令和7(2025)年度施政方針
はじめに
令和7(2025)年度当初予算をご審議いただくに当たり、柏崎市民の皆さま、市民の代表たる柏崎市議会の皆さまに施政方針を申し述べます。
いったいこの国はどういう国なのだろうか。普通に仕事をしていらっしゃったドライバーを道路の穴に落としてしまう。当初会話が可能であったその方を関係者の御努力むなしく、結果救助することができない。
今年も拉致問題の完全解決を求め首相官邸に伺いました。蓮池薫さんの講演を聞いた北鯖石小学校6年生「たいよう学年」の子どもたちが書いた手紙を林内閣官房長官兼拉致問題担当大臣に手渡し、横田めぐみさんのお母さま、早紀江さんのコメントを引用、紹介いたしました。
横田さんの言葉は「ひどい人生だった、けれども私はめぐみが帰ってくるまで最善を尽くす」というものです。
在日アメリカ合衆国大使館にも伺い、トランプ大統領への書簡をお届けし、米寿という言葉の意味を伝えました。その米寿を過ぎた「おかあさん」が発する悲痛な言葉、「It has been a terrible life.ひどい人生だった」を伝えました。大使館一等書記官、政治部職員は真剣なまなざしを私に返しました。
先日、同じく拉致被害者有本恵子さんのお父さま、有本明弘さんが亡くなられました。横田さんの「いよいよ一人になってしまった」という言葉が新聞各紙に掲載されました。私たち国民一人一人が重くかみしめなければなりません。
今月、ソフィアセンターで「柏崎の花 ―Spring Collection 2025」を開催し、多くの方からご来場いただきました。ありがとうございました。その中の女性数人から、「フォンジェのスーパーが無くなって困っている。駅の南側まで歩いて行っている」「地震で駅前公園の脇のエレベーターが止まったとき、買い物をしたレジ袋を両手に階段の途中で休んでいるおばあちゃんがいた」というお話を伺いました。もちろん、スーパーが無いのは街なかばかりではありません。しかし、これもまた悲痛な言葉として私は捉えました。
夕方や夜、市民の皆さんが食事、お酒を楽しみ、帰ろうとするとタクシーや代行がない。出張に来られたお客さまが駅前でタクシーを待つ姿。身近な、切実なお声です。人手・人材不足。
市民の皆さんが本当に困っていらっしゃる。全力で問題、課題解決に当たります。
2025年度の重点戦略
子どもを取り巻く環境の充実
本市第五次総合計画後期基本計画の最終年度を迎える今年度は、計画の締めくくりとして二つの重点戦略を強力に推進してまいります。
まず、重点戦略の一つ目「子どもを取り巻く環境の充実」の推進に向けた事業について申し上げます。
多くの皆さまからのご要望を受けて整備を進めてまいりました柏崎ショッピングモールフォンジェ内のキッズマジックが、生まれ変わって4月にオープンします。
市民の皆さま、子どもたちに無料で楽しんでいただける施設として、柏崎産木材を使用した大型立体遊具を設置するほか、滑り台、ボルダリング、ネットトランポリンなど、子どもたちの声を「カタチ」にした遊びの空間。面積をこれまでの約2倍に拡張し、県内トップクラスの広さを誇り、天候を気にせず、乳幼児から小学生までが、区分されたエリアで安全に遊べ、保護者も安心して子どもたちを見守ることのできる施設が、この春にいよいよ誕生します。
この新生キッズマジックが多くの方から愛され、周辺のにぎわいを生み、中心市街地の活性化・魅力向上によって、本市が元気なまちになることを強く期待しています。
保育施設関連の整備では、比角保育園および施設に併設されている子育て支援室の改築工事が始まります。市として旧施設の解体も含め、今年度から令和9(2027)年度までの3年間の計画に対し、国の補助金を活用しながら、運営する法人を積極的に支援してまいります。
また、今年度は第三期子ども・子育て支援事業計画の初年度を迎えます。本市は、子育て応援券事業、家庭養育応援券事業、保育料の1・2歳児無料化など、他市に先駆けた先進的な子育て支援策を強力に進めてきたところでありますが、引き続きこれらの事業に力を入れていくとともに、この計画の着実な推進を図り、子ども・子育て世帯の支援を総合的に進めてまいります。
学校教育では、全国的な学力調査の結果において、本市の小学校では、全国・県平均を上回っているものの、中学校においては全国水準に届いておらず、伸び悩んでいる状況となっています。そのため、小・中学校における学力向上推進プロジェクトを継続し、4年目の取り組みを進めます。さまざまな課題解決に活用できる知識・技能の習得や、思考力・判断力・表現力の育成など、今求められている学力が子どもたちに確実に身に付くよう、教員研修を一層充実させ、全国および県平均を上回る学力レベルの定着を実現します。
小・中学校の施設整備では、近年の猛暑の状況を鑑み、特別教室へのエアコン設置を、今年度から令和9(2027)年度の3年間の予定で順次進めます。
大変革期を乗り越える産業イノベーションの推進
続いて、重点戦略の二つ目「大変革期を乗り越える産業イノベーションの推進」の実現に向けた事業について申し上げます。
本市の基幹産業であるものづくり産業についてであります。キーワードは、脱炭素です。
「製造業戦略的イノベーション推進基金」事業として2年目を迎える「再生可能エネルギー電力導入支援」は、当初の想定を上回る事業者から取り組みをいただき、市内事業者の脱炭素化への理解が広がりつつあります。
今年度は、本市のものづくり産業の更なる脱炭素化を推し進めるため、この基金を拡充して「製造業脱炭素推進設備導入補助金」を創設し、導入設備の脱炭素化や、省エネルギー設備の導入の支援を行います。この設備導入支援と昨年度創設した使用電力量料金補助により、事業者の脱炭素化の取組を両面から強力に後押しします。着実に脱炭素化が進み、更に付加価値の高い製品が求められてくる中で、より多くの製造事業者の脱炭素化の取り組みを全面的に支援してまいります。
