令和3(2021)年度施政方針
令和3(2021)年度施政方針
はじめに
令和3(2021)年度当初予算を御審議いただくに当たり、柏崎市民の皆様、市民の代表たる柏崎市議会の皆様に施政方針を申し述べます。
昨年、令和2(2020)年9月、菅義偉政権が誕生いたしました。今年、令和3(2021)年1月18日、施政方針演説がなされ、キーワードは「グリーン」と「デジタル」でした。2050年カーボンニュートラルの実現を打ち出し、脱炭素時代の到来を力強く宣言されました。また、あらゆる領域におけるDXすなわちデジタルトランスフォーメーションを求められました。
翌々日1月20日、アメリカではジョー・バイデン氏が合衆国大統領に就任されました。御本人は78歳という合衆国史上最高年齢であり、副大統領として指名されたカマラ・ハリス氏は女性、黒人ということで、いわゆる2つのガラスの天井を打ち破る壮挙と報じられました。直前には連邦議事堂へのデモ隊乱入があり、世界が憂慮しました。トランプ前大統領からの引継ぎを含め、実にダイナミックな民主主義国家であることを改めて実感させられました。バイデン大統領が就任直後、数時間後に署名した大統領令は、気候変動、温暖化を防止するパリ協定への復帰に関するものでした。
明治に生きた実業家、渋沢栄一が脚光を浴びています。「富をなす根源は何かといえば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。ここにおいて論語と算盤という懸け離れたものを一致せしめることが、今日の緊要の務めと自分は考えているのである。」(渋沢栄一「論語と算盤」)
私は、繰り返しになりますが、異なるものの組合せから新たなものが創造できると考えております。漸進的ではありますが、確実に変わろうとする心持ち。そこに現代の言葉で言えばイノベーションが生まれるものと考えておりました。しかし、時代の動きは早く、イノベーション改革からレボリューション革命を求められている感さえあります。ウィズコロナ、ポストコロナ、アフターコロナの時代は外的要因のみならず、私たちの内的要因、つまり意識改革・意識革命が必要であります。
今年、令和3年2021年は柏崎にとっても、日本にとっても、世界にとっても大切な年、歴史的な1年になります。この1年を乗り越え、柏崎の可能性を拓いてまいります。
なお、本演説において、「今年度」とは令和3(2021)年度、「昨年度」とは令和2(2020)年度を指すことを、あらかじめ申し上げておきます。
2021年度の重点施策
防災・生活・環境 ―「頼もしさ」をつなぐまちをめざして
私は、従来から原子力発電所の条件付き再稼働容認、7つ全ての再稼働は、認めないと申し上げてまいりました。昨年10月に、柏崎刈羽原子力発電所7号機は、国の原子力規制委員会による安全審査が全て終了しました。
昨年11月には柏崎市長選挙があり、私自身も様々な政策を訴え、約束11(イレブン)として市民の皆様に私の考え方を明示し、様々な場面で訴え、再選をさせていただきました。私の原子力政策、再生可能エネルギー政策、環境エネルギー産業の構築に関しても多くの市民の皆様から御理解をいただいたものと考えております。
しかるに1月23日に報道された東京電力ホールディングス株式会社社員によるIDカードの不正使用、中央制御室への入室。その後、明らかになったIDデータの書換え。また、工事の未完了。あまりにもの事態でありました。
再稼働に関する今後の日程、見込みもつかないような状況であります。少しでもこの事態を打開することができるのは唯一、東京電力ホールディングス株式会社自身です。東京電力ホールディングス株式会社への信頼の回復であります。誰もが納得できる、原因の分析、明示、責任の所在の明確化、そして、改善策であります。繰り返しになりますが、誰もが納得できる取組が必要です。覚悟が必要です。
原子力防災に関する動きについては、昨年9月に本市広域避難計画を見直し、10月には、県主催による実働の原子力防災訓練、本年1月には、かねてより求めてまいりました冬季避難訓練が初めて行われるなど、着実な進展が見られます。
本市広域避難計画の見直しにより、本年2月には、防災ガイドブック原子力災害編をリニューアルしたことから、市民への避難計画のより一層の周知に努めてまいります。
また、昨年度に引き続き、原子力防災訓練を県や関係市町村とともに実施してまいります。要配慮者の避難など様々な場面を想定した広域避難訓練を実施し、避難における問題点や課題をしっかりと洗い出し、その対策を講じてまいります。
県を通して国の採択を受けた原子力災害時避難円滑化モデル実証事業が、3か年事業の2年目となります。冬期間における道路状況の早期把握、停電時の電力確保などの事業により避難の円滑化を図ります。本年1月の豪雪においては、避難経路の確保が課題となったことから、市民の安全と安心を確保するため、国に対し原子力災害時における避難経路の確保について緊急要望を行いました。冬期間、積雪時など悪天候時の避難につきましては、PAZ、UPZ問わず、自衛隊の出動要請が柔軟にできるようにするなど、今後とも、国、県と連携してまいります。
改めて申し上げます。私は、柏崎にとっても日本にとっても当面の間、原子力発電が必要である、再稼働の意義はある、と考えております。並行して徐々に確実に減らしながら、再生可能エネルギーを含め、「環境・エネルギー」を柏崎の新たな産業としていかなければならないと考えております。
原子力発電に関しては、地域の実情を踏まえた課題の解決と防災対策の充実に、国が主体的に取り組むことが必要であり、そのための財源を法により担保するためにも「原子力災害対策特別措置法」の改正が必要であると考えます。
また、今般のIDカード問題などを受け、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の改正や紳士協定にとどまっているいわゆる「安全協定」の法的根拠の付与等、国並びに関係者、関係機関とも意見交換、研究を始めたいと考えます。
災害時に、市民の適切な避難行動を促すために重要な防災情報通信システムの更新に取り組み、整備3年目の最終年度となる今年度は、コミュニティFM放送の通信回線の強靭化を図るため、無線中継所を山本、西山、高柳及び善根地内に新設します。
あわせて、FM放送の難聴地域を解消するため、受信障害対策中継局を米山町、笠島、青海川及び石地に新設します。また、緊急告知ラジオも、昨年度に引き続き、各世帯等に配布し、確実な情報伝達に努めてまいります。
