令和2(2020)年度施政方針

令和2(2020)年度施政方針

はじめに

施政方針演説を行う市長の写真

令和2(2020)年度当初予算を御審議いただくに当たり、柏崎市民の皆様、市民の代表たる柏崎市議会の皆様に施政方針を申し述べます。

福沢諭吉「文明論之概略」の冒頭は、こう始まります。

「軽重、長短、善悪、是非等の字は、相対したる考より生じたるものなり。軽あらざれば重あるべからず、善あらざれば悪あるべからず。故に軽とは重よりも軽し、善とは悪よりも善しということにて、此れと彼と相対せざれば軽重善悪を論ずべからず。斯くの如く相対して重と定り善と定りたるものを議論の本位と名く。」

私は3年前、「少し変わる勇気」をキャッチフレーズに再び掲げ、相対する考えのその間にある「細い道を行く」と申し上げ、市政に携わることとなりました。

元号・西暦併記を始めました。日本、元号、伝統、文化を大切なものとし、国際社会の中での日本、柏崎の位置付けが求められていると考え、併記こそ実質的であり、この考え方は広まっていくと確信し、始めたわけであります。

柏崎は、常に漸進的なイノベーターでありました。そのことが柏崎の存在価値であり、アイデンティティなのであります。

今から132年前、明治21(1888)年5月、内藤久寛らによって、石地に日本石油が設立されました。明治32(1899)年8月、本社は柏崎に移され、大正3(1914)年8月東京丸の内に移されるまでの間、西山、柏崎は近代日本経済のエネルギーを石油という手段で支えてまいりました。今も柏崎においてものづくり産業、機械金属加工業が栄えているのは、その礎(いしずえ)があるからであります。本年10月に竣()工予定の柏崎市役所新庁舎が駅前に移るわけですが、その住所が「日石町」であることは、皆様周知のとおりです。

今から51年前、昭和44(1969)年3月、柏崎市議会が誘致決議を行い、東京電力柏崎刈羽原子力発電所が作られました。以来多くの雇用を創出し、国からの支援もあいまって柏崎は豊かになったかに思われました。経済的な豊かさのみならず、日本の高度経済成長を私たちが支えているという矜持(きょうじ)を抱かせたことも、大きな歴史的事実であります。

一方、東京電力に関しては、20世紀末のプルサーマル問題、データ改ざん等で柏崎は振り回されてまいりました。9年前の東日本大震災における福島第一原子力発電所の爆発事故は、世界、日本を文字どおり揺るがせ、福島の皆様を始め多くの国民に被害をもたらし、今もその影響は大きなものがあります。同じBWR沸騰水型の原子力発電所を抱える柏崎にも極めて計り知れないインパクトを与えました。いや、今も与え続けています。柏崎市民は原発推進派、反対派に二分され、柏崎が持つ本来的な力が発揮されなかったようにも思えます。人口は、平成7(1995)年には旧高柳町及び旧西山町を含め10万人を超えておりましたが、この15年間で約1万人以上減り、1月末の住民基本台帳人口は8万2,753人であります。

私が市長に就任させていただいてからも、免震重要棟の耐震不足問題、また、昨年の山形県沖の地震の際は、事もあろうに使用済燃料プールの状況を「異常あり」とファクス通知するなど私たち柏崎市民は、原子力発電所に一定の理解を示す者でさえも不安に陥れられ、東京電力の資質の欠如が問題となりました。私はその度に東京電力に対し当然のこととして強い言辞でその姿勢を批判し、資質の改善を求めてまいりました。

使用済核燃料税の経年累進課税化は、限定的ながら原子力発電の優位性、意義を認める立場に身を置く私が、原子力発電を認めない、否定する立場の皆様と少しでも共有点を求めようとする「細い道」の象徴であります。就任直後の所信表明にも掲げております。

2年間協議してまいりました。2年であります。このままの状態で推移するならば私自身の東京電力という会社に対する認識、原子力発電所に対する認識、再稼働に対する認識を大きく変えざるを得ないと考えておりました。

この度ようやく、小早川智明社長との間で「まだいくつか課題を残しながらも、おおむね双方合意する」との段階に至りました。

私たち柏崎市民が、歴代柏崎市長がどのような思いで、毎日、誇張ではなく時々刻々原子力発電所のことに向き合ってきたのか、東京電力にも新潟県にも国にも想像していただきたいと強く願うものであります。

なお、本演説において、「今年度」とは令和2(2020)年度、「昨年度」とは令和元(2019)年度を指すことを、あらかじめ申し上げておきます。

2020年度の重点施策

防災・生活・環境―「頼もしさ」をつなぐまちをめざして

市政方針演説会場の柏崎市議会議場の全体写真

私は、3年前の市長就任前から、一貫して「原子力発電所再稼働の価値を認める。同時に、徐々にだが、確実に原発は減らしていくべきである」と申し上げてまいりました。東京電力ホールディングス株式会社に対して柏崎刈羽原子力発電所6号機、7号機の再稼働を認める条件の一つとして、1号機から5号機までの廃炉計画を示すよう求め、昨年8月26日に同社から「6・7号機が再稼働した後5年以内に、1基以上について、廃炉も想定したステップを踏む」とした回答が示されました。この「考え方」に対しては、市民の皆様並びに市議会議員各位及び各会派からいただいた様々な御意見を踏まえながら、7項目の要望を付した上で「おおむね了」とする私の評価を、昨年11月19日に、同社小早川社長に表明しました。

再稼働については、県のいわゆる「3つの検証」が終らない今、最終的な判断を行えないことは、厳然たる事実であります。私が示した7項目について、東京電力の真摯な対応を期待しております。中でも、使用済核燃料税の経年累進課税化については、「柏崎に使用済核燃料を長くとどめさせない」という柏崎市の意思表示であります。核燃料サイクルの促進のためにも、何よりも市民の安全・安心の確保のためにも不可欠であります。

原子力防災に関する動きについては、昨年3月に県の広域避難計画が策定・公表され、その後、11月には、県主催による実動の原子力防災訓練が5年ぶりに行われるなど、進展が見られました。このような流れの中、国、県及び関係市町村との協議を踏まえ、本市広域避難計画の見直しを行います。

