令和8(2026)年度施政方針
はじめに
令和8(2026)年度当初予算をご審議いただくに当たり、柏崎市民の皆さま、市民の代表たる柏崎市議会の皆さまに施政方針を申し述べます。
一昨日、圧倒的多数の国民による信任を得た新たな高市早苗内閣が発足しました。心よりお祝い申し上げます。私たちは明確な姿勢、「明るさ」を求めているのだと、実感し、期待申し上げます。
さて、AI(人工知能)の時代になったと言われます。昨年10月、私の定例記者会見で、原子力行政をめぐって、「法がありながら、法を乗り越えて物事が支配される。日本は法治国家ではなかったのか」という発言をしたところ、我がAIは放たれて置かれる「放置国家」と字幕を付けました。そのことを、日本を代表し、世界をリードする企業経営者にお話ししたところ、「市長、もしかしてそのAIはやはり頭がいいのかもしれません」と笑って応えられました。
先般「柏崎の花 ―Spring Collection 2026」が開かれました。真冬、大雪の2月にもかかわらず2,000人を大きく超える皆さまからお越しいただきました。人の心はAIではなく、「本物」「明るさ」を求めていると確信したところであります。
AI(artificial intelligence)には、その頭文字にArt芸術、人の技が含まれています。柏崎は歴史や伝統を大切にし、とどまらず、率直な意見交換の中から新しいものに挑戦する、進取の精神をもって時代を切り開いてまいりました。私たちは今、更にその精神を発揮するべきときであると考えています。
2026年度の重点戦略
未来につなぐ安心と暮らしやすさの追求
今年度スタートする第六次総合計画は、不確実な時代の中においても総合的かつ計画的なまちづくりを進めていくための本市の最上位計画であります。将来都市像として掲げた「笑顔とenergy(エナジー)あふれる未来都市・かしわざき」の実現に向けて、前期基本計画では2つの重点戦略を強力に推進してまいります。
まず、重点戦略の1つ目「未来につなぐ安心と暮らしやすさの追求」について申し上げます。
中心市街地の活性化に向け、旧市役所庁舎跡地にて、(仮称)柏崎セントラルガーデンの建設を開始します。中央地区コミュニティセンターの機能のほか、スポーツエリア、にぎわいスペース、スタジオ、芝生広場、カフェスペースなどを備えた施設とし、子どもからお年寄りまで多くの方が集まり、新たな活動や交流を生む拠点とします。
また、近接する地域における買い物環境の整備に、柏崎商工会議所などと連携し、にぎわい、魅力あるまちづくりを進めてまいります。
公共交通の確保と利便性の向上では、これまでAI新交通「あいくる」運行区間を順次拡充し、1日当たりの利用者数は約140人となるなど、順調に推移しています。今後も運行エリアの異なる郊外型「あいくる」の運行開始により、公共交通ネットワークの再構築を進めます。また、公共交通の運転士不足は引き続き深刻であり、公共交通事業者と連携しながら、運転士の確保や運行の効率化に努めてまいります。
持続可能な医療提供体制を確保するため、勤務環境改善や業務効率化に取り組む市内病院への補助制度を創設し、医療職の離職防止と定着を図ります。また、引き続き県や柏崎総合医療センターと連携して研修医の確保に努め、将来本市で活躍される医師の充実につなげてまいります。加えて、柏崎総合医療センターに対し、経営安定化に向けた財政支援を行うなど、周産期医療を始め、救急医療、透析医療など地域に必要な医療体制を守ってまいります。
妊産婦や子育て世帯が抱える不安や負担の軽減を図るため、母子保健体制の充実を始め、各種の相談支援体制の確保及び経済的支援を進めてまいります。また、多様な子育てニーズへの対応に向けて、医療・福祉・教育分野との連携を一層深め、子どもの健やかな成長・発達を支援してまいります。
学校教育では、学力向上推進プロジェクトの取りみ組により、全国学力・学習状況調査における小・中学校の全教科において、全国平均を上回る結果となりました。このプロジェクトを継続し、更なる学力向上を目指してまいります。一方、大きな課題となっている不登校について、未然防止を図るとともに、不登校児童生徒へのきめ細やかな支援や学習保障に力を注いでまいります。
これらの取り組みにより、現在だけでなく、未来に向けて、市民の皆さまの生活が安心に満たされ、より暮らしやすいものとなるよう、全力を傾けてまいります。
未来を拓(ひら)く産業イノベーションへの更なる挑戦
続いて、重点戦略の2つ目「未来を拓(ひら)く産業イノベーションへの更なる挑戦」について申し上げます。