九州、中部、東北地方を始めとする「令和2年7月豪雨」など、気候変動に伴い激甚化・多発化する気象災害に備えるため、鵜川治水ダムの早期完成や鵜川・鯖石川などの河川改修工事の促進を事業主体である新潟県に強く要望するとともに、城東・宮場町地内の浸水被害軽減に向けた排水ポンプの施設整備や、大日川の河川改修工事に着手してまいります。
あわせて、市街地低地部の内水対策について、常盤台地内の鵜川左岸第5雨水調整池の本体工事に着手します。また、浸水被害の発生している茨目三丁目地内、国道8号柏崎バイパス予定地付近の両田尻川について、水路拡幅工事に着手するとともに、若葉町地内、旧カシックス前市道の測量調査設計に着手し、浸水解消に向けた取組を継続して進めてまいります。
ライフライン機能保全のため、水道事業は、赤坂山浄水場で市内のポンプ施設、配水施設を監視する遠方監視装置(テレメーター)が老朽化したことから、更新工事に着手するとともに、主要な水道管路の耐震化を進めます。
下水道事業は、令和6(2024)年度完成に向け、し尿受入施設建設のための実施設計を行うほか、農業集落排水中通地区の機能強化対策事業を継続して行います。
冬期の除雪体制を堅持するために、除雪機械の計画的な更新を進めます。また、除雪事業者への支援として待機料の増額、担い手不足や高齢化により除雪オペレーターの確保が難しい状況を踏まえた育成支援に取り組みます。
都市公園の整備につきましては、老朽化した施設の長寿命化を図るため、「都市公園施設長寿命化計画」に基づき、計画的に改築更新を進めるとともに、赤坂山公園の再整備工事を継続して実施します。
空き家対策につきましては、連携協定を締結している専門団体の協力を得て、無料相談会等を引き続き実施し、管理不全空き家の発生予防と適正な管理に向けた意識啓発を行ってまいります。また、空き家バンク制度と住まい快適リフォーム事業を組み合わせ、U・Iターン、移住・定住の促進にもつなげながら、空き家の流通促進を図ってまいります。
道路や橋りょうを始めとする社会基盤は、市民の日常生活、経済活動を支えるとともに、災害時の住民避難と復旧復興に必要不可欠であります。
国道8号柏崎バイパスは、剣野地区の(仮称)柏崎トンネルが昨年7月に貫通し、城東から鯨波区間の早期の供用開始が期待されるところです。今後とも、事業の進捗、早期の全線開通を国に強く訴えてまいります。あわせて、国道8号柏崎バイパスへの重要なアクセス道路となる都市計画道路「宝田北斗町線」の用地測量を実施し、引き続き事業進捗に努めてまいります。
また、国道252号田島地内の山根橋のクランク解消、国道352号荒浜バイパスの早期工事着手、その他にも国道353号、国道291号など、山間部の冬期における交通確保のために、幹線道路ネットワークの整備促進を国、県に求めてまいります。
開港50年を迎える柏崎港につきましては、記念事業として海上自衛隊舞鶴地方総監部の御協力の下、市内小学6年生全員を対象にした体験乗船会を行います。子どもたちには港の大切さ、魅力、可能性について学び、ふるさと柏崎を海上から眺望することによって将来の柏崎について考える機会を提供いたします。
消防の分野では、住宅防火対策と建築物などの違反是正を推進し、出火防止と被害軽減に努めます。また、新たに赤外線検知システムを搭載した無人航空機ドローンと映像伝送システムを整備し、捜索活動及び大規模災害発生時における迅速な情報収集体制を強化します。
消防団活動に対しては、防火衣などの災害対応に必要な装備を順次整備するとともに、消防団員の災害活動の負担軽減を考慮し、班の再編成による地域防災力の維持・充実強化を図ります。
新潟県中越沖地震を始め様々な災害から得た経験と教訓を風化させることなく、次世代に継承していかなければなりません。中越沖地震メモリアル施設が防災教育の拠点となり、小中学校等への防災教育の充実を図り、柏崎市らしい防災力の向上を目指します。
福島第一原子力発電所事故から10年を迎え、長期にわたって避難生活を本市で送られている方々においては、地域とのつながりができ、生活基盤も比較的安定してきた方々が多く見られます。これまで避難した方々の交流拠点であった「あまやどりサロン」は、本年3月をもちまして閉所いたしますが、継続支援が必要な方に対しては、今後も、きめ細やかな支援を行ってまいります。
国が掲げる2050年カーボンニュートラル実現を前倒しし、2035年(令和17年)、脱炭素のまち・柏崎市の実現に向け、推進体制を強化して取り組んでまいります。
本年11月に開催される第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)を踏まえ、地球温暖化対策実行計画の見直しを行うとともに、燃料電池などの低炭素型機器の補助枠の拡充や電気自動車の普及促進を図ってまいります。また、公共施設における省エネルギー設備や再生可能エネルギーの導入を積極的に進め、今年度は、消防本部に地中熱利用設備を、荒浜コミュニティセンターに太陽光発電設備を設置します。あわせて、小中学生向けの環境教育プログラムの実施や、本市独自事業であるECO2プロジェクトの参加事業者の増加を図るなどの意識啓発の取組も引き続き推進してまいります。
ビーチクリーナーの入替えによる清掃作業の効率化を図り、海岸の環境美化に取り組んでまいります。
昨年度改定した一般廃棄物処理基本計画に基づき、ごみと資源物の排出削減・再資源化の取組を進め、食品ロスの削減や資源循環に関する情報発信を進めます。また、廃棄物処理施設では、安定処理と延命化のために適正な維持管理を継続するとともに、新たなごみ処理施設の建設に向けた生活環境影響調査を実施します。
公共交通に関して申し上げます。路線バスについては、人口減少を始めとする様々な要因により、利用者の減少が進んでいます。コロナ禍においては、更に利用者が激減しています。この状況に運転士不足が加わり、路線バスの維持が年々困難な状況になってきており、減便、路線縮小の打診がある中、引き続き運行事業者と連携して生活交通の維持・確保に努めてまいります。越後交通株式会社が運行する市内の全バス路線に拡充した高齢者割引制度は、実施から1年半が経過しようとしていますが、この間、コロナ禍における外出自粛が影響し、十分な検証ができない状況にあります。今年度も継続して高齢者割引制度を試行し、高齢者の利用促進を図るとともに、その効果を検証してまいります。
また、高柳町と西山町の地域内交通の運行について、費用対効果、公共施設、コミュニティ施設の再配置などを見ながら、利便性向上を図るため、今年度中のデマンド・ドアトゥドア方式などの検討・導入を目指します。