新たな産業団地の造成につきましては、昨年7月末に策定しました「柏崎市鯨波産業団地整備基本構想」に基づき、財源計画等の検討・調整を行い、今年度から事業着手します。造成の初年度となる今年度は、地質調査、測量などのフィールド調査や基本設計等を進めます。新産業団地の造成に当たっては、確実な事業の進行管理を行うことはもちろんのこと、次世代エネルギー分野や脱炭素化に取り組む事業者にも進出しやすい「カーボンニュートラル産業団地」の実現に向けた検討を積極的に進めます。
脱炭素エネルギーを安定的に供給する観点から申し上げます。
国、県と連携し、本市の脱炭素施策を具体的に展開する柏崎あい・あーるエナジー株式会社の事業について申し上げます。電力小売事業については、太陽光発電や大型蓄電池による電力に加え、今年の夏からは、平井地内における株式会社INPEXの水素発電による脱炭素電力を調達し、新たに22の公共施設に供給するほか、市内民間事業者への電力供給も拡大し、市内産業界における脱炭素経営の導入促進を図ってまいります。
電源開発事業については、最終目標それぞれ太陽光7,280キロワット、蓄電池37,500キロワットアワーを目指し、国の補助金を活用し事業の進捗を図っております。今年度は、西山総合グラウンド旧多目的運動広場に500キロワットの太陽光発電と8,000キロワットアワーの大型蓄電池を整備し、市、あい・あーるエナジー分合わせ累計で、太陽光3,280キロワット、蓄電池25,500キロワットアワー規模となります。
また、市の事業としましては、次年度以降の柏崎あい・あーるエナジー株式会社による電源開発候補地として、遊休市有地における発電事業適地調査を行います。あわせて、未利用のまま長年保有していた旧ぶどう村跡地について、民間事業者の知見をいかした太陽光発電用地としての開発に関する公募を実施します。
そして、国が進める北海道、東北の洋上風力発電などの再生可能エネルギーを大規模需要地である首都圏へ送る海底直流送電線計画については、複数の事業体から応募意思表明があり、今年度末の広域整備計画の策定に向け、電力広域的運営推進機関広域系統整備委員会において議論されているものと認識しております。海底直流送電線の本市への揚陸は、市内産業界に多大な経済波及効果をもたらすこと、また、大量の脱炭素電力の市内供給の可能性の高まりが期待できることから、その実現に向け関係各所に対し更なる働きかけを続けてまいります。
ここからは、総合計画に掲げる6つの分野ごとに推進する主な事業について申し上げます。
2025年度の主要施策
防災・生活・環境 ―「頼もしさ」をつなぐまちをめざして
東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所7号機については、再稼働に係る新潟県の判断がなされないまま、時間だけが過ぎ、今日に至っております。昨今、世の風潮で「丁寧に」という言葉がいたずらに多用されているように思えます。私は潔しとしません。「丁寧に」という言葉を、判断を先延ばしするための言い訳として使っているように思われるのです。国、原子力規制委員会は一昨年既に実質的なGOサインを出し、法的にも技術的にも稼働できる状態にあるものを、法的根拠を持たないところで決定が止められているという事態は株主代表訴訟の可能性をも含め危惧していると申し上げてまいりました。
この停滞している期間にあっても、柏崎市としては市民の皆さまから現状を正しく認識し不安を払拭してもらうため、あらゆる機会を通じて正確な情報と客観的事実を発信し、理にかなった事業を展開してまいったつもりです。
本市を含む県内の住宅耐震化率の高さ、能登半島とは異なる道路の整備状況。原子力発電所の安全を担保するいわゆる「新規制基準」の有効性。より現実に即した訓練や研修、講座内容の見直し。自然災害と原子力災害の峻別(しゅんべつ)とそれに基づく合理的な事業要望の必要性。東北電力株式会社女川原子力発電所再稼働に伴う本市・本県への原発由来の電力供給。中間貯蔵施設の事業開始に当たっての青森県およびむつ市の思い。全国の原発立地自治体の本県に対するまなざしなどなど。これらのことは、市民のみならず国や県も含む周辺自治体に対しても毅然として訴えてまいりました。
このような状況を踏まえつつ、今年度も国、県の責任の下、次のような事業を引き続き展開してまいります。
- 北陸自動車道上方および曽地のスマートインターチェンジ整備と米山サービスエリア緊急進入路整備に係る調査委託
- 上越方面とを結ぶ小村トンネル等の調査への協力
- 西山町いきいき館の放射線防護対策工事、荒浜および西中通コミュニティセンターの防護化設計ならびに高浜コミュニティセンターの防護対策の拡充
- 防災行政無線臨時災害放送局設備の導入
- 避難が必要な地区における津波警報装置および屋外拡声子局9カ所の増設
- 現実に即した実効性の高い訓練の実施と科学的証左に基づく研修・講演会の開催
- 災害弱者にも配慮した避難所環境の向上にも資する備蓄品の拡充
こうした施策を通じて、市民の安全・安心を確立し理解を得ながら、柏崎刈羽原子力発電所が一刻も早く本市にとっても本県にとっても更には我が国にとってもあるべき姿となるよう柏崎市長としての責務を果たしてまいる所存です。
次に治水対策であります。近年の多発化、激甚化している水害に備えるため、鵜川治水ダムの早期完成や河川改修事業の一層の進捗について、事業主体である県に強く要望するとともに、関係する地域団体と連携し、流域全体での治水に取り組んでまいります。あわせて、市街地低地部の治水対策として、柳橋町地内において鵜川右岸第2雨水調整池建設を完了させるほか、半田一丁目地内の源太川や大字花田地内の大日川などの河川改修を継続して実施し、浸水被害軽減に向けた対策を進めてまいります。
