令和5(2023)年度施政方針
はじめに
令和5(2023)年度当初予算を審議いただくに当たり、柏崎市民の皆さま、市民の代表たる柏崎市議会の皆さまに施政方針を申し述べます。
2月、季節外れの陽光が差す日曜日、私は米山町聖ヶ鼻におりました。純白の米山を見、峰の向こうに八石、黒姫を想像し、目の前に広がる穏やかな上輪の海を見ておりました。笠島の牛ヶ首、遠くに原子力発電所、椎谷岬、石地の海岸、更に弥彦山を望んでおりました。
過日、総務省のDX(デジタルトランスフォーメーション)地図情報の活用度に関する新聞記事において、柏崎市は岐阜県大垣市に次いで全国2位と紹介されておりました。誠に名誉であります。
皆さん御承知のとおり、聖ヶ鼻には、間宮林蔵と共に樺太を探査し、樺太と大陸との間に海峡があることを確定させた江戸末期、鉢崎村・現米山町出身の松田伝十郎の碑があります。その碑にはこのように書かれております。
「カラフトは離島なり 大日本国々境と見きわめたり」
自負と海峡の名に自らの名が付けられなかった悔しさが垣間見えます。私たちは郷土の偉人の名を後世まで伝えなければなりません。
地図情報はアナログの時代からデジタルの時代に変わったかのように思えます。しかし、私を含め多くの山登り愛好家はGPSも使い、紙の地図も使うのです。どちらにも一長一短があるのです。
私たちは今困難な時代におります。少子高齢化、人口減少、エネルギー、食糧、医療、鉄道ほか、従来の考え方では前に進めません。今までどおりでは、柏崎は生き残れません。危機感を市民の皆さまとも共有し、同時に柏崎の可能性を皆さまにお示ししながら、慎重に、大胆に一歩を踏み出してまいります。
2023年度の重点戦略
子どもを取り巻く環境の充実
本市第五次総合計画後期基本計画の2つの重点戦略に対し、手厚く予算を配分いたしました。
まず、重点戦略の1つ目「子どもを取り巻く環境の充実」の実現に向けた事業について申し上げます。
国が創設した「出産・子育て応援交付金事業」を活用し、妊娠期から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と、妊娠届出時と出生届出後に、それぞれ5万円を現金給付する経済的支援を一体として実施します。
保育事業では柏崎市独自のものとして、今年10月から1歳児、2歳児に係る給食費を除く保育料を無料化し、柏崎市の子育て支援への強い意志を表明いたします。
財源に関しましては、今年は、まず子ども未来部の他領域などの見直しを図り、調整いたしました。今後も継続的な支援を行うことが大切であります。令和6(2024)年度以降の予算編成については、各部において事業目的の達成度や成果を検証の上、徹底した事業峻(しゅん)別を決算ベースで実施いたします。一般財源相当額の一定割合を削減して財源を確保してまいります。
この施策は、子どもを授かりたいと願う方の経済的負担軽減を図るとともに、未就園児を預けやすくすることで、より一層子どもを産み、育てやすい環境整備を図るものであります。
また、生後1年間が特に親子の絆を深める大切な時期と捉え、国、新潟県の施策と連携する中で、男性の家事・育児への参画および育児休業取得の促進や、伴走型相談支援、一時預かり、子育て支援室などのサービスにより支援してまいります。
子育て部門のDX推進として、0歳から3歳までのお子さんのいる世帯へ交付している子育て応援券「かしわ★ざ★キッズ!スターチケット」を今年度中に電子化します。
また、出生時の難聴を早期に発見するため聴覚検査助成制度を創設いたします。
ご要望の多い子どもの室内遊び場の整備についても検討を進めます。
学校教育では、児童・生徒の基礎学力の向上を図るとともに、新たなこと、更なる高みに挑戦し、ふるさとを愛する思いやりのある子どもを育ててまいります。
また、今求められている学力を確実に身に付けさせるために、小・中学校における学力向上プロジェクト2年目の取り組みを一層充実させ、全国および県平均を上回る学力レベルを目指してまいります。学力向上に特化した指導主事および学力向上推進員を中心に計画的・継続的に研修会を実施し、教員の指導力向上を図り、授業改善に取り組んでまいります。さらに、指導補助員1名を増員して、指導補助員46名、介助員36名体制とします。個に応じた教育を充実させ、子どもが主体の多さまな学びや家庭学習の質的向上を図ってまいります。くわえて、教員の業務負担を軽減し、より児童への指導や教材研究等に注力できるよう、小学校4校にスクール・サポート・スタッフを配置します。
大変革期を乗り越える産業イノベーションの推進
続いて、重点戦略の2つ目「大変革期を乗り越える産業イノベーションの推進」の実現に向けた事業について申し上げます。
今年度は、いよいよ柏崎あい・あーるエナジー株式会社の小売事業を開始いたします。建設中の太陽光発電所の電源を活用した市公共施設への電力供給を皮切りに、市内事業者への再生可能エネルギーの供給を進め、産業界の脱炭素事業の第一歩を支えてまいります。
具体的には、柏崎あい・あーるエナジー株式会社も対象となった国の補助金を活用し、安政町の緊急資材置場に太陽光発電を、自然環境浄化センターの未利用スペースに大型蓄電池を設置し、市内事業者にも安定的に供給できる再エネ電源を整備します。
