東京電力ホールディングス株式会社から再稼働などに関する取り組み状況の回答を受けました(令和6(2024)年8月22日

市長が東京電力ホールディングス株式会社より、令和元(2019)年11月19日に同社へ提出した「柏崎刈羽発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方」への評価に関する取り組み状況の回答を受けました。

回答日

令和6(2024)年8月22日

提出者

東京電力ホールディングス株式会社

内容

「『柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方』への評価」に関する取り組み状況

当社は、令和元(2019)年8月26日付で櫻井柏崎市長にご提出した文書「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方」につきまして、令和元(2019)年11月19日付で市長より、当該文書に対する評価文書(以下、「評価文書」)を受領いたしました。

評価文書を受領して以降、我が国を取り巻くエネルギー情勢は大きく変化しております。世界各国がカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させる一方、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化など、地政学的リスクの高まりを受けたエネルギー安全保障の問題が生じております。更には、生成AIなどのDX進展に伴い電力需要は増加の見通しとなっており、エネルギーを巡る不確実性が高まっております。
我が国においては、昨年には「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、GX推進法やGX脱炭素電源法が成立するなど、エネルギーの安定供給や脱炭素、経済成長の同時実現に向けてエネルギー政策を大きく転換する枠組みが整備されました。

他方、柏崎刈羽原子力発電所においては、昨年12月末に原子力規制委員会より燃料移動禁止命令が解除され、本年6月には、7号機の燃料装荷後の健全性確認を一通り実施することができました。これにより、原子炉を起動するにあたっての技術的な準備が整い、現在、発電所の状況を県民の皆さま、地域の皆さまにお伝えしているところです。

このような情勢を踏まえ、市長からご要請をいただいております、評価文書における7項目に関する当社のこれまでの取り組み実績と今後の対応の方向性について取り纏めましたので、以下のとおりご報告申し上げます。

エネルギー基本計画に沿った事業運営(項目1・2に該当)

最適な電源構成の構築

資源に乏しい我が国においては、「S(安全性)+3E(安定供給、経済効率性、環境適合)」の観点から、多様なエネルギー資源をバランスよく組み合わせることが重要とされています。脱炭素社会の実現、また、今後、データセンターや半導体工場の建設に伴い見込まれる電力需要の増加を鑑みれば、GX推進とエネルギー安全保障を同時に達成する観点からも、再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)、原子力を含めた、あらゆる選択肢を追求していくことが極めて重要となります。当社グループとしてもカーボンニュートラルへ事業の軸をシフトさせていくために、様々な取り組みを行っております。
基幹事業会社である東京電力リニューアブルパワー株式会社においては、2030年度までに洋上風力を中心に国内外で600~700万キロワット程度の新規再エネ電源を開発する方針を掲げており、再エネの主力電源化を目指すこととしております。
既に新潟県内においては、別紙のとおり水力発電所を設置し、その設備更新や増強・新設に努めており、県内の他社水力発電所等についても技術力を活かせる案件には、入札等を通じて積極的に運営を支援してまいります。
加えて、変動性の高い再エネの出力変動の緩和や出力抑制の回避、調整力や供給力の提供による系統安定化等の様々な役割が期待される蓄電池等についても、新潟県内における事業化の検討を進めてまいります。

原子力発電については、3Eのすべての点において優れた特性を有しており、エネルギーミックスの一翼として欠かすことができない重要な電源です。当社としても、再エネの更なる推進に加え、安全性の確保を大前提に原子力を活用していくことが必要であると考えております。

当社は2019年8月の文書にて「今後において、十分な規模の非化石電源の確保が見通せる状況となった場合には、地元の皆さまのご理解をいただき6・7号機が再稼働した後5年以内に、1~5号機のうち1基以上について、廃炉も想定したステップを踏んでまいります」とご報告させていただいております。また、地元の皆さま、更には県内の皆さまからのご意見に耳を傾ける中で、「集中立地」へのご不安とご懸念の声を頂戴しております。
当社は、引き続き、非化石電源の確保に努めているところであり、現時点で最適な電源構成をお示しできる状況にありませんが、7号機の再稼働が見通せる状況になった段階において、廃炉を含めた最適な電源構成の検討状況についてご説明させていただきたいと考えております。また、6・7号機再稼働後2年以内に、1~5号機に関して、廃炉を含む最適な電源構成の道筋を付けたいと思います。