更に県には、いわゆる「3つの検証」の位置付けの明確化、合理的な進展を重ねて求めてまいります。

また、昨年度に引き続き、原子力防災訓練を県や関係市町村とともに実施してまいります。住民参加による広域避難訓練を実施し、避難における問題点や課題をしっかりと洗い出し、その対策を図ってまいります。

昨年7月23日に当時の原田原子力防災担当大臣から本市へお越しいただいた際に、冬期間における避難の安全確保を始め、地域の実情を踏まえた課題の解決と防災対策の充実に、国が主体的に取り組むよう直接大臣に求めました。それらを法により担保するためにも、「原子力災害対策特別措置法」の改正が必要であると考えます。このことについて、国に対し引き続き強く求めてまいります。

国は、非常に甚大化する大規模自然災害から、人命を守り、また、経済活動の被害が致命的なものにならずに、迅速に回復できるという「強さとしなやかさ」を備えた社会を構築するために、平時から継続的に対策に取り組むことが重要なことから「国土強靭化基本計画」を策定し、新潟県も「新潟県国土強靭化地域計画」を策定しています。

本市においても、自然災害に加え、原子力災害も含めた複合災害に備えた「柏崎市国土強靭化地域計画」を今年度策定し、防災・減災対策に取り組みます。

自然災害及び原子力災害などが発生した場合、全庁的な災害対応を迅速かつ効果的に実施しなければなりません。このため、災害情報の収集・分析・共有・意思決定といった一連の機能を充実・強化する必要があります。市役所新庁舎の建設に併せ、新庁舎3階に災害対策本部室を常設化し、災害対策本部、現地対策本部及び消防本部との情報共有に必要な設備を整備します。また、気象情報・河川水位情報や被害情報などの情報を、職員が共有できるシステムを併せて構築し、災害対策にしっかりと取り組み、市民の安全・安心の確保に努めます。

災害時に、市民の適切な避難行動を促すために重要な防災情報通信システムについては、FM方式による更新に取り組み、2年目となります。今年度は、コミュニティFM放送の難聴地域解消のため、中継局を芋川に新設します。また、昨年度に引き続き、緊急告知ラジオを各世帯等に配布し、確実な情報伝達に努めます。

日本各地で甚大な被害をもたらす災害が度々発生しています。昨年も、10月の台風19号による大きな浸水被害などがあり、河川の改修・整備など、治水事業の重要性を再認識することとなりました。

本市においては、鵜川・鯖石川などの河川改修工事の継続実施、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策事業」による河川内の堆積土砂の撤去や樹木の伐採、鵜川治水ダムの早期完成などの治水事業推進について、事業主体である新潟県に強く要望してまいります。

なお、鵜川治水ダム事業につきましては、本年5月に定礎式を行い、本格的に堤体()()工事が開始される予定です。

あわせて、市街地低地部の内水対策について、常盤台地内の鵜川左岸第5雨水調整池整備工事に本格着手します。また、2級河川軽井川上流部の大字横山地内の浸水対策に着手するとともに、浸水被害の発生している半田一丁目、朝日が丘地内の市道柏崎7-9号線沿いと大字茨目地内の柏崎厚生病院入口付近の測量調査設計に着手し、浸水解消に向けた取組を進めます。

ライフライン機能保全のため、水道事業は、老朽化が進んだ赤坂山浄水場の高圧受電設備改良工事に着手するとともに、主要な水道管路の耐震化を進めます。

下水道事業は、農業集落排水中通地区の機能強化対策事業に着手します。

工業用水道事業は、給水事業者から事業廃止の内諾を得たことから、事業廃止に向けた取組を進めます。

過疎化・高齢化が進む中、冬期間も安全・安心に生活ができるよう引き続き除雪体制の堅持に努めてまいります。

都市公園の長寿命化対策と再整備につきましては、老朽化した公園施設の更新対策を進めるとともに、白竜公園の公園機能見直しによる再整備工事を昨年度に引き続き実施します。

空き家対策については、「柏崎市空家等対策計画」に基づき、県内11の関係団体との連携を強化し、管理不全空き家の発生予防と適正な管理及び所有者への意識啓発や相談に対応してまいります。また、利活用事業として、空き家のリフォームについては、子育て世帯と空き家バンク登録物件利用者への支援を強化するとともに、空き家バンク制度の積極的な活用により既存ストックの流通を促し、移住・定住の促進に取り組みます。また、市による空き家の解体につきましては、緊急性や危険性などを勘案しながら、慎重に判断してまいります。

道路や橋りょうを始めとする社会基盤は、市民の日常生活や経済活動を支えるとともに、災害時の住民避難と復旧復興に必要不可欠であります。

国道8号柏崎バイパスは、剣野地区の(仮称)柏崎トンネル工事が順調に進捗しており、西側鯨波までの供用開始に目途が見えてまいりました。関係者の御理解、お力添えに感謝を申し上げるところでございます。今後、東側への事業の進捗、早期の全線開通を国に強く訴えてまいります。国道8号バイパスへのアクセス道路として、都市計画道路「宝田北斗町線」の未整備区間の道路新設事業を進めてまいります。

新潟県が実施している国道352号荒浜バイパスは、避難経路・緊急輸送路としても重要な役割を担っていることから、早期の工事着手に向けた働き掛けを引き続き行ってまいります。加えて、国道353号、国道252号、国道291号などの更なる整備を求めてまいります。

消防の分野では、住宅用火災警報器の設置・維持管理を徹底し、住宅火災の被害低減を図るとともに、水槽付消防ポンプ車導入等により体制を一層強化し、安心・安全の確保を図ってまいります。

消防団活動に対しては、背負式簡易消火用具等の災害対応に必要な装備を順次整備するとともに、団員の確保に努めてまいります。

新潟県中越沖地震を始め大地震、大規模災害から得た経験と教訓を風化させることなく、次世代に継承していかなければなりません。

公益財団法人新潟県中越沖地震復興基金からの交付金を有効に活用し、中越沖地震メモリアル施設が防災教育の拠点となるよう官民の連携を強化しつつ、柏崎らしい防災力の向上を図ってまいります。