また、旧ぶどう村跡地の大型太陽光発電所の整備に向け、雨水処理対策などの整備要件や、系統連系を含む事業可能性調査を実施し、後の発電事業者公募につなげます。遊休市有地における太陽光発電の適地調査の継続と併せ、柏崎あい・あーるエナジー株式会社が扱う再エネ電源の拡大を進めてまいります。
くわえて、国もGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針を取りまとめて、強力にカーボンニュートラル実現を目指す中、原子力発電所の電力や、事業検討が進められている海底直流送電線にて北海道、東北などから送られてくるカーボンフリー、ニュートラル電力を柏崎市内に供給できるよう、あらゆる検討と働き掛けを行ってまいります。
本市の基幹産業であるものづくり産業についてであります。
長期化するコロナ禍、ウクライナ情勢による資源・物資の供給制約や円安に伴う物価上昇などの経済環境下にありながらも、GXを意識した持続的な発展に向けて挑戦を続ける製造事業者を強力にバックアップしてまいります。
昨年度新設いたしました「自動車・環境エネルギー産業等新分野展開支援補助金」、「製造業戦略的イノベーション推進基金」は、3カ年計画の2年目を迎えます。引き続き各業界の最新の動向を情報提供するとともに、補助金については、時機を逸することなく事業展開できるよう、製造事業者の新分野展開、事業再構築の実現を支援してまいります。
国内の企業立地動向に目を向けると、新型コロナウイルス感染症やサプライチェーンの断絶リスク回避、海外生産のコストメリットの相対的低下等から、国内回帰する企業が増加している傾向にあります。これらのニーズに対応するため、昨年度実施した適地調査結果の具現化として、国道8号バイパスに隣接する鯨波地内の市有地の造成をベースとした産業団地整備事業の構想案の策定にスピード感を持って取り組んでまいります。
2023年度の主要施策
防災・生活・環境 —『頼もしさ』をつなぐまちをめざして
今年3月末頃には、原子力規制委員会により行われている東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所に対する一連の核物質防護等の不適切事案発生に伴う追加検査について結果が出されるものと思われます。また、新潟県によるいわゆる「三つの検証」についても取りまとめがなされると考えています。その後の県民的議論を経て、柏崎刈羽原子力発電所再稼働に向けての最終判断が下される年度となる可能性が高いわけです。
昨年12月の豪雪においては、従来から指摘してきた不安が現実のものとなりました。北陸自動車道約52時間、国道8号22キロメートル38時間の同時通行止めは原子力発電所を認める人にも認めない人にも共通して、いざという時の実効性ある避難とは、と改めて深く考えさせることとなりました。特に柏崎市民の約75%が上越市、糸魚川市、妙高市等西南方面に避難することを考えるとき、北陸自動車道、国道8号における道路施設の新設、充実整備が求められます。新潟県、刈羽村と共に国に対して強く要望してまいります。
万が一の原子力災害に備え、市民、企業や各種団体に向けたより現実的な心構えを持っていただくために、実生活・企業活動に即した避難に係る研修を展開してまいります。
原子力災害時に備え、中通コミュニティセンターの陽圧化工事を行います。PAZ地内の陽圧化可能施設の更なる整備、充実について、新潟県と協議してまいります。
一昨年度に整備完了した新防災情報通信システムについては、受信環境改善事業を昨年度から実施してまいりましたが、今年度受信環境が不安定な谷根、宮川、椎谷、西山町大崎、西長鳥地区に送信設備を設置し、全市域において安定した受信環境を構築することで、災害時などには全ての市民が必要な情報を取得できるようにしてまいります。
次に、治水対策でございます。昨年8月に下越地方において線状降水帯による豪雨災害が発生するなど、近年、水害は頻発化、激甚化しております。このため、鵜川治水ダムの早期完成や河川改修事業の一層の進捗について、事業主体である県に強く要望するとともに、関係する地域団体と連携し、流域全体での治水に取り組んでまいります。
あわせて、市街地低地部の内水対策として、柳橋町地内に建設予定の鵜川右岸第2雨水調整池の用地取得、物件移転補償を進めるほか、茨目三丁目地内の葦藪(よしやぶ)川10号雨水幹線(両田尻川)、花田地内の大日川などの改修を継続して実施し、治水対策を進めてまいります。
市民の日常生活、経済活動を支えている道路や橋りょうを始めとする社会基盤は、災害時の住民避難や復旧復興に必要不可欠な施設であります。
ライフライン機能の保全のため、水道事業では赤坂山浄水場5拡浄水施設の改良を継続するほか、主要な水道管の老朽管対策(更新)を計画的に進めてまいります。下水道事業では、安政町地内の自然環境浄化センター内において、し尿受入施設の建設に着手するほか、汚泥系設備の改築更新を行います。
冬期間の除雪については、昨年に導入した除雪車のGPS機能を活用し、作業の一層の効率化を図るとともに、冬期間も安全に安心して生活していただけるよう、除雪事業者の人材確保などにも配慮しながら今後も除雪体制の堅持に努めてまいります。
都市公園については、都市公園施設長寿命化計画に基づく施設の改築更新や赤坂山公園の再整備工事を実施し、公園の魅力向上に取り組んでまいります。