本市に根付く、ものづくり産業、商業、農林水産業、観光業などは、先人たちの熱いフロンティアスピリッツにより始まり、多くの困難を乗り越え、成長してきました。しかし、現在の社会経済情勢は、国内外共に依然として先行き不透明であり、本市の産業も少なからず影響を受けています。くわえて、デジタルによるイノベーションであるDXや脱炭素化の潮流は、全世界で更に加速すると見込まれます。あらゆる分野で、世界の動きに対応するべく挑戦が必要です。
その筆頭は、ものづくり産業であります。市内総生産の約3割を占め、企業間取引による市外受注によって外貨を稼ぎ出す、ものづくり産業について、事業者の力強い発展と、一層の産業集積による地域経済への好循環を目指してまいります。
本市は「石油産業のまち」、「原子力産業のまち」として、日本の産業の発展や首都圏の電力需要を支えてきました。まさに「エネルギーのまち」の歩みを進めてきたわけであります。太陽光発電、大型蓄電池、水素などの脱炭素エネルギーを積極的に活用し、加えて海底直流送電の本市揚陸に向けて、産業界と共に挑戦します。「脱炭素」は柏崎のまちづくりに欠かせない「エネルギー」であり、競争力の源であります。原子力発電所立地地域としての新たな姿を示してまいります。
私は以前から、脱炭素エネルギーの活用や、環境エネルギー産業などへの進出により地域経済の活性化を目指すことをお示ししてきました。ようやく国も、昨年2月に策定したGX2040ビジョンで、このことを示しています。
自動車・環境エネルギー産業などの成長分野への参入を促す意図を更に明確にし、脱炭素電力の調達から設備機器の導入、試作品製作までを一つのパッケージとして支援します。柏崎のものづくり産業の強み「何でも製造できる高い技術力と汎用性」を高めてまいります。
鯨波産業団地については、国のGX戦略地域の指定も視野に入れながら、再生可能エネルギーの供給を含めた地域産業の拡大と地域経済の発展に向けて、着実に事業を進めてまいります。
脱炭素エネルギーを安定的に供給する観点から申し上げます。国、県と連携し、本市の脱炭素政策を具体的に展開する柏崎あい・あーるエナジー株式会社の事業についてであります。太陽光発電、大型蓄電池に、平井地内における株式会社INPEXの水素発電を加えた脱炭素電力を調達し、昨年度までに供給している公共、民間75施設のほか、市内民間事業者への電力供給を拡大し、市内産業界における脱炭素エネルギーの普及を図ってまいります。
本市は、ものづくり産業、エネルギー産業だけではありません。市民生活の礎である商業、感動と癒やしを提供する観光業、食を支える農業、水産業、防災機能としても重要な山林を整備する林業も重要な産業であります。これらの産業も世界情勢、DX化、気候変動の影響を大きく受けます。変革が求められ、今ある価値を高めるための挑戦が必要です。変革、高付加価値化への挑戦をしっかり後押ししてまいります。
2026年度の主要施策
ここからは、総合計画に掲げる5つの分野ごとに推進する主な事業について申し上げます。
生活・安全・環境 ―安全安心で快適に暮らせるまち
本市の中心市街地は、少子高齢化や居住機能の郊外拡散により、人口の低密度化が進んでおります。そのため、都市機能が集積した利便性の高いまちづくりや憩いの場を充実させ、にぎわいのあるまちを形成し、市民が快適に暮らせる環境整備に努めてまいります。
具体的には、懸案であります東本町の柏崎ショッピングモールフォンジェ地下における食料品購入スペースについて、あらゆる手段を用いて確保に努めます。
空き家対策については、「柏崎市空家等対策計画」を改定し、基本方針を「空き家を生まないあなたの責任 ―持つ・保つ・処分する」に定め、官民連携による発生予防と適正な管理の啓発活動を推進することにより、更なる空き家の削減に努めてまいります。
公営住宅については、「柏崎市公営住宅等長寿命化計画」に基づき、市営半田住宅C号棟の改修に着手します。
市民の安全で快適な暮らしを確保するため、社会情勢の変化を見据えながら、市民のニーズに即した公共インフラなど社会基盤の整備を進めてまいります。
国道8号柏崎バイパスの早期全線開通を始め、国道252号大字山室地内の山根橋におけるクランク解消や、国道352号荒浜地内の道路改良など、避難路および緊急輸送路として重要な役割を担っている幹線道路の整備促進について、引き続き国および県に強く要望してまいります。
柏崎港については、エネルギー関連の分野など、新たな事業者へのポートセールスに努めるほか、災害時における拠点としての港湾機能の強化について、県に要望してまいります。
上下水道事業では、今年度策定した「柏崎市水ビジョン ―経営戦略」に基づき、老朽化した施設や管路の更新と耐震化を図ってまいります。