市民の日常生活、経済活動を支えている道路や橋りょうを始めとする社会基盤は、災害時の住民避難や復旧復興に必要不可欠な施設であります。
市道の整備は、10路線の道路改良舗装工事および17路線の測量・調査・設計を予定しております。また、2カ年計画で進めてきた東柏崎駅横断歩道橋の大規模修繕工事を完了させ、安全性の向上を図ってまいります。
冬期間の安全な道路交通を確保するため、消融雪施設や除雪機械の計画的な更新を行うとともに、引き続き除雪オペレーターを確保するための支援を行うことで、除雪体制の維持に努めてまいります。
国道8号柏崎バイパスは、未開通区間である東原町から茨目までの間の事業促進など、早期の全線開通に向け、引き続き国に強く訴えるとともに、国道8号バイパスへの重要なアクセス道路となる都市計画道路宝田北斗町線についても事業の進捗を図ってまいります。また、国道252号大字山室地内の山根橋におけるクランク解消に向けた整備の早期事業化や国道352号荒浜地内および国道353号高柳町石黒地内の道路改良など、幹線道路の整備についても引き続き国および県に要望してまいります。
柏崎港は、新たに中越地域の原木輸出港としての活用が始まりました。引き続きエネルギー関連事業、また、防災時の支援拠点としてその役割を果たせるよう港湾機能の強化について国および県に要望してまいります。
くわえて、原子力発電所所在地として、先般、海上自衛隊舞鶴地方総監部、防衛省本省に、海上自衛隊艦艇の定期的な柏崎港寄港についてお願いしてまいりました。航路の浚渫(しゅんせつ)、燃料および水の補給体制など課題を確認しながら実現に向け検討を始めます。
ライフライン機能の保全のため、水道事業では赤坂山浄水場6拡浄水施設耐震化事業を継続して実施するほか、主要な水道管の老朽管更新を計画的に進めてまいります。下水道事業では、安政町地内の自然環境浄化センター中央監視制御設備改築更新を2カ年の継続事業で実施します。
柏崎の水道事業は歴代市政の中で最も優れたものであると考えます。川内水源地、谷根・赤岩3つの上水道専用のダムは柏崎市民の生活、経済活動を支える文字どおり生命線であります。昭和10(1935)年に川内ダムの建設が開始されてから、つまり水道事業が槌音(つちおと)をたて始めてから今年、令和7(2025)年は、90年の節目の年であります。来るべき100年に向けて、この先人が歩んできた歴史をひもとき、川内水源地、谷根・赤岩ダムの柏崎が誇る産業資産を多くの方々に知っていただくため、とりわけ柏崎の子どもに学んでもらうため環境整備を進めてまいります。
都市公園では、都市公園施設長寿命化計画に基づき、老朽化したトイレや遊具などの改築更新を引き続き実施し、快適な公園環境を提供してまいります。
空き家対策については、空き家の管理や活用に取り組む民間団体を空家等管理活用支援法人空家等管理活用支援法人空家等管理活用支援法人に指定し、官民連携により空き家の発生予防と適正な管理の意識啓発を行い、空き家の削減に努めてまいります。
住まい快適リフォーム事業については、若者世帯の定住の促進や子育て世帯と3世代同居世帯の支援制度を拡充いたします。また、公営住宅等長寿命化計画に基づき、市営松波町住宅E号棟の改修に着手します。
消防の分野では、火災予防対策として、住宅防火対策および事業所の違反是正を推進します。近年の救急件数の増加に伴い救急隊員を増員、西分署に化学消防ポンプ自動車を配備するほか、マイクロバス型の救急人員輸送車および消防救急デジタル携帯無線機の更新を行います。また、消防庁舎において女性専用の仮眠室などを拡充し、女性消防職員の活躍推進に取り組んでまいります。
消防団においては、小型動力ポンプ付積載車の更新、訓練や演習などの出動報酬の増額改定などを行い、地域防災力の充実強化と消防団員の士気向上に努めてまいります。
本市の地域防災力の高さは、先般の原子力防災訓練、また、北条地区で行いました夜間停電対応訓練においても目の当たりにしたところであります。災害が頻発化する今、常に一歩先んずる防災力を更に充実させ、面的に展開していく必要があります。的確な判断力を備えた地域人材となる防災士を計画的に養成してまいります。また、市民活動センターと連携した防災教育を推進し、次の世代を見据えた防災力向上に取り組みます。
防犯まちづくり推進計画と交通安全計画については、令和8(2026)年度から開始する次期計画の策定作業を行います。いずれも市民の生活と安全を守る基盤として、国や県の施策と連動させ、総合的な計画策定といたします。
消費生活センターでは、詐欺に関する相談が増加しています。消費者安全確保地域協議会と連携し、幅広く啓発に努め、特に多い高齢者被害の防止では、日頃の様子から見守り、早期発見につなげる取組を進めてまいります。
環境施策について申し上げます。
本市独自の指標2035年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けて、引き続き市民に向けた創エネ・省エネ設備の導入支援などを行うとともに、環境教育などを通じた普及啓発に努めます。また、事業者に対しては、国の支援制度の積極的かつ効果的な活用を促すなど伴走し、脱炭素に先進的に取り組むトップランナーの創出を進めてまいります。
また、水素エネルギーの自動車分野への展開を進める事業者とともに、水素の地域利活用を目指す取り組みを進めてまいります。
