原子力規制委員会及び原子力規制庁への要望書(令和3(2021)年1月28日)

東京電力柏崎刈羽原子力発電所でのIDカードの不正利用および7号機安全対策工事における一部未完了という2つの事案に関し、令和3(2021)年1月28日に原子力規制委員会と原子力規制庁の見解を求める要望書を提出しました。

その後、令和3(2021)年2月8日に原子力規制委員会より回答を受けました。

要望書および要望書への回答の内容は以下の通りです。

要望書

提出日

令和2(2021)年1月28日(木曜日)

宛先

原子力規制員会委員長 更田 豊志 様
原子力規制庁長官 荻野 徹 様

提出者

柏崎市長 櫻井 雅浩

要望内容

東京電力柏崎刈羽原子力発電所(以下「発電所」という。)におけるIDカードの不正利用及び7号機安全対策工事における一部未完了という2つの事案に関し、以下のとおり規制委員会及び規制庁の見解を求めるものである。

  1. 2つの事案は、いつ、どのような形で貴委員会及び御庁に届けられ、周知されたのか。
  2. 2つの事案は、どのように貴委員会及び御庁において審査、結論付けられたのか。
  3. IDカードの事案に関して、「発電所」は核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき、通知、公表できなかったと説明してきたが、正しい判断であったのか。
  4. IDカードの事案発生時は、貴委員会において正に「東京電力の適格性」が問われていた時期ではないかと推察するが、改めて「東京電力の適格性」を含め、今回の2つの事案に関する貴委員会の「対処方針」の決定は、いつ行われるのか。
  5. 今回の事案に関する貴委員会、御庁の取組及び考えを機会を見て市民に直接御説明いただくことを希望する。

回答書

回答日

令和3(2021)年2月8日(月曜日)

回答内容

令和3年1月28日付け要望書につきまして、以下のとおり回答します。

1.2つの事案は、いつ、どのような形で貴委員会及び御庁に届けられ、周知されたのか。

  • 「7号機安全対策工事における一部未完了」
    原子力規制庁の検査担当部門は、令和3年1月27日に東京電力から「工事の実施漏れが確認されたので本日プレスリリースする」旨の情報提供を受けました。事業者の工事の進捗(完了、一部未完了等)は 原子炉等規制法の規制対象ではないことから、本件について原子力規制委員会及び原子力規制庁内の他部門には周知されていません。
  • 「IDカードの不正利用」
    原子力規制庁は、令和2年9月21日に東京電力から「9月20日に同社社員が他人のIDカードを不正に使用して防護区域内にある中央制御室まで入域した事案が発生した」旨の報告を受け、再発防止の指導とともに原子力規制検査による事実確認を行いました。その後、令和3年1月19日に原子力規制庁から原子力規制委員会委員長に対して事案の概要の報告があり、1月26日開催の第51回原子力規制委員会臨時会議において原子力規制委員会に対して改めて報告がありました。

2.2つの事案は、どのように貴委員会及び御庁において審査、結論付けられたのか。

  • 「7号機安全対策工事における一部未完了」
    事業者の工事の進捗(完了、一部未完了等)は原子炉等規制法の規制対象ではないことから、本件について原子力規制委員会が何らかの対応をとることはありません。
    なお、原子炉等規制法に基づき設計及び工事の計画の認可・届出が行われた工事については、事業者は、使用前事業者検査を実施し、その結果について、認可・届出対象の施設・設備の供用開始前に原子力規制委員会の使用前確認を受ける必要があります。柏崎刈羽原子力発電所7号機については、東京電力から使用前確認の申請を受け、原子力規制委員会が使用前確認を逐次実施している状況であり、本件に係る設備についても、今後、東京電力が使用前事業者検査を実施した後、原子力規制委員会がその結果を確認することになります。
  • 「IDカードの不正利用」
    原子力規制庁は、本件に関する事実確認の結果を踏まえ、2月3日開催の重要度評価・規制対応措置会合(SERP予備会合)において暫定評価を行いました。これを受け、原子力規制委員会は、2月8日開催の第54回原子力規制委員会臨時会議において暫定評価(重要度「白」:安全確保の機能又は性能への影響があり、安全裕度の低下は小さいものの、規制関与の下で改善を図るべき水準)を了承し、同日、原子力規制庁は東京電力に同評価を通知しました。
    今後、東京電力に通知した評価が所定の手続を経て確定した後、原子力規制委員会は、原子力規制検査を通じて、確定した評価に基づく規制上の対応をとることになります。

3.IDカードの事案に関して、「発電所」は核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき、通知、公表できなかったと説明してきたが、正しい判断であったのか。

事業者が核セキュリティ事案を通知又は公表することは原子炉等規制法の規制対象ではなく、個々の事案に応じて事業者が判断するものと承知しています。ただし、原子炉等規制法は事業者に核物質防護に関する情報の管理を規制要求していることから、事業者が核セキュリティ事案を公表する場合には、施設の脆弱性を明らかにすることにつながらないよう、発生したという事実を含む事案の概要が事業者の実施する再発防止策の完了まで部外に提供されないことが望ましく、通知・公表のタイミングや内容に十分留意する必要があります。

4.IDカードの事案発生時は、貴委員会において正に「東京電力の適格性」が問われていた時期ではないかと推察するが、改めて「東京電力の適格性」を含め、今回の2つの事案に関する貴委員会の「対処方針」の決定は、いつ行われるのか。

  • 「7号機安全対策工事における一部未完了」
    事業者の工事人直(完了、一部未完了等)は原子炉等規制法の規制対象ではないことから、本件について原子力規制委員会が何らかの対応をとることはありません。
  • 「IDカードの不正利用」
    令和2年4月の原子力規制検査の開始以降、保安規定や核物質防護規定に違反する恐れのある個別事案については、原子力規制検査の枠組みのもとで事案の評価を行い、その評価に基づき規制上の対応をとることになりました。本件についても、時期未定ですが評価が所定の手続きを経て確定した後、原子力規制委員会は、原子力規制検査を通じて、確定した評価に基づく規制上の対応をとることになります。
    なお、原子力規制員会は、平成29年12月27日に柏崎刈羽原子力発電所6号機、7号機の新規制基準適合性に係る設置変更許可を行うに当たり、技術的能力の審査の一環として原子力発電所を設置、運転する適格性を有していることを確認しました。令和2年10月30日に柏崎刈羽原子力発電所に係る保安規定変更許可を行いましたが、その審査は、上記「適格性の審査」の際に東京電力の確約した取組が保安規定の内容に反映されていることを確認するものでした。

5.今回の事案に関する貴委員会、御庁の取組及び考えを機会を見て市民に直接御説明いただくことを希望する。

柏崎市内で開催予定の住民説明会において説明いたします。

関連書類

この記事に関するお問い合わせ先

危機管理部 防災・原子力課 原子力安全係

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新潟県柏崎市日石町2番1号 市役所 本館3階
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更新日:2021年02月09日