広域系統整備に向けた協力

2050年のカーボンニュートラル達成や再エネの最大限導入のためには、電力供給を支える送配電ネットワークが整備される必要があります。
当社としても他電力や国・自治体・他事業者をはじめとした関係ステークホルダーの皆さまともしっかりと連携・協働しながら、その実現に向けて取り組んでまいります。
昨年3月、電力広域的運営推進機関(以下、「OCCTO」)が広域系統長期方針(広域連系系統のマスタープラン)を策定し、現在、その方針の一つとして挙げられている北海道本州間連系設備(日本海ルート)の設置検討が進められております。このうち、本州東京側の連系については、超高圧海底直流送電ケーブルを柏崎市周辺から陸揚げし、交直変換設備を介して、既設の超高圧送電線に接続することが想定されております。当社グループとしても今後のOCCTOでの関係者の議論を注視しながら、柏崎市内における必要な協力を最大限実施してまいります。

柏崎刈羽原子力発電所の安定的な運転、災害への備え(項目4・5に該当)

原子力発電を継続的に利用していくためには、使用済燃料の再処理を中核とした原子燃料サイクルの確立・推進が不可欠です。
当社は、日本原燃株式会社の再処理事業やリサイクル燃料貯蔵株式会社(以下、「RFS」)の中間貯蔵事業など、早期の原子燃料サイクル確立に向けた支援を行うとともに、使用済燃料が再処理工場に搬出されるまでの間、号機間輸送やRFSのリサイクル燃料備蓄センターを活用しながら、適切に対応してまいります。
なお、現在、RFSへの使用済燃料の搬出について第2四半期中を目標に進めておりますが、同時期に7号機に貯蔵されている使用済燃料の号機間輸送も開始できるよう準備を進めてまいります。

また、当社は原子力災害を想定した避難・防災体制の強化、使用済燃料を発電所構外に搬出することに伴う避難道路整備等による、柏崎市の財政需要の高まりに応え、市民の皆さまの安全・安心の向上並びに地域と発電所の共生が図られることを期待し、2020年4月に柏崎市使用済核燃料税の経年累進課税化に合意いたしました。
昨今、自然災害等が激甚化しており、災害への備えや災害発生時における住民の皆さまへの支援が重要となっております。原子力災害のみならず、自然災害に対しても、当社は可能な限りの支援として、災害時の人員派遣や資機材等の提供を行ってまいります。また、柏崎市で被災された住民の皆さまの一時的な受け入れ先として、当社の既存施設や今後柏崎市内に建設予定の柏崎レジリエンスセンター等の施設をご活用いただけるよう検討してまいります。

柏崎市の将来への貢献(項目3・6に該当)

発電所の円滑な運営には、地元企業の皆さまのご協力が不可欠となります。地域に根差した事業者として、地域経済への貢献の観点から、地元企業との取引拡大に最大限取り組んでおります。中でも、今後発電所近傍で予定されている大型工事に関しては、地元企業の皆さまのご意向等を直接お伺いしながら、地元企業との取引拡大を図っております。
また、電気事業者としての知見を活用しながら、次世代層に対して、発電所の視察やサービスホールでのイベント等を通じ、エネルギーへの関心を高める取り組みを積極的に進めるとともに、人材育成や雇用にも引き続き貢献してまいります。
更には、「柏崎市地域エネルギービジョン」を踏まえ、柏崎市における次世代エネルギー開発の可能性などについても幅広く具体的に検討してまいります。

地域の皆さまとのコミュニケーション(項目7に該当)

当社は地域に根差したエネルギー事業者となるために、社員一人ひとりが皆さまとの対話の機会を増やし、いただいた「声」を真摯に受け止め、その「声」に応えてまいります。
地域の皆さまから多くの声を頂戴するためにも、訪問活動、発電所でのイベント、コミュニケーションブース、地域説明会、地域行事、地域貢献活動といったコミュニケーション活動を積極的に実施しております。
いただいた「声」については、協力企業の方々も含めた発電所で働く人々に伝えていくとともに、発電所運営に反映してまいります。

