令和6(2024)年度施政方針

はじめに

写真:前を向いて施政方針演説をする市長

令和6(2024)年度当初予算を御審議いただくに当たり、柏崎市民の皆様、市民の代表たる柏崎市議会の皆様に施政方針を申し述べます。

今から46年前、1978年、「不確実性の時代」という本が出されました。著者は、カナダ出身のアメリカ人経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイス。経済学を歴史的観点から考察したものであり、現代のことを予測して書かれた内容ではありません。しかし、皆さんも御承知のとおり、新型コロナウイルス感染症、世界で起こっている戦争、地球の気候変動、温暖化、地震など今、正に不確実な時代になってきたように思われます。

昨年夏、個人的にネパールを訪問しました。20年振りでありました。以前、首都カトマンズに目立った日本製の中古車は姿を消し、タクシーにインド製の日本ブランド中古車が使われているだけであり、真新しい車のほとんどは日本ブランドではありませんでした。また、かつて当たり前であった停電は少なく、水力発電による電力の供給が十分なものであり、隣国へ輸出しているという話さえ聞かれました。一方、地球温暖化はヒマラヤにも及び、氷河の溶解、流れ出る水量を心配しているという声がありました。ネパールは国力を増し、活力に満ち、日本の地位は下がり、脱炭素社会、環境問題への取り組みは待ったなしであると実感しました。

11月には、原子力政策において対極的なフランス、ドイツを市長として訪問し、それぞれの自治体の市長と意見交換を行ってまいりました。両国それぞれが理想を定め、現実を見極め、覚悟を決めた施策展開をしていらっしゃいました。エネルギーセキュリティと環境問題への認識、意識の高さは、基礎自治体においても際立っていました。世界は、ダイナミックに動いています。

日本の国内総生産GDPは、アメリカ、中国、ドイツに続き、現在4位、2026年には、インドに抜かれ5位になると言われています。また、一人当たりの労働生産性31位。もちろん、人口も産業構造も異なるわけですが、それぞれの数字は、日本の停滞を意味しています。

少子高齢化の進展による人材の不足、社会保障費の増大、国家財政の悪化、経済の低迷、エネルギー、食糧等の外国依存、気候変動による災害の多発常態化など、わが日本を巡る状態は、非常に厳しいと理解しています。そして、これらは、ほとんど柏崎にも当てはまる「確実な事実」であります。

「わかっている」しかし、私を含め、見過ごし、行動に移さなかったがゆえに、今の日本、柏崎の姿になってしまったように思われます。象徴的な事柄がエネルギー施策です。日本においては、柏崎においては、反原発、再生可能エネルギーだけではだめなのです。原発だけではだめなのです。思考停止、ステレオタイプから脱し、現実を見据え、危機感の中から柏崎の可能性を見いだすための予算を編成いたしました。

2024年度の重点戦略

子どもを取り巻く環境の充実

市政方針演説会場の柏崎市議会議場の写真

今年度で3年目を迎える本市第五次総合計画後期基本計画の二つの重点戦略を更に推進するため、予算の重点配分を行いました。

まず、重点戦略の一つ目「子どもを取り巻く環境の充実」の実現に向けた事業について申し上げます。

かねてよりご要望をいただいております、子どもの屋内遊び場については、柏崎ショッピングモールフォンジェ内のキッズマジックを市営化、大きく模様替えし、市民の皆さまに無料で楽しんでいただける施設として今年度末までに整備します。
整備の概要としましては、面積を約2倍に拡張するとともに、柏崎産木材などを活用した遊具で楽しみながら、子どもたちが「柏崎の木」のぬくもりを感じることのできる遊び空間を創ります。また、既設遊具も全面改修し、乳幼児から小学生までが安全に遊べ、保護者も安心して子どもたちを見守ることのできる施設として生まれ変わります。
待望の子どもの屋内遊び場がまちなかに誕生することで、子育て世代によるにぎわいが中心市街地の活性化につながり、あわせて、市中心部の魅力向上によって商業や観光の振興が促進されることを強く期待しています。

新たな子育て支援策として「家庭養育応援券事業、かしわ★ざ★キッズ!スターチケット@ホーム」を創設し、1・2歳児の保育料無料化などの対象になっていない方々にも支援の輪を広げてまいります。

具体的には、1歳児から5歳児までのお子さんをご家庭で養育されている世帯や、認可外保育園などを利用されている世帯に対して、お子さんお一人につき、月5,000円を支援いたします。保育園等の利用の有無にかかわらず、同じ年代のお子さんを持つご家庭を支援してまいります。

保育事業においては、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進として「保育園業務支援システム」を導入いたします。保護者の皆さまにはシステムのご利用により、アナログ手法に頼っている連絡帳の記載や出欠席の連絡など、利便性の向上を図ってまいります。
また、登降園管理や各種帳票管理など、保育士の事務的業務の省力化を進めることで、子どもたちと接する時間を増やし、保育の質の向上を目指すとともに、保育士の適正配置に努めてまいります。

学校教育では、小・中学校における学力向上プロジェクト3年目の取り組みを進めます。今求められている学力を子どもたちに確実に身に付けてもらうため、教員の「授業づくり研修」を一層充実させるなど、授業改善に取り組み、全国および県平均を上回る学力レベルの定着を実現いたします。

また、いじめ、不登校、自傷行為、虐待など、子どもが抱える生徒指導上の課題が複雑化しており、医療、福祉、心理など高い専門性を必要とする事案が増えています。これまでは、教育委員会、子ども未来部、福祉保健部で構成する「思春期サポート会議」で組織横断的に取り組んできましたが、今年度からは、この組織横断的体制の初期対応の強化を図るとともに、医療機関との連携を更に密にし、悩みや問題を抱える子どもや保護者への早期支援を充実させてまいります。