谷根川の水を川内水源池まで導水する1号隧道(ずいどう)は、昭和35(1960)年に人の素掘りのみで築造された産業遺産であります。その内部は岩盤露出に加え、常に大量の水が流れており、その健全性の把握が懸案でありました。近年の調査技術発達により、完成後初めての詳細調査を行い、機能保全に努めてまいります。
し尿受入施設が本格稼働し、下水道汚水およびし尿・浄化槽汚泥の処理を一体化することにより、更なる合理化を進めてまいります。
災害時拠点施設に接続する上下水道管の耐震化を進め、地震時におけるリスク低減を図り、災害に強く、強靭(きょうじん)で安全安心な上下水道を提供してまいります。
本市の水道事業は、地域の誇りであります。先人たちの功績や資料をデジタルアーカイブ化し、歴史的偉業を次の世代にも引き継いでまいります。
鉄道については、新潟県の高速鉄道ネットワークのあり方検討委員会における「北越急行ミニ新幹線化」の案は非現実的であり、本市としては受け入れられるものではありません。アクセスは信越本線を中心に考えるべきもので、まずは信越本線の利用促進と利便性向上が重要であり、引き続き、本市が事務局を務めます上越・北陸新幹線直行特急実現期成同盟会の取組を中心に進めてまいります。
消防については、林野火災対策を重点とし、新設した林野火災警報の制度により、被害の未然防止を図ってまいります。また、救急需要の増加に対応するため、救急車両の更新とマイナ救急の推進により、迅速で質の高い救急体制を強化してまいります。消防団においては、団員の負担軽減と加入促進を図りつつ、装備の充実に取り組んでまいります。
地域防災については、身近な人の命を守るため、災害時に各々が取るべき行動を理解し、正しく行動することが必要です。小・中学校や町内会などで各種の防災出前講座を開催し、防災意識の向上と地域防災力の強化を図ってまいります。
近年の多発化、激甚化する水害に備えるため、鵜川治水ダムの早期完成や二級河川の早期改修について、地元住民で組織する要望団体と連携し、事業主体である県に強く要望してまいります。
原子力安全対策について申し上げます。
柏崎市は「エネルギーのまち」として、我が国の経済発展を長きにわたって支えてまいりました。昭和44(1969)年の柏崎刈羽原子力発電所誘致以降、市民の皆さま、市議会、歴代の市長、それぞれの立場で発電所の安全性や危険性、存在意義や地域との共生など、さまざまな視点での不断の議論が重ねられてまいりました。
そうした中、柏崎刈羽原子力発電所6号機が、平成29(2017)年の新規制基準適合審査の許可から8年以上の歳月を費やし、ようやく再稼働の時を迎えました。
また、令和7(2025)年6月に開催された政府の原子力防災会議において柏崎刈羽地域の緊急時対応が了承され、原子力発電所からおおむね5キロメートルから30キロメートル圏内の緊急防護措置準備区域(UPZ)においては、屋内退避が現実的かつ有効な防護措置であるなど、具体的かつ合理的な内容が取りまとめられました。
こうした状況に鑑み、原子力防災施策においては、原子力災害時における市民の皆さまの安全・安心を最優先とした実効性のある避難計画の一層の充実を国に求め、本市としても原子力に関する客観的かつ科学的知見に基づいた正しい知識を市民の皆さまから習得いただくための情報発信や普及啓発の更なる推進に取り組んでまいります。
あわせて、北陸自動車道上方地内および曽地地内でのインターチェンジ整備や米山サービスエリア緊急進入路の整備など、避難路の整備を国・県の責任の下で着実に進めてまいります。
また、荒浜コミュニティセンターおよび西中通コミュニティセンターの放射線防護対策工事、松波コミュニティセンターおよび二田コミュニティセンターの放射線防護化に向けた設計を実施し、放射線防護対策の強化を図ってまいります。
一方、全国各地で自然災害が頻発・激甚化しており、本市もその例外ではないことから、あらゆる災害を想定した備えを拡充したいと考えております。特に、避難所においては高齢者、障がい者、乳幼児、妊婦などの要配慮者にも配慮した備蓄品の導入を進め、誰にとっても優しい避難所環境の整備を進めてまいります。
くわえて、避難所運営の体制強化を図り、多様化、複雑化する避難形態や避難者の要望等に的確に対応できる体制の構築に取り組んでまいります。
さらには、原子力災害と自然災害の双方に備えた総合的な防災対策の一層の充実に取り組み、市民の皆さまの安全・安心を確保するとともに、穏やかで豊かな暮らしの実現に寄与してまいります。
防犯について申し上げます。