空き家対策は、無料相談会・空き家セミナーを開催するなど、引き続き管理不全な空き家の発生予防と適正な管理について意識啓発を行うほか、倒壊のおそれのある空き家に対しては、周囲への影響、緊急性などを総合的に判断し、適切な対応を実施いたします。
国道8号柏崎バイパスは、昨年、国道353号城東から鯨波間が部分開通いたしました。早期の全線開通に向け、未開通区間の事業促進について、引き続き国に強く訴えてまいります。
また、国道252号田島地内の山根橋のクランク解消については調査設計、国道352号荒浜バイパスについては工事進捗など、幹線道路の整備促進についても引き続き国、県に要望してまいります。
柏崎港については、新たな事業者による港湾利用や再生可能エネルギー事業に関連した利活用の可能性など、港湾管理者である県、国、港湾利用事業者と連携し、引き続き検討を進めてまいります。
公営住宅については、公営住宅等長寿命化計画に基づき、老朽化した施設の修繕を実施し、居住性の向上と良質な住環境の維持に努めてまいります。
消防分野では、住宅防火対策として防火思想の普及啓発と事業所等における消防法令違反の是正指導を推進し、出火防止と火災の被害軽減に努めるほか、老朽化した指令車を更新、鯨波コミュニティセンター敷地内に防火水槽を整備するなど、災害対応力の強化に取り組んでまいります。
消防団活動においては、防火衣・救命胴衣などの必要な装備を順次整備するとともに、小型動力ポンプ付積載車を更新し、消防団員の安全確保及び消防団活動の充実強化を図ってまいります。
昨年12月に、本市は大雪に見舞われ、交通網の混乱や長期の停電などを余儀なくされました。尊い命が失われたことに心から哀悼の意を表し、被害に遭われた方々に改めて心からお見舞い申し上げます。極めて困難な中でありましたが、町内役員、民生委員等の皆さまから支援を必要とする世帯への見回りや除雪を行っていただき、地域で助け合うという大きな力が発揮されました。市民の自助、互助に対する高い意識に敬意を表し、感謝申し上げるところであります。今後も、防災力向上のため、地域防災に資するリーダー育成を計画的に行うとともに、防災出前講座や地域防災交流会等を充実させ、自主防災組織等の活動を支援してまいります。
防犯においても、見守りを始めとする人の力、地域の力が重要であります。防犯力向上のため、地域防犯リーダーの育成や、子どもたちの防犯への気付きを醸成する地域安全マップづくりなどの取り組みを通して、地域の皆さまとともに安全で安心なまちづくりを進めます。
昨年、県内の特殊詐欺の被害額が5億円を超え、前年の2倍以上となっています。成年年齢の引下げ等もあり、広く消費者被害の防止に取り組む必要があります。引き続き、関係機関と連携しながら消費生活センターの機能を充実させるとともに、各種講座や講演会等を通じ、消費者教育や啓発を推進します。
鳥獣被害対策については、発足2年目となる鳥獣被害対策実施隊の機動力をいかした取り組みにより、官民連携の下、所管を環境課に一元化し、引き続き被害防止対策を進めます。
「脱炭素元年」、環境施策について申し上げます。
水素を含む次世代エネルギーの活用を目指すため、市民一人一人が取り組む行動計画を策定し、2035年カーボンニュートラル実現を目指します。
ごみの資源化に対する市民の意識は高く、資源物リサイクルセンターは、年間延べ20万人が利用する施設となっております。期間を限定して開設している佐藤池資源物リサイクルステーションの利用動向や市民ニーズ等の検証結果を踏まえ、今後の資源物回収拠点整備に反映してまいります。
廃棄物処理施設では、取水設備更新や各種設備のオーバーホール等を行い、適正な機能維持と安定処理に努めます。また、新たなごみ処理場の建設に当たり、耐震対策のための地質調査を行うとともに、令和6(2024)年度の建設・運営に係る事業者選定に向けて、循環型社会のシンボルとなる高効率なエネルギー回収を可能とする施設とするため、実施方針および要求水準等の機能要件を整理し、整備に向けて作業を進めてまいります。
蕨野(わらびの)地内の市有地に放置されている多量の残置物について、今年度から2カ年計画で、その処分を実施します。今年度は、搬出するための仮設道路を整備し、搬出と処分を開始します。
公共交通に関して申し上げます。
昨年度にスタートした新たな地域公共交通計画の基本方針である「持続可能で、やさしい公共交通ネットワークの構築」を実現するため、「AIオンデマンド交通」の運行を開始します。
これは、市中心部におけるAI(人工知能)を活用した事前予約制の乗合交通です。利用が多い朝夕の時間帯は路線バスを主に運行し、比較的利用が少ない日中の時間帯は小型車両を用いるこの新たな乗合交通を運行することで、運行の効率化を図るとともに、きめ細かく乗降ポイントを設定し、利便性の向上を図ります。また、AIオンデマンド交通の運行区域と郊外地域は、鉄道や既存のバス路線で結び、郊外地域との交通ネットワークを構築し、年度後半の運行開始を目指します。
鉄道政策では、昨年7月の東日本旅客鉄道株式会社による「利用者が極めて少ない路線区」の公表を受け、今後の在り方が注目されている越後線、そして、本市が最も重要と考えている信越本線について、新潟県及び県内他自治体などと連携し、鉄道ネットワークの利便性向上と高速化に向け、引き続き強い気持ちで取り組んでまいります。
産業・雇用 —『豊かさ』をつなぐまちをめざして