施設整備では、近年の猛暑の状況を鑑み、小・中学校の特別教室へのエアコン設置を、令和7(2025)年度から順次整備を進めるため、今年度は実施設計を行います。

大変革期を乗り越える産業イノベーションの推進

続いて、重点戦略の二つ目「大変革期を乗り越える産業イノベーションの推進」の実現に向けた事業について申し上げます。

脱炭素社会の実現への歩みを着実に進めていくため、引き続き、柏崎あい・あーるエナジー株式会社と連携しながら、環境・エネルギー政策を展開してまいります。

柏崎あい・あーるエナジー株式会社の事業について申し上げますと、小売事業においては、新たに13の公共施設を供給先に加え、経営基盤の安定を図るとともに、株主企業への電力供給を開始し、産業界における脱炭素の第一歩を踏み出します。
電源開発事業においては、国の補助金を活用し、旧北条南小学校跡地に500キロワットの太陽光発電と8,000キロワットアワーの大型蓄電池を整備し、再エネ電力の安定供給を図ります。また、市といたしましても次年度以降の電源開発候補地として、遊休市有地における発電事業適地調査を実施し、再エネ電源の拡大に取り組んでまいります。

さらに、国が進める海底直流送電線計画については、電力広域的運営推進機関広域系統整備委員会の議論の中で、北海道、東北の洋上風力発電などの再生可能エネルギーを、海底直流送電線から柏崎刈羽原子力発電所の送電線を介して首都圏へ送る案が示されています。今後、基本要件が示され、事業実施主体の決定、整備計画の策定と進む予定となっておりますが、原子力発電所の電力とともに、カーボンフリー電力を柏崎市内に供給できるよう、海底直流送電線の本市への揚陸を目指して、あらゆる検討と働き掛けをこれまで以上に行ってまいります。

次に、本市の基幹産業であるものづくり産業についてであります。

社会経済情勢は、国内外ともに不透明さと緊迫度が増しており、特に物価、エネルギー高騰の影響と、深刻さを増す人材不足などが、依然として本市のものづくり産業に大きな影響を与える中、転換の時代を乗り越える製造事業者を力強くバックアップしてまいります。

令和4(2022)年度に創設しました「自動車・環境エネルギー産業等新分野展開支援補助金」および「製造業戦略的イノベーション推進基金」は、これまで6製造事業者の新分野展開または事業再構築の実現を支援し、重点期間の最終年を迎えます。世界的な脱炭素化の波の中で、更に付加価値の高い製品が求められており、今年度新たに本基金の活用を拡充し、再生可能エネルギー由来の電力を外部調達した市内事業者に対し、支払電気料金のうち環境付加価値分を中心に2年間の支援を行います。

日々、社会経済情勢が変化する中、製造業を中心とした市内事業者の新分野展開と脱炭素化の取組の両面を強力に後押しします。

国内の企業立地動向については、地政学的リスクの顕在化を背景に、引き続きサプライチェーンを見直し、国内回帰・国内生産体制の強化を図る動きが見られます。一方、全国的に産業用地は大幅に不足し、企業の立地需要の高まりに十分に応えられない状況にあります。

本市においても、柏崎フロンティアパークの販売完了後、受け皿となる産業用地が乏しい状況にあることから、昨年11月に「柏崎市鯨波産業団地整備基本構想」の策定に着手いたしました。基本構想においては、開発予定地の現状把握を行い、土地利用計画案を整理・具体化し、今年7月末の策定完了を目指します。この基本構想を踏まえ、新たな産業団地造成の事業着手を見極めます。

 

ここからは、総合計画に掲げる6つの分野ごとに推進する主な事業について申し上げます。

2024年度の主要施策

防災・生活・環境 ―『頼もしさ』をつなぐまちをめざして

昨年末の原子力規制委員会の東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所に対する決定・判断、そして、元日の能登半島地震は、安心と不安、それぞれを与えました。

柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に向けて法的に青信号がともった途端の、原子力発電所立地点での大地震でしたが、柏崎の原子力発電所のみならず、石川県志賀町の原子力発電所も地震による大きな損傷は確認されませんでした。新規制基準による耐震性の向上が証明されたとも言えます。

一方、石川県における一般家屋などの被害は大きなものとなり、屋内退避の実効性についても意見が出てきています。国には一般災害と原子力災害との違い、共有点を見極め、災害救助法、建築基準法、道路法、原子力災害対策特別措置法などの観点から明確な見解と方向性を早々にお示しいただきたいと期待しております。

原子力発電所の再稼働は、このまちの豊かさの創出に寄与し、福島の復興、我が国のエネルギーセキュリティおよび地球規模の温暖化防止のためにも価値あるものと確信しております。しかし、それは原子力発電所の安全と市民の安心があって初めて成り立つことは、言うまでもありません。昨年来、国へ強く要望してまいりました万一の原子力災害時の避難路の整備は、今年度具現化の第一歩を踏み出します。しっかりと進捗を見定めてまいります。

あわせて、市内15カ所目となる西山町いきいき館の放射線防護のための一部陽圧化、万一の大災害時に備えた防災行政無線の臨時災害放送局の常備および津波警報装置の河川流域地区への増設について、それぞれ設計に取り掛かります。今般の能登半島地震の教訓に基づく津波災害時の対応も盛り込んだ防災ガイドブック自然災害編の改訂も、実施いたします。

こうした市民の安全と安心につながる施策を着実に実行しながら、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に係る最終判断が、広く市民の皆さまからご理解をいただけるよう努めてまいる所存です。

次に、治水対策であります。近年の頻発化・激甚化する水害に備えるため、鵜川治水ダムの早期完成や河川改修事業の一層の推進について、事業主体である県に強く要望するとともに、関係する地域団体と連携し、流域全体での治水に取り組んでまいります。