福島第一原子力発電所事故から9年を迎え、先の見えない避難生活を本市で送られている方々に対して、引き続き、心に寄り添ったきめ細やかな支援を行ってまいります。

犯罪のない安全で安心なまちづくりを推進するため、地域や防犯関係団体と連携しながら、地域防犯リーダーの育成や地域安全マップづくりなどの防犯活動に取り組みます。また、特に子供たちの安全を最優先するという観点から設置した防犯カメラの効果を検証するとともに、地域の人の目による見守り活動を充実させ、登下校時の安全確保に一層努めてまいります。

環境への負荷の少ない持続可能な社会を実現するため、環境問題への取組を着実に実行してまいります。

地球温暖化対策では、温室効果ガスの排出量削減に向け、燃料電池などの低炭素型機器や電気自動車の補助枠を拡充するとともに、新庁舎駐車場に電気自動車用の急速充電器を整備します。また、公共施設における省エネルギー設備や再生可能エネルギーの導入を積極的に進め、今年度は、新庁舎に太陽光発電設備及び地中熱利用設備を、松波コミュニティセンターに太陽光発電設備を設置します。あわせて、小中学生向けの環境教育プログラムや本市独自事業である事業者向けのECO2プロジェクトなどの意識啓発の取組も引き続き強化してまいります。

ごみの減量化・再資源化の更なる向上を目指して、一般廃棄物処理計画の見直しを行い、食品ロスの削減やプラスチックの資源循環を推進するための新たな課題に対応した取組を進めます。資源物リサイクルセンターは、年間利用者が17万人を超える施設となりました。市民の皆様の意識向上と喜んでおります。また、廃棄物処理施設では、安定した処理を行うために適正な維持管理を継続するとともに、新たなごみ処理施設の建設や運営に係る事業方式の検討及び測量調査などを実施します。

公共交通に関して申し上げます。路線バスについては、運行事業者からは一部路線の縮小・廃止についても打診されてまいりました。利用者の減少のみならず、運転士の減少も深刻な要因であり、路線バスの維持・確保に向け運行事業者と連携しながら、協議を継続してまいります。昨年10月に越後交通株式会社が運行する市内全路線に拡充しました高齢者割引制度については、引き続き試行し、高齢者の利用促進を図るとともに、その効果を検証してまいります。また、今年度、中山間地域等公共交通車両購入事業補助金を創設し、高柳町地域で運行する老朽車両の入替えに補助金を交付し、安全かつ安定した運行を支援します。

鉄道交通については、利便性の向上について、引き続き、東日本旅客鉄道株式会社など鉄道事業者に要請してまいります。来月、3月14日のダイヤ改正で、2年連続で長岡駅での上越新幹線と信越本線の接続が改善されることになりました。これは、要望活動の継続が実を結んでいるものであり、しっかりと継続してまいります。今後とも、県や関係機関と連携し、鉄道利用の促進や、上越新幹線と北陸新幹線を結ぶ信越本線などの鉄道交通のネットワークの強化と高速化に取り組みます。

このような公共交通の現状を踏まえ、現行の柏崎市地域公共交通網形成計画に続く新計画の策定作業に今年度から着手します。この計画は、立地適正化計画と一体的な連携を図るものであり、両計画は大変密接な関係にあります。このため、策定年度を合わせ、令和4(2022)年度を初年度といたします。計画の内容は、現在の公共交通の確保のみならず、公共交通における新しい技術やサービスの可能性についても検討することとし、2か年かけて策定してまいります。

産業・雇用 ―「豊かさ」をつなぐまちをめざして

様々な分野における人材不足への対応が喫緊の課題となっております。このような中、本市が構成員となっております柏崎職安管内雇用促進協議会において、高校生や大学生などを対象とした企業説明会や事業者対象の人材確保セミナ―を開催し、若者の地元定着の促進と柏崎管内の労働力確保を図ります。あわせて、企業における採用活動の効果を高めるため、市内に本社がある中小企業等に対し、就職情報サイトへの登録に係る経費を助成します。

働きやすい職場環境を確保するため、仕事と家庭との両立支援に取り組む事業者に対し奨励金を交付するとともに、中小企業等の職場における女性の活躍を推進する取組に対し助成金を交付します。また、市内二大学への大学生就職促進事業補助金の継続により、地元企業等への求人開拓及び管内への学生の就職を促進します。

障がいのある方の雇用率の向上とその理解を深めるため、引き続き、障がい者活躍推進アドバイザーを設置するとともに、試行的に雇用を行った市内事業者に対し障がい者トライアル雇用助成金を交付することで、障がい者雇用の促進を関係機関と連携して図ってまいります。

商業においては、市内商工団体の事業補助を実施するほか、柏崎あきんど協議会が実施する各種事業や商業活性化イベント事業により、意欲ある商業者を支援します。また、新たに市単独事業として、地域ごとの購買活動状況を把握するため、市内消費者の消費動向調査を実施します。

柏崎市創業支援等事業計画に基づき、創業支援事業者が実施する「柏崎・社長のたまご塾」への支援、かしわざき創業者支援補助金の交付などを始め、柏崎商工会議所や金融機関などの関係機関との協働により、多様な創業・起業者の輩出、地元企業の新分野進出などをサポートし、「創業しやすいまち柏崎」の実現を目指します。

地域ブランドづくり支援事業では、引き続き、柏崎の魅力発信のため、地場産品や特産品の開発力強化と販路拡大に積極的に取り組む中小企業者を支援することにより、本市産品のブランド力強化を図ります。

観光についてであります。昨年度から着手し、本年10月を目途に策定する柏崎市観光ビジョンについては、今後の進むべき方向性や目標を明確にしながら、より戦略的な取組を見いだしてまいります。

海や山などの豊かな自然、海の大花火大会、食、歴史・文化など、本市が誇る多様な地域資源の更なる魅力発掘・向上に取り組むとともに、Webを中心とした情報発信のほか、群馬県、埼玉県及び長野県をターゲットに、積極的なプロモーション活動を実施し、交流人口の拡大につなげます。

本年は市制施行80周年の記念の年に当たることから、「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」において、「尺玉100発一斉打ち上げ」を2回続けることを企画しています。これにより、本市の一層の発展を市民の皆様全員で誓い合いたいと思います。また、BSテレビ生中継も継続されることになり、花火を柱とするPR活動を首都圏中心に行うことで、誘客の拡大を図ります。