人口減少に伴う労働力人口の減少は、避けて通れない喫緊の課題であり、「産業のDX化」がこれを解決する有効な手段の一つと言われております。
国においては、各地域のDX実現に向けた取り組みを加速化するため、昨年度、新たに「地域DX推進ラボ」を制度化しました。本市においても、先日、第一次公募に応募し、来月下旬に結果が公表される予定です。
社会経済におけるデジタル技術への依存度が高まる中、ビジネスモデルの変革につながるような取り組みを支援するほか、「DX人材養成講座」や「柏崎iT部活」を通じてデジタル人材の育成を推進してまいります。また、全国的に機密情報の盗難やデータ改ざんが多数発生していることから、事業者のサイバーセキュリティに対する意識醸成を図ります。なお、こうした取り組みには、市内のITベンダーから中心的役割を担っていただくことで、情報産業の振興にもつなげてまいります。
基幹産業である製造業の人材育成は、新潟工科大学、柏崎技術開発振興協会、柏崎地域機械技能士会との連携の下、ものづくりマイスターカレッジを実施し、技能士の養成と技術の継承を推進します。また、従業者の職業能力やモチベーションの向上を図るため、業務に必要な国家資格等の取得を支援いたします。
生産設備の更新に対する固定資産税の不均一課税や奨励金の交付により、生産性向上を後押しするほか、知的財産権や国際規格認証の取得、新技術・新製品の研究開発や販路拡大など、企業価値の向上や高付加価値化を図る、製造事業者の攻めの取り組みを支援いたします。
廃炉産業に関する調査研究については、昨年度、市の入札参加資格Aランクに格付けされる建設事業者6者から新たに参画いただきました。引き続き、参画事業者の拡大を図るとともに、廃炉先進地の視察や商工団体との意見交換などを通じて、廃止措置に関する知識、意識レベルの向上を図ってまいります。
柏崎フロンティアパークや遊休市有地に進出した企業の新たな設備投資が完了し、順次、操業を開始する予定となっております。設備投資額と雇用人数に応じた助成金を交付し、進出企業の経営基盤の安定を支援してまいります。
新たな雇用や働き方の創出について申し上げます。
将来の市内産業を担う優秀な人材を確保するため、高校生や大学生などを対象とした企業説明会を実施するほか、高校生に対するインターンシップ事業や大学生を対象とする製造事業者や情報産業事業者などへの企業見学会を支援します。市内企業への理解と地元定着の促進につなげるとともに、積極的に採用活動を行う企業への支援や、就労や創業をきっかけとするU・Iターンの促進により、労働力確保を図ってまいります。
人材確保に必要となる企業の魅力向上のために、女性が生き生きと活躍できる職場、男性が育児休暇を取得できる職場を増やし、働き方や生き方を自分らしく選択できる企業の情報を若者に発信してまいります。
また、障がいのある方がやりがいを持って企業の戦力として活躍できるよう、障がい者活躍推進アドバイザーの活動を支援してまいります。
商業について申し上げます。柏崎あきんど協議会が実施する事業に対する支援を始め、柏崎商工会議所や、今年4月1日に市内3商工会の合併により発足いたします柏崎市商工会との連携を更に強化し、引き続き意欲のある商業者の取り組みを後押ししてまいります。
観光についてであります。
新型コロナウイルス感染症との共存を図りながら、柏崎市観光ビジョンに位置付けているリーディングプロジェクトを中心に、観光誘客、基盤整備に向けた各種施策を展開してまいります。
まず、道の駅「風の丘米山」の再整備であります。昨年6月に民間事業者と再整備に向けた基本協定を締結し、各種調査、諸条件の整理を進めてまいりました。今年度は、道の駅「風の丘米山」整備推進室を設置し、官民連携による再整備に向けた基本設計に着手します。
誘客活動では、一般社団法人柏崎観光協会との連携を強化しながら、市内外の旅行事業者による三庭園(松雲山荘、史跡飯塚邸・秋幸苑、貞観園)と食や文化を組み合わせたツアー商品造成の支援などを通じた観光誘客を展開してまいります。
「えんま市」は、露天商の出店基準の見直しによる露店数の拡大を図り、「ぎおん柏崎まつり」では、4年ぶりとなる民謡街頭流し、たる仁和賀パレードの復活を目指します。また、昨年グレードを上げた海の大花火大会については、今年もふるさと応縁基金を活用し、日本一の海の大花火大会を充実させます。
柏崎のランドマークである米山において、大型バス駐車場や休憩所機能を備えたハイキングベースの整備に向け、昨年度実施した候補地選定の結果を踏まえ、大平コース登山口周辺での用地に係る交渉や測量を進め、整い次第、設計に着手します。
海水浴場の安全対策は、昨年の中央海岸海水浴場で発生した水難死亡事故を教訓に、ライフセーバーによる常駐監視の実施、遊泳可否情報の可視化や発信、AEDや救命浮輪の配備にも努め、安全・安心で、きれいな海水浴場への誘客を積極的に推進してまいります。
今年度に経営改善の目標年度を迎える高柳じょんのび村は、社長を始め、役員、従業員が一丸となり、各種サービスや料金、経費の不断の見直し、市外県外でのプロモーション活動などを積極的に展開し、その成果が表れてきています。今年度末までの黒字化に向けて、市としても引き続き、積極的な支援を行ってまいります。
農業について申し上げます。