健全な社会生活基盤に不可欠な新ごみ処理場については、設計・建設・運営を行う事業候補者を選定しました。令和11(2029)年4月の稼働に向け、いよいよ事業を本格化させることになります。将来を見据えた適正な規模、排熱を効率的にいかす発電など、良好な生活環境を支える施設機能整備に努めるとともに、何よりも事業本格化に当たっては、地域住民の皆様の安全を最優先に取り組んでまいります。資源物回収拠点は、佐藤池運動広場と仮設として鯖石川改修記念公園に整備し、西本町センターと合わせ、利用しやすいリサイクル体制の維持、充実に努めてまいります。
自然環境の保全に向けては、生活圏への出没が増加しているイノシシなどの有害鳥獣に対し、関係機関と連携した捕獲資機材の増強、鳥獣被害対策実施隊の体制拡充などに努め、生活や農業被害の軽減に、最善を尽くしてまいります。
公共交通について申し上げます。
都市計画区域で運行しているAI新交通「あいくる」は、1日当たり約100人の皆さまからご利用いただき、順調に推移しています。郊外地域においても生活の足を確保するため、エリアの異なる郊外型の「あいくる」の運行を順次開始し、公共交通ネットワークの再構築を進めます。また、冒頭で申し上げましたように生活交通が崩壊の瀬戸際であります。運転士の確保、人材の有効活用など関係事業者と共に知恵を絞り、文字どおり汗をかきます。
鉄道では、新潟県の高速鉄道ネットワークのあり方検討委員会における「北越急行ミニ新幹線化」の案については、本市として、受け入れられるものではありません。まずは信越本線の利便性向上と安定運行が重要であり、引き続き、本市が事務局を務める上越・北陸新幹線直行特急実現期成同盟会の取り組みを中心に進めてまいります。
産業・雇用 ―「豊かさ」をつなぐまちをめざして
日本における喫緊の課題の一つとして、労働力人口の減少が挙げられます。本市においても例外ではありません。少ない働き手であっても、生産性向上を図ることが期待できる「産業のDX化」は、この問題を解決する有効な手段です。「DXチャレンジ支援事業」を始め、企業内デジタル人材育成のための「DX人材養成講座」や、また、市内中高生を対象とした「柏崎iT部活」などを通じて、デジタル人材の育成を推進します。このような取り組みは、市内のITベンダーから中心的役割を担っていただくことで、情報産業の振興にもつなげてまいります。
今日までの本市の経済発展は、ものづくり産業の成長なくしては実現できなかったと言っても過言ではありません。刻一刻と変化する社会経済情勢の下、ものづくり産業がこれからも本市の基幹産業としてあり続けるための取り組みを進めてまいります。
製造業にとって、稼ぐ力を高めながら持続的成長を実現するには、不断の投資が不可欠です。まずは、生産性の向上を進めるための事業投資です。設備投資に対する税負担の軽減や奨励金の交付を通じて事業者の意欲ある投資活動を後押します。また、新技術・新製品の研究開発や販路拡大に向けて、平成30(2018)年度から始めた知的財産権などの取得助成金事業も今まで、延べ34事業者178件に交付し、ものづくりにおける高付加価値化の取り組みを推進してまいりました。更に多くの企業が取り組んでいただけるよう周知に努めます。
次に人への投資であります。柏崎技術開発振興協会のものづくりマイスターカレッジにおける若手技能者の養成、業務に必要な国家資格の取得等の支援を通じて、競争力を支える技術の承継をバックアップします。
廃炉産業に関する調査研究では、今年度は廃炉先進地の視察を増やし、市内事業者の原子炉廃止措置に関する知識、意識の更なる向上を図ってまいります。
雇用や多様な働き方の創出について申し上げます。
あらゆる業種において人手不足は深刻さが増しています。高校、大学、産業、行政が一丸となって地元雇用につながる取り組みを推進します。また、企業情報の発信や採用手段の強化など、積極的に採用活動を行う中小企業を後押しし、労働力確保を図ってまいります。
人材確保には、働きやすい職場環境を始めとした企業の魅力向上も必要です。若者や女性、障がいのある方、外国人、子育て世代など多様な人々が生き生きと活躍できる環境整備の促進や、ワークライフバランスを推進する職場を増やす取り組みなど、多様な人材に選ばれる企業づくりを支援してまいります。
誰もが創業しやすいまち柏崎として、柏崎・社長のたまご塾を始め、充実した各種補助制度や金融支援の活用促進を図るとともに、U・Iターン者も含めた起業・創業への意欲を引き出し、応援してまいります。
商業について申し上げます。
柏崎商工会議所や柏崎市商工会との連携を軸に、柏崎あきんど協議会が実施する「はなまるクーポン」事業を始め、中心市街地の空き店舗を活用する創業者や販路開拓などの需要創出への支援を充実させ、意欲のある商業者の取組を強力に後押しすることで、商店街のにぎわいの創出と商業界の活性化を図ってまいります。また、市外、県外、海外で稼ぐ、インターネットを通した商売を改めて支援してまいります。
観光についてであります。
まず、道の駅「風の丘米山」の再整備であります。ロケーションが持つ可能性、魅力を認識しながら、原子力防災の観点から進められる緊急進入路事業、また国道を挟んだ民間事業者の整備動向にも目を配りながら検討を進めてまいります。
本市の観光入込客数は、国内外需要の高まりにより増加傾向にあるものの、コロナ禍以前の水準へのいまだ回復途上にあります。この追い風をしっかりと捉え、今年度が最終年度の柏崎市観光ビジョンの将来目標「観光を柏崎の力に」の実現に向けて、一般社団法人柏崎観光協会を始めとする関係者と連携を図りながら、各種施策を展開してまいります。
名実ともに日本一の海花火と自負する「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」は、一般社団法人柏崎観光協会と連携し、柏崎でしか観覧できない花火の迫力と美しさ、会場を盛り上げるイベントなど、五感を刺激する花火大会として打ち出すことで、誘客拡大を図ります。