鉄道交通については、利便性の向上について、東日本旅客鉄道株式会社など鉄道事業者に引き続き要請してまいります。3月13日のダイヤ改正で、3年連続で長岡駅での上越新幹線と信越本線の接続が改善されることになりました。毎年実施している地道な要望活動が実を結んでいるものと承知しております。今後とも、新潟県や関係機関と連携し、鉄道利用の促進や、上越新幹線と北陸新幹線を結ぶ信越本線などの鉄道交通のネットワークの強化と高速化に取り組んでまいります。
このような公共交通の現状を踏まえ、昨年度、策定に着手した新しい公共交通計画の内容を、本市と国や新潟県、関係機関、学識経験者及び利用者で構成する柏崎市地域公共交通活性化協議会で議論し、これからの公共交通の在り方や新しい技術の導入を盛り込むとともに、立地適正化計画の策定と連携して作業を進めてまいります。
テレビの視聴に支障がある地域の共同視聴組合に対する支援策については、これまでの制度を拡充して、組合が保有する設備の修繕等に係る経費の一部を補助し、安定したテレビ受信の確保を図ります。
産業・雇用 ―「豊かさ」をつなぐまちをめざして
新型コロナウイルス感染症による影響は、製造業、飲食業、宿泊業を中心に全産業に及び、市内の景気・経済は非常に大きなダメージを受けました。そのため、令和2(2020)年3月から数次にわたり、小規模事業者経営支援補助、事業継続支援補助、ものづくり産業雇用維持奨励金、元気発信プロジェクト事業など、市独自の経済支援対策を実施し、事業継続や雇用の維持、消費喚起などを図ってまいりました。ワクチン接種の効果に期待するものの、感染症は、いまだその収束が見通せません。更なる対策が必要であります。必要な施策を、時を置かず展開し、力強く柏崎経済を支えてまいります。
まず、人材の確保であります。
新型コロナウイルス感染症の影響により、市内企業の採用活動は多様化してまいりました。新規に採用活動支援補助金を創設し、オンライン就職説明会など新たな手法で採用活動に取り組む市内中小企業に対し、その活動費用を補助するとともに、就職情報サイトへの登録に係る経費の助成を継続し、企業の人材確保を支援してまいります。また、本市が構成員となっている柏崎職安管内雇用促進協議会における、高校生や大学生などを対象とした企業説明会やホームページなどを充実させ、若者の地元定着の促進と柏崎管内の労働力確保を図ります。
さらに、地域経済を支える製造業においては、将来のものづくりを支える優秀な人材を確保するため、高校生にはインターンシップによる職場体験の場を確保するとともに、大学生に対しては、製造業を中心とした企業見学会を昨年度に引き続いて実施してまいります。
働きやすい職場環境の整備も、人材確保には重要であります。職業生活と家庭生活との両立支援に取り組む事業者や、職場における女性の活躍を推進する事業に対し、奨励金や助成金を交付し、優良な職場環境の整備を進めます。
障がいのある方の雇用率向上は、喫緊の課題として捉えています。このため、引き続き、障がい者活躍推進アドバイザーを派遣し、障がい者雇用を目指す事業者に対し助言などの支援を行います。あわせて、国の障がい者トライアル雇用助成金制度を活用し、試行的に障がい者雇用を行った市内事業者に対し、市の助成金を上乗せ交付することで障がい者雇用の促進を図ってまいります。
市内中小企業等の資金調達については、金融機関との協調融資を引き続き実施するとともに、借入時に係る信用保証料や利子の一部を補給することにより、事業者の資金需要を支援してまいります。
商業においては、売上げの減少等により、多くの事業者が厳しい経営を迫られる状況を受けて、小規模事業者経営支援補助や元気発信スタンプラリー、かしわざきスーパーGOTOイートなどの消費喚起対策等を実施してきたところであります。しかしながら、いまだ景気の回復基調には至っていない状況にあります。昨年実施した市内消費動向調査の分析を参考に、柏崎あきんど協議会が実施する各種事業や商業活性化イベントについて、工夫を凝らした中で実施することにより、商業の活性化を図ってまいります。
また、引き続き起業・創業を支援するため、柏崎商工会議所が実施している個別創業相談や、柏崎信用金庫が実施する創業塾「柏崎・社長のたまご塾」などと連携するとともに、創業時の広告宣伝費や事業所の改装費用、家賃等への補助を行うなど、「創業しやすいまち柏崎」の環境を整え、創業への意欲を引き出してまいります。
市内中小企業等が担う経営資源を保全し、地域経済の持続性を高めるためには、事業承継の推進が肝要であります。このため、セミナー等を通してその重要性を普及・啓発するとともに、事業承継を行う事業者に対し、必要な経費の一部を補助することで、積極的に支援してまいります。
観光についてであります。全国的な外出自粛ムードの中で、日本全体の観光産業は、未曽有の大打撃を受けました。市内におきましても、宿泊業は年間を通じて低迷し、本市観光の中心である夏の海水浴シーズンにおいても、昨年は前年比32.4%の入込客数にとどまるなど、各種イベントの中止も含めて、新型コロナウイルス感染症の影響が直撃した結果となりました。このため、昨年度策定した柏崎市観光ビジョンにおいては、アフターコロナの時代を踏まえた市内観光業の大きな転換期であることを意識しながら作り上げたところであり、このビジョンの具現化により観光産業の高度化に向けた取組を積極的に進めてまいります。
具体的には、リーディングプロジェクトとして取り組む、市内三庭園(松雲山荘、秋幸苑(飯塚邸)及び貞観園)に食や文化を組み合わせたプレミアムツアーを柱として市独自の観光キャンペーンを展開します。また、意欲ある観光事業者・団体等が取り組む、体験型・滞在型の観光商品開発を支援し、それぞれのアイデアを実行につなげてまいります。
昨年中止の決断を余儀なくされた、えんま市やぎおん柏崎まつり海の大花火大会などは、感染症対策を講じた上で、市民の皆様を勇気付けられるよう内容を工夫し、より充実させたものにして開催したいと考えております。
柏崎の海は、大切な財産であり、観光資源であります。昨年オープンした「かしわざきセントラルビーチ」や全面リニューアルした柏崎港観光交流センター「夕海」につきましては、引き続き、一般社団法人柏崎観光協会と連携しながら、海の魅力を最大限活用し誘客を図ってまいります。県内トップクラスの誘客を誇る石地海水浴場を始め15の海水浴場、さらには、番神自然水族館をよりにぎわいのある空間となるよう充実させ、「新たな海の柏崎モデル事業」を進めてまいります。