本市の昨年の刑法犯認知件数は、一昨年と比較して122件増の349件で、車上ねらいや侵入窃盗などの窃盗犯が増加しており、特に、カーポートなどに駐車している無施錠車両の被害が多く発生しております。警察等の関係機関と連携し、更なる防犯意識の向上に取り組んでまいります。
また、市内における詐欺被害額が、昨年は2億円を上回る極めて深刻な状況が続いており、依然として高齢者の被害が多い傾向にあります。くわえて、昨今は20〜30代の若年層においても詐欺被害が増加しており、消費者安全確保地域協議会と連携し、幅広い世代に向けた未然防止に取り組んでまいります。
環境施策について申し上げます。
本市が目指す2035年カーボンニュートラルの実現に向けて、市民や事業者の主体的な行動変容を促し、創エネ・省エネ設備の導入支援を行うとともに、地球温暖化について学ぶ機会を創出してまいります。また、次世代エネルギーとして期待が高まる水素については、先行的に取り組む事業者が設置を予定する水素ステーションを核に、地域での利活用につながる取り組みを事業者と共に進めてまいります。
有害鳥獣対策は、生活圏で出没が増加しているイノシシやクマなどへの対策として、防護柵やICTを活用した捕獲資機材の増強、鳥獣被害対策実施隊の組織体制の維持・強化を図り、農業と生活の両面において鳥獣被害対策に努めてまいります。
新ごみ処理場の建設については、実施設計が完了し、令和11(2029)年4月の稼働に向けた工事が本格化します。将来を見据えた適正な規模とし、ごみ焼却の排熱を利用した高効率発電システムを導入するなど、循環型社会を推進する施設の整備に努めてまいります。
ごみの減量化・資源化の推進は、新たに整備した佐藤池資源物リサイクルセンターを拠点に、回収品目の拡充を進め、市民が利用しやすい施設運営を推進します。また、食品ロス削減やごみ減量化に向け、市民や事業者が実践すべき具体的なリデュース・リユース行動の周知啓発を強化して進めてまいります。
子育て・健康・福祉 ―健やかな暮らしを育むやさしいまち
市民の生命や健康、生活を守るため、介護・障がい福祉および医療分野における人材の確保・定着に全力を傾けてまいります。
介護・障がい福祉分野では、職場の魅力向上に向けたセミナーや情報交換会などを開催し、若手職員の職場定着および意欲の向上を図るとともに、事業者が安定的な経営を学ぶための機会を確保します。
施設に勤務する職員の各種資格の取得に対する支援を障害福祉分野にも拡大するほか、研修課程を修了した障害福祉相談支援専門員の資格取得や有効期限の更新に対する補助制度を創設します。
医療分野では、新潟大学に寄附講座を引き続き設置し、幅広い年代の女性の健康や、生活の質の向上に資する研究に取り組んでいただくとともに、柏崎総合医療センターに産婦人科の常勤医師の派遣を受けます。
今年度から計画期間が始まる「健康みらい柏崎21」に基づき、健康増進・食育・歯科保健・自殺対策に関する取組を一体的・効率的に進めてまいります。
生活習慣病やがんなどの病気の予防、早期発見・早期治療による健康寿命の延伸を図るため、健康診査やがん検診の実施体制を改善します。夏の暑さに配慮するため、健診会場の見直しを行うとともに、柏崎総合医療センターでの健診機会の拡充や複数の健診を同時に受診できる大規模会場の増設を進めます。
ニーズの高い骨粗しょう症検診の受診枠を拡大し、健康寿命の大きな阻害要因となっている骨粗しょう症による骨折予防に取り組みます。
子ども・子育て支援事業については、誰もが安心して産み育てられる環境づくりを、更に推進してまいります。
まず、市内で安心して出産できる医療体制を堅持するとともに、不妊治療および不育症治療への助成を拡充し、お子さんを望まれる方への支援の充実を図ります。
早期療育事業については、令和8(2026)年度より所管を保育課へ移管します。障がいのあるお子さんや発達に不安のあるお子さん、そして、そのご家族が安心して園生活を送れるよう、保育園・認定こども園・幼稚園との連携を一段と深め、切れ目のない療育支援体制を確保します。
あわせて、子育て期全般にわたる相談体制も強化します。国の方針に基づき、地域の子育て相談機関として、柏崎保育園に併設する子育て支援室の相談機能を強化します。これにより、身近な場所で気軽に相談ができ、必要な支援へ迅速につながる体制を整えます。
また、今年度から計画期間が始まる「柏崎市こども・若者計画」については、第三期柏崎市子ども・子育て支援事業計画と整合を図りながら、こども・若者施策を着実に推進してまいります。
産業・エネルギー ―産業の発展とともに成長する魅力あふれるまち