海水浴場については、引き続き安全対策を講じ、安全・安心できれいな海水浴場への誘客を強化するとともに、かしわざきセントラルビーチに加え、海辺の更なる活用も検討してまいります。
米山、黒姫、八石の登山道整備を引き続き行うとともに、米山の大平コース登山口の大型バス駐車場や休憩所機能を備えたハイキングベースの整備を着実に進め、来春には供用を開始します。個人や団体の登山者の利便性と快適性を高めてまいります。八石山登山道追田口駐車場整備も進めてまいります。
農業について申し上げます。
昨年は、令和6年能登半島地震による農地被害、小雪による水不足など農業にとっては厳しいスタートとなりました。気候変動は、農業に対しても大きな影響を及ぼしています。しかしながら、農業者の高い技術と志により、お米を始めとするおいしい農産物を生産していただき、市民の食を支えておられることに改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。
柏崎市ブランド米コシヒカリ「米山プリンセス」は5者、10.26トンが認証されました。厳しい気候条件の中、認証者のみならず取り組んだ方々のチャレンジングスピリッツを感じるものであります。市場には、おいしい高価格米が多く出回っていますが、「米山プリンセス」は「食味値85点以上」というその基準で確実なおいしさを保証しているものであります。生産者の皆さまのご努力=おいしさを消費者にお届けする手伝いをしてまいります。
昨年は「令和の米騒動」と言われるほど、米不足が一時的に世間を騒がせました。その状況の中、貴重な一助となったのは、極早生(ごくわせ)品種である「葉月みのり」であります。引き続き生産者を始め関係機関と連携して、その価値を周知してまいります。
園芸作物の生産促進に継続して取り組みます。枝豆においては、柏崎の夏を彩る食の一つとして、消費者から好評をいただいております。農業者の安定した収入確保につなげるために、枝豆以外の園芸作物についても、消費者に安定的に供給できる生産体制の確立を目指します。
他の産業と同様に農業の人材不足が顕著です。一方、農業に興味を示す若者がいることも事実です。市内農業法人への就農体験、農業関連の学校訪問などを通じて、新規就農者の更なる確保・定着を図ってまいります。
昨今の世界情勢もあり、安全・安心な農産物を可能な限り国内で確保することが求められています。そのためには、地産地消への意識を生産者、消費者および流通事業者が共有する必要があります。現状を把握、分析し令和8(2026)年度から始まる第四次食の地産地消計画を策定します。
気候変動が著しい今、環境に配慮した農産物の生産体制が求められています。環境負荷の低減や温室効果ガスの発生抑制などに引き続き取り組んでまいります。
農地だけでなく住宅への浸水防止対策効果も見込める農業用たん水防除施設の役割は大きいものがあります。豪雨時に確実に稼働できるよう定期的に保守点検を実施します。
ほ場整備事業については、11地区で取り組み、農業生産基盤の強化を進めます。また、ほ場整備が入らない農地においては、畦(あぜ)抜きや水路整備により農作業の効率化を図り、兼業農家、集落営農の持続性を高めます。
本市には、3つの国営農業用ダムがあります。その一つである市野新田ダムの受益地でありながら、農業用水が届いていない別俣地区への給水に向けて測量設計が始まります。令和13(2031)年度の給水に向け、県と連携して進めてまいります。
農村振興総合整備事業については、田尻地区に着手します。排水路、集落道の整備に向け、測量設計を実施します。
林業について申し上げます。
先ほども申し上げましたように、昨年の12月、柏崎港から初めて柏崎産材を含めた原木が輸出されました。木材の国内需要が減少していく中で、森林整備による柏崎産材の販売先の選択肢が増えたことは、画期的な変化と言えます。柏崎地域森林組合、柏崎木材協会などの関係機関と連携し、柏崎産材の供給拡大に取り組んでまいります。
森林整備については、経営管理権を市が受託した高柳町岡野町地内で引き続き実施するとともに、石曽根地区においては、整備に向けた森林経営管理権集積計画を策定します。また、貴重な財源である森林環境譲与税の有効活用により、新たな担い手の確保・定着に向けた取組を支援し、市内で働く場を創出します。
水産業について申し上げます。
新潟漁業協同組合柏崎支所の活躍が目覚ましいところです。しかしながら、水産業においても気候変動の影響を大きく受けております。昨年の谷根川に遡上した鮭の数は925尾であり、記録のある限りでは過去最低の遡上数でありました。海の漁においても、影響が出ていると伺っておりますが、長い伝統を持つ柏崎の漁師の強い矜持(きょうじ)を今後も応援してまいります。タイ、アラ、サケ、ヒラメなど歴史あるおいしい柏崎産水産物の安定的な提供に向けて、漁業者、流通事業者および飲食業関係者と連携し、更なる地産地消、経済的な地域内循環を図ってまいります。また、奮闘する青海川のさけ・ます増殖事業協会を含め、人材の育成が必至であります。海に親しむ子どもたちを育むため、海の子ども育成地域の設定を検討いたします。
農業、林業、水産業は私たちの豊かな暮らしを支える大切な産業です。気候変動下、それぞれの産業に関わる方々の挑戦を応援してまいります。
健康・福祉 ―「健やかさ」をつなぐまちをめざして
市民の生命や健康、生活を守るため、医療分野および介護・障がい福祉分野における人材の確保・定着に全力を傾けてまいります。