あわせて、市街地低地部の内水対策として、柳橋町地内において鵜川右岸第2雨水調整池の建設に着手するほか、茨目三丁目地内の葦藪(よしやぶ)川10号雨水幹線(両田尻川)および花田地内大日川改修の継続、半田一丁目地内源太川の老朽化した護岸の改修など、浸水被害軽減に向けた治水対策を進めてまいります。

市民の日常生活および経済活動を支えている道路や橋りょうを始めとする社会基盤は、災害時の住民避難や復旧復興に必要不可欠な施設であります。

市道については、17路線の測量・調査・設計および10路線の道路改良工事を予定しております。また、小倉(おくら)町地内の東柏崎駅横断歩道橋の大規模修繕工事に着手いたします。

冬期間の除雪については、一昨年に導入した除雪車のGPS機能を活用して作業の一層の効率化を図っており、今後も事業者と協力して除雪オペレーターなどの人材を確保し、除雪体制の堅持に努めてまいります。

歴史ある水道事業は、柏崎の誇りです。ライフライン機能の保全のため、赤坂山浄水場6拡浄水施設耐震化事業に新たに着手するほか、5拡浄水施設の改良工事を継続するとともに、主要な水道管の老朽管更新を計画的に進めてまいります。また、下水道事業では、安政町地内の自然環境浄化センター内において、し尿受入施設の建設と汚泥系設備の改築更新を継続して実施いたします。

都市公園については、若手職員から出された案を採用し、赤坂山公園展望広場に新たな桜並木の整備を進め、より一層市民に親しまれる公園を目指してまいります。

空き家対策については、近隣に悪影響を及ぼす危険性の高い空き家の取壊しへの補助制度を創設し、管理不全な空き家の削減に一層注力してまいります。

木造住宅の耐震対策については、旧耐震基準で建てられた耐震性の低い住宅の建て替えや住み替えを促すため、既存住宅の取り壊しへの補助制度を創設し、地震に強いまちづくりを進めてまいります。

国道8号柏崎バイパスは、慢性的な交通渋滞の解消並びに災害発生時の避難および緊急輸送に重要な役割を担う幹線道路であることから、早期の全線開通に向け、未開通区間の事業促進について引き続き国に強く訴えてまいります。

また、国道252号田島地内の山根橋付近のクランク解消に向けた調査設計、国道352号荒浜地内および国道353号石黒地内のバイパス事業の推進など、幹線国道の整備についても、引き続き国および県に要望してまいります。

柏崎港については、ポートセールスや再生可能エネルギー事業に関連した利活用の可能性など、港湾管理者である県、国および港湾利用事業者と連携し、検討を進めてまいります。

消防の分野では、住宅防火対策と事業所の違反是正を推進し、出火防止対策と被害軽減に努めます。また、消防整備基本計画に基づき、高柳分遣所の救急自動車の更新および消防活動の中枢である高機能消防指令センターの機器更新に加え、通報現場の映像をリアルタイムで伝送するLive119(ライブ イチイチキュー)システムを導入するなど、災害対応力を強化いたします。

消防団活動においては、防火衣・救命胴衣などの装備を順次整備するとともに、小型動力ポンプ付積載車を更新し、消防団活動の充実強化および消防団員の安全確保を図ってまいります。

この度の能登半島地震でも、本市では高齢者および要支援者の見守りなどで地域の力が発揮されました。市民力の高さを改めて感じました。

度重なる自然災害への備えは、常に、そして着実に進めなければなりません。より一層の地域防災力向上を目指し、防災士の養成講座やフォローアップ講座を展開し、各種の防災出前講座を実施するなど、地域で支え合う体制づくりを支援してまいります。また、小・中学校における防災教育の充実、防災活動における若い世代の協力を願い、世代を超えた防災力向上に取り組みます。

刑法犯認知件数は、県全体で昨年の件数が21年ぶりに前年を上回る事態となっています。本市では減少しているものの、今後も計画的に犯罪の未然防止に取り組む必要があります。このため、地域防犯リーダーを育成するとともに、地区防犯連絡協議会や柏崎警察署管内の関係機関と連携・協力しながら、官民が一体となって、安全で安心なまちづくりを進めます。

特殊詐欺などの被害が後を絶ちません。消費者安全確保地域協議会と連携した消費生活出前講座を幅広く実施するなど、消費生活センターの機能充実を図り、被害の防止に努めてまいります。

環境施策について申し上げます。

2035年カーボンニュートラルの実現に向けて、ゼロカーボンシティ推進戦略を策定し、市民一人一人が取り組める行動指針をお示しします。自ら消費するエネルギーを自ら作り出す創エネ・省エネ設備や電気自動車の普及支援を引き続き進めます。また、脱炭素化に取り組む事業者に対する支援を開始し、段階を上げた、より実効的な施策を進めてまいります。

次世代エネルギーである水素について、モビリティー分野での事業化や水素ステーションの設置などに先行的に取り組む事業者と共に、地域産業への波及を目指す取り組みを進めてまいります。

健全な社会生活基盤の維持に向けた新ごみ処理場について、市が経費を負担して、民間が設計・建設・運営を行うDBO方式による事業者の募集と選定を行い、令和11(2029)年度の稼働に向けた建設をスタートさせます。環境負荷への影響を最小限にする厳しい基準を設定し、排熱による発電機能を持たせるなど、将来を見据えた施設整備に努めてまいります。あわせて、建設工事に伴って休止する松波リサイクルセンターの機能補完と、更なる資源物分別を推進するため、佐藤池運動広場の第4駐車場への新たなリサイクルセンターの設置を進めてまいります。

蕨野地内の廃タイヤ処分については、今年度内の完了を目途に引き続き取り組み、自然環境の回復を図ります。

鳥獣被害対策では、再び増加傾向にあるイノシシなどの有害鳥獣に対し、鳥獣被害対策実施隊の機動力をいかし、関係機関と連携してまいります。

公共交通に関して申し上げます。

昨年11月に運行を開始したAI新交通「あいくる」は、想定を上回る利用をいただいております。利用実績等を分析し、必要な改善を加えるとともに、路線バスや地域内交通と連携しながら、郊外地域との交通ネットワークを構築し、効率的な運行と利便性の向上を図ります。

