市長定例記者会見(令和5(2023)年9月6日)

市長定例記者会見(令和5(2023)年9月6日)のお知らせ

写真:市長が記者に向かって冒頭のあいさつをしています

以下の「定例記者会見」で、概要をご覧いただけます。

報道機関との質疑応答を追加しました。

市長記者会見インターネット録画配信

市長記者会見の録画映像を「YouTube柏崎市公式チャンネル」でご覧いただけます。

発表事項

県内20市初!10月から「1・2歳児の保育料の無料化」が始まります

市政方針や新年度一般会計の予算案審議などにも挙げ、議会から承認を受けた1・2歳児の入園児に対する保育料の無料化が、10月1日から始まります。給食費はご負担いただきます。20年ほど前に800人を超えていた1年間の出生数は、おととし辺りから400人を切る状況です。子育て施策の充実は、柏崎市第五次総合計画・後期基本計画の重点戦略の一つです。出生数の大幅な減少を踏まえ、1・2歳児の保育料の無料化に踏み切りました。令和6(2024)年度の予算ベースで、年間1億6千万円ほど予算がかかります。財務部からは、来年度以降の1億6千万円の財源を確保できる見込みと報告を受けました。また、すくすくネットかしわざきでも市内保育園の空き状況など随時情報を発信していますので、ご活用いただければと思います。

(主管:保育課 電話番号:0257-21-2233)

柏崎市の情報産業が70億円の目標を達成!

令和10(2028)年に70億円の目標を掲げていましたが、令和3(2022)年の段階で77億円を突破していたと分かりました。いくつか要因があると思いますが、新型コロナウイルス感染症に関係する情報産業が伸びていたことと、国のDX(デジタルトランスフォーメーション)の動きの中で柏崎の情報産業も業績を伸ばしてきたことが大きな要因ではないかと思います。柏崎の情報産業は県内において新潟、長岡に次いで3番目の規模です。全国でも7万7,000人ほどの市はたくさんありますが、情報産業が77億円を挙げている市は多くないだろうと考えています。平成30(2018)年当時、市が目標に設定した島根県松江市は、年間70億円の売り上げだったと承知しています。当時の他県県庁所在地の情報産業よりも大きな売り上げを得たことは、企業努力のおかげであり、昭和61(1986)年にソフトパーク構想として柏崎情報開発学院を設立し、柏崎情報開発センターという情報産業の先端と言える民間企業を設立した先人の積み重ねのおかげだと感謝するところです。これらを生かしながら、今後さらに発展を目指したいと考えています。

(主管:企画政策課・ものづくり振興課 電話番号:0257-21-2321・0257-21-2326)

賑わいが戻ってきた2023柏崎の海―昨年度に比べ海水浴場の入込状況は7%増

7パーセント増という数字は評価が分かれるかもしれませんが、今年の猛暑を考えると、良くできたのではないのかと考えています。人命に関わる事故は発生しませんでしたが、消防が出動した事案がいくつかありました。しかし、ライフセーバーや消防などの活躍や尽力もあり、幸いにして生命に関わる事案には発展しませんでした。また、令和4(2022)年度は延べ377人のライフセーバーに活躍いただき、令和5(2023)年度は延べ440人のライフセーバーから活躍いただきました。実人数は、令和4(2023)年度が69人、令和5(2023)年度が63人でした。残念ながら実人数は昨年より確保できませんでしたが、少ない人数の中で複数回出ていただいて、延べ人数は昨年に比べ70人増で、2割ほどアップしました。番神自然水族館は昨年に比べて30パーセント増でした。柏崎セントラルビーチの伸び率は高くありませんでしたが、県外からのお客さまが5割を占め、海水浴シーズン前の利用もありました。新しい柏崎の海の楽しみ方の一つとして、セントラルビーチも大きな役割を果たしていると考えています。

(主管:商業観光課 電話番号:0257-21-2334)

長寿と健康をお祝い─百歳表敬訪問、第二次成人式

今回百歳のおめでたい日を迎える方々は、男性10人、女性46人の計56人です。ご家庭のご希望などを伺い、今回は4人の方のご自宅を、新潟県柏崎地域振興局局長と一緒に訪問して、お祝いをさせていただきます。また、昭和40(1965)年から始めている第二次成人式で、還暦から20年目、80歳を迎える方々を9月23日にお祝いします。この式典は県内で柏崎市のみが実施し、今年で59回目を迎えます。対象者は、市内に住民登録がある920人です。案内はすでに発送し、お祝いの品としてじょんのび村と雪割草の湯の共通ペア入浴券を郵送しました。車いすの方などの介助の方も同席できますし、聴覚障がいや難聴の方への対応も予定しています。