本市の代表的な観光スポットである松雲山荘、飯塚邸及び貞観園の三園を結ぶ観光ルートを新たに開発し、インバウンドを含めた誘客を促進します。

新たな取組として、みなとまち海浜公園海岸部において、バーベキューやキャンプ、マリンレジャーなどが楽しめるアウトドアエリアを整備します。また、県とも連携し、協力を得ながら、番神自然水族館や米山こども海水浴場など海のにぎわい、海の文化を創出します。

本市の基幹産業は、ものづくりを中核とする製造業であります。ものづくり産業の特徴である精密かつ高度な技術を将来まで継承し、地域としての優位性を高めるため、これからのものづくり産業を支える人材育成・確保の強化に努めます。特に、若手人材育成の中核としての機能を担っている「ものづくりマイスターカレッジ」は、開講から15年目を迎えます。今年度は、大学や研修機関との連携を深め、研修内容の一層の充実を図ってまいります。さらに、優れた若手技術者を育てるため、資格を取得する際の支援対象を拡充します。

また、高校生に対しては、市内ものづくり企業でのインターンシップによる実技体験の場を確保できるよう引き続き取り組むとともに、大学生に対しては、ものづくり産業を中心とした市内企業の魅力を発信するため、企業見学会を新たに開催することで、市内のものづくりに対する若者の興味や関心を高め、市内企業への就職促進を図ります。

本市の独自条例である企業振興条例に基づく各種奨励金の交付や、固定資産税の優遇措置に加え、昨年度創設した「ものづくりリーディングカンパニー成長投資助成金」などを活用し、ものづくり企業の生産性の向上と新規雇用を促進します。また、知的財産権や国際規格認証の取得、更に新技術・新製品の研究開発などを支援し、企業ブランドの向上と高付加価値化を図ります。

国の選定から3年目を迎える地方版IoT推進ラボについては、その取組を拡充し、企業へのAIやIoTの導入を促進します。開放特許の活用などによる市内企業と県外企業とのマッチングを進める取組や、見本市への出展に対する支援と併せ、稼ぐ力の拡大を図ってまいります。

本市の産業の柱として発展が期待される情報産業については、平成28年の経済センサスでは、売上規模県内第3位、48億円のものを令和10(2028)年までに売上規模70億円を目指し、その取組を力強く推進してまいります。具体的には、情報政策官による経営相談や高度IT人材の育成、IT商品の開発を支援するとともに、地域産業のイノベーションや新規創業、異業種交流を促進するための拠点としての活用が期待されるコワーキングスペースの運営を支援し、情報産業の更なる振興を図ってまいります。

廃炉産業につきましては、様々な角度から調査研究を行うため、間もなく、国・県・大学・東京電力ホールディングス株式会社・関係機関で構成する勉強会を立ち上げる運びとなりました。今年度は勉強会を重ねる中で、その内容を深めてまいります。

柏崎フロンティアパークへの企業誘致については、現在、進出に向けて協議中の企業もあることから、早期の企業立地に向けて、全力で取り組んでまいります。さらに、電源立地地域の特性をいかした電気料金の大幅補助や企業立地促進助成金といった優遇制度を最大限活用し、誘致を推進してまいります。

農業においても人材の確保・育成は、大きな課題であります。このため、新規就農希望者が、市内の農業法人などに滞在しながら行う農業体験について支援し、定住を図ります。また、一般社団法人全国農業会議所が実施する雇用就農者育成支援事業に上乗せ支援することで、農業法人等の雇用確保・人材育成を促進します。さらに、市外から移住された方に対して、就農初期段階を支援する市単独事業「U・Iターン者就農支援」を継続するとともに、国の事業である青年就農支援事業の活用により、新規就農者の確保に努めてまいります。

また、市内全域で策定されている「人・農地プラン」について、それぞれの地域内で具体的な話合いを進めながら、計画を更に実質的なものとするため、見直しを行います。この計画により、農地中間管理事業を活用した農地の集積・集約化による生産コストの削減や担い手の確保・育成など、地域農業の維持発展に努めてまいります。

昨年、異常な気温上昇の影響で一等米比率が低下した柏崎産米につきましては、新潟県や柏崎農業協同組合などの関係機関と連携しながら、品質向上に取り組んでまいります。

柏崎産ブランド米「米山プリンセス」は、おいしい柏崎産米のトップランナーとして、その認定数量の増加を支援するとともに、ブランド力向上を目指したPR活動を進めます。この取組により、「米山プリンセス」のみならず、柏崎産米全体の有利販売に結び付け、生産者の所得向上に努めます。

また、農業所得の向上を図るため、園芸施設・設備に対して支援することで、園芸振興及び六次産業化の振興を図ります。

食の地産地消を推進するため、「地産地消推進店」の登録数の増加を図りながら、「秋の収穫祭」、「食の地産地消フェア」を始めとするイベントにより、周知・啓発活動の一層の充実を図り、地場産食材の利用拡大に取り組んでまいります。

「多面的機能支払交付金」、「中山間地域等直接支払制度」の有効活用及び今年度策定する「柏崎市指定棚田地域振興活動計画」の推進により、地域資源の適切な保全管理を行い、農村地域の維持・発展に努めてまいります。

近年、被害が拡大しているイノシシなどの有害鳥獣による農作物被害防止につきましては、柏崎市有害鳥獣被害対策協議会と連携しながら、狩猟免許取得支援、電気柵の設置、パトロールの強化、捕獲機器の整備などを実施いたします。また、大口径ライフル射撃場建設を計画している新潟県広域被害防止協議会に加入し、有害鳥獣の捕獲員の確保・育成を図ります。

昨年完工しました国営柏崎周辺農業水利事業で整備した、「市野新田ダム」は、本年4月の稼働を予定しており、栃ヶ原ダム、後谷ダムと合わせて全ての農業用ダムが稼働することになります。これにより、恒常的に農業用水が不足している刈羽平野の水田に、少雨・高温の状況下においても安定した農業用水の確保が図られるものと期待しています。