介護・障がい福祉分野では、職場の魅力向上に向けたセミナーや情報交換会等を開催し、職員採用や若手職員のモチベーション向上を促進するとともに、事業者が安定的な経営を学ぶための機会を確保します。また、夜勤対応補助制度を福祉施設・救護施設に拡大するほか、福祉施設の従事者が医療的ケアや行動障害等の支援に必要な専門知識等を習得するための補助制度を創設します。
医療分野では、柏崎総合医療センターの研修医が着実に増加しています。病院、県および市の地道な努力が実を結び、今年度は昨年度の9人を上回る方が研修を行う予定としております。今後も、県や病院と連携して研修医の確保に努め、将来本市で活躍される医師の充実につなげてまいります。
昨年7月に経営危機を公表した新潟県厚生農業協同組合連合会に関連し、引き続き他の厚生連病院立地自治体と連携した支援と、国、県へ要望活動を行います。本市の地域医療において基幹的な役割を果たす柏崎総合医療センターに対しては、緊急的な財政支援を行います。
また、初めて新潟大学に寄附講座を設定し、幅広い年代の女性の健康や、生活の質の向上に資する研究に取り組んでいただき、併せて柏崎総合医療センターに産婦人科の常勤医師の派遣を受けます。市内で唯一お産ができる体制を維持し、市民や里帰りの方が安心して出産できる環境を確保します。
周産期医療を始め救急医療、透析医療など不採算医療であっても地域に必要不可欠な医療体制を必ず守ってまいります。
老朽化が進む養護老人ホーム御山荘の移転改修支援を行うほか、柏崎ショッピングモールフォンジェ内で実施しているコツコツ貯筋体操センター事業およびパワーリハビリテーションを一体的に運営し、介護予防に取り組む新たな利用者の開拓のため、利用が少ない男性への周知、呼び掛けを進めます。
生活習慣病やがんなどの病気の予防、早期発見・早期治療による健康寿命の延伸を図るため、健康診査やがん検診の実施体制を改善します。健康診査の集団会場に柏崎総合医療センターを加えるほか、複数のがん検診を同時に受診できる大規模会場を新設します。また、健康診査やがん検診の予約システムを導入し、待ち時間の少ない受診環境により、利便性を高めて受診率の向上を目指します。
子ども・子育て支援事業については、新たに5歳児健康診査を導入し、出産から就学前まで切れ目ない健診体制を整えることで、子どもの健やかな発育と発達を支援します。子どもの成長に合わせた生活習慣や育児不安への対応と、子どもの特性に合わせて就学に向けた適切な支援ができるよう、医療機関を始めとし、保健、医療、福祉、教育部局が連携した体制を整備します。
また、早期療育事業相談員を新たに配置し、保育所等へのきめ細やかな巡回相談支援によりインクルーシブ保育を推進するなど、地域における療育支援体制の充実にも取り組んでまいります。
妊婦またはお子さんの養育が困難な世帯への支援拡大として、育児支援ヘルパーを利用する際の自己負担額を減額し、育児負担の軽減につなげてまいります。
保育園における「こども誰でも通園制度」は、令和8(2026)年度の本格実施に向け、1年前倒しで試行的に取り組み、子ども同士の交流など家庭とは異なるさまざまな経験を通じて子どもの育ちを応援してまいります。
昨年度に改築した田尻保育園は、4月1日に安田保育園を統合し、市内最大の基幹保育園となります。一時預かり事業と併せて、子育て支援室「まんまる」を開設し、市内東部地域の子育て支援の拠点としての機能を強化してまいります。
こども自然王国については、子どもたちが豊かな自然の中で快適に施設を利用してもらえるよう、キャンプ場周辺の老朽化したトイレ2カ所の入れ替え・更新を行います。また、年次計画で進めている大型複合遊具の修繕を完了させるとともに、老朽化したカヌーの入れ替えを引き続き行います。
教育・スポーツ ―「たくましさ」をつなぐまちをめざして
中学生の学力を上げます。子どもたちの可能性をより大きなものにするためには、いかなる道に進むとしても基礎学力は重要であります。冒頭申し上げたとおりであります。
小・中学校の学区再編については、学区再編方針の一部を改定するとともに、付随事項に関する指針を設定しました。令和4(2022)年度から2年間にわたって行われた学区等審議会の答申内容、地域住民や保護者から寄せられた学校統合に対する意見および児童・生徒数の推移を反映させるためであります。今後も、子どもたちにとって望ましい学習環境を提供するため、統一性と計画性を持って取り組みます。
学区等審議会答申に基づき、東中学校と第五中学校の統合については、対象校区児童生徒の保護者、また、居住する未就学児の保護者を対象にアンケート、校区住民も加えた意見交換会も重ねて実施いたしました。その上で、令和9(2027)年度の統合を正式に決定し、今後は、地域やPTAから推薦された代表者による統合準備委員会を立ち上げ、統合に向けた具体的な準備を進めます。
令和5(2023)年度に統合を確定した剣野小学校、鯨波小学校および米山小学校は、統合後の名称を「西小学校」に、日吉小学校と中通小学校は、統合後の名称を「桜通小学校」とすることが、それぞれの統合準備委員会で決定されました。今年度も引き続き、統合に係る諸課題の検討と準備を進め、令和8(2026)年4月からは新たな小学校2校がスタートします。
今年度、小・中学校においては、個に応じたきめ細やかな学習指導を一層充実させるため、指導補助員を4人増員し、計51人にするとともに、新たに学習指導非常勤講師を5人任用します。
国のGIGAスクール構想による小・中学校の学習用タブレットは、配備から5年が経過した小学3年生以上用の機器を更新し、ICT環境の充実による効率的な学習活動を更に推進します。
学校施設整備に関しては、2カ年継続事業で実施する鏡が沖中学校大規模改修工事の2期工事、瑞穂中学校グラウンド改修工事の2期工事、荒浜小学校旧校舎解体工事および第二中学校の空調入替工事を行います。