市内観光施設は、新型コロナウイルス感染症の影響により、大きなダメージを受けました。公共施設である、柏崎海洋センター「シーユース雷音」、高柳じょんのび村、西山自然体験交流施設ゆうぎ、大崎温泉雪割草の湯、西山ふるさと公苑なども同様であります。それぞれの施設の魅力や特徴をいかしながら、新しい経営スタイルを確立することで、集客力のある施設運営を目指してまいります。
なお、交流観光の拠点である高柳じょんのび村につきましては、引き続き厳しい経営状況が見込まれています。このため、魅力ある資源の有機的な連携による地域振興を図るとともに、新たな人材の投入などの経営体制の強化を始めとする抜本的な経営改善に対し、積極的な支援を行ってまいります。
本市の基幹産業であるものづくり産業についてであります。この1年、事業継続や雇用維持への様々な緊急経済支援を実施してまいりました。「ものづくり産業雇用維持奨励金」は、今年度も継続し、企業活動の実態と国の制度改正に応じた見直しを行いながら、ものづくり産業をしっかりと守っていく決意であります。
長期化するコロナ禍に加え、脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーの活用や政府の方針に基づくEVシフトの加速化を受け、本市のものづくり産業は、大変革期にあると言えます。これらの状況を踏まえて、新たな成長に向けた積極的な投資に対し、ものづくり産業等事業構造強化促進補助金を国の補助金に上乗せし、将来を見据えた事業構造改革への取組を強力に支援してまいります。
ものづくり産業の精密かつ高度な技術を継承するため、人材育成に引き続き努めてまいります。若手人材育成の中核的機能を担う「ものづくりマイスターカレッジ」は、今年度で16年目を迎えます。昨年には、「ものづくりマイスターカレッジ」において学びを共にした技能検定有資格者を中心に構成する「柏崎地域機械技能士会」という団体が新たに発足しました。こうした団体とも連携しながら、個別企業の要望に応じた教育訓練を行い、従業員の定着支援や更なる技能士の養成を進めてまいります。また、産学連携による技術者講座の実施や業務に必要となる国家資格等の受験料、研修受講料を助成し、優れた若手技術者の育成を後押ししてまいります。
柏崎市企業振興条例に基づき、工場の新増設や機械装置の取得、更新に際し、各種奨励金の交付や固定資産税の減免により、設備投資による生産性向上を支援します。加えて、知的財産権や国際規格認証の取得、新技術・新製品の研究開発やビジネスマッチング、販路拡大に向けた見本市への出展等を支援し、企業価値の向上や競争力強化に向けた積極果敢な取組を支援いたします。
ICTの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるというDXや高速・大容量の移動通信システムである5G、アフターコロナの時代への対応など、情報産業を取り巻く可能性や市場規模は計り知れないものがあります。また、従業員1人当たりの付加価値が高く、若者や女性の雇用の受け皿となり得る産業でもあります。情報政策官の助言を受けながら、高度IT人材の育成、IT商品の開発などの支援を通じて情報産業の更なる振興を図り、令和10(2028)年までに売上規模70億円を目指します。
また、採択から4年目を迎える地方版IoT推進ラボにおいても、市内外のネットワークを最大限活用した普及啓発事業を進めていくとともに、製造業のDX化を一層推進していくため、デジタル投資や企業内デジタル人材の育成を一体的に行う新たな事業に取り組み、労働生産性の向上や稼ぐ力の拡大に取り組んでまいります。
廃炉産業に関する調査研究については、国、新潟県、新潟工科大学、東京電力ホールディングス株式会社、柏崎商工会議所及び市で構成する勉強会を令和元(2019)年度末に立ち上げました。引き続き、現状や課題に対する検討を重ねるとともに、廃炉先進地の視察を行うなど、歩みを進めてまいります。
柏崎フロンティアパークについては、今現在、未契約は4区画となりました。この区画の早期譲渡を目指すとともに、既に進出が決定した事業者への操業開始に向けたサポートを行い、新たな雇用と経済活動の創出を図ります。さらに、全区画譲渡を見据えた新たな工業用地の在り方について研究してまいります。
農業においても、新型コロナウイルス感染症が影を落としています。
昨年、全国の米の販売数量は、外出自粛の影響で一時的に家庭用需要が増加した時期もありましたが、中食・外食事業低迷の中で、業務用米を中心に需要は減少しています。このため、国は、令和3(2021)年産米の適正生産量を昨年より30万トン以上少ない693万トンに設定しました。これを受けて、柏崎市地域農業再生協議会においては、今年産主食用米の生産目標数値を6.8%減の1万4,210トンとしたところであります。
このように稲作を取り巻く環境は厳しさを増す中ではありますが、柏崎産ブランド米「米山プリンセス」は、昨年の認定数量が約7トンに達し、ようやく販売ベースに乗せることができました。引き続き、希少価値のある「プレミアム米」として、その認証数量の拡大を支援するとともに、積極的にPR活動を進めてまいります。また、「米山プリンセス」をトップリーダーとして、新潟県や柏崎農業協同組合と連携しながら、加工用米、業務用米を含めた柏崎産米の品質向上や有利販売の取組を進めてまいります。
農業経営が持続的に発展するためには、米だけに依存せず、経営基盤を強化することが重要であり、「儲(もう)かる農業」に向けて、園芸振興により経営の幅を広げることが肝要であります。このため、必要な設備整備を支援することで、枝豆、玉ねぎなどを中心とした園芸作物の生産拡大を図り、生産者の所得向上を目指してまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響で昨年度は開催を見送った「秋の収穫祭」については、その規模と内容を拡大して実施する方向で検討しており、「食の地産地消フェア」などとともに、食の地産地消の普及・啓発に取り組んでまいります。
農業における人材確保・育成については、昨年度から、新規就農希望者への農業体験や研修費用等の支援制度を創設しました。引き続き、この事業に取り組むとともに、「農業次世代人材投資資金」、「U・Iターン者就農支援」なども含めて、人材の確保・育成を図ってまいります。
昨年度、各地域において、「人・農地プラン」の実質化に向けた見直しが行われました。それに基づき、農地中間管理事業を活用した農地の集積・集約化による生産コストの削減や担い手の確保・育成などを進めてまいります。また、「多面的機能支払交付金」や「中山間地域等直接支払制度」の有効活用、昨年度策定した「柏崎市指定棚田地域振興活動計画」の推進により、農村地域の維持・発展に努めてまいります。