鉄道では、新潟県の高速鉄道ネットワークのあり方検討委員会において、「北越急行ミニ新幹線化」が案の一つとして示されましたが、これは、本市として、到底受け入れられるものではありません。特急しらゆきや快速列車の増便など信越本線の利便性向上と並行して、将来的にこの区間における羽越新幹線の整備を求めることが現実的であり、引き続き、当市が事務局を務める上越・北陸新幹線直行特急実現期成同盟会の取り組みを進めてまいります。

産業・雇用 ―『豊かさ』をつなぐまちをめざして

労働力人口の減少は、本市においても例外ではなく、近年の産業界の喫緊の課題として認識されています。このような状況の中、少ない働き手であっても、生産性向上を図ることが期待できる「産業のDX化」は、この課題を解決する有効な手段の一つと言われております。

企業内デジタル人材育成のための「DX人材養成講座」や、未来の企業人として市内高校生を対象とした「柏崎iT部活」を通じて、デジタル人材の育成を推進するとともに、DX推進に資するセミナー等も開催いたします。

DX推進に関する取り組みについては、市内のIT事業者から中心的役割を担っていただくことで、情報産業の振興にもつなげてまいります。

基幹産業である製造業にとって、人材確保と人材育成は、持続的成長のための根幹であります。人材の確保については、高校生に対するインターンシップ事業や大学生を対象とした企業見学会などを通じて、市内事業者の魅力を発信し、ものづくりに対する若者の興味や関心を高める取り組みに力を入れます。

また、ものづくり産業において、技術力は競争力の源泉であります。長い年月をかけて蓄積してきた高度な技術力を将来に向けて発揮し続けるためには、その力を承継し、更に磨きをかけることが大切です。歴史ある柏崎技術開発振興協会のものづくりマイスターカレッジを通じて、業務に必要な国家資格の取得等を支援し、若手技能士の養成を推進してまいります。

製造事業者の生産性向上の実現についてであります。一定の生産設備投資に対しての税負担の軽減や奨励金を交付し、事業者の持続的な成長を支援します。また、新技術・新製品の研究開発や販路拡大、知的財産権や国際規格認証の取得など企業価値を高める投資に対しても助成金を交付します。

廃炉産業に関する調査研究については、引き続き参画事業者の拡大を図るとともに、廃炉先進地の視察や地元事業者との意見交換などを通じて、市内事業者の廃止措置に関する知識や意識の向上を図ってまいります。

柏崎フロンティアパーク等本市に進出した企業は、新たな設備投資が完了し、順次、操業を開始する予定となっております。設備投資額と雇用人数に応じた助成金を交付し、進出企業の経営基盤の安定を支援してまいります。

雇用や多様な働き方の創出について申し上げます。

人材不足は深刻です。高校生や大学生などを対象とした企業説明会を引き続き実施するほか、地元雇用につながる新たな取り組みを高校、大学、産業、行政、いわゆる高大産官が一丸となって検討を行い、実施します。また、企業情報の発信や採用手段の強化など、積極的に採用活動を行う中小企業を後押しし、労働力確保を図ってまいります。

人材確保には、働きやすい職場環境を始めとした企業の魅力向上も必要です。女性が生き生きと活躍できる職場、男性が育児休暇を取得できる職場を増やし、若者や女性に選ばれる企業づくりを支援してまいります。

また、障がいのある方が企業の大切な戦力として活躍できるよう、障がい者活躍推進アドバイザーの取り組みにより、企業への働き掛けを推進してまいります。

誰もが創業しやすいまち柏崎として、柏崎・社長のたまご塾を始め、各種補助制度や金融支援を充実させることにより、U・Iターン者も含めた起業・創業への意欲を引き出し、応援してまいります。

商業について申し上げます。

柏崎あきんど協議会が実施する事業に対する支援を始め、柏崎商工会議所や柏崎市商工会との連携を更に強化し、「はなまるクーポン」事業など引き続き意欲のある商業者の取り組みを後押ししてまいります。

観光についてであります。

新型コロナウイルス感染症の5類への移行以来、国内外の人の流れが活発化しているところです。

このような動向を的確に捉え、引き続き柏崎市観光ビジョンの将来の目標である「観光を柏崎の力に」を実現するべく、関係者と連携を図りながら、リーディングプロジェクトを中心に観光誘客や基盤整備に向けた各種施策を展開してまいります。

まず、道の駅「風の丘米山」の再整備であります。連携先の民間事業者と協議を重ね、基本設計に取り組んでまいりましたが、この成果を踏まえ、さまざまな不確定要素を考慮しつつ、実施設計に着手します。あわせて、地元経済への循環を構築できるよう協議してまいります。

歓喜と感動の「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」では、一般社団法人柏崎観光協会と連携し、奇跡の一夜とするべく日本一の海の大花火大会を更に充実させ、誘客拡大を図ります。

海水浴場については、引き続き安全対策を担うライフセーバーの人員確保に努め、安全・安心できれいな海水浴場への誘客を促進してまいります。

柏崎のランドマークである米山においては、大平コース登山口の大型バス駐車場や休憩所機能を備えたハイキングベースの整備に向け、昨年度の測量および設計の結果を踏まえ、用地確保および補償に向けた物件調査算定に着手します。

農業について申し上げます。

昨年の過去に例を見ない高温・渇水は、本市農業に大きな影響を及ぼしました。

この非常に厳しい環境下においても柏崎市ブランド米「米山プリンセス」は3者、1.38トンが認証されました。技術はもとより、「米山プリンセス」にかける農業者の(きょうじ)を感じさせるものでありました。改めてご努力に対し敬意を表し、感謝を申し上げます。