(主管:介護高齢課 電話番号:0257-21-2228)

越乃リュウさん自らが田植えをした「米山プリンセス」を稲刈りします

5月に田植えをしていただいた株式会社徳永農園のほ場で、柏崎市認証コシヒカリ「米山プリンセス」アンバサダーの越乃リュウさんから稲刈りしていただきます。
柏崎の米や水などの現状を報告します。県内各地で渇水と言われています。私も高柳町などを視察しましたが、市内でも、用水を持たずに雨を基にしている天水田などでは、一部枯れている稲もあります。しかし、鵜川の市野新田、高柳の栃ヶ原、西山の後谷、これら3つの国営土地改良ダムは受益地に対して、8月31日までの用水供給期間中、無事に供給の役割を果たしたと承知しています。市野新田ダムは少し貯水量を残しましたが、栃ヶ原ダムと後谷ダムは残りの貯水量が一桁パーセントまで水を出し続け、無事に供給を終えました。一方で、水上、久米などの別俣地域は市野新田ダムの受益地ですが、ダムからそこに繋ぐ導水管がまだ整備されていないため、一部で水不足が生じましたので、8月26日から、市道に敷設している消雪パイプを通して井戸水をくみ上げ、用水に流す措置を行っています。西山の五日市を含めた南部地域は、国営土地改良ダムの受益地ではありません。地域のため池などを用水にしていましたが、地域の農業者からため池の水が枯渇したという声を受けて、昨日から県の協力を受け、県道部分に敷設している消雪パイプの井戸水を用水として供給し始めました。
水道専用ダムの貯水率は、9月3日現在で赤岩が89パーセント、谷根が67パーセント、川内は100パーセントです。柏崎市が誇りにしている3つの水道専用ダムの平均した貯水率は84パーセントで、今年の夏もおいしくて冷たい水を供給できたと考えています。市民の皆さまに安心して使っていただきたいと思います。


(主管:農林水産課 電話番号:0257-21-2295)

行事予定

イベント

定例記者会見の質疑応答

報道機関から受けた質問項目は、以下の通りです。

  • 1・2歳児の保育料無料化に関する質問
  • 海水浴場に関する質問
  • ライフセーバーに関する質問
  • 雨不足による渇水に関する質問
  • 柏崎刈羽原子力発電所に関する質問

1・2歳児の保育料無料化に関する質問

記者:0歳児以外の子どもたちの保育料が無償化されるが、0歳児にはどのような対応をするのか。新年度予算案で何か対応する考えはあるのか。
市長:どれくらい市民の皆さまが保育園、認定こども園、幼稚園を使ってらっしゃるか実態を調査したところ、1歳以降に使っている方が7割を超えていたと承知しています。それに比して0歳児から使っている方は4割ほどだったため、今回は1・2歳児からの無料化にしました。ご承知のように国は異次元の少子化対策をしています。国や県の施策なども見極めながら、市の施策を考えなければいけないと思っています。
記者:今回の無料化について、人口減少の面と少子化の面から見てどういう効果を期待しているのか。
市長:今回、市役所全体で取り組んで1億6,000万円の財源を生み出していますので、大きな覚悟を持っています。もちろん、出生数が上がる効果を期待しています。以前から柏崎市の子育て政策は、いろいろな相談などが非常に充実していると評価をいただいていました。しかし、5年ほど前のアンケートで、保育料の無料化などの経済的な支援と、屋内などの子どもの遊び場を充実させてもらいたいというご意見がありました。ご意見を踏まえて、そして総合計画の後期基本計画の重点戦略に据えました。充実した相談体制を維持しながら合理的な見直しを行い、経済的支援や子どもの遊び場などの充実を進めることによって、将来の柏崎を担う子どもさん、出生数を増やし、そして柏崎は安心して子育てできるところだとPRしていきたいです。
記者:出生数を増やしたい、安心して子育てができるとPRしていきたいということだが、例えば出雲崎町は長岡市にバスを走らせて子育ての町であるとPRしている。市外に対して保育無料化のPRをして、出生数・移住者数の増加を狙う考えはあるのか。
市長:もちろんです。市には従来力を入れていた相談体制と、妊娠から出産、保育まで一貫した支援体制があります。それから今日発表しました1・2歳児の保育料無料化という経済的な支援が始まります。これから子どもの子育て応援として、施設の遊具や室内あそび場の整備を進めたいと思っています。
教育に関しても、柏崎市には普通高校だけでなく工業高校や総合高校、私立高校もあります。いろいろな特色を持った高校があるのはかなりの強みだと考えています。また、小・中学校の学力向上プロジェクトでは、県平均、国平均の3ポイントから5ポイントアップを目指すべく、教育委員会に頑張ってもらっています。教育にも非常に力を入れているとアピールしながら、今住んでいる方々だけでなく、移住しようかなと、柏崎に戻ろうかなという方々に対して、保育料無料化も含めた総合的な子育て施策をアピールしたいと考えています。
記者:具体的なアピール策はこれから検討するのか。
市長:ご指摘のとおり、市のアピールが足りないところがあります。今日市長記者会見で発表しましたが、今後もシティーセールスや民間の方々の力もお借りしながら、あらゆる場で、1・2歳児の無料化だけでなく、教育水準の向上も目指して、子育て応援施設もこれからさらに整備していくことも含めて、子育てしやすいまちをアピールしていきたいと考えています。