近年、イノシシや熊、鹿などの有害鳥獣の出没が急増しており、また、市街地にも頻繁に現れるという事態に発展しています。農作物への被害が増大するとともに、最近では人身事故も発生していることから、市民生活を脅かす重大かつ喫緊な行政課題として捉えています。
このため、柏崎市有害鳥獣被害対策協議会が実施している捕獲事業や定期パトロールなどの対策を強化し、イノシシ等の捕獲数増加に努めてまいります。また、狩猟免許取得支援を拡大するとともに、電気柵の設置費用の補助拡充、農地以外における防護柵等の設置に係る費用の補助についても実施し、市民生活の安全確保、被害防止を図ります。
「柏崎周辺地区国営農業水利事業」により整備した市野新田ダム、栃ヶ原ダム及び後谷ダムにより、鯖石川流域、鵜川流域及び別山川流域の水田において、安定した農業用水の確保が図られているところであります。
また、農業用水を受益地まで安定して均等に配分する、県営かんがい排水事業を継続して実施してまいります。この用水の受益地における生産性向上に不可欠な農地の大区画化である「ほ場整備事業」は、高田南部、畔屋など全10地区において引き続き事業を推進するとともに、矢田、安田の2地区で事業採択に向けた計画策定を実施するなど、持続可能な農業生産基盤の整備を推進してまいります。
上条地区では、「農村振興総合整備事業」により、今年度は集落道改良工事や排水路整備工事などを実施するなど、農村環境の改善と農業施設の整備等を継続して計画的に事業を進めてまいります。
老朽化した農業用排水施設は、機能維持と長寿命化を図るため、吉井、春日、宮場及び長嶺地区において改修工事を実施してまいります。
林業においては、令和元(2019)年度から「森林経営管理制度」がスタートし、今年度は森林整備を行う所有者に対して意向調査を実施します。近年、林業従事者の担い手が不足している状況であることから、今後の森林整備を行う体制づくりを、柏崎地域森林組合と連携を図りながら進めており、今年度も引き続き、林業従事者の新規雇用対策を実施し、担い手の確保・育成に向けた取組を支援してまいります。
市内の漁業者が供給する安全でおいしい柏崎産の海産物は、海のかしわざきにとって特産品であるばかりでなく、観光にも寄与する大切な資源でもあります。しかし、漁業者の減少とともに高齢化が進行し、担い手の確保・育成と生産性の向上が課題となっています。このため、漁船の購入経費への補助や経営が不安定な新規漁業就業者に対する支援により、水産業の活性化を図ります。
加えて、現在試験的に取り組んでいるヒゲソリダイの養殖事業など「育てる漁業」の実現に向け必要な経費を支援するとともに、地元水産物の認知度向上を目指し、試食会・講演会などのイベントを開催し、積極的にPRしてまいります。
エネルギー関連産業について申し上げます。
本市は、石油産業のまち、原子力のまちとして発展し、首都圏の電力消費を支え、地域の発展と国のエネルギー政策に大きく貢献してきた矜(きょう)持を持ち、平成30(2018)年3月に「柏崎市地域エネルギービジョン」を策定しました。再生可能エネルギーや次世代エネルギーの活用、環境エネルギー関連産業の育成に努め、豊かで持続可能なまちすなわち脱炭素社会である「エネルギーのまち柏崎3.0」を目指しており、今年度は、その中核となる地域エネルギー会社を設立いたします。
国は、温室効果ガス排出量を2050年に実質ゼロにする、カーボンニュートラルの実現を目指して、エネルギー基本計画の改定に向け再エネ比率を大幅に高めるなど抜本的な見直しを進めております。昨年12月には、再生可能エネルギーを最大限導入するなど、積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や社会経済の変革をもたらし、経済と環境の好循環を作り出すとした「グリーン成長戦略」をまとめました。国が求める新たな方向と、柏崎市が求める方向が合致して進み始めていると感じているところです。
柏崎地域においても、西山風力発電事業や平井地内でのブルー水素実証実験など民間事業者の動きが活発化しております。国や民間事業者の再エネ電源主力化が進む中、事業拡大のスピードを高め、かつ、地域エネルギー会社への再エネ供給と連携できるよう、独自財源による「環境・エネルギー産業拠点化推進基金」を創設し、他の地域より優れた再エネ・次世代エネの事業環境の提供に向け、国の施策と協調した事業環境整備について、メニュー化を検討してまいります。
また、国の進める系統マスタープランの進捗、カーボンニュートラルや再エネ主力化政策の進捗を注視しつつ、市内外の再生可能エネルギーの電力を広く調達し、蓄電池などで整え、関東地方へ送る事業を将来的に掲げ、日本海側のハブ(拠点)化を目指してまいります。
健康・福祉 ―「健やかさ」をつなぐまちをめざして
新型コロナウイルス感染症の蔓延は、市民の健康のみならず社会経済活動全般にわたって暗い影を落としており、この収束は喫緊の課題であります。
いよいよワクチン接種が始まります。希望される方々への接種が迅速かつ円滑に行われるよう、全庁挙げて全力で取り組んでまいります。
一方で、市民の高齢化は容赦なく進行し、既に3人に1人が65歳以上という状況に至っております。しかし、介護を必要とする方々を支える人材は、依然として不足している状態です。
この解消の一助とするため、令和元(2019)年度から試行してきた「介護夜勤対応者補助金」は、今年度も継続していくことといたします。
そして、今年度から3か年の期間で始まる「第8期介護保険事業計画」においては、施設の新規設置を盛り込まず、介護人材の拡充に傾注することといたしました。なお、介護保険料につきましては、団塊の世代が全て後期高齢者となり、介護サービスの需要が増大することが見込まれる令和7(2025年)年に備えて、据置きとして、基金を拡充してまいります。
人材不足は、介護のみならず医療や障がいをお持ちの方々を支える分野でも言えることです。この対策も従前の策を拡充し、経営主体である社会福祉法人等民間団体の人員募集活動についても支援を行ってまいります。
高齢者の方々に対しては、いつまでも健やかに住み慣れた地域で暮らしていただけるよう、21か所目の「くらしのサポートセンター」を松波地区に開設します。
また、買い物支援のため、タクシーを利用したドアトゥドアの交通サービスである「ふれ愛のりタクシー事業」を、市が補助金を交付し、シルバー人材センターにより剣野地区において試行的に実施します。