また、この農業用水の受益地における生産性向上や収益改善に不可欠な農地の大区画化である「ほ場整備事業」は、高田南部、畔屋など全9地区において引き続き事業を推進するとともに、新規地区である矢田、安田など4地区で事業採択に向けた計画策定を実施します。この事業による計画的な整備で、少人数でも持続可能な農業の実現を図ってまいります。

上条地区では、「農村振興総合整備事業」により、農村環境の改善と農業施設の整備等を継続しており、今年度からは集落道改良工事等を実施するなど、計画的に事業を進めてまいります。

老朽化した農業用排水施設は、機能維持と長寿命化を図るため、吉井、春日、宮場及び長嶺地区において改修を行ってまいります。

林業においては、昨年度、森林経営管理制度がスタートし、森林の適切な経営や管理が求められています。今年度は、森林環境譲与税を財源として森林所有者の意向調査実施に向けた準備を行います。また、林業に従事する担い手が不足している状況にあることから、今後の森林整備を行う体制づくりを柏崎地域森林組合と連携を図りながら進めるため、林業従事者の新規雇用対策を拡充・強化し、担い手の確保・育成に向けた取組を支援してまいります。

柏崎市の漁業者が供給する安全でおいしい柏崎産の海産物は、本市の特産品であり、大きな魅力と可能性を持っています。これを消費者に安定して供給していくためには、水産業に従事する担い手の確保・育成と生産性の向上が不可欠であります。このため、新規市単独事業として、漁業者の漁船購入経費への助成及び新たな漁業就業者の初期段階での経営支援を行い、水産業の活性化を図ります。

また、漁業者が試験的に取り組んでいるヒゲソリダイなどの養殖事業により「つくり育てる漁業」の実現を図るとともに、地元水産物の認知度向上、ブランド化を目指し、首都圏でのイベントの開催などにより強くPRしてまいります。

エネルギー関連産業について申し上げます。本市は、平成30(2018)年3月に「柏崎市地域エネルギービジョン」を策定し、まずは地域資源である太陽光、風力、地中熱などの再生可能エネルギーを最大限活用する低炭素社会に向けて、徐々にではありますが確実に原子力を減らす「再生可能エネルギーと原子力のまち2.5」を進めています。地域エネルギー会社を中核としてエネルギーの地産地消、拠点化構想を実現するために昨年度、実現可能性調査を実施しました。この地域エネルギー会社は、最終目標である「脱炭素のまち3.0」を目指し、市内外で発電された電力を公共施設で消費するだけにとどまらず、系統用蓄電池システムを構築し、将来的には水素の利活用も視野に入れながら、集めた電力を安定させ、東京電力ホールディングス株式会社の送電線を活用させていただき、供給するという「エネルギーの拠点化」を目指しています。可能性調査の中で、「ビジネスモデルとして電力小売事業の確立に向けたスモールスタート」という報告が示され、今年度は、詳細なシミュレーションや出資額及び出資者の検討、発電事業者との調整、運営体制の構築、事業計画書案の作成などの準備を進めます。あわせて、会社設立に向けての準備会を設置し、関係者の参画のための合意形成を図った上で、令和4(2022)年度の地域エネルギー会社の設立を目指してまいります。

高柳町地域においては、新たに地域おこし企業(じん)制度を導入し、地域独自の魅力や価値の向上に取り組むとともに、じょんのび村を核とした多様な地域資源の有機的な連携や効果的な情報発信等により、関係人口の創出と更なる誘客促進を図ってまいります。

西山ふるさと公苑については、指定管理者制度の導入による新たな事業展開や周辺施設との連携強化により、誘客の拡大を図ってまいります。

建設業の担い手確保や働き方改革の促進を図るため、市発注の建設工事について、週休2日取得モデル工事を試行いたします。

健康・福祉 ―「健やかさ」をつなぐまちをめざして

市民の医療及び福祉に関わる問題は、年々複合化・複雑化してきております。

全ての市民が健やかにこの地で暮らし続けていただけるよう行政に対しては、組織横断的に連携した取組を行っていくことが、ますます求められています。

今年度予定しております、「高齢者保健福祉計画・第8期介護保険事業計画」、「第五次障害者計画」、「第6期障害福祉計画」及び「第2期障害児福祉計画」の策定並びに「第四次地域福祉計画」策定のための基礎調査については、一体化して計画相互の関連性に加え、本市の最上位計画である総合計画との整合性にも配慮しながら、実施してまいります。

依然として厳しい状況にある、医療・介護・障がい者福祉を支える体制・人材の確保については、就労に係る補助金対象施設を障がい福祉入所施設にも拡大し、福祉保健部が一体となって周知・勧誘等の対応に当たってまいります。

医療・介護・福祉分野におけるもう一つの施策の柱は、「予防」であります。できるだけ医療や介護が必要とならないように市民一人一人が自らの健康に関心を持ち、望ましい生活習慣の実践、心身両面にわたる健康の保持・増進に主体的に取り組むことが大切です。

介護予防では、昨年度は、柏崎ショッピングモール「フォンジェ」内に「コツコツ貯筋体操センター」を開設し、より多くの方々に介護予防の輪を広げるとともに、買物支援や地域経済振興など複合的な目的に資する場を市民へ提供したところです。

今年度は、加えて同施設内に、市内3か所目の「パワーリハビリセンター」を開設し、主に高齢者を対象とした運動による健康保持と介護予防に一層注力してまいります。

疾病の予防では、引き続き、糖尿病を始めとする「生活習慣病」や「がん疾患」などの発症や重症化を予防するため、職域と連携した受診しやすい体制を整えながら、定期的な健診受診の促進を図ります。さらに、歯科保健では、歯周病検診(口(くう)健診)の受診者拡大に努め、歯や歯ぐきのみならずあらゆる疾病予防につながる歯や口腔の健康への取組を推進してまいります。

今年度は、「子どもはみんなの宝物~安心して子どもを産み育てられるまち・柏崎~」を目指して策定した、第二期子ども・子育て支援事業計画の初年度となります。

放課後児童健全育成事業において、日吉児童クラブは、日吉小学校旧食堂解体に伴い同学校内に移設します。また、鯖石児童クラブは、鯖石小学校内に移転するための改修工事を行います。東部児童クラブは、夏休み中の利用者増に対応するため、夏休み期間中は、槇原小学校内を利用しながら対応していけるよう準備を進めてまいります。

妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を目指し、妊産婦医療費助成事業の拡充を行います。また、子育て中の保護者の育児不安、負担の軽減を目的とした、様々なメニューで使用できる子育て応援券事業を早期に制度設計し、関係機関との調整を図り、導入を目指します。

新潟県が行っている県立こども自然王国の建物改修工事が3か年計画の最終年度となります。本館屋上の防水及び屋根の張り替えと外壁の改修工事を行います。また、隣接するじょんのび村との連携を図ってまいります。

保育園では、3歳未満児の一時保育の要望が増加していることから、受入体制を強化し、保育サービスの向上を図っていきます。

老朽化した中鯖石保育園を鯖石小学校内に移転するための改修工事を行い、令和3(2021)年4月に南鯖石保育園と統合し、開園いたします。

令和4(2022)年に比角保育園の民営化を図るため、事業者の公募を行い、受託事業者を決定して民営化の準備を進めます。

また、施設整備を計画している法人に補助金を交付することにより、保育園、幼稚園の環境整備を支援します。

こころの健康については、こころの相談支援課を発展的に分課し、「子どもの発達支援課」を子ども未来部に置き、一方、「ひきこもり支援センター(アマ・テラス)」は、健康推進課の内部機関として位置付け、地域の健康づくりと一体化して対象者の掘り起こし等積極的に課題解決を図ってまいります。

この他、福祉保健部及び子ども未来部では、今年度、業務所管と業務場所の一部見直しを行います。

これまで福祉課が所管していた「女性相談事業」については、元気館子育て支援課へ移管します。これは、近年女性のみならず、子どもや家庭全体にまで波及し、痛ましい虐待までも引き起こしている子どもを取り巻く社会問題の総合的解決に当たってまいるためであります。

そして、子育て支援課は本年4月から、保育課は来年1月の新庁舎の開庁に合わせて、元気館で業務を行うことといたします。このことをきっかけに、元気館の「子育て相談窓口」としての機能を強化し、今後の元気館のあるべき姿を検討していくことといたします。

一方、これまで子育て支援課で行っていた、児童手当、児童扶養手当及び子どもの医療費助成等の、市民課と関連した事務的要素が強い業務については、福祉課が担当することとし、新庁舎における総合的な窓口サービスの向上を図ってまいります。

教育・スポーツ ―「たくましさ」をつなぐまちをめざして

学校教育では、児童・生徒の基礎学力の向上を図るとともに、新たなこと、更なる高みに挑戦し、ふるさとを愛する思いやりのある子どもを育てます。

学習及び児童・生徒指導の充実を図るため、指導補助員を増員し、子どもたちの個に応じた教育の充実と教職員の負担軽減に努めるとともに、特別支援学級介助員も更に増員いたします。外国語教育の充実を図るため、外国語指導助手(ALT)を増員し、児童・生徒の英語によるコミュニケーション能力の向上を図ります。

教育センターにおける研修事業の一部に、ICT機器を活用した遠隔型研修システムを導入し、利便性の向上と研修機会の充実を図ります。

教職員の働き方改革を進めるため、全ての小・中学校に留守番応答機能付電話機を整備し、業務負担の軽減を図ります。

小学校は、長寿命化計画に基づき、半田小学校の大規模改修工事(第2期)に取り組むほか、鯖石小学校の校舎内に中鯖石保育園を移設するための改修工事、荒浜小学校と内郷小学校のトイレ工事を行うとともに、槇原小学校の実施設計を行います。

中学校は、東中学校の実施設計を行い、令和3(2021)年度からの改築工事に備えるとともに、第一中学校の外壁工事と西山中学校体育館のトイレ改修工事を行います。

給食施設整備事業では、西部地区共同調理場のドライ化改修工事と北条地区共同調理場の空調設備工事を行い、安全・安心な給食の提供に努めます。

図書館では、老朽化したエアコンの入替工事などを行い、空調設備の適正な維持管理に努めるほか、利用者の様々なニーズに対応した書籍やCD・DVDなどの資料を整備し、市民生活と文化・学習活動の充実を支援します。

スポーツ関係では、東京オリンピックの聖火リレーが、6月5日に本市で行われることが決定し、新潟県実行委員会と連携して取り組みます。また、セルビア共和国及びモンテネグロ代表男子水球チームの事前キャンプの受入れやパブリックビューイングなど、オリンピック・パラリンピックに関連した事業を行います。10月4日には、5年に一度の市民大運動会を開催し、多くの市民の参加により、スポーツ都市柏崎の更なる発展を目指します。

老朽化した白竜テニスコートの人工芝の張り替えとナイター照明のLED化改修工事に取り組みます。また、3か年計画で新潟県と共同で実施している県立柏崎アクアパーク大規模改修工事は、最終年度の事業として冷凍機、冷却塔などの設備工事を行います。

魅力・文化 ―「柏崎らしさ」をつなぐまちをめざして

中心市街地の活性化につきましては、人口減少と少子高齢社会に対応した持続可能な都市を実現するため、立地適正化計画策定に着手します。あわせて、現庁舎跡地の利活用について、引き続き、公的活用の可能性と民間需要による活用について検討を行ってまいります。

ふるさと納税は、市内返礼品提供事業者の皆様の御努力もあり、寄附件数及び寄附額とも順調に増えてきております。本年から脱炭素のまちづくりなど、本市のまちづくりに対する考え方を明確に打ち出し、寄附金の使い道からも共感が得られるよう取り組んでまいります。

シティセールスについては、これまで以上に移住・定住の視点を持って、柏崎シティセールス推進協議会や柏崎観光協会などの関係機関と連携を密にするとともに、8千人を超えた柏崎ファンクラブ会員にもお力添えをお願いし、あらゆる手段を使って本市の魅力を発信し、認知度向上を目指してまいります。特に移住・定住については、移住経験者や民間事業者のノウハウを活用しながら、市内の高校生、大学生、首都圏の若者や女性に対し、魅力ある柏崎での暮らしを具体的にイメージしてもらうため、座談会を中心とした新規委託事業に取り組み、確実に定住人口増加につなげてまいります。