海水浴場に関する質問

記者:猛暑の中でよくできた数字と言っていたが、コロナ禍前の令和元(2019)年の入り込み数と比べると少ない数字だと思う。これからの柏崎の海の観光の在り方についてどう考えているか。
市長:30年前から脱海水浴観光と言われています。令和元(2019)年は57万3,000人、今年は32万7,000人でしたが、30年前、かつて柏崎は海水浴場の入り込みが100万人でした。それから見れば約3分の1になってしまいました。セントラルビーチを例に挙げましたが、今後の柏崎の海の観光を考え、春と秋の集客にも力を入れているところです。
海水浴場の入り込み数の減少は、いわゆるレジャー、余暇の使い方が変わっているということです。かつて海水浴場がレジャーの代表格でしたが、今では若い方々にとって海水浴以外の楽しみ方があるのが当たり前になっています。そしてそれに対応しきれない実態もあるのではないかと考えています。例えば、この海水浴場の中で一番人を集めているのは、8万1,120人の東の輪海岸です。かつては鯨波や石地でしたが、今は東の輪や番神が中心になっています。東の輪を中心とする海岸は若いお客さんが多く、若いお客さんに対応した設備もあります。レジャーの楽しみ方が変わっている中で、かつての100万人や57万人に戻すのはなかなか難しいかもしれません。しかし、若い方々やファミリー層のニーズが今どこにあるのか、海水浴関係者、観光業界の方々にもお考えいただきながら、行政としても支援していきたいと考えています。
一方で、番神自然水族館やセントラルビーチも健闘しています。そして、数字には上がっていませんが、民間のサウナも海岸沿いにいくつか展開されていますので、新しいニーズに対しても行政としてどういう応援ができるのか考えていくことが大事だと思っています。

ライフセーバーに関する質問

記者:ライフセーバーのセッティングが時期や場所などかなり決められていたが、来年度以降もこれを継続するのか。
市長:ライフセーバーの設置場所や回数を増やしたいのは山々ですが、人数の確保が難しいと、来年以降もこのような体制にせざるを得ないと思っています。例えば、笠島は小さな海水浴場ですが2万人近い方々がお越しになっています。ここはお子さん連れの方々が多いところです。しかし、残念ながらライフセーバーを配置できない実態もあります。来年度に向けてライフセーバーの実人数を何とか確保したいと思っています。今回ご協力いただいた63人のうち、市の消防から14人が本来業務の他にライフセーバーとして活躍しましたし、県外からも13人からお手伝いをいただきました。昨年から1年間頑張ってきてこの実情ですので、人数の確保はなかなか困難ではないのかなと思いますが、最低限この体制を維持したいと思っています。