「米山プリンセス」の取り組みも、7年目となります。高価格米市場の競争は激化しておりますが、「米山プリンセス」のおいしさと安全性をこれまで以上に押し出し、都内だけでなく関西圏の百貨店などにも販路を拡大し、新たな顧客を獲得してまいります。

柏崎のお米は、「米山プリンセス」だけではありません。極早生(わせ)品種である「葉月みのり」のほか、柏崎産特別栽培米を学校給食において子どもたちに提供し、生産者と連携して、安全安心でおいしいお米の啓発活動に引き続き取り組みます。

園芸作物の生産促進に継続して取り組みます。枝豆においては、着実に生産が拡大しており、消費者から好評をいただいております。農業者の安定した収入確保につなげるために、枝豆以外の園芸作物についても、市場に安定的に供給できる生産体制の確立を目指します。

昨年の高温・渇水を踏まえ、今後起こりうる局所的な自然災害などあらゆるリスクに対応できる農業経営収入保険および農業共済保険の加入に関し農業者を引き続き支援し、持続的な農業経営ができる環境を整えます。

本市の農業においても、高齢化、人材不足が顕著です。一方、市内農業法人に若い方が就農されています。若い農業者同士の交流を深めつつ、その力もお借りしながら、新規就農者の更なる確保・定着を図ってまいります。

安全安心でおいしい食を求める機運には強いものがあります。そのためには、地産地消への取り組みを更に推進する必要があります。市民が市内、県内または国内で生産されたお米、野菜、魚を食べていただけるよう、引き続き第三次食の地産地消推進計画に基づき消費者、市内飲食事業者などの意識醸成を図ります。

また、生産活動における環境負荷の低減や温室効果ガスの発生抑制など、安全な食料生産と環境にやさしい生産活動の両立を目指してまいります。

農地を守る農業用たん水防除施設については、定期的に保守点検を行い、必要に応じて改修工事を実施することで、豪雨災害時において、農地だけではなく住宅への水害等を防止します。

ほ場整備事業については、西山町五日市・内方・本条など全11地区において区画整理を、西山中部地区において測量設計などを実施し、農業生産基盤整備を進め、農業経営の安定化および農作業の効率化を図ります。

農村振興総合整備事業については、上条地区において引き続き集落道改良工事を実施するほか、田尻地区において事業着手に向けた準備を進め、農村環境の改善と水路など農業施設の整備を図ってまいります。

林業について申し上げます。

若手就業者が増え、非常に活発な柏崎地域森林組合と引き続き連携し、森林整備を進めてまいります。また、森林経営管理権の集積計画に基づき、高柳町岡野町地内での森林整備を引き続き実施するとともに、森林環境譲与税を有効に活用し、新たな担い手の確保・育成に向けた取り組みを支援してまいります。

かしわざ“木”の力発信事業では、柏崎産木材を活用した製品を市内木材関係事業者と連携して製作します。ふるさと納税の返礼品を視野に入れながら秋の収穫祭へ出店するなど、柏崎産木材の活用に積極的に取り組みます。

水産業について申し上げます。

市内の漁業者が供給する柏崎産水産物を地元でおいしく食べることができるのは、市民としての幸せであります。新潟県漁業協同組合柏崎支所の更なる活躍を確信しており、柏崎のアラを中心とした四季折々の柏崎産水産物の提供に向けて、漁業者、流通事業者および飲食業関係者と連携し、更なる地産地消、経済的な地域内循環を図ってまいります。

冬季風浪により砂が堆積する荒浜漁港において、浚渫(しゅんせつ)工事を実施し、漁船の安全な航行を確保します。くわえて、荒浜漁港にどのようにして砂が堆積するのか解析を進め、浚渫も含めた荒浜漁港の効果的な維持管理につなげます。

また、旧来「海の幸」を身近なものとして採取し、享受してきた地元住民からは、伝統と歴史をもう一度考えてもらいたいという声が、また、海に親しむ子どもたちが少なくなってきたという心配の声が届けられています。新たなルール作りに向け、検討を始めます。

健康・福祉 ―『健やかさ』をつなぐまちをめざして

少子高齢化、人口減少、家族や地域の関係性の変化などにより、一人一人が抱える問題が多様化・複雑化しています。これまでの高齢・障がい・子ども・生活困窮といった分野、世代にとらわれない包括的な支援体制の構築を目的として、国が創設した「重層的支援体制整備事業」の本格実施に取り組みます。

医療分野、そして、介護・障がい福祉分野における人材不足は、依然として厳しい状況が続いています。

医療分野では、医師の働き方改革が始まります。地域医療体制の維持のため、柏崎総合医療センターにおいて新潟県と共に取り組んでまいりました臨床研修医確保に成果が現れています。この2年で5人であります。更なる人材の確保について、新潟県、病院との連携を一層密にしながら、引き続き取り組んでまいります。

介護・障がい福祉分野では、職場の魅力向上に向けた合同研修・情報交換等の場を設け、人材の採用戦略や現場で働く若手職員のモチベーションの向上につなげ、人材の確保と定着を促進します。また、市内事業所と連携した学校への出前講座や市民向け講座を開催し、介護人材の裾野拡大を図ってまいります。

介護職員就職支援事業では、市外からの転入要件を廃止し、新たに年齢区分を設け、若い世代への支援を拡充するとともに、高校生など就職時には資格を有していない方でも3年以内に資格を取得した段階で、新たに対象となるよう資格要件を緩和します。

また、深刻な人材不足が心配されている介護支援専門員(ケアマネジャー)の確保・定着を図るため、新たな支援金制度を創設します。

障がい福祉事業所を対象とした福祉職員就職支援事業に救護施設を新たに加え、支援を拡充いたします。

近年、20代から30代までの女性の子宮頸がんの発症が増加しています。30代後半が発症のピークと言われている一方で、若い年齢層の子宮頸がん検診の受診率は低い状況です。新たに25歳、31歳、35歳、39歳を対象に500円のワンコインで受診できるクーポン券を発行し、受診者の増加と子宮頸がんの早期発見を目指します。