柏崎市ブランド米「米山プリンセス」は、5年目の取り組みとなった昨年、認証者11名、認証量28.7トンと過去最高の出来となりました。一方で、高価格米市場は競争が激化しており、農業所得に直結する有利販売を継続するには、「米山プリンセス」の本質である食味と安全性を前面に押し出しながらも、その希少性ゆえの高価格帯を維持する必要があります。購買層を明確に絞った上で、より差別化した高級米として更なる販路拡大を図るため、今般の都内有名高級ホテルでの提供などを契機に顧客獲得、拡大に努めてまいります。
安定した農業収入を確保するため、園芸作物の生産促進に継続して取り組みます。特に適地適作であり、かつ、需要が見込まれる枝豆に力を入れ、生産拡大を図ります。くわえて、少量ながらも地域特有の伝統野菜にも支援を行うなど、付加価値の高い地場産野菜づくりを推奨してまいります。
一方で、本市の農業を取り巻く環境は、就業者の高齢化、人材不足が懸念される状況であります。農地を効率よく利用し、生産性を高めるとともに次世代に着実に引き継いでいくため、将来の農地利用の姿を明確化する「地域計画」の策定を2カ年かけて行います。
また、生育不良や品質低下、需要と供給に左右される市場価格、各地で発生している局所的な災害など、あらゆるリスクに対応できる農業経営収入保険に係る支援制度を周知、継続し、持続的な農業経営ができる環境を整えます。
世界情勢などさまざまな要因から、我が国の食糧自給率の脆(ぜい)弱さが露呈しました。
地産地消への取り組みは、自らの食をその地域で供給するという自給の根本につながります。そのため、安全安心な農林水産物の供給に努めるとともに、第三次食の地産地消推進計画に基づき消費者の意識醸成を図ります。また、農林水産物を加工し、付加価値を高めて販売する六次産業化の推進に加え、他産業との連携をも視野に入れた農業経営の複合化を継続して推奨してまいります。
環境負荷低減の取り組みが「みどりの食料システム法」の施行により明確に位置付けられました。生産活動における環境負荷低減や温室効果ガス発生抑制に努め、安全な食料生産と、環境と調和した生産活動を両立した取り組みを進めてまいります。そして、これらの取り組みにより生産された特別栽培米を学校給食において段階的に提供し、啓発活動にも取り組みます。
農業用たん水防除施設については、新道、下方排水機場改修に向けた基本設計や、吉井排水機場の改修工事を実施し、施設の機能維持と長寿命化を図ってまいります。また、老朽化したため池や用排水施設の対策工事を矢田、西山町坂田など全10地区で実施し、農地や住宅などへの水害等を未然に防止します。
ほ場整備事業については、西山町長嶺、畔屋など全11地区において区画整理を、西山中部地区など全5地区において事業計画の策定を行い、農業生産基盤の整備を進めてまいります。
農村振興総合整備事業については、上条地区において引き続き集落道改良工事を実施するほか、新たに田尻地区において測量、設計を行い、農村環境の改善と農業施設の整備を図ってまいります。
林業について申し上げます。森林環境譲与税を有効に使い、近年若手、女性就業者も加わった柏崎地域森林組合と更なる連携を行ってまいります。昨年度策定した森林経営管理権の集積計画に基づき、高柳町岡野町地内で森林整備を開始するとともに、新たな担い手の確保・育成に向けた取り組みを引き続き支援してまいります。また、かしわざ“木”の力発信事業では、昨年度に引き続き親子森林ウォーキングを企画いたします。親子で自然観察を行いながら、森林がもたらすさまざまな恩恵、森林保全の重要性を知っていただき、興味を持っていただく機会にしたいと考えております。
水産業についてであります。新潟県漁業協同組合柏崎支所の活動が非常に精力的であります。市内の漁業者が供給する安全でおいしい柏崎産の水産物は、海の柏崎の特産品であるばかりでなく、観光にとりましても大切な資源であります。春の桜鯛、夏のアラ、秋の鮭、冬の養殖ヒゲソリダイを四季折々に提供できるよう、漁業者、流通業者、飲食業関係者で協力し、地産地消の推進と消費拡大を図ってまいります。
冬季風浪により砂が堆積する荒浜漁港および笠島漁港においては、地方創生港(みなと)整備推進交付金事業を活用し、浚渫(しゅんせつ)工事を今年度から4カ年計画で実施してまいります。
健康・福祉 —『健やかさ』をつなぐまちをめざして
3年を超える新型コロナウイルス感染症の流行の中、ワクチン接種を始めとする感染予防、感染対応にご尽力いただいてきた医療、福祉サービス関係者の皆さまに心から感謝申し上げます。
こうした感染症の流行は、これまで以上に医療、福祉分野における安定的なサービス提供体制の重要性を痛感させるものでありました。
医療分野では、医師の働き方改革による勤務医の時間外労働時間の上限規制適用の開始が令和6(2024)年4月と目前に迫っており、医師不足への対応が急務となっています。新潟県厚生農業協同組合連合会柏崎総合医療センターの臨床研修医確保への支援について、新潟県、病院との連携を一層密にしながら、引き続き取り組んでまいります。
また、独立行政法人国立病院機構新潟病院附属看護学校への支援を新たに開始し、学生確保、看護人材確保の支援を更に強化してまいります。
介護・障がいといった福祉分野における人材不足も依然として厳しい状況であります。包摂型社会実現のため人材確保への支援を継続するとともに、特に人材確保に苦慮している障がい福祉サービス分野においては、福祉職員就職支援事業の対象事業所に通所施設を新たに加え、支援を拡充いたします。