雨不足による渇水に関する質問

記者:井戸がダムのほうで受益をしたというお話とか消雪パイプで整備したということは理解したが、一等米が厳しいという話や、枝豆農家が苦労されている話もある。市としてこの支援を今後考えているのか。
市長:まず米の出来についてです。極わせ品種の葉月みのりはお盆前に収穫し、お盆後に販売を始めましたが、一等米比率は88.2パーセントでした。これは出穂の時期も早く収穫も早いため、渇水の影響を避けられたと思います。ここから主力のヒカリ、コシヒカリ、新之助と続いていきます。西山の五日市を中心とした南部地域は、おくて品種の新之助などを栽培している面積が特に多いため、用水の供給などの支援をしています。稲刈りは5日から1週間ほど早く始まると承知しています。既に始まったところもあると聞いています。一等米比率は平年並みを期待していますが、高温障害や胴割れなども出てきています。全県の中で買い上げ価格は、買い渡しも含めて、コシヒカリはかなり高い値段で設定されています。特に主力のヒカリで収穫量が多くなかった場合、高い値段になるのかどうかも含め、行政としてどう支援ができるか見極めたいと思います。
枝豆に関しては、枝豆人気で苗がなかなか春先・初夏に確保できなかったという苦情もあったと聞いています。
農林水産課長:8月30日に高温、渇水に伴う農作物などの被害状況について県から速報値で出ています。枝豆は県内全体で17ヘクタール被害があり、柏崎市でも2ヘクタールで品質低下などがありました。
記者:米については規格などの見合いで支援するか考えるという話だが、野菜や果樹で被害が出れば、行政として支援する考えはあるのか。
市長:被害の規模、程度にもよります。私も農業は素人で、水道専用ダムの原水をそのまま農業用水として持って来られないかと聞きましたが、水道局職員からは難しいという話でした。水道専用ダムは、平成6(1994)年に最低の貯水率の45.9パーセントを記録しました。この年か定かではありませんが、農業用水も足りませんでした。当時は国営土地改良の3つのダムもなかったので、その時にどのような農業被害が出たのか、どういう支援があったのか見極めて、今回お米以外の農産物の被害が出た場合にどう対応するかは、被害の規模、程度なども見極めながら支援の在り方を考えていきたいです。
記者:今回の渇水被害が米山プリンセスの認証に与える影響を市長はどう考えているか。
市長:非常に厳しいだろうと想像できます。ご承知のように米山プリンセスは、高い基準を設けたコシヒカリです。食味値が85点以上なければ米山プリンセスとして認証されません。米山プリンセスは海外輸出には至っていませんが、県全体、日本全体で輸出米などの品質低下が心配されている中で、高くても絶対においしいコシヒカリなら買いたいというお客さまが海外にいらっしゃれば、輸出のチャンスを今後模索しなければいけないと思います。出来は私どもも心配していますが、もし収穫量が少なくなったとしても、米山プリンセスをさまざまな販路を使って、このピンチの中、チャンスとして生かしていきたいと考えています。