介護予防の分野では、高齢者の医療受診の実態と介護に至る要因の関連性を定量的に分析し予防に役立てる「高齢者保健・介護予防一体化事業」への本格的な取組を開始します。
福祉保健分野における最上位計画である「第四次地域福祉計画」を今年度策定し、本年4月1日から施行される社会福祉法等の一部を改正する法律で明確に定められた「誰もが役割と生きがいを持つ地域共生社会の実現」に向けて、着実に歩みを進めてまいります。
子育て支援対策では、第二期子ども・子育て支援事業計画の基本理念である「子どもはみんなの宝物~安心して子どもを産み育てられるまち・柏崎~」を目指して事業を展開してまいります。昨年10月に新設しました子育て応援券事業「かしわ★ざ★キッズ!スターチケット」は、より使いやすいチケットとするため、利用できる登録事業者の拡大に努めるとともに、デジタルクーポンを活用した電子化を検討してまいります。
放課後児童対策では、鯖石小学校内の改修工事が完了しますので、鯖石児童クラブを鯖石小学校内に移転します。また、半田第一児童クラブの改修工事や東部児童クラブを槇原小学校の敷地内へ移設するための設計業務委託など、放課後児童クラブをより安全・安心に利用していただくための施設整備を進めます。
子どもの遊び場を確保するため、町内会が実施する子どもの遊び場の整備費の補助率を拡充します。また、屋内の遊び場施設利用券事業を導入し、利用券を発行します。
妊娠期から子育て期にわたる支援の充実を目指し、不育症の治療費を助成する不育治療医療費助成制度を新設します。
保育園では、3歳未満児の途中入園及び一時保育の要望が増加していることから、受入体制を更に強化し、引き続き保育サービスの向上を図ってまいります。また、新たな取組として、3歳未満児を保育する小規模保育事業を開始する事業者に施設型給付費を交付し、ニーズの高い3歳未満児の保育サービスの向上に取り組む事業者を支援します。
老朽化した中鯖石保育園を鯖石小学校内に移転するための改修工事が完了することから、本年4月に南鯖石保育園と統合し、鯖石保育園として開園いたします。
子どもの発達支援では、市役所分館(旧教育分館)で小学生から高校生までの教育相談事業を行い、元気館で行っている早期療育事業と合わせて、乳幼児期から切れ目のない発達支援を目指します。
教育・スポーツ ―「たくましさ」をつなぐまちをめざして
学校教育では、教育大綱に基づき、児童・生徒の基礎学力の向上を図るとともに、新たなこと、更なる高みに挑戦し、ふるさとを愛する思いやりのある子どもを育てます。
学習及び児童・生徒の学習環境を一層充実させるため、指導補助員を更に増員します。加えて、子どもたちの個に応じた教育の更なる推進と教職員の負担軽減を行うため、特別支援学級介助員も増員します。
また、増加し続ける、特別な支援を必要とする児童・生徒たちの就学を適正に判断し、必要な支援を行っていくために、特別支援教育相談員を新規に採用し、実態把握や心理検査、相談業務を充実させます。
さらに、国が進めるGIGAスクール構想により小学3年生以上にタブレット端末1人1台の環境が整ったことから、新たな学習教材として、協働学習ソフト、AI機能付き電子ドリル、そして、学力調査の3点が相互に関連する教材を採用し、全ての児童・生徒の対話的、主体的で深い学びを実現させます。また、タブレット端末での授業を補完するため、ICT支援員を配置するとともに、家庭学習においてはインターネットも利用し、児童・生徒の学びの保障と、更なる学力向上を目指してまいります。
教職員の働き方改革及び多忙化解消の一環として、小学校、中学校それぞれにモデル校を選定し、長年、教職員の負担となっていた日直業務の一部を民間委託します。
小学校では、荒浜小学校の校舎改築に向け、基本設計と地質調査及び耐力度調査を実施します。また、槇原小学校では、長寿命化計画に基づく大規模改修と校舎棟増築工事(I期)を行います。さらに、日吉小学校では旧体育館跡地の整備工事を実施し、半田小学校においては、グラウンド改修に向けた測量設計を行います。
中学校では、2か年継続工事で東中学校の校舎・体育館等改築工事に着手するとともに、東中学校旧校舎解体に向けた実施設計を行います。また、南中学校では、経年劣化した屋上の防水改修工事を行います。
学校給食施設整備事業では、衛生管理を十分に行うため、西部地区共同調理場の消毒食器保管庫を更新します。また、西部地区及び東部地区共同調理場にブラストチラー(急速凍結機)を配置するほか、老朽化した南部地区共同調理場の給食配送車を更新し、安全・安心な給食の提供に努めます。
図書館では、老朽化した空調設備の入替工事を行い、利用者が快適に利用できる施設環境を整えます。また、市民生活と文化・学習活動の充実を支援するため、利用者のニーズに対応した書籍やデジタルメディアを整備して、読書活動の普及を促進します。
スポーツ関係では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の関連の各種事業を改めて進めてまいります。聖火リレーが6月4日に本市で行われることが決定しているほか、セルビア共和国及びモンテネグロ代表男子水球チームの事前キャンプを受け入れ、市民の機運を盛り上げた上で、オリンピック・パラリンピック競技大会の本番では、パブリックビューイングなどを開催してまいります。
施設の改修では、昨年度、白竜公園テニスコートの人工芝の張替えとナイター照明の改修を行いましたが、引き続きクラブハウスの改築を行い、更なる利便性の向上を図ります。また、陸上競技場では、日本陸上競技連盟の第2種公認を継続するために必要な改修を行います。
魅力・文化 ―「柏崎らしさ」をつなぐまちをめざして
中心市街地の活性化につきましては、立地適正化計画を策定し、暮らしやすく持続可能なまちづくりを計画的に進めます。また、旧市役所庁舎跡地の利活用は、核となる二つの公共施設候補を中心とした「(仮称)柏崎セントラルガーデン」を基本コンセプトとし、まちなかのにぎわい創出の場となるよう、引き続き検討を進めてまいります。
ふるさと納税は、市内返礼品提供事業者の皆様の御協力により、寄附額は順調に増えてきております。引き続き、ふるさと納税制度の基準を遵守した運用を通して、本市の認知度向上及び市内の産業振興の活性化を図るとともに、貴重な財源の確保に取り組んでまいります。