市内の2大学の支援についてでありますが、昨年度の新潟産業大学の新入生は教育サービス企業との提携などにより定員を超え、学生数が増加傾向になってきております。新潟産業大学附属高等学校との連携強化と併せ、更なる活性化を期待するものであります。新潟工科大学については、定員には満たないものの、前年より多い学生が入学しました。今年度も補助金を交付し、安定した新入生数の確保を支援してまいります。また、新潟工科大学産学交流会奨学金「柏崎枠」への寄附を今年度も実施し、市内ものづくり企業の人材確保、地元定着を支援します。

文化・生涯学習関係では、市制施行80周年記念事業として、NHKの幼児向け番組を公開収録するほか、ハーバード大学のア・カペラ合唱団を招(へい)し、小・中学生との音楽交流を図ります。また、柏崎古典フェスティバルの一環として、綾子舞をモチーフにした舞踊劇「綾子舞物語」を上演します。

博物館では、収蔵資料を活用した企画展を開催し、ワークショップなどを行いながら、学習機会の提供に努めます。また、今般ユネスコ無形文化遺産登録の国内候補として選定された国指定重要無形民俗文化財「綾子舞」の保存伝承及び後継者育成に関係機関と連携して取り組むとともに、公演などを通じてその魅力を発信します。

自治経営 ―多様な主体と共創し共育するまちをめざして

本市は、平成22(2010)年1月1日に核兵器廃絶平和都市宣言を行いました。10年という節目となることから、中学生を対象とした被爆体験講話会を開催し、平和の尊さを学んでもらいます。

昨年度実施した市民意識調査等の結果を基に、次期男女共同参画基本計画の策定を進め、女性が活躍できる社会づくりを目指します。

今年度は、「柏崎市第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」の初年度となります。「若者と女性が誇りと愛着を持って暮らす」という最重点目標の実現と第1期総合戦略で果たし得なかった人口減少の抑制を確実に進めるため、「地域産業の振興」、「子育て支援」、「定住促進」、「人材育成」の基本目標に向かって、EBPM(証拠に基づく政策立案)の考え方の下、PDCAサイクルを確立する中で改善を図り、市全体で取り組んでまいります。特に、若者と女性が将来に夢を持ち、安心して暮らし続けることができるよう重点プロジェクトを推進いたします。

また、本市の最上位計画である総合計画でありますが、令和4(2022)年度からの5年間の市の方向性を定める「第五次総合計画後期基本計画」の策定作業に今年度から入ってまいります。市民の皆様がどのような政策を求めているのかをアンケート及びワークショップにより十分に把握するとともに、地方創生SDGsの実現などの持続可能なまちづくりという視点に立ち、地域におけるSociety5.0の推進など新しい時代の流れを力にして、目まぐるしく変化する社会に本市が取り残されないための計画づくりに取り組んでまいります。

地域住民主体の地域づくりを進めるため、地域における様々な課題の解決に取り組み、主体的な地域活動を行う町内会や地域コミュニティに対して、引き続き支援してまいります。

人口減少と高齢化が著しい地域においては、持続可能なコミュニティの在り方について、地元との協議を進めてまいります。鵜川地区及び西山地区においては、引き続き地域コミュニティ組織の統合に向けた協議を進めてまいります。

地域おこし協力隊については、昨年度から岩之入、矢田、高柳町荻ノ島、高柳町門出地区で4名の隊員が活動しています。地域と隊員が協力しながら活動することにより、地域に少しずつ変化が見えてまいりました。また、隊員においては、地域住民の一員として生活しながら自己実現に向けて活動しており、個性をいかした今後の地域協力活動に期待をしております。

本年1月にリニューアルしたホームページを始め、広報誌や新たに作成する市勢要覧など、あらゆる手段・媒体を用いながら、行政が有する多くの情報を分かりやすく積極的に発信していくことで、市民生活の安心・安全の向上による定住の促進、市外への本市に対する関心や興味の喚起の促進に努めてまいります。

3か年継続事業として進めてまいりました新庁舎整備事業は、いよいよ最終年度を迎えます。10月の竣工、12月には新しい市役所のお披露目をし、来年1月から新庁舎で業務を開始する予定であります。

新庁舎では、市民の皆様の利用頻度が高い窓口や相談機能は、低層階に配置し、高齢の方や障がいのある方などにも利用しやすく、快適に手続をしていただけるものにいたします。市民サービスの質の向上のため、1階市民窓口では、番号発券機システムの導入、窓口の場所及び受付・順番の明確化、コンシェルジュの活用を進めます。また、福祉や保険など関連した窓口を近くに配置するなど総合的な窓口サービス化を進めます。なお、新庁舎においては、おくやみ専用の窓口を設けて、1か所で手続が済むような体制といたします。

さらに、市民窓口での申請手続においては、記入負担の軽減や手続時間の削減を図るため、マイナンバーカードなどを活用して住民票の写し等の交付請求書を自動作成する機器を導入するなど、利便性の向上に取り組んでまいります。

ICT化の推進については、引き続き情報政策官を配置し、費用対効果を始めとする要件に見合う適正な導入を進めるとともに、市民サービスの向上のため、新技術の活用などについても研究してまいります。

国では現在、マイナンバーカードの普及を進めており、令和3(2021)年3月から健康保険証としての利用が開始される予定です。また、本年9月から期間限定で、マイナンバーカードを活用した消費活性化策が実施されます。本市においても、市民生活の向上に資するマイナンバーカードの普及と利活用促進のための支援を実施してまいります。具体的には、市民課窓口に加えてコミュニティセンターなど地域に出向いて申請のサポートをいたします。あわせて、消費活性化策としてのマイナポイントの申込みに必要なマイキーIDの設定支援を行います。

地方自治法の改正により本年4月から都道府県及び政令指定都市においては、リスク管理を図るための内部統制制度の導入が義務付けられます。本市においては内部統制制度の導入は努力義務となりますが、業務の効率的かつ効果的な遂行や財務報告等の信頼性の確保など内部統制制度を導入することが行政の事務の信頼性を高めることにつながることから、導入に向けた検討を本格的に開始します。