聴力の低下は日常生活に支障を来すだけでなく、認知症、うつ病、引きこもり等の原因にもなるとされています。これらの予防、生活の質の向上や社会参加の促進を図ることを目的に、障害者手帳の交付対象とならない軽度や中等度の聴覚障害を有する18歳以上の方を対象とした補聴器購入費の助成制度を創設いたします。
がんは昭和56(1981)年以来、日本における死亡原因の第1位であり、誰もがなり得る病気です。早期発見早期治療により9割以上が完治すると言われていますが、がん治療は身体的にも精神的にも大きな負担となるケースが少なくありません。
治療による外見の変化の悩みを支援する「アピアランスケア」として、今年度から医療用ウィッグ等の医療用補整具の購入費の一部を助成し、がん患者の治療と社会参加等の両立を支援してまいります。
冒頭部分でも申し上げましたが、新生児の難聴を早期に発見し、適切なサポートにつなげるため、出産時に行われる新生児聴覚検査費用に対し、5千円の助成制度を創設いたします。
保育施設の整備では、令和7(2025)年度の開園に向けて、田尻保育園と安田保育園を統合した新たな基幹保育園として、田尻保育園の改築工事を実施いたします。
保育園機能としては、保護者の傷病時やリフレッシュにご利用いただく「一時預かり」に加え、入園前のお子さんと保護者のための「子育て支援室」を併設することで、基幹保育園としての相談支援体制を充実させてまいります。
放課後児童対策では、荒浜小学校改築に併せ、荒浜児童クラブを学校校舎棟に移設する新築工事を実施いたします。
教育・スポーツ —『たくましさ』をつなぐまちをめざして
子どもたちにとって望ましい学習環境の提供を目的とした学区再編については、鯖石小学校と高柳小学校の統合に向け、今年1月に地域やPTAから推薦された代表者による統合準備委員会を立ち上げたところです。令和6(2024)年4月の統合に向け、具体的な準備を進めてまいります。また、学区等審議会からは令和8(2026)年度の統合方針について、今年12月の答申を目途に引き続きご審議いただいております。第五中学校区においては在校見込み、校区内入学予定者等の保護者を対象に、統合に関する意向調査を実施いたします。
昨年度から始めた中学校部活動の地域移行の試行実施を更に拡大します。ソフトテニスと軟式野球に加え、陸上競技、バスケットボール、バレーボール、剣道を対象とし、今後は、吹奏楽部等の文化部へも広めてまいります。部活動指導員の活用を含めた指導者の育成と確保に努め、一般財団法人柏崎市スポーツ協会や中学校体育連盟、中学校吹奏楽連盟等と連携して円滑に地域移行できるように努めてまいります。
学校施設整備に関しては、整備計画を前倒しした荒浜小学校改築事業において、2カ年継続事業の第1期工事を行います。また、大洲小学校においては体育館の外壁改修工事、鯖石小学校および田尻小学校においては体育館照明改修工事を行うほか、旧石地小学校体育館の解体工事を行います。東中学校では2カ年継続事業で実施する旧校舎解体工事およびグラウンド整備工事の第1期工事を行います。
年次計画で進めてきた学校トイレの洋式化については、鯖石小学校、二田小学校、第一中学校、北条中学校において改修工事を行います。
学校給食関係では、老朽化した第一中学校内の中央地区第2学校給食共同調理場を、瑞穂中学校内の北部地区学校給食共同調理場に統合するため、北部地区学校給食共同調理場大規模改修工事を行います。
大学等での就学を希望する方への経済的支援を行うため、奨学金制度を引き続き実施いたします。なお、今年度からは、大学等の在学生からの申請に必要な成績要件の見直しを行い、学ぶ意欲のある方にとって更に利用しやすい制度への更新を行ってまいります。
図書館は、開館以来非常に多くの市民の皆さまからご利用いただいております。私たちの誇りであります。子ども読書活動、市民生活と文化・学習活動の更なる充実を図るため、利用者ニーズに対応した書籍等を整備し、利用者のサービス向上に努め、読書活動の普及を促進いたします。
スポーツ関係では、東京2020オリンピックを契機に交流を深めているセルビア共和国、モンテネグロ男子水球代表チームの世界水泳選手権2023福岡大会水球競技の事前キャンプを受け入れ、世界トップクラスの国々と「水球のまち柏崎」とのつながりを更に深めてまいります。また、新たにシンガポール、韓国などアジア諸国との水球アジアリーグの開催に取り組み、地域の国際交流機会の拡大を目指してまいります。
幼児期の子どもたちは、身体の成長の過程で運動機能が発達し、多様な動きを身に付けやすいことから、運動あそびを柱としたスポーツ体験・能力測定を充実させ、何事にも意欲的に取り組める、健やかな心と身体の育成につなげてまいります。
施設の改修では、開設100年を迎える陸上競技場のスタンド耐震改修および屋根の葺(ふ)き替え工事などを実施するほか、計画的に進めているスポーツ施設のトイレの洋式化については、2カ年計画で進めてきた武道館の改修工事を完了させ、利便性の向上を図ってまいります。
魅力・文化 —『柏崎らしさ』をつなぐまちをめざして
旧市役所庁舎跡地の利活用については、旧庁舎の解体に着手するとともに、利活用の事業者を選定し、まちなかの新たな活動と交流を生む中心拠点となるよう事業を進めてまいります。