また、介護保険制度の対象とならない40歳未満の在宅で療養生活を送るがん患者の生活の質の向上と経済的負担を軽減するため、必要な訪問サービスや福祉用具等の利用料の助成制度を創設いたします。

子ども・子育て支援事業については、本市は、これまでも先進的に「子育て世代包括支援センター」の母子保健機能と「子ども家庭総合支援拠点」の児童福祉機能を一体的に運営してまいりましたが、国の制度変更に合わせて、4月に拠点の名称を変更する形で「こども家庭センター」を開設します。さらに、子育てに困難を抱えるご家庭には、サポートプランを作成し、効果的な支援につなげてまいります。

結婚活動支援として、新婚生活のスタートアップに係る家賃や住宅取得費用の一部を助成することで、新婚世帯の経済的負担を軽減いたします。

出産後から就学前までの健康診査体制の充実に向け、新たに生後1カ月児への健診費用の助成を実施します。

ひとり親世帯の支援として、子どもが健やかに成長することができるよう、養育費支払の取り決めを促進する制度を創設し、ご家庭の経済状況の安定と子育てへの不安軽減につなげてまいります。

保育園や小学校が統合等により無くなった地域において、その地域の 「子育て援助活動組織が行う預かりボランティア活動」に対する補助制度を新たに創設し、地域における子育て環境の確保につなげてまいります。

保育施設の整備では、令和7(2025)年度の開園に向けて、田尻保育園の改築工事を継続実施いたします。また、地域からのご要望により、新園舎建設に伴い廃止となった三ツ家農村公園の代替施設を整備いたします。

教育・スポーツ ―『たくましさ』をつなぐまちをめざして

子どもたちにとって望ましい教育環境の提供を目的に策定した柏崎市立小・中学校学区再編方針については、令和8(2026)年度の日吉小学校および中通小学校の統合並びに剣野小学校、鯨波小学校および米山小学校の統合を正式に確定させていただきました。今年5月に、地域やPTAから推薦された代表者による統合準備委員会を立ち上げ、統合に向けた具体的な準備を進めてまいります。

学校教育においては、英語や異文化への興味・関心を高めるグローバル教育を推進するため、小学校3年生から6年生までを対象とした「イングリッシュキャンプ」を実施いたします。ALTや留学生等の外国人との交流や体験活動を通して、英語力の向上を図ってまいります。

国のGIGAスクール構想による児童・生徒へのタブレットの配備を、小学校1年生・2年生も対象に加え、タブレットを活用した個別最適化された学びの環境を構築します。また、教職員へのITリテラシー向上支援や端末機等の適正な維持管理を行うため、ICT支援員を引き続き配置し、小・中学校でのICT環境の充実を図ってまいります。

法的観点から教員と保護者等との信頼関係構築や過剰な苦情、不当な要求等への対応に係る助言を得るための人材を確保し、体制を整えます。

施設整備に関しては、2カ年継続事業で実施する荒浜小学校改築工事の2期工事、鏡が沖中学校大規模改修工事の1期工事並びに東中学校旧校舎解体工事およびグラウンド整備工事の2期工事を行います。また、令和8(2026)年度と令和9(2027)年度で予定しております剣野小学校と第三中学校の大規模改修工事に向けた実施設計を行います。

小・中学校のトイレの洋式化については、枇杷島小学校、剣野小学校、北鯖石小学校、第二中学校および瑞穂中学校において改修を行います。

給食関係では、施設の老朽化や配食数の減少に伴い、第一中学校内の中央地区第2学校給食共同調理場を瑞穂中学校内の北部地区学校給食共同調理場に、南中学校内の南部地区学校給食共同調理場を鏡が沖中学校内の枇杷島地区学校給食共同調理場にそれぞれ統合し、枇杷島地区学校給食共同調理場については、名称を南部地区学校給食共同調理場とします。現在の8地区を6地区に統廃合することにより、事業の効率化と経費の削減を図ってまいります。

図書館は、多くの皆さまからご利用いただいております。情報提供の場、文化・学習活動の場として、書籍等の整備を進めるなど、より一層サービスの向上に努めてまいります。

令和7(2025)年度開始の第三次子ども読書活動推進計画の策定では、現在実施中の基礎調査の結果等を基に検討し、時流に沿った子どもたちの読書活動の更なる充実と普及促進の方策を取りまとめます。

平成13(2001)年の供用開始から23年を経過する市民プラザでは、老朽化が進行しており、施設利用者の安全で快適な環境を維持するため、計画的な大規模修繕に着手いたします。

スポーツ関係では、今年はパリオリンピック・パラリンピックが開催される年であります。水球日本男子チームは既に出場権を得ており、「水球のまち柏崎」から1人でも多くの選手が選出されるように、また、他の競技でも本市に縁(ゆかり)のある選手が選出されることを期待しております。市民の皆さまには、生涯スポーツ、競技スポーツそれぞれの振興のために、ライフステージに応じたスポーツ機会の提供に努めてまいります。

第100回を迎えます日本選手権水泳競技大会水球競技を、柏崎アクアパークで開催します。多くの市民の皆さまから国内トップレベルの試合を観戦いただくとともに、全国から本市にお越しいただいて「水球のまち柏崎」の認知度を高め、地域活性化につなげてまいります。

施設整備では、総合体育館の老朽化したトレーニング機器を更新し、利用者の利便性向上と安全を確保します。体育施設のトイレの洋式化については、佐藤池野球場において、今年度から3カ年計画で改修いたします。

