。柏崎市では新潟工科大学や市内ITベンダー等と連携し、相談窓口の開設、IoT、AIなどのデジタル技術の導入促進やデジタル人材の育成を支援し、産業のDX化を推進しています。

ものづくり最前線

ケース1 株式会社リケン 「EVシフト」に照準 水素エンジン分野に参入

自動車部品メーカーの大手・株式会社リケンは、自動車業界が「EVシフト」へと大きな変革を迎える中、柏崎工場を開発拠点に水素エンジンを核とした水素関連事業に参入しました。変化する事業環境を大きなチャンスと捉え、90年以上積み上げてきたエンジンに関する知見を最大限に発揮し、脱炭素を実現する新世代エンジンを成長の柱と位置付けています。令和4(2022)年5月には、柏崎事業所で水素エンジンの実機評価を開始しました。

さらに、加速する「EVシフト」への対応として、令和4(2022)年7月、株式会社リケンは同業大手の日本ピストンリングとの経営統合も発表。両社の経営リソースを統合・有効活用することで、開発や生産を効率化して収益力のアップを図るとともに、スピード感をもって持続可能(サステナブル)な社会の実現に積極的に貢献していきます。

写真:コンピュータが並ぶ株式会社リケンの執務室
写真:リケンの前川社長と日本ピストンリングの高橋社長がポーズをとっている
写真:リケンの会社建物

ケース2 株式会社米谷製作所 デジタルとアナログの融合 未来を見据えた技術者の育成

株式会社米谷製作所は自動車エンジンなどのダイカスト・鋳造用金型メーカーです。CAD/CAMといったIT技術を40年以上前から積極的に取り入れ「高品質・短納期・低コスト」というユーザーの要望に応えて、業界をリードしてきました。

次世代のものづくりの現場において、人の作業がAI(人口知能)に置き換わることは確実としたうえで、米谷社長が重要視するのは「AIに対して、良い悪いを判断できる」技術者の育成です。AIを使いこなすのは人。ルーチンワークでは生まれない、発想力・共感力を磨くため、人材を現地・現場に派遣したり、社内での技術の伝承やコミュニケーションを大切にして、次世代を見据えた人づくりに注力しています。

将来的には柏崎市内をはじめ県内の他メーカーと連携し、AIで各社の工作機械の稼働状況を把握しながら、業務をシェアし、地域全体としての生産性向上と受注拡大を目指していきます。

写真:パソコン画面に向かって仕事の確認を行う写真2人
写真:金型
写真:米谷製作所の会社建物

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総合企画部 元気発信課 情報発信係

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更新日:2022年10月05日