文化・生涯学習関係では、文化会館アルフォーレの劇場広場を利用した音楽イベント「野外おんがく堂」の前夜祭として、新たに屋外での映画上映会を開催するほか、舞台機構や舞台照明設備の更新を行い、市民の皆さまの音楽・文化活動を支援いたします。
また、冬期間の催しとして、鑑賞いただいた方に一足早い春を感じていただくことを目的とした「柏崎の花―Spring Collection」を継続して開催してまいります。花の名品の展示を通して冬場の観光誘客にも寄与いたします。
博物館では、企画展やプラネタリウム投影を通じて、本市固有の歴史・文化資産を活用した学習機会を提供します。
ユネスコ無形文化遺産に登録された国指定重要無形民俗文化財「綾子舞」は、柏崎の宝であり、世界の宝となりました。舞台や衣装、その他必要な備品類の新調や購入を支援するほか、認定証の伝達式後に記念公演を実施いたします。
また、この機運をいかし、綾子舞の魅力を広く発信し、引き続き関係機関と連携しながら一層の保存伝承と後継者育成に努めてまいります。
ふるさと納税は、市内返礼品提供事業者の皆さま、そして多くの自治体の中から本市を選んでいただいている方のお陰をもちまして、多くのご寄付をいただいております。引き続き、ふるさと納税制度を通じて貴重な財源確保に取り組むとともに、ふるさと応縁基金を財源とした事業を明示し、ご寄付いただいた方々のお気持ちにお応えします。
U・Iターン事業については、昨年5月に設置した「移住・定住推進パートナーチーム」から提案のあった事業を官民連携により展開しながら、本市への移住・定住の促進に努めてまいります。
自治経営 —多様な主体と共創し共育するまちをめざして
今年度、第二次人権教育・啓発推進計画がスタートします。新たな計画の下、人権尊重が当たり前のこととして受け入れられる地域社会の実現を目指し、取り組みを進めてまいります。
男女共同参画社会の実現に向けて、企業訪問やセミナー開催などを通じて、働き方の見直し、男性の家事・育児への参画、育児休業取得の促進を支援してまいります。
拉致被害者関係市連絡会として、昨年度、在日米国大使館を訪問し、政務担当公使に対し、佐渡市、小浜市、本市の拉致現場を大使にご視察いただきたい旨のお願いをしてまいりました。この取り組みの実現と、拉致被害者による講演活動の支援など拉致問題の全面解決に向けた活動に引き続き主体的に取り組んでまいります。
旧満州柏崎村開拓団で命を落とされた方のお名前を記した看板を、赤坂山公園内の満州柏崎村の塔前(とうまえ)に設置し、犠牲になられた方への鎮魂と平和の尊さを訴える取り組みを行ってまいります。
本市の地域コミュニティは、昨年度に設立50周年を迎え、全国に誇り得るものであります。人口減少等が激しく進む中では更なる連携の力が必要であります。今後も、各地域での主体的な地域づくりを尊重しながら、さまざまな課題に地域と共に取り組んでまいります。
地域おこし協力隊員については、昨年度、退任後に初めて本市内高柳町に定住しました。また、株式会社柏崎コミュニティ放送に1名導入し、現在は2名の若い世代の隊員が市内で活躍しています。さらに、1名の隊員受け入れも予定しており、今後の地域活性化を期待するところです。地域協力活動を含め、さまざまな市民活動への支援を、市民活動センター等の機能をいかしながら進めてまいります。
国の「デジタル田園都市国家構想総合戦略」とも深く連携し、「誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指し、本市においても、安全で、安心して過ごすことができる、利便性の高いデジタル社会の実現に向けて取り組みを進めてまいります。
自治体のデジタル化やDX推進の基盤となるマイナンバーカードは、今年2月12日現在の交付率は62.1パーセントで、市民の6割以上が所有しています。マイナンバーカードを利用したコンビニエンスストアでの証明書交付は、現在取得可能である住民票の写し、印鑑登録証明書、所得課税関係証明書に加え、本年8月から、戸籍関係の証明書が取得できるよう更にサービスを拡充します。
また、窓口サービス向上のため、庁舎2階税務課窓口の一部を1階に移転し、所得証明、納税証明等を1階で交付できるようにいたします。あわせて、市民課・税務課の窓口で取り扱う証明書交付手数料等の支払にクレジットカード、二次元コード、電子マネー等のキャッシュレス決済が利用できるよう、本年7月に決済端末を導入します。
契約事務の経費削減と業務の効率化を図るため、電子契約システムを導入し、建設工事、建設コンサルタントなどの一部の契約について試験運用を開始します。
また、冒頭に紹介した、平成11(1999)年度から整備を進めてまいりました地図情報システム(GIS)を全庁的に更に活用し、市民の皆さまの利便性向上と行政事務の合理化を進めてまいります。
情報発信については、市ホームページを始め、広報かしわざきや「LINE」など、あらゆる手段や媒体を活用しています。地域住民に向けた発信は、生活に必要な情報、災害情報などを確実に分かりやすく伝えることで、行政サービスの周知や必要な行動を促すきっかけとなるよう努めます。また、広く全国に向けては、移住や企業誘致にもつながるよう、本市の魅力が伝わる発信を心掛けるなど、ターゲットに合わせた適切で効果的な情報発信に努めてまいります。