本市の経済発展の中心である「ものづくり産業」を筆頭に、全ての産業の高付加価値化と、新たな雇用と魅力ある職場の創出を目指してまいります。
人手不足の深刻さは、本市が直面する最も喫緊かつ重要な課題の一つであります。高校生や大学生などを対象とした企業説明会やプレインターンシップの実施により、地元企業に触れ、知ってもらう機会を提供します。また、企業情報の発信やインターンシップの受け入れなど、積極的に採用活動を行う中小企業を後押しし、労働力確保に努めてまいります。
人材確保には、企業が多様な人材に選ばれる魅力的な存在となることが求められます。若者、女性、障がいのある方、外国人、子育て世代など多様な人々が生き生きと活躍できる、働きやすい職場環境を整備する中小企業への支援を強化してまいります。
また、産業の基盤となる技術者育成に向けて、引き続きマイスターカレッジに取り組むとともに、今年度から柏崎で育つ子どもたちに向けて、親子オープンファクトリーを実施し、ものづくり産業や建設業など市内企業の魅力を肌で感じていただき、将来の職業選択につなげてまいります。
さらに、ものづくり産業の持続的成長に向けて、DXによる事業効率化に市内の情報産業と連携して取り組むほか、廃炉産業に関する調査研究については、市内建設業などによる受注体制の構築に向けて、より一層の知識、意識の向上を図ってまいります。
「創業しやすいまち柏崎」として、柏崎・社長のたまご塾のほか、各種補助制度や金融支援により、新たな視点や自由な発想を持った挑戦者が事業を立ち上げ、その可能性を最大限に引き出せる環境づくりに取り組んでまいります。
観光についてであります。
まず、道の駅「風の丘米山」の再整備であります。令和6(2024)年2月に作成した「風の丘米山」再整備基本設計をベースに、ロケーションが持つ可能性や魅力を認識しながら検討してまいりましたが、「花の丘」をコンセプトにした道の駅として実施設計に着手します。
誘客活動では、一般社団法人柏崎観光協会を始めとする関係者との連携強化、市内外の旅行事業者によるツアー造成への支援などを通じて、年間を通じた観光客の誘致、特に気候が穏やかで新緑が美しい春から、ハイシーズンである秋にかけての誘客強化に取り組んでまいります。
昨年、過去最大となる25万人の来場者を記録した「ぎおん柏崎まつり海の大花火大会」は、花火と海辺のロケーションが一体となった、ほかでは味わえない感動を体験することができ、日本随一の美しさであると多くの方々から高評価をいただいております。運営主体を一般社団法人柏崎観光協会へ移管することで、伝統を守りながらも新たなコンテンツ開発やプロモーション展開による更なる誘客拡大につながることが期待されます。
海水浴場の安全対策として、ライフセーバーによる常駐監視や遊泳可否情報の可視化・発信などに加え、人材不足でライフセーバーの配置が難しい海水浴場には、ドローンなどデジタル技術を活用した安全対策を講じてまいります。
米山、黒姫、八石の登山道整備を引き続き行い、登山者の安全性確保と利便性向上を図ってまいります。米山の大平コース登山口に整備する大型バス駐車場や休憩所機能を備えた米山ハイキングベースは、5月にプレオープンし、6月の山開き安全祈願祭に合わせてグランドオープンします。
農業について申し上げます。
昨今の気候変動の中、生産者の高い技術と不断の努力により、お米を中心とした農産物が消費者に届けられています。そのご労苦に改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。
昨年の柏崎市ブランド米コシヒカリ「米山プリンセス」は、15者、35.55トンと過去最多の認証者、認証量となりました。その中で、中山間地である高柳地区において、初めての認証者が誕生しました。米山プリンセスにかける熱い思いを感じます。
また、米山プリンセスの早植え実証試験は、技術の検証や市場価値の確認に取り組み、消費者からも好評をいただきました。土壌分析により、有機肥料、たい肥などを使用し、丁寧に育て食味値を追求します。
このような農業者のイノベーションを応援するとともに、米山プリンセスを旗艦米として柏崎産米の認知度向上に取り組んでまいります。
園芸作物の生産促進に引き続き取り組みます。また、農産物を活用した加工品製造などの六次産業化への取組を推進し、農業経営の多角化、複合化を支援してまいります。
ほかの産業以上に農業の人材不足が顕著です。新規就農者の更なる確保のため、就農型地域おこし協力隊を募集し、市内での就農、定住を目指し、支援してまいります。
林業について申し上げます。