一方、企業版ふるさと納税については、本市の地域再生計画である「新たなエネルギーのまちの形成による経済と環境の共存プロジェクト」の内容と併せて、企業の寄附に対する税制優遇措置を広く発信し、昨年度に続く成果が収められるよう努めてまいります。
U・Iターン事業における移住・定住については、今年度、「柏崎市移住・定住推進⾏動計画」の最終年度となるため、アンケート調査を実施して移住者のニーズ把握を行い、改定作業を実施します。あわせて、市内の高校生、大学生、首都圏の若者や女性に対し、魅力ある柏崎での暮らしを具体的にイメージしてもらうための座談会や移住体験などの事業に取り組むとともに、移住に係る補助制度の支援内容の充実を図り、定住人口の増加につなげてまいります。
市内の2大学の支援についてでありますが、新潟産業大学は2年連続で定員を超える新入生が入学しており、学生数が増加しています。多方面で活躍が著しい新潟産業大学附属高校との更なる連携強化と併せ、魅力の向上に期待するものであります。また、今年度から始まる通信教育課程、一般社団法人日本プロ野球選手会との協定締結によるセカンドキャリア形成の応援など、新しい試みにも注目しているところであります。新潟工科大学につきましても、昨年度の新入生が定員を大きく超えました。「企業がつくったものづくり大学」というキャッチフレーズが少しずつ浸透し、認知度が上がってきたものと考えています。2大学に対しては、今年度も補助金を交付し、安定した新入生数の確保を支援してまいります。また、新潟工科大大学産学交流会奨学金「柏崎枠」への寄附を今年度も実施し、市内ものづくり企業の人材確保、地元定着を支援します。
文化・生涯学習関係では、文化会館アルフォーレでNHK全国放送の幼児向け番組を公開収録するほか、1年延期した舞踊劇「綾子舞物語」を上演します。また、野外劇場広場での若者向け音楽イベントや古典芸能の祭典「柏崎古典フェスティバル」など、幅広い年齢層の方から参加いただける様々なジャンルの文化交流イベントの開催に対して支援してまいります。
博物館では、多様な企画展やプラネタリウム投影を開催し、学習機会の提供と、本市の魅力発信を行います。また、国指定重要無形民俗文化財「綾子舞」が今般、ユネスコ無形文化遺産への提案候補として再選定されたことから、令和4(2022年)年の登録を目指すとともに、関係機関と連携し、保存伝承及び後継者育成にも一層努めてまいります。
自治経営 ―多様な主体と共創し共育するまちをめざして
柏崎市人権教育・啓発推進計画を令和4(2022)年度に改定するため、今年度は市民意識調査を実施します。
男女共同参画社会の実現に向けた取組をより効果的に推進するため、昨年度、男女共同参画基本計画を改定しました。新たな計画の下、男性の家事・育児への参画及び育児休業の取得促進を図るとともに、仕事と家庭生活の両立や女性のキャリア形成を支援してまいります。
昨年度から着手しています第五次総合計画後期基本計画の策定作業が本格化します。新型コロナウイルス感染症や自然災害など思いもよらない社会状況の変化、また、国連で採択された国際目標、持続可能な開発目標であるSDGsや環境・社会・ガバナンス(企業統治)の観点に立った配慮が企業価値を高めるESGなど、理念や考え方の変化、更には、先ほど申し上げたDXの加速度的な展開など、私たちを取り巻く環境は、大きく変貌を遂げています。このような社会の変化に対応した本市の進むべき方向を、この計画でしっかりと示してまいります。また、人口減少という大きな課題に対しては、2年目となる「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げた施策、具体的には「転入増加・転出抑制」、「子育て支援」、「産業活性化」の3つの重点プロジェクトを中心に市全体で取り組み、「若者と女性が誇りと愛着を持って暮らす」魅力的な柏崎市の実現を目指してまいります。
地域住民主体の地域づくりを進めるため、地域における様々な課題の解決に取り組み、主体的な地域活動を行う町内会や地域コミュニティに対して、引き続き支援してまいります。
鵜川地区と野田地区のコミュニティ組織の統合につきましては、両地区の合意が得られ、4月1日から鵜川地区を野田地区に編入し、新たな野田コミュニティ振興協議会がスタートいたします。また、西山地区においては、現在6か所あるコミセンを3か所に再編することで合意を得たことから、今年度は統合に向けた具体的な協議を進めてまいります。
地域おこし協力隊については、岩之入、矢田、高柳町門出の3地区で4名の隊員が活動しています。柏崎市での定住を考えている隊員もおり、新たに地域おこし協力隊定住定着支援事業を創設し、任期後の定住を促進します。また、今年度、公益性の高い団体での地域おこし協力隊の導入に取り組みます。
市ホームページを始め、広報かしわざきや昨年9月に発行した市勢要覧など、あらゆる手段・媒体を用いながら、行政が有する多くの情報を分かりやすく積極的に発信して市民生活の安心・安全の向上を図るとともに、市外への本市に対する認知度向上、興味や関心の喚起の促進に努めてまいります。
国を挙げてDXの推進が方針化されている中、本市においてもデジタル・トランスフォーメーション推進計画を策定し、暮らし・産業・行政のDXなど、遅れることなく進めてまいります。DXの推進で最も重要なのは、市民の皆様の様々な生活シーンにおいて、サービスの利便性が向上し、その成果として市民の安心・安全が確保され、快適な日常を送れるようになることであります。これらの実現に向けて全庁的に現状の課題とデジタル化による改善の可能性を洗い出し、効果が認められるものからスピード感をもって実現してまいります。
自治体のデジタル化の基盤となるマイナンバーカードの交付率は、本年1月末現在で22.4%となっています。今年度末、50%を目指します。マイナポイントの付与期間が9月末まで延長されました。3月からは、健康保険証としての利用が開始となります。マイナンバーカードの更なる普及と利活用の促進は、国の動向を踏まえ、市民生活の向上に資するよう取り組んでまいります。
具体的な取組としては、昨年度に引き続きコミュニティセンターなど地域に出向いて申請のサポートをします。さらに、今年度は、柏崎市内郵便局との包括的連携に関する協定に基づき、一部の郵便局でマイナンバーカードの申請手続ができるよう取り組んでまいります。
ますます厳しさを増す財政状況の中、市民の皆様へ提供する行政サービスの質を向上させる取組を進めるためには、不断の努力が求められます。このことから、予算編成や行政評価においても、峻別の精神で臨み、行政課題を適切に把握して、市民の皆様から信頼される行政運営に努めてまいります。
