令和6(2024)年度の市長随想

このページは、「広報かしわざき」に掲載した記事をもとに作成しています。

合唱(広報かしわざき2024年5月号)

それぞれの月には四季を表す枕ことばが付くこともあろうが「風薫る五月」ほど私たち日本人の感覚にピッタリとくるものはないのではないか。

春、初夏の山中にも芳香が放たれている。酸っぱいような香りである。
ツクシやショウジョウバカマなど比較的群落を作る草花由来かと思っていた。
専門家によれば落ち葉が太陽で温められ、発酵するときの香りかもしれない、という。
針葉樹、落葉樹、下草、その地域の植生が複雑に絡み合い、発した揮発性有機化合物、ということになるらしいのだ。
少し情緒的に言えば調和したものであろうといわれている。
文末の写真は、どちらかというと日差しが苦手なフッキソウと日なたを好むタチツボスミレが同居している様子である。

調和、ハーモニー。古代ギリシア語、ラテン語harmonia を語源とすると言われている。
満天の星空を見上げたギリシア人が、多くの星がぶつからずに存在している様子を表現したものだともいう。

さて、先日、鯖石小学校と高柳小学校の統合式が開かれた。
結びは校歌斉唱。校歌は合唱曲であった。
パートに分かれ、合唱ができるんだ! 私は驚き、そして感動した。

さまざまな曲折を経て、統合に至り、両校の子どもたちが声を合わせ、心を合わせ合唱している。
私は安堵した。かわいらしい、そして美しいハーモニーであった。

児童代表のあいさつも立派で「僕は先頭に立って大きな声であいさつをしたいと思います」と両校出身者が仲良く進むことの決意を述べた。

私は「黒姫から流れ出た水、八石から流れ出た水、合わせ鯖石の水となります」と話した。
まさに新たなハーモニーが生まれ、子どもたちの可能性がより大きなものとなることを確信した。
会場には地域の皆さまの温かな気持ちがあふれ、外はうららかな日差しが降り注いでいた。

写真:中央に葉の先端に入る緩い切れこみが特徴のフッキソウがあり、その周りにと、5~6輪ほどのタチツボスミレが咲いています。タチツボスミレは立ち上がった茎に、濃紫色の筋が入った薄紫色の花びらが特徴的です

フッキソウとタチツボスミレ

ライバルあれこれ(広報かしわざき2024年4月号)

春はあけぼの
やうやう白くなりゆく山ぎは
すこしあかりて
紫だちたる
雲の細くたなびきたる

『枕草子』の冒頭部分である。
作者は清少納言。
平安時代、今から約千年前の作品。
昔、覚えさせられた、という人も多いだろう。
何度口ずさんでも美しい春の描写である。

この当時、女性の本名は明らかにされず、清少納言(せい しょうなごん)は通称である。
「清」は生まれた清原姓を意味し「少納言」という官職に就いている男性、の関係者という感じになる。
今から見れば女性を官職にひも付けして呼ぶなど随分理不尽な話である。

ライバルは紫式部。NHK大河ドラマ「光る君へ」主人公のモデルとされる女性である。
作品は『源氏物語』。
ほぼ同時代に生きた才女二人で、元祖ライバルと言っても良いかもしれない。
残念ながらあまり仲が良くなかったというか、お互いにかなり厳しい指摘が作品に見える。

それぞれの作品の中には花も出てくる。
花といえば、奈良時代までは中国伝来の梅、平安時代以降は日本の山に自生の桜、と決まっている。
微妙にライバル。
また、国語の先生みたいになってしまって恐縮である。

写真:薄紫色のカタクリと白色のカタクリが並んで咲いています

紅白のカタクリ

「この桜吹雪に見覚えがねえとは言わせねえぜ」と言うのはご存じ?遠山の金さんだが、「花吹雪」を世界一美しい言葉、と讃えたのは哲学者の谷川徹三氏である。
もちろん二人はライバルではなく、時代、虚実を超えた桜花に魅せられし同好の士?であろうか。

「ひとそれぞれ好みはあるけど どれもみんなきれいだね」とSMAPも歌っていた。
タンポポの黄、オオイヌノフグリの青、オウレン、トキワイカリソウの白、ショウジョウバカマ、カタクリ、花桃のピンク、タチツボスミレの薄紫。
みんな仲良く咲いている。
山紫水明。
皆さん、柏崎の山野に花を見に出かけましょう。

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更新日:2024年05月02日