柏崎産木材を使用した新築住宅などへの支援を開始します。柏崎地域森林組合、柏崎木材協会などの関係機関と連携し、柏崎産木材の消費拡大に取り組んでまいります。
また、貴重な財源である森林環境譲与税を活用し、林業の新たな担い手の確保・定着に向けた取組を支援し、市内で働く場を創出します。
水産業について申し上げます。
幻の高級魚と呼ばれるアラは、柏崎の伝統漁法「桶流し一本釣り」で丁寧に釣り上げられます。その価値、ブランド力を高めるため、農林水産省の「GI登録(地理的表示)」を申請し、登録を目指しています。新たな取り組みに積極的な新潟県漁業協同組合柏崎支所と連携し、タイやモズクといった柏崎の味覚にアラを加え、柏崎産水産物のブランド力を高めることで、柏崎産水産物の消費拡大に取り組んでまいります。
海に親しむ子どもたちを育むため、番神海水浴場に「海の子ども育成地域」を設定し、多くの子どもたちが大人と共に磯遊びを楽しめる環境を整えてまいります。
国の補助金を活用して進めている電源開発事業について申し上げます。
今年度、石地小学校グラウンド跡地に300キロワットの太陽光発電と8,000キロワットアワーの大型蓄電池を整備し、市、柏崎あい・あーるエナジー株式会社を合わせて、累計で太陽光3,580キロワット、蓄電池33,500キロワットアワー規模となります。また、市の事業としましては、次年度以降の柏崎あい・あーるエナジー株式会社による電源開発候補地として、遊休市有地における発電事業適地調査を行います。
そして、柏崎刈羽原子力発電所の電力及び日本海側の長距離海底直流送電の電力は、2035年カーボンニュートラルの実現に向けて欠かせないものであります。国では計画の実現に向け、事業主体への財政支援を決断するものと承知しております。電力供給拠点としての本市の優位性を関係各所に対し、働きかけをこれまで以上に行ってまいります。
教育・スポーツ・文化 ―未来を育み、文化を紡ぐ、活気あふれるまち
冒頭申し上げたとおり、柏崎市教育大綱の基本目標である基礎学力をしっかりと身に付けた子どもを育んでまいります。
小・中学校の学区再編については、今年4月から、剣野小学校、鯨波小学校、米山小学校が統合し「西小学校」と、日吉小学校、中通小学校が統合し「桜通小学校」となり、新たな小学校2校がスタートします。
中学校は、令和9(2027)年4月の東中学校、第五中学校、北条中学校の三校統合を正式に確定しました。統合準備委員会を中心に、しっかりと準備を進めるとともに、統合前の事前交流を計画的に実施し、新しい環境に対する不安などの解消に努めてまいります。
本市においても急速に進む少子化を踏まえ、児童、生徒にとって望ましい教育環境を第一に考え、適正な学校規模や学区の在り方を検討してまいります。
学校施設整備に関しては、今年度着手するグラウンド整備工事をもって荒浜小学校改築事業の全てが完了します。
今年度から2カ年継続事業として実施する第三中学校大規模改修工事の1期工事に着手します。
学校給食関係では、国が学校給食費の抜本的な負担軽減の取り組みとして新たに創設される予定の「給食費負担軽減交付金」の動向を注視しながら、適時に予算措置を行い、保護者負担を最小限に抑えます。
生涯学習関係では、今年度から計画期間が始まる第五次生涯学習推進計画に基づき、市民の学ぶ喜びや楽しみにつながる学習機会を提供します。
文化振興関係では、さまざまな「花」をテーマにした展覧会「柏崎の花 ―Spring Collection」を今年度も実施します。絵画や美術品、各流派の生け花などで市民の皆さまが柏崎の早春の彩りを感じて、楽しめる企画展を開催します。
スポーツ関係では、今年、アジア競技大会が32年ぶりに日本で開催されます。水球のまち柏崎から日本代表チームに多くの選手が選出されるよう、引き続き支援するとともに、市民の誇りや愛着につながる取り組みを進めてまいります。
また、「水球のまち柏崎」として、国際交流のつながりを更に深めるため、アジア競技大会出場国の事前キャンプを誘致し、アジア諸国での認知度向上に努めてまいります。
施設整備に関しては、西山総合体育館のアリーナ照明のLED化改修工事や陸上競技場の日本陸上競技連盟第2種公認更新に伴う改修工事を行い、利用者の利便性を向上させます。
図書館(ソフィアセンター)は、今年度で開館から30年を迎えます。施設の適切な維持管理に加え、エレベーターの改修工事を行い、安全、快適にご利用いただけるよう努めてまいります。市民への情報提供の拠点、文化・学習活動の場として、引き続き多くの皆さまからご利用いただけるよう、蔵書等の充実とサービスの向上に取り組んでまいります。