昨年度研究を始めた「株式会社パブリックサービス」については、本市の政策コンサルティングを委託する株式会社経営共創基盤の知見を得ながら、事務事業を精査し、真に行政が行うべき業務、民間でできる業務の選別を進め、行政の最小化・最強化を目指して、あらゆる可能性を排除せず、継続して具体的な検討を進めてまいります。
国土調査法により土地の実態を正確に把握する地籍調査については、令和元(2019)年度に策定いたしました全体計画に基づき、今年度は西山町浜忠地区を対象として境界立会いのための調査図を作成するとともに、土地所有者への説明会を実施します。
公共施設等のマネジメントにおいては、公共施設等総合管理計画に基づき、引き続き西山地区において施設の再配置を進めるとともに、個別施設計画の見直しを行い、本市全域における公共施設の更新・統廃合・長寿命化及び未利用資産の有効かつ効率的な活用を具体的に進めてまいります。
旧鯨波公園用地の買戻しについては、柏崎市土地開発公社との契約期限である令和4(2022)年度までの2か年で実施し、利活用について引き続き検討するとともに、公社の解散に向けた手続等を調査してまいります。
蕨(わらび)野地内の市有地に20年以上放置された多量の残置物について、自然環境の保全及び土地の有効利用の観点から、処分方法等に関する現地調査を実施します。
また、情報開示の視点を持った予算書の見える化すなわち「デジタル予算書」については、今年度当初予算から稼働させることができました。これからも、予算書に加えて必要な財務情報を掲載し、広く行財政情報を分かりやすく積極的に公開することで、市民の皆様から行政への関心を高め、まちづくりに参画をいただけるように努めてまいります。なお、「デジタル予算書」を商標として登録申請中であり、行政のスタンダードとして更に改良を重ね、他の自治体への発信も進めたいと考えております。
続いて、財政の観点から申し述べます。
今年度予算は、これまで申し述べましたとおり、新型コロナウイルス感染症への対応を念頭に、アフターコロナと言われる新たな時代を見据えて編成しました。市政運営の基本となる第五次総合計画、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、本市が直面する重点課題である人口減少・少子高齢化対策、移住・定住対策や、各分野における人材育成・確保対策、産業振興施策、地域エネルギー関連などに取り組む事業について、引き続き予算を重点的に配分いたしました。また、第五次総合計画後期基本計画を先導する事業についても同様に予算措置いたしました。
次に歳入について、使用済核燃料税は、昨年10月1日から改定した税率アップにより約1億7千万円増額し、7億4,600万円を計上いたしました。自主財源の根幹となる市税は、使用済核燃料税及びたばこ税の増収が見込めるものの、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、市民税は、個人分法人分の両方が、いわゆるリーマンショック時の減収率を上回り、全体で14.0%、6億5千万円の減、固定資産税につきましても償却資産等に係る軽減の特例措置が講じられたことなどにより、5.1%、4億5千万円の減収を見込むこととなりました。この結果、市税全体としては、昨年度の当初予算額と比較して5.9%減となる約143億6千万円を計上いたしました。歳入における市税割合は30.2%であり、昨年度とその割合はほぼ変わりません。
地方交付税においては、普通交付税について、新型コロナウイルス感染症の影響による市民税の減収への補塡などによる増額要因はあるものの、合併算定替の経過措置が終了したこと、算定の基礎数値が、昨年度の国勢調査人口(速報値)に置き換わること、及び地方財政計画を分析し、8億5千万円減の45億5千万円を計上いたしました。また、普通交付税の振替財源である臨時財政対策債についても、地方財政計画を踏まえて新型コロナウイルス感染症の影響に対する補塡分が増額となると推計した結果、昨年度予算額から10億4千万円増の22億8千万円を見込みました。
これらの一般財源を含めて歳入全体につきましては、財源不足が厳しい状況でありましたが、市民ニーズに的確に対応するために不可欠な事業を着実に展開する必要があることから、財政調整基金31億5千万円、減債基金約1億6千万円を繰り入れて収支のバランスを図ったところです。
以上申し上げた施策を計上した今年度の当初予算規模は、一般会計が475億円、昨年度比6.5%の減となりました。ただし、市債償還に係る借換債約5億4千万円を除きますと、実質的には約469億6千万円、昨年度比5.3%の減となっております。
一方、歳出では、昨年度と比較して、融資預託金、下水道事業会計繰出金、白竜公園テニスコート整備の減額、新庁舎建設工事や新庁舎移転、保育園施設整備事業の終了などによる予算減額はあるものの、環境・エネルギー産業拠点化推進基金積立金20億円、旧鯨波公園用地の柏崎市土地開発公社からの買戻し4億円、東中学校改築10億3千万円、図書館施設整備3億1千万円などの事業をそれぞれ予算措置いたしました。
一般会計475億円、特別会計と企業会計の合計が約340億3千万円、合わせますと総予算額は約815億3千万円、昨年度比では4.9%の減となりました。
むすび
「古池や蛙(かわず)飛こむ水の音」。言わずと知れた松尾芭蕉の句です。音を詠んでいます。そして、その小さな水音が聴こえる静かさを表現しています。現実を詠み、心象風景を詠んでいます。
古池に飛び込む覚悟が今柏崎に求められています。
柏崎は、常に新しいものに挑戦して生き残ってきました。市民の皆様、市民の皆様の代表たる市議会議員の皆様に対し、お願いしたいことがございます。御自分のお考え、主義を大切にしながら、その一部を他の考え、主張にお譲りいただきたいと思うのです。その覚悟が求められます。その覚悟が柏崎の可能性を切り拓きます。安全、安心、そして豊かさをより一層大きなものとしていきます。私たち自身、皆さん自身が柏崎を変えていくチェンジメーカーにならなければならないのです。
歴史・伝統を大切なものとし、かつ、より良いもの、より豊かなものを求める「保守、そして進取」の精神を忘れることなく、柏崎市民の皆様、市民の代表たる柏崎市議会の皆様と共に市政執行に当たらせていただくことをお誓い申し上げ、施政方針といたします。
施政方針全文(ダウンロード用)
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更新日:2021年02月25日