魅力・文化 ―『柏崎らしさ』をつなぐまちをめざして

旧市役所庁舎跡地利活用事業については、事業手法の再検討を行い、中央地区コミュニティセンターを中心に、新たなにぎわい拠点となるよう引き続き取り組んでまいります。

文化会館アルフォーレでは、劇場広場を活用した音楽イベント「野外おんがく堂」を継続して開催するほか、舞台機構や空調設備の更新を行い、市民の皆さまの音楽・文化活動を支援いたします。

文化振興関係では、ひと足早い春を感じていただく「柏崎の花 ―Spring Collection」を継続して開催し、「『花』を観るなら冬の柏崎」を定着させ、市外からもお越しいただける「花」の展覧会を目指してまいります。

博物館では、企画展やプラネタリウム投影を通じて、本市固有の歴史・文化資産を活用した学習機会を提供します。

一昨年、ユネスコ無形文化遺産に登録された国指定重要無形民俗文化財の「綾子舞」については、保存振興会や後援会と連携して、引き続き保存伝承および後継者育成に努めてまいります。また、多くの方から現地を訪れて柏崎の宝であり、世界の宝となった「綾子舞」の魅力を感じていただきたく、新たに市内の幹線道路に綾子舞発祥の地であります鵜川地区および綾子舞会館へ誘導する案内看板を設置します。

ふるさと納税について申し上げます。

市内返礼品提供事業者の皆さま、そして、多くの自治体の中から本市を選んでいただいている方々のおかげをもちまして、昨年度分として4億円を超える多くのご寄付をいただいております。引き続き貴重な財源確保に取り組むとともに、ふるさと応縁基金を財源とした事業を明示し、ご寄付いただいた方々のお気持ちにお応えします。

U・Iターン事業については、昨年9月に開設した移住マッチングサイト「くじらと。」を活用しながら、民間の皆さまで構成する「移住・定住推進パートナーチーム」から提案のあった事業を引き続き展開し、官民連携して、本市への移住・定住の促進に努めてまいります。

シティセールス推進事業については、公式LINEアカウントを構築し、U・Iターンやふるさと納税などの情報も含めた、複合的かつ効果的なプッシュ型の情報発信を行うとともに、引き続き柏崎ファンクラブ新規会員の獲得にも努めてまいります。

自治経営 ―多様な主体と共創し共育するまちをめざして

本市の最上位計画である総合計画については、令和8(2026)年度からの方向性を定める次期の総合計画基本構想・前期基本計画の策定作業がスタートします。変化の激しい社会経済環境を踏まえ、複雑多様化する市民ニーズに的確に対応しながら、持続可能なまちづくりのための計画策定に心掛けてまいります。

男女共同参画については、基本計画を令和7(2025)年度に改定するため、今年度においては、意識調査を実施します。現状と課題をしっかりと把握し、次期計画の基礎となる取り組みを実施します。

北朝鮮による拉致問題については、被害者が暮らす自治体の責務として、拉致問題の完全解決に向けた機運醸成につながる活動に引き続き取り組んでまいります。また、平和の推進については、旧満州柏崎村開拓団の記憶を、後世に伝えなければならない史実として当事者のお話を聴く機会を設け、平和意識の醸成を図ります。

コミュニティセンターの計画的な改修については、中通コミュニティセンターに太陽光発電設備を設置するほか、松波コミュニティセンターおよび比角コミュニティセンターに、大型バスが乗り入れ可能となる駐車場機能を整備し、環境や防災に配慮した施設運営を進めてまいります。

地域おこし協力隊については、昨年に退任した1名が定住しました。また、昨年は、新たに2名が加わり、現在は3名の隊員が活動しています。受入団体と隊員が充実感を持てる支援に努めるとともに、隊員の任期後を見据えたサポートと定住施策に取り組んでまいります。

デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、社会・産業・生活のあり方を変革することであり、さまざまな地域課題の解決につながるものです。本市も、柏崎市DX推進計画を定め、コンビニエンスストアでの証明書交付の拡充、AI新交通「あいくる」の運行、子育て応援券の電子化などをスタートさせました。今後も地理情報システム(GIS)や人間が行ってきた作業を人間に代わって機械が行うRPAなどのデジタル技術を活用することにより、市民の利便性向上と行政の効率化を進めてまいります。また、その基盤となるマイナンバーカードは、今年1月末現在の保有率は75.9パーセントで、市民の4人に3人が所有されています。今年12月2日からのマイナンバーカードと健康保険証の一体化を見据え、今後も申請サポートを実施するなど、更なる普及に取り組んでまいります。

令和7(2025)年1月から、市税や保育園・小・中学校の経費等の口座振替申し込み手続きのオンライン申請を開始します。これにより、特に子育て世代の入園・入学に係る手続きの負担軽減につなげます。

また、納税者の利便性向上を図るため、昨年度の固定資産税・都市計画税・軽自動車税に続いて、今年度から個人市民税・国民健康保険税のキャッシュレス納付を開始します。これにより、個人が納付対象となる全ての税目のキャッスレス納付が可能となります。

情報発信については、市ホームページを始め、広報かしわざきや「LINE」「X」「Facebook」など、あらゆる手段・媒体を活用して、多くの行政情報を正確に分かりやすく、タイムリーに発信します。このように、積極的に情報を発信することで、市民が安全に、そして、安心して暮らせる環境づくりに努めます。また、市勢要覧を刷新し、本市の認知度向上、誘客、投資などの促進に努めてまいります。

公共施設マネジメントにおいては、柏崎市公共施設等総合管理計画に基づき、旧南鯖石小学校および旧南鯖石保育園に加え、若葉町地内の旧情報開発センターの用地測量を行い、未利用資産の有効活用を進めてまいります。