博物館では、さまざまな歴史・文化資産を活用した企画展や、子どもから大人まで楽しめる多様なプラネタリウム投影を通じて、地域への愛着や誇りの醸成、新しい発見・新しい価値の創造につながる取り組みを進めてまいります。
重要無形民俗文化財の綾子舞は、国指定50周年を迎えます。これまで、守り受け継いでこられた伝承者を始めとする関係各位を顕彰し、次代につなぐ記念事業に取り組みます。また、この節目にふるさと納税でいただいた全国各地からのお力添えを裏付けとして、ユネスコ本部があるフランス・パリにて無形文化遺産登録の典雅な舞を披露する凱旋(がいせん)公演を行います。次なる50年はもとより、更なる未来に向けた保存伝承の支援に取り組んでまいります。
住民自治・行政 ―多様性を尊重し、誰もが活躍できるまち
年々、高度化・複雑化する行政課題に対応するため、限られた人材で最大の効果を発揮できるよう職員の育成に取り組みます。さらに、より効果的で効率的な行政運営を推進するため、全ての事務事業を、真に行政が為すべき仕事なのか、必要性はあるのか、事業のコストや工程は適正なのかを行政外部の視点で洗い出す令和の事業峻別を行います。
北朝鮮による拉致問題の完全解決に向け、柏崎市は確固たる決意で臨みます。引き続き、関心の風化防止に向けた拉致被害者による講演活動を支援いたします。国、県、関係市と連携し、親世代が御存命中の完全解決に向け、強い使命感をもって発言、行動してまいります。
男女共同参画については、今年度からスタートする「柏崎市第5次男女共同参画基本計画」に基づき、男女共生社会の実現に向け、総合的かつ計画的に事業を展開してまいります。
町内会については、加入世帯の減少や担い手不足などの課題を解決するため、合併を促進します。合併を検討している町内会に対しては、留意点や手続などについて丁寧に説明し、伴走型の支援を進めてまいります。
地域を担う人材の確保については、地域おこし協力隊などの外部人材を継続的に活用できるよう募集、活動および定着に至るまでの一貫したサポート体制で隊員の受け入れに取り組みます。
U・Iターンの促進については、移住・定住推進パートナーチームとの連携および移住マッチングサイトの更なる充実を図り、今年度からスタートする第三次移住・定住推進行動計画では、特にUターン者の転入に力を入れて取り組みます。加えて、柏崎ファンクラブ公式LINEによる魅力発信や、ファンクラブ設立10周年イベントを通じ、定住人口・関係人口の増加につなげます。
ふるさと納税については、昨年度は5億円を超えるご寄附をいただきました。今年度は、寄附目標額を5億5千万円とし、有用な事業をもってご寄附いただいた方々のお気持ちにお応えします。
本市のDXは「自治体ドックランキング2025」で、人口5万人以上10万人未満の全国の自治体の中で第2位と評価されました。市民サービスの維持・向上、行政運営の効率化はもとより、産業や健康、医療など幅広い分野も視野に入れ、今年度からスタートする第二次DX推進計画の取り組みを推進してまいります。
DX推進の基盤となるマイナンバーカードについては、令和8(2026)年1月末現在の保有率は85.2%であります。引き続き、市民課窓口や個人宅などの訪問において、支援を必要とされる方へ申請サポートを実施し、更なる普及に取り組んでまいります。
マイナンバーカードを活用した各種証明書のコンビニ交付の割合は、令和8(2026)年1月末現在34.7%であります。継続してコンビニ交付手数料が安価であることをPRし、市内31カ所のコンビニ交付の利用促進を図ってまいります。
公共施設マネジメントにおいては、施設の統廃合、予防保全・長寿命化および複合化による最適な管理運営の着実な推進を目指し、「公共施設再編アクションプラン(仮称)」を策定します。
続いて、財政の観点から申し上げます。
まず、国に対して誠に僭越(せんえつ)ながら一地方自治体の長として申し上げます。消費税の減税には反対いたします。本市におきましても食料品にかかる部分が減税された場合、本来想定される地方消費税交付金約22億6千万円が18億1千万円となり、約4億5千万円の減収と見込んでおります。うち75%、3億3,750万円は交付税措置されますが、1億1,250万円は本市における実質的な減収となります。そもそも、補填される交付税の原資の一部は、消費税によるものであります。日本の信認を落とさぬよう、国会にて真摯な議論を求めます。
次に、原子力発電関連財源について触れさせていただきます。
本市は、他自治体と異なり、原子力発電関連財源があることが大きな利点であり、それらの内容や状況、見通しを十分に把握した上で、行政運営を展開しなければなりません。