また、学校トイレについては、これまで洋式化の推進に取り組んできましたが、今年度行う小学校5校と中学校3校の改修工事をもって整備が終了します。
学校給食関係では、食料品価格の高止まりが続く中、保護者負担を最小限に抑えつつ、安全・安心かつ良質な給食の安定した提供ができるよう、引き続き高品質で安価な食材の確保に努めるとともに、調理業務の更なる改善と効率化に取り組みます。
図書館は、年間25万人を超える多くの皆様からご利用いただいております。情報提供の拠点、文化・学習活動の場として、書籍等の整備を進めるなど、より一層サービスの向上に努めます。
また、今年度から開始する第三次子ども読書活動推進計画に基づき、子どもたちの人生をより豊かなものとするための読書活動を着実に進めます。
生涯学習の更なる充実と促進を図るため、第五次生涯学習推進計画を策定し、令和8(2026)年度の開始を目指します。
市民プラザでは、市民の誰もが学ぶ喜びを実感し、豊かで幸せな人生を過ごせるよう、多様な講座の開講に努めます。
スポーツ関係では、10月に5年ごとに開催している市民スポーツ最大のイベント「第12回市民大運動会」を開催します。前回、令和2(2020)年は、新型コロナウイルス感染症対策のため、WEB運動会として開催しましたので、市民の皆さまが一堂に会しての運動会は10年ぶりとなります。幅広い層の多くの市民がスポーツやレクリエーションに親しむ機会とし、スポーツを通じた地域づくり、健康づくりおよび生きがいづくりにつなげます。
「水球のまち柏崎」の認知度は海外に向けて飛躍的に高まっており、海外チームが本市で合宿を行う機会が増えています。関係機関や関係団体と連携し、水球を通じた国際交流や市民との交流拡大に取り組みます。
施設の改修では、昨年度から継続している駅前公園テニスコートの改修、武道館の屋上防水の改修工事および陸上競技場の写真判定装置の入れ替えを行うなど、利用者の利便性の向上と安全性の確保に努めます。長年の懸案事項でありますプールとアイスリンクの利用に関して県と協議を始めます。
魅力・文化 ―「柏崎らしさ」をつなぐまちをめざして
まず、国際交流の推進について申し上げます。
今年度は、友好都市締結から江蘇省淮安市淮安区とは30周年、四川省峨眉山市とは20周年の節目の年であるため、それぞれの市と対面での交流を再開してまいります。
旧市役所庁舎跡地利活用事業については、(仮称)柏崎セントラルガーデンの実施設計に着手し、新たなにぎわいの拠点となるよう引き続き取り組んでまいります。
文化会館アルフォーレでは、館内の照明設備をLED化するための工事を行うとともに、計画的な維持管理に努めることで、市民の文化・芸術活動を支援します。
文化振興関係では、市民の皆さまからひと足早い春を感じていただくため、「柏崎の花 ―Spring Collection」を継続実施いたします。「『花』を観るなら冬の柏崎」を更に定着させ、多くの市外・県内外の方からもお越しいただける「花」にまつわる企画展を開催します。
また、本市の文化振興に尽力されている柏崎文化協会の活動が、持続的に発展するよう支援します。
博物館では、多様な企画展、プラネタリウムの投影、ワークショップなどを通じて、本市の歴史や文化資産の学習機会を提供します。身近な学習拠点、地域の文化や郷土への愛着を深める教育施設として積極的に情報発信してまいります。
ユネスコ無形文化遺産に登録された国指定重要無形民俗文化財「綾子舞」については、関係機関と連携して保存伝承や後継者育成に取り組むとともに、その魅力を広く発信します。来年、令和8(2026)年は国の重要無形民俗文化財の指定を受けて50年の節目の年を迎えます。ユネスコ本部があるフランス・パリでの公演に向け準備を始めます。
ふるさと納税について申し上げます。
市内返礼品提供事業者の皆様、そして、多くの自治体の中から本市を選んでいただいている寄付者の方々のおかげをもちまして、昨年度4億7千万円を超える多くのご寄付をいただいております。今年度は、寄付目標額を5億円とし、引き続き貴重な財源確保に取り組むとともに、有用な事業をもってご寄付いただいた方々のお気持ちにお応えします。
シティセールス推進事業については、昨年度構築した公式LINEアカウントを活用し、引き続き、移住定住パートナーチームと連携して取り組むU・Iターンの促進やふるさと納税などの情報も含めた、複合的かつ効果的なプッシュ型の情報発信を行うとともに、特にLINE利用の多い若者をターゲットにした柏崎ファンクラブ新規会員の獲得にも努めてまいります。
自治経営 ―多様な主体と共創し共育するまちをめざして
現在、策定を進めている第六次総合計画については、総合計画審議会の議論等を踏まえ、これから進むべきまちづくりの指針となるよう、12月の市議会議決を目指して、引き続き作業を進めてまいります。
男女共同参画については、次期男女共同参画基本計画の策定において、ジェンダー平等を強く推し進める編成を目指してまいります。
北朝鮮による拉致問題については、風化防止に向けた拉致被害者による講演活動などを引き続き支援し、一刻の猶予も許されない拉致問題の全面解決に向け、関係市と連携し、強い決意をもって取り組み、発言、行動してまいります。
また、平和の推進については、戦後80周年を迎えることから、周年事業として被爆体験伝承者による「平和講演会」を実施し、平和意識の更なる醸成を進めてまいります。
人口減少下の今こそコミュニティ活動が重要であります。地域コミュニティ協議会への財政支援を拡充し、運営基盤の確立と地域づくりを担う人材育成を支援します。