公共施設マネジメントにおいては、公共施設等総合管理計画に基づき、西山町いきいき館の多機能化と更なる診療サービス向上を目指すため、西山ふれあいクリニックの機能を移転するための改修工事を行います。
また、本市全域における公共施設の更新、長寿命化、解体および旧南鯖石小学校など未利用資産の有効かつ効率的な活用を具体的に進めてまいります。柏崎市土地開発公社からの買い戻しが完了した鯨波地内の市有地については、産業団地の整備を視野に入れ、用地測量と地質調査を引き続き実施します。なお、柏崎市土地開発公社は、今年度中の解散に向け、手続き等を進めてまいります。
今年度は、予算編成過程において、全事業をより厳しく精査することにより、財源を確保しました。
歳入について、自主財源の根幹となる市税のうち、市民税については、人口減少と国・県の経済動向を踏まえて精査し、個人分、法人分全体で0.1%、約400万円減の43億2千万円、固定資産税は、土地の下落傾向が継続しているものの家屋は評価替えが行われない年度であることから、新増築分の増額分を反映し0.8%、約6,900万円増の85億3千万円を見込んでおります。本市独自の税である使用済核燃料税は、昨年度と同額の約7億4,700万円を見込んでおります。この結果、市税全体では、昨年度の当初予算額と比較して0.8%、1億2,100万円増の148億5千万円を計上いたしました。
歳入における市税割合は31.5%であり、昨年度を0.9ポイント上回る水準を確保しております。新型コロナウイルス感染症と経済情勢に不透明感が継続する中ではありますが、市税への影響を今後も注視してまいります。
地方交付税について、普通交付税は、その原資となる国税の伸びが堅調であり、国において昨年度を上回る地方交付税額を確保したことから、1億7千万円増の65億8千万円を計上いたしました。また、普通交付税の振替財源である臨時財政対策債については、今ほど申し上げたとおり普通交付税が増額となったことから、地方債計画から推計し、約3億1,600万円減の2億8千万円を見込みました。
電源立地地域対策交付金の国直接分は、柏崎刈羽原子力発電所3号機の30年経過加算により1億円増の約19億1千万円を計上いたしました。
歳入全体につきましては、財源不足により厳しい状況でありましたが、市民ニーズに対応するために不可欠な事業を着実に展開する必要があることから、財政調整基金16億4千万円、減債基金約2億4千万円を繰り入れて収支のバランスを図ったところであります。
一方、歳出では、新型コロナウイルスワクチン接種事業、東中学校改築事業の減額、旧鯨波公園用地買い戻しの終了などによる予算減額はあるものの、保育園整備事業約6億6千万円、企業立地事業約2億2千万円、給食施設整備事業約8億9千万円、荒浜小学校改築事業約4億5千万円などの事業をそれぞれ予算措置いたしました。
以上申し上げた施策を計上した今年度の当初予算規模は、一般会計が472億円、昨年度比約1.9%の減となりました。市債償還に係る借換債約2億9千万円を除きますと、実質的には約469億1千万円、昨年度比約2.1%の減となっております。
また、一般会計に加え、特別会計と企業会計の予算額合計の約341億6千万円を合わせますと、総予算額約813億6千万円、昨年度比約1.5%の減となりました。
むすび
新型コロナウイルス感染症の流行は3年に及び、世界で600万人以上もの死亡者を出し、パンデミックに巻き込みました。1918年のスペイン風邪以来約100年ぶりであります。コロナ対策において、柏崎市民の皆さまの意識は高く、医療関係者の正に献身的なご尽力があり、お陰様で全国的にも、また県内でも比較的低いレベルで感染を抑えることができました。市長として誇らしく、市民の皆さまお一人お一人に心より感謝申し上げます。
柏崎の産業界、ものづくり産業をけん引してきた自動車業界は、世界的にEVへの進展が見込まれ、同じく100年に一度の大変革期と言われ、関係者の奮闘に対し、行政もできる限りの応援を続けております。
昭和初頭、日本が関わった紛争、戦争から約90年。令和の世となり、昨年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻。日本を含む世界の多くの国々が深く憂慮する事態となっております。付随して世界中でエネルギー価格が高騰し、人々の生活を苦しめ、経済活動を困難なものとしています。同時並行して地球温暖化、気候変動によるものと思われる災害は急速に激甚化し、多くの尊い命を奪っています。環境・エネルギー問題への取り組みも待ったなしです。
柏崎市は今、その90年、100年に一度の大きな波の真っ只中にあります。そして、試行錯誤は現在進行形であります。しかし、柏崎は唯々諾々とトランスフォーメーション:体制変換の波に飲み込まれることは決してありません。
繰り返します。「保守、そして進取」先人が培ってきた歴史、伝統を大切なものとし、しかし、そこにとどまらず、デジタル、アナログを使い分け、更なる安全、安心、豊かさを求めてまいります。現実を見据え、理想を見失わず、柏崎が新しい波:ニューウェイブを作ってまいります。
柏崎市民の皆さま、市民の代表たる柏崎市議会の皆さまのご理解とお力添えを心よりお願い申し上げ、施政方針といたします。
施政方針全文(ダウンロード用)
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更新日:2023年02月22日