続いて、財政の観点から申し上げます。

本市最大の懸念事項、課題は、人口減少・少子高齢化の同時進行による人材の不足、経済の低迷であります。第五次総合計画後期基本計画に掲げる将来都市像「力強く 心地よいまち」を実現するため、「子どもを取り巻く環境の充実」と「大変革期を乗り越える産業イノベーションの推進」の二つの重点戦略を推進する事業に対し、予算を重点配分いたしました。また、財源の確保が大きな課題でありますが、今年度は、財政計画の見直しにより、一般財源相当額の一定割合の削減を図り、さらに、予算編成過程において、全ての事務事業を厳しく精査し、財源を確保いたしました。なお、財政計画については、経済情勢など本市を取り巻く環境の変化や新たな施策に速やかに対応するため、毎年度見直しを行ってまいります。

歳入については、まず、自主財源の根幹となる市税のうち、市民税については、人口減少、税制改正および国・県の経済動向を踏まえて精査し、個人分と法人分全体で1.0パーセント、約4,400万円増の約43億6千万円を、固定資産税については、3年に一度の評価替えを考慮し、1.2パーセント、約1億100万円減の約84億3千万円を見込んでおります。本市独自の税であります使用済核燃料税については、昨年度と同額の約7億4,700万円を見込んでおります。この結果、市税全体では、昨年度の当初予算額と比較して0.2パーセント、約3,400万円減の約148億2千万円を計上いたしました。

歳入における市税割合は、31.0パーセントであり、昨年度を0.5ポイント下回る水準となりました。原材料価格等の上昇など経済情勢の先行きに不透明感が継続する中、市税への影響を引き続き注視してまいります。

普通交付税については、その原資となる国税の伸びが堅調であり、国において昨年度を上回る地方交付税額が確保されたことから、2億4千万円増の68億2千万円を計上いたしました。また、普通交付税の振替財源である臨時財政対策債については、今ほど申し上げたとおり普通交付税が増額となったことから、地方債計画から推計し、1億8千万円減の1億円を計上いたしました。

電源立地地域対策交付金の国直接分については、柏崎刈羽原子力発電所4号機の30年経過加算により、1億円増の約20億1千万円を計上いたしました。

歳入全体につきましては、物価高騰や人件費の増による財源不足により厳しい状況でありましたが、市民ニーズに対応するために不可欠な事業を着実に展開する必要があることから、財政調整基金21億4千万円、減債基金約2億2千万円を繰り入れて収支のバランスを図ったところであります。

一方、歳出では、給食施設整備事業、東中学校改築事業、防災情報通信システム整備事業などの減額はあるものの、荒浜小学校改築事業約15億5,200万円、鏡が沖中学校大規模改修工事などの学校施設長寿命化事業約4億7,900万円、トイレ、空調設備改修などの小学校施設整備事業約2億4,300万円、常備消防施設整備事業約2億4,100万円、道の駅風の丘米山整備事業約2億3千万円などの事業をそれぞれ予算措置いたしました。

以上申し上げた施策を計上した今年度の当初予算規模は、一般会計が478億円、昨年度比約1.3パーセントの増となりました。市債償還に係る借換債約3億5千万円を除きますと、実質的には約474億5千万円、昨年度比約1.1パーセントの増となりました。

むすび

写真:少し左を向き、施政方針を述べる市長

先日、「柏崎の花 ―Spring  Collection 2024」を開催し、5日間で3,000人を超える方々から、絵画、生け花、ちぎり絵、大崎の雪割草など、花の競演をお楽しみいただきました。また、市内温泉旅館にもご協力いただき、冬場の観光需要創出の糸口ともなりました。真冬に、市内外の皆さまから足を運んでいただいたのです。市民の皆さまの中にも閉塞感が漂う中、一時ながらも華やかさ、明るさ、「光」を期待してご来場いただいたものと拝察しております。

冒頭申し上げましたように柏崎を取り巻く状況、環境は厳しいものがございます。私は従来から「形よりも実質的なものを」「量より質の時代に入っている」と申し上げてまいりました。経済、福祉、教育などあらゆる領域において同様であります。

理想と現実。厳しい現実から目を背けず、理想の光を見失わず、前に進むことが柏崎の使命だと考えております。そして、私たち柏崎市民には可能性、新たな光を求め、自ら歩を進める勇気があると確信しました。

公文書における元号と西暦の併記。柏崎市が平成31(2019)年に始めました。徐々に広がり始めていると承知していますが、いまだ全国では少数派であります。しかし、圧倒的に便利であり、国際化社会において現実的であります。

エネルギー行政もしかりであります。原子力発電所に関する見解は分かれるかもしれませんが、昭和49(1974)年、電源立地点における地域振興に関して法整備、いわゆる電源三法が成立しました。その骨子、考え方を組み立てたのは時の内閣総理大臣田中角栄氏と柏崎市長小林治助氏を始めとする柏崎市職員でありました。全国の立地自治体が恩恵を被っています。

柏崎は常に進取であります。

冒頭、ご紹介したガルブレイスの著作から46年前、名著「剣の刃」が書かれました。現代フランスの父とも呼ばれた軍人であり、第18代の大統領でもあったシャルル・ド・ゴールによるものです。その書き出しは「現代を象徴するものは不確実性である」と始まっています。そして、そのむすびにはこう記されているのです。「今こそ、高い理想を見つめる時である。今こそ、己にふさわしい哲学をうちたてる時である」

さらに、ドイツの哲学者であり、政治家でもあったゲーテの言葉。

「古いものを誠実に守る心 新しいものを正しく捉える心を育てよ」

不確実な時代、柏崎は先人が培ってきた歴史、伝統を大切なものとし、しかし、そこにとどまらず、新たな可能性、光を求め確固たる信念の下、進んでまいります。

柏崎市民の皆さま、市民の代表たる柏崎市議会の皆さまのご理解とお力添えを心よりお願い申し上げ、施政方針といたします。

施政方針全文(ダウンロード用)

この記事に関するお問い合わせ先

総合企画部 総務課 法務係

〒945-8511
新潟県柏崎市日石町2番1号 市役所 本館3階
電話:0257-21-2330/ファクス:0257-22-5904
お問い合わせフォームはこちら

更新日:2024年02月26日