地域おこし協力隊については、現在2人の隊員が、使命感をもって活躍し、高く評価されています。引き続き、きめ細かなサポートを行うとともに、募集から活動、定着に至るまでを一貫させ、新たな体制に再構築することで、隊員の増加を目指し、地域の活性化につなげます。
昨年、全国自治体DX推進度ランキング2024において、本市は、人口同規模以下で全国1位と評価されました。引き続き柏崎市DX推進計画の取り組みを進め、市民の利便性の向上と行政の効率化、とりわけ人件費の削減に取り組みます。
国が進める情報システムの標準化・共通化については、ガバメントクラウド上に構築する標準準拠システムへの今年度中の移行を目指し、着実に作業を進めてまいります。これに合わせて、令和8(2026)年2月から個人住民税について電子申告を導入します。また、戸籍法の一部改正による戸籍への振り仮名の追加記載については、5月26日以降に、戸籍に記載される予定の氏名の振り仮名を記載した通知書を全ての世帯に送付します。市民の皆さまが混乱なく、そして、手続方法を正しくご理解いただけるよう、分かりやすい事前周知に努めてまいります。
公共施設マネジメントにおいては、柏崎市公共施設等総合管理計画に基づき、旧石地小学校の用地測量および旧松波保育園の不動産鑑定を行い、未利用資産の有効活用を進めてまいります。
続いて、財政の観点から申し上げます。
本市が抱える懸案事項や各種課題を踏まえ、第五次総合計画後期基本計画に掲げる将来都市像「力強く 心地よいまち」を実現するため重点的かつ効率的に財源を配分いたしました。財源の確保に当たり、今年度は毎年の決算で発生している多額の不用額に着目し、全ての事務事業を実態に即して厳しく精査し、財源を確保いたしました。
なお、第六次総合計画策定に併せ、その財源の裏付けとなる財政計画を策定した上で、持続可能なまちづくりに向けて、未来への投資を着実に実行できるよう、引き続き堅実な財政運営に努めてまいります。
歳入では、まず、自主財源の根幹となる市税のうち、市民税については、人口減少が進行するものの、昨年度の収入見込み、税制改正および国・県の経済動向を踏まえて精査し、個人分と法人分全体で6.8パーセント、約2億9,544万円増の約46億6千万円を見込みました。固定資産税については、土地の下落傾向が継続しているものの、家屋の評価替えが行われない年度であることから、新増築分の増額分を反映し3.7パーセント、約3億1,088万円増の約87億4千万円を見込んでおります。本市独自の税であります使用済核燃料税については、青森県むつ市の中間貯蔵施設への搬出、サイト内における号機間輸送に加え、新たに経年累進課税分を計上し、9.0パーセント、約6,714万円増の8億1,387万円を見込んでおります。この結果、市税全体では、昨年度の当初予算額と比較して4.5パーセント、6億6,059万円増の約154億8千万円を計上しました。
歳入における市税割合は、30.9パーセントであり、昨年度とほぼ同水準となりました。人件費や原材料価格等の上昇など経済情勢の先行きに不透明感が継続する中、市税への影響を引き続き注視してまいります。
普通交付税については、市税収入見込額および国の予算編成の動向などを踏まえ、2億8,000万円減の65億4千万円を計上しました。また、臨時財政対策債については、地方債計画において平成13(2001)年の制度創設以来、初めて新規発行が計上されないことから、皆減としました。
電源立地地域対策交付金の国直接分については、柏崎刈羽原子力発電所1号機の40年経過加算分1億円を合わせ、約21億1千万円を計上しました。
歳入全体については、市民ニーズに対応するために不可欠な事業を着実に展開する必要があることから、財政調整基金13億円、減債基金約2億4千万円を繰り入れて収支のバランスを図ったところであります。
一方、歳出では、荒浜小学校改築事業、田尻保育園施設整備工事などの完了による減額はあるものの、産業団地事業特別会計繰出金13億円、小・中学校施設整備事業約7億9,600万円、鏡が沖中学校大規模改修工事などの学校施設長寿命化事業約7億7,200万円、ごみ処理施設建設事業約2億9,400万円、市営松波町住宅E号棟改修事業1億8,400万円、米山ハイキングベースを含む登山道遊歩道整備事業約1億5,900万円などの事業をそれぞれ予算措置しました。
以上申し上げた施策を計上した今年度の当初予算規模は、一般会計が501億円、昨年度比約4.8パーセントの増となりました。市債償還に係る借換債約5億2千万円を除きますと、実質的には約495億8千万円、昨年度比約4.5パーセントの増となりました。
むすび
8年間、全力で市政に当たらせていただきました。百億円単位の投資を新たに柏崎に導き、固定資産税を確保し、新たな税制構築を行い、堅実な財政運営を心掛けてまいりました。量より質、全国の地方自治体に先んずる市政を市民の皆さま、議会のご理解、市職員の協力のもと進めてまいりました。しかし、まだまだ私には至らないところがたくさんあります。ご批判、お叱りも頂戴しました。
日本は今、新潟県は今、柏崎は今。人口7万6千人の柏崎は、人口209万人の新潟県、人口1億2千万人の日本、人口81億人の世界と良くも悪しくもつながっています。
数年前から「不確実な時代」と申し上げています。30年以上も前から「気候変動・環境問題への対応」を申し上げています。柏崎市はこれらの問題を解決するべく、先頭に立ちます。歴史、伝統、柏崎が歩んできた道に誇りを抱き、「保守、そして進取、NEXT」挑戦いたします。
柏崎市民の皆様、市民の代表たる柏崎市議会の皆様の御理解とお力添えを心よりお願い申し上げ、施政方針といたします。
施政方針全文(ダウンロード用)
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更新日:2025年02月20日