柏崎刈羽原子力発電所に関する質問

記者: 原発の侵入検知のための照明8基が昨年11月から半年余りに渡って電源が入っていなかった事案が今年8月にあり、原子力規制委員会からも暫定的な緑評価だった。一方で適格性の問題についても、原子力規制委員会の公開会合で東京電力は、保安規定に盛り込まれた7つの約束を履行して一定の成果が得られたと言っている。その追加検査の4項目のうち、変更管理と不要警報の2項目については是正の措置が完了し、検査を受けると原子力規制庁に報告している。照明問題のような事案がありながら再稼働に向けての手続きが進みつつある状況だが、この動きを市長はどう見ていたか。
市長:照明が例えば電源に繋がっていなかったとかスイッチが入っていなかったというのは、書類の紛失事案なども含め基本的なこと以前の問題ですよね。わかりやすい単純なミスを犯してしまう、単純な作業を見逃してしまう部分は、まだまだ体質的には変わってない部分もあるのかなと思います。一方で私は、東京電力が7つの約束に対してそれぞれ誠実に対応してきたと認めます。非常に誠実に一生懸命やってきたと思っています。そして残された追加検査4項目に関しても、2つに関しては改善の方向性、そしてまた追加検査に関しても原子力規制庁、原子力規制委員会が現地で確認する動きもあると報道を通して私も承知していますので、しっかりとした原子力規制庁、原子力規制委員会の審査の流れに乗り始めたのではないのかなと考えています。
記者:6月の会見で東京電力が原子力発電所の運営を担えるのか自問自答を始めたと言っていたが、今はどのように感じているのか。
市長:本当に文字通り毎日のように、果たしてこの会社で大丈夫だろうかと自問自答していました。この1~3カ月の間に原子力規制庁、原子力規制委員会とやり取りをし、また私自身は原子力防災の観点から国とのやり取りもしていますが、考えれば考えるほど逆の言い方ですよね。本当に東京電力以外の会社がこの原子力発電所の再稼働を担うことはできるのかと。この夏の猛暑は異常だと、毎年のように異常気象だと言われ、異常でなくなっている気候変動のような言葉も使われて久しいですが、これは間違いなく地球温暖化、国際連合のグテーレス事務局長の言葉を使えばボイリング、沸騰化している影響だと思います。線状降水帯も洪水被害も豪雨被害もそうです。日本の電力は7割超で石炭、LNG、原油などの化石燃料を使い、火力発電で作られ、CO2を排出しています。原子力発電所の優位性は2つあると申し上げてきました。1つは日本のエネルギーセキュリティーの確保、もう1つは基本的に発電時にはCO2を出さないという環境特性です。2つ目の環境特性が非常に大きな意味を持ってきたのではないかと考えています。その環境特性を考え、この夏を考えた場合に、安全を確保した上であえて申し上げますが、一刻も早くこの原子力発電所を再稼働させることが日本のためであり、大きな話ですが世界のためでもあり、柏崎のためでもあると考えたときに、本当に東京電力以外の会社が柏崎刈羽原子力発電所の6号機、7号機の再稼働を担えるのだろうかと想像した場合に、東京電力以外の会社が本当にあるのかどうなのかと。前にも申し上げたように東京電力が火力発電などを中部電力と一緒に担っているJERAという組織もあります。これも前に申し上げたように、フランスのように原発を国営化する選択肢もあるかもしれません。しかし国営化したとして、柏崎刈羽原子力発電所で働いている人がガラッと変わってしまえば、再稼働が早い段階で安全にできるかと考えれば、それは無理です。そう考えるようになったのも事実です。消極的に逆説的な言い方かもしれませんけども、東京電力以外の会社が人員として柏崎刈羽原子力発電所6号機、7号機の再稼働を担えるのかといえば、この夏を経験して、極めて難しいだろうなと考え始めているのが事実です。
記者:そうなると東京電力が担うしかないと。できるだけ早く再稼働をすべきだということに当たってですね、電源の問題や文書の紛失問題のように基本的なこと以前の問題もまだ起きつつあることから考えると、今この時点で改めて東京電力にはどのようなことを求めたいか。
市長:基本的には社長のみならず経営者、幹部、社員のお一人お一人、協力企業のお一人お一人、つまり柏崎刈羽原子力発電所に携わっている方々お一人お一人が、この原子力発電所は福島の事例のように潜在的に大きなリスクを抱えた発電装置でありながら、日本にとって非常に重要な施設であるという認識を改めて持っていただくよう、引き続き意識改革を進めていただきたいと思います。もちろんその先頭に立つのは社長であり、協力企業ではなくて東京電力の社員お一人お一人だろうと期待するところです。
記者:本当に東京電力でいいのかと自問自答しつつも、環境特性の部分から一刻も早く再稼働は必要だというお話で、ベストではないがベターであれば東京電力でいくしかないということか。
市長:私は前から申し上げていますように、原子力発電所そのものがベストだとは思っていません。今の段階では次善のベターであると思っています。これも何度も申し上げていますように、100パーセントは求めますが、100パーセントでなければ全て認めないとなってしまったら、原子力発電所だけでなく全ての事案で物事が動かなくなってしまいます。ただご承知のように、柏崎刈羽原子力発電所を担うのは東京電力であり、2011年に大きな事故を起こしたのも東京電力であると考えると、東京電力は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関してより一層大きな責任を担っていますので、ベターの選択の中でせざるを得ないと東京電力自身も再認識はしているだろうと思いますが、その責任はやはり担っていただきたいと思いますし、改めて認識はしていただきたいです。これも期待するところです。