一方で、原子力発電所関連財源は、変動し、未来永劫(えいごう)保障されるものではありません。ピークであった平成7(1995)年度には、総額約153億円、一般会計総額の34.5%を占めていましたが、今年度は、総額約83億円、一般会計総額に占める割合は、16.1%にまで減少しています。
原子力発電所関連財源が逓減していく方向の中で、持続的に市民ニーズに応えていくためには、不断の行財政改革を追求しなければなりません。
私は、1月20日から22日にかけての3日間、電源交付金・補助金、原発関連税収等と財政需要の見通しをテーマとした研修を、部・課長職員はもとより、近い将来の幹部職員である係長以上職員、総勢226人に対して実施しました。
現在の財政状況、新たな財源への展望などを示し、また、財政状況を常に考えて行動する姿勢などを求めました。臆することなく、慢心することなく、国際、国内情勢を見極めながら、他の自治体に先んじた行政を市民の皆さまにお届けするよう求めたところであります。
令和8(2026)年の予算編成について申し上げます。
本市が抱える懸案事項や各種課題を踏まえ、第六次総合計画に掲げる将来都市像の実現を目指し、前期基本計画に位置付けられた2つの重点戦略を力強く推進するため、重点的かつ効率的に財源を配分しました。急激な物価高騰の中、適正な価格転嫁を徹底しつつ、成果重視の視点から全ての事務事業を実態に即して厳しく精査し、予算を編成しました。変化の激しい中にあっても市民の皆さまが希望を抱き、安心し、少しでも豊かに暮らすことができるまちづくりに向けて、引き続き堅実な財政運営に努めてまいります。
歳入では、まず、自主財源の根幹となる市税のうち、市民税については、昨年度の収入見込み、税制改正および国・県の経済動向を踏まえて精査し、個人分と法人分全体で2.0%、約9,100万円増の47億5千万円を見込みました。固定資産税については、償却資産の増を見込みつつ、土地の下落傾向および家屋の減少分を反映し、0.3%、約2,600万円減の87億1千万円を見込んでおります。本市独自の税であります使用済核燃料税については、2年目となる経年累進課税の増額分を計上し、10.1%、約8,200万円増の8億9,600万円を見込んでおります。この結果、市税全体では、昨年度の当初予算額と比較して1.1%、約1億6,600万円増の約156億4千万円を計上しました。
歳入における市税割合は、30.5%であり、昨年度とほぼ同水準となりました。人件費や原材料価格等の上昇など経済情勢の先行きに不透明感が継続する中、市税への影響を引き続き注視してまいります。
普通交付税については、市税収入見込額および国の予算編成の動向などを踏まえ、1億6千万円増の67億円を計上しました。
電源立地地域対策交付金の国直接分については、柏崎刈羽原子力発電所7号機の運転停止による減額および6号機の30年経過加算分2,320万円を合わせ、約20億7千万円を計上しました。
歳入全体については、市民ニーズに対応するために不可欠な事業を着実に展開する必要があることから、財政調整基金18億円、減債基金約7千万円を繰り入れて収支のバランスを図ったところであります。
一方、歳出では、鏡が沖中学校大規模改修工事などの完了による減額はあるものの、ごみ処理施設建設事業約16億1,300万円、中心市街地活性化事業6億5,100万円、小・中学校施設整備事業約5億7,500万円、第三中学校大規模改修工事などの学校施設長寿命化事業約4億8千万円などの事業をそれぞれ予算措置しました。
以上申し上げた施策を計上した今年度の当初予算規模は、一般会計が513億円、昨年度比約2.4%の増となりました。市債償還に係る借換債約8億2千万円を除きますと、実質的には約504億8千万円、昨年度比約1.8%の増となりました。
むすび
「自己の顔を毎日鏡に照らして知らぬ間に容色の衰ふるを自覚せぬ愚人と同じく、先例を以て未来を計らんとす。愚もまた甚だし」
明治39(1906)年、夏目漱石39歳の言葉であります。
冒頭申し上げましたように、第六次総合計画前期基本計画の2つの重点戦略、共通するキーワードは「未来」であります。激しい時代の潮流、柏崎が歩んできた歴史、伝統を大切なものとし、しかしそこにとどまらない。厳しい現実を見据え、明るい笑顔を忘れず前に進んでまいります。
柏崎市民の皆さま、市民の代表たる柏崎市議会の皆さまのご理解とお力添えを心よりお願い申し上げ、施政方針といたします。
施政方針全文(ダウンロード用)
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更新日:2026年02月20日