公文書の適正な管理は、民主主義の基本であることから、公文書管理条例制定に向けた準備を進めます。

昨年度、本市の行政改革の在り方を定めた「柏崎市行政改革指針」を策定いたしました。これは、どの時代でも実現すべき普遍的なものを5つの柱に整理したものであります。5つの柱には、主な取組を掲げましたが、社会情勢の変化やそれに伴う行政課題に応じ、随時見直しを図ることといたします。柱の一つには、ICTを活用し、最適な業務の執行方法を追求することを挙げています。これまでにも増してRPA、AI等の革新的な技術を活用し、事務の効率化を行いながら、生産性の向上を図ってまいります。また、市民の要望をより詳細に把握し、速やかな解決を図るため、アプリやSNS等を活用した、双方向コミュニケーションの強化を図ってまいります。

一昨年度・昨年度と事業()別に取り組んでまいりました。今年度は、公と私の精査という事業峻別の思想の下、株式会社パブリックサービスの設立に向けた研究を始めます。公の施設の指定管理業務や公共サービスの業務委託など市の仕事を民間から行っていただいておりますが、行政サービスの補完団体として、一定程度当該業務を担う株式会社を設立するための研究を行うものです。行政の最小化・最強化を目指して取り組んでまいります。

地籍調査については、昨年度策定した全体計画に基づき、今年度は計画区の調査及び地元説明会を実施します。

公共施設等のマネジメントにおいては、引き続き二つのモデル地区において施設の再配置を進めるとともに、個別施設計画の更新を行い、本市全域における公共施設の更新・統廃合・長寿命化を具体的に進めてまいります。

また、予算書の見える化を目指す「デジタル予算書」については、令和3(2021)年度当初予算書においてデジタル化を実施し、予算編成における業務の効率化や分かりやすい予算情報等の提供を目指します。

今年度予算は、第五次総合計画、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、本市が直面する重点課題である人口減少・少子高齢化対策、移住・定住対策や、各分野における人材育成・確保対策、産業振興施策、地域エネルギー関連などに取り組む事業について、予算を重点的に配分いたしました。

歳入においては、自主財源の根幹となる市税は、軽自動車税、たばこ税において多少の増が見込めるものの、法人市民税及び固定資産税が減少する見込みとなることから、全体としては、昨年度に比較して1.7%減となる約152億7千万円を計上いたしました。

地方交付税においては、普通交付税について、合併算定替の縮減最終年度となる5年目になることや、新潟県中越沖地震に係る災害復旧事業債の償還が昨年度で完了したことなどを考慮し、昨年度予算額から1億円減の54億円といたしました。また、普通交付税の振替である臨時財政対策債も同様に推計した結果、昨年度予算額から1億8千万円減の12億4千万円を見込みました。

電源立地地域対策交付金の国直接分は、今年度みなし設備利用率が1%下がり68%となりますが、2・5号機の30年経過加算により昨年度予算額から約1億1千万円増額の約18億1千万円を計上いたしました。

原子力発電施設立地市町村振興交付金は、県核燃料税の出力割に係る税率引上げにより、昨年度予算額から2億4千万円増の約7億6千万円を計上いたしました。

歳入全体につきましては、財源不足が厳しい状況でありましたが、市民ニーズに的確に対応するために不可欠な事業を着実に展開する必要があることから、財政調整基金19億円、減債基金約1億8千万円を取り崩して収支のバランスを図ったところであります。

以上申し上げた施策を含む今年度の当初予算規模は、一般会計が508億円、昨年度比6.7%の増となりました。ただし、市債償還に係る借換債が約12億1千万円ありますので、実質的には約495億9千万円、昨年度比6.0%の増となります。

昨年度と比較して、融資預託金の減額、比角小学校大規模改修や産地パワーアップ事業の終了などによる予算減額はあるものの、完成年度を迎える新庁舎建設工事や新庁舎移転経費、保育園施設整備、防災情報通信システム整備、白竜公園テニスコート整備などの事業により、予算総額が増額となりました。

また、特別会計と企業会計の合計が約349億2千万円、合わせますと総予算額は約857億2千万円、昨年度比3.7%の増となりました。

むすび

施政方針を行う市長の写真

糸魚川出身の歌人・良寛研究家でもあった相馬御風は、作詞した早稲田大学校歌にこう記しました。「現世を忘れぬ久遠(くおん)の理想」

現実を忘れることなく、理想を求める。理想を見失うことなく、現実を極める。私は徒(いたずら)に理想を求めません。私は徒に現実に妥協いたしません。

本年は、令和という新しい元号を抱き、正月を迎えた最初の年であります。

柏崎市においては、市制施行80年を迎える年でもあります。

歴代市長の御功績に敬意を表し、お名前を挙げさせていただきます。初代原吉郎市長、2代三井田虎一郎市長、3代洲崎義郎市長、4代吉浦栄一市長、5代小林治助市長、6代今井哲夫市長、7代飯塚正市長、8代西川正純市長、9代会田洋市長であります。

もとより市の礎となったのは、柏崎町の歴史であります。柏崎町が行った行政は、いずれも優れたものでありましたが、私が考える最も優れたものは水道行政であります。西巻進四郎町長の御決断なくして、今の柏崎市の上水道はありません。その偉業は、政治的なライバルでもあった洲崎義郎氏の名文で讃えられ、水源地の銅像に刻まれております。御紹介いたします。

「西巻さん貴君の卓見と情熱なくしてはこの上水道が産まれなかったことを想ふ時全柏崎市民は今日の栄えある十五周年の記念式典に際して建立された貴君の胸像を仰いで無限の感謝を捧げざるを得ません。先駆者の道は茨の途であり、嶮(けわ)しい途であります。その苦難の途を克服して市民をして水道の恩恵を浴せしめた貴君の功績はこの清冽(せいれつ)なる浄水と共に永久に市民の胸にたたへられて消えることがありません。・・・昭和二十八年十一月 柏崎市長洲崎義郎」

私は、10代柏崎市長として、偉大なる先人たちの御功績を胸に抱き、噛みしめ、その歴史・伝統を大切なものとし、かつ、より良いもの、より豊かなものを求める進取の精神を忘れることなく、柏崎市民の皆様、市民の代表たる柏崎市議会の皆様と共に市政執行に当たらせていただくことをお誓い申し上げ、施政方針といたします。

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更新日:2020年03月19日