記者:原子力発電所の避難道路の関係で、知事や品田村長と国に要望しているが、インターチェンジの新設や移設なども挙げていたと思う。市長としては、インターチェンジに関する前向きな回答が得られない限り、再稼働に理解を示しにくい部分はあるのか。
市長:そのとおりです。知事、村長とともに先般5つの要望事項を出しました。知事からもお話いただきましたが、一番優先順位が高いのは8号線バイパスの進捗です。西中通地域も含めたPAZ圏内の方々は柏崎市民約7万8,000人の中で6万人、つまり市民の75パーセントが上越、糸魚川、妙高方面に避難するわけですので、避難に資する8号線バイパスの進捗はやはり一番に求めることだと思います。そして令和4(2022)年12月の大雪も含めて、改めて5つ項目があるうちの4つ、8号線バイパスの進捗、上方のスマートインターの新設もしくは米山インターの移設、緊急進入路の起用、県道柿崎小国線の小村峠のトンネル化のこの4つは、優先順位が高いものですとその場でも大臣に直接申し上げました。令和4(2022)年12月の事案では8号線も高速道路も両方止まってしまいました。そう考えると、今申し上げた特に優先順位が高い5つのうちの4つの中で、3つは8号線や高速道路に関係することです。高速道路が止まってしまえば3つの部分も機能しません。一番大きな事業になると思いますが、柏崎刈羽にとって一番必要な事業は柿崎小国線の小村峠のトンネル化で、ここに1本開いていれば8号線や高速道路が止まっても上越方向に移動できます。裏を返せば、ここが止まっている限り8号線も高速道路も小村峠もダメで、昨年12月のような場合には西に行く手段がゼロになります。大臣には知事と村長まで柏崎市の考え方とお伝えしました。また、これは東京電力にも伝えてありますが、原子力規制庁や原子力規制委員会の審査を受けてGOになったとしても、例え知事が3つの検証が終わった後ご自分の考えを述べられて信を取ってGOになったとしても、私は柏崎市長として国に対してずっと申し上げていることですので、100パーセントではないですが、私どもの要望の順番が変わったり優先順位が変わったり、5つの要望が全く新年度予算の中で機能せず、実効性ある避難計画が地元の要望として反映されていないとなれば、地元市長として再稼働はなかなか難しいと言わざるを得ないところです。
記者:今の中であえて優先順位に含めなかった曽地のインターチェンジ新設は、市長としては優先順位が高くないと受け止めているのか。
市長:受け止めているというより、私自身はそう考えているとこの場でも何度も申し上げています。PAZ圏内に約1万5,000人いらっしゃいますが、そのうちの約1万1,000人が、つまりPAZ圏内の方々も、西中通地域も含めて上越、糸魚川、妙高方面に避難します。中通地域の方々が避難する場所は湯沢方面です。刈羽村のことなので私から申し上げられませんが、少なくとも原子力防災の観点で申し上げるならば、PAZ圏内も含めて柏崎市内の75パーセントの方々が西方向に避難する、そして昨年12月の大雪の交通渋滞、機能不全も考えるならば、優先順位は今ほど申し上げた4つの項目に優先順位が置かれるということです。
記者:4つの項目のうち、さらに順番づけするとしたらどうなるか。
市長:一番は8号線バイパスの進捗です。そして大事業になりますが、原子力防災の観点で必要だと申し上げるならば柿崎小国線の小村峠のトンネル化が2番目になるだろうと思います。そして3番目に米山インターなどの移設、緊急進入路を使った乗り入れ、4番目に上方のスマートインターという順番になろうかと思います。事業の取り組みやすさという話になるとまた別かもしれません。原子力防災の観点で実質的に役立つ部分は今申し上げた順番です。
記者:曽地のインターチェンジについて、以前市議会が請願を採択し、意見書として関係省庁に出されている。市議会の意向と市長の意向に若干乖離(かいり)が見られるのではないかと思うが、やむを得ないという考えか。
市長:基本的に請願などに法的な拘束はないですし、今ほど申し上げました私の原子力防災の観点からの重要性は、今の段階で請願を出された議会の方々もよく理解していただいているだろうと思います。これは前にもこの場で申し上げましたが、元々この請願などの根拠になっているのは、3年ほど前に県がコンサルタントに出した原子力災害時避難経路阻害要因調査という調査そのものが、申し訳ないですが実態とずれていて、いざというときに原子力発電所方面に向かって避難しなければいけない経路を取っていると示していました。請願の段階では、議会の方々は県の計画の矛盾までまだご承知いただいてなかったのだろうと思いますので、今の段階では今ほど申し上げた優先順位に関してご理解いただいていると思います。
この調査結果に関して私はおかしいと、しかしこの調査そのものがおかしいという指摘は新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会でも出されませんでした。10何時間かかっているものがスマートインターを作ることにより何時間になるのかという指摘ぐらいしかなかったわけです。10何時間かかるという設定そのものがおかしいのです。なぜならば柏崎が県や国とも調整して決めている避難経路を使わないでわざわざ混雑する、交通渋滞のところに突っ込んでいくことを前提とした計画で出されたものが10何時間かかるという計画ですので。これも前にもお示ししたと思います。そういった矛盾、おかしな部分を含めたこの原子力災害時避難経路阻害要因調査ですので、これをベースにした施策は、私は原子力防災の観点からは、やはりそうですねと頷くことはできないところです。

定例記者会見の概要と質疑応答(印刷用)

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更新日:2023年09月07日