「地域を愛し、地域に愛される発電所」の実現を目指し、地域の皆さまとのつながりを大切にしながら事業活動を進めてまいります。

【参考】

【参考】評価文書記載の7項目
項目 内容
1 集中立地リスクの軽減を図ること。よって1号機から7号機まで全て稼働することは、認めない。1機以上の廃炉計画をより一層明確化すること。
2 「十分な規模の非化石電源の確保」を柏崎沖、村上沖、胎内沖洋上風力発電を含め、新潟県内における再生可能エネルギーの確保に努力し、系統連系など国、東北電力株式会社にも連携・協力を求めながら、6号機、7号機の再稼働がなされる段階までに達成又は目途をつけること。
3 立地自治体のみならず地元経済との連携と役割分担をより一層密に、明確に、そしてオープンにすること。
4 6号機、7号機の使用済核燃料プールにおける保管量を再稼働までにおおむね80%以下とすること。
5 「柏崎市使用済核燃料税条例」の改正、経年累進課税化の考え方を理解すること。
6 柏崎市が推進する「柏崎市地域エネルギービジョン」等に協力すること。当面の間、限定的な原子力発電の利用と再生可能エネルギーの実用化、福島における御社の廃炉事業への研修参入など、より一層の柏崎における産業化に協力すること。明治、大正、昭和、平成、令和に、石油、原子力と続いた「エネルギーのまち・柏崎」の誇りを非化石電源・再生可能エネルギーの時代にあっても担保するべく、柏崎のまちづくりに協力すること。
7 原子力発電に関する多様な考え方に「出来得る限り」耳を傾けること。

 

市長発言要旨

承りました。先ずは私の原子力発電所の認識について改めて申し上げます。

柏崎刈羽原子力発電所は大事な発電所です。御社にとって、福島の復興のためにも、柏崎にとっても、新潟県にとっても、日本にとっても、世界にとっても。

一方、原発を有する国の中では世界一の地震大国であります。その国土面積あたりの大規模地震の頻度から見ても。同時に規制庁、原子力規制委員会の規制は世界一厳しいともいわれております。

また、世界の中では稀に見る資源小国であり、気候変動地球温暖化が進む中で、今現在日本の発電の7割が火力発電によってCO2を大量に排出し続けながらまかなわれている現状を見るとき、このような環境問題の観点から見ても、その環境特性において原子力発電所の存在はさらに大きなものになってきていると認識しています。

この5年間にたくさんのことがありました。新潟県による「3つの検証」、御社残念ながらの事案発生による3年間の停滞、ウクライナ情勢と日本・世界エネルギー危機、気候変動・温暖化による猛暑、多発する災害など。

廃炉計画、再稼働計画、新潟県内における再生可能エネルギーへの取り組みなどいまだ段階を経るものもありますが、7号機再稼働にめどがついた段階、6号機再稼働後2年以内にまでに引き続き努力していただきたいと思います。

廃炉計画については御社の言葉をそのまま使うならば、「7号機の再稼働が見通せる状況になった段階において、廃炉を含めた最適な電源構成の検討状況について」説明、また、「6・7号機再稼働後2年以内に、1~5号機に関して、廃炉を含む最適な電源構成の道筋を付けたい」との考えを示されました。より明確なお話を頂けると理解いたしました。

ご存知の通り、私は8年前、原発推進派、原発反対派の間の「細い道を行く」、と申し上げ当選させて頂きました。4年前は公約として「約束11」を掲げ、その8は以下のものであり、議会での所信表明でも明らかにしてきたところです。

「8 原子力発電所の安全確保、安心向上を不断に求めてまいります。国による安全性審査、県のいわゆる「三つの検証」、市議会での御議論 を見極めながら柏崎刈羽原子力発電所7号機再稼働に関する最終判断を行います。従来から申し上げておりますように私自身の考え、つまり「条件付き再稼働容認」「7つ全ての再稼働は認めない」という立場、姿勢は変わりません。基数、期間限定的ながら原子力発電所再稼働の価値を認め、集中立地によるリスク軽減を図りながら、安全で、市民の皆様からより一層安心していただけるような施策を事業者である東京電力ホールディングス株式会社及び国に求めてまいります。再稼働後、同社から提出される「廃炉計画」の具体性を厳格に見定めてまいります。この「廃炉計画」の提出とその内容は、東京電力ホールディングス株式会社という会社が信頼され、原子力発電所を運営するに足る公器であるか否か、ということを占う試金石でもあると考えております。続く6号機の再稼働に関しましても、同様であります。核燃料サイクルの進捗を厳しく注視してまいります。使用済核燃料の搬出促進を求め、実効性ある避難計画の更なる充実、不断の見直しを求め、実践してまいります。

「7つ全ての再稼働は認めない」という考えは繰り返し議会でも表明しているものであり、より具体的な廃炉計画を求めてきたわけであります。

これを否定することは、もしくは軽んじることは政治家としての柏崎市長のみならず、その市長を圧倒的多数で選んだ「柏崎市民」を否定すること、軽んずることと同義であります。肝に銘じていただきたい。7号機再稼働時、そして6号機再稼働時前後までにより明確な廃炉計画をお示しいただきたい。

従来申し上げておりますが、1~5号機全て廃炉してもらいたいということではありません。どこを廃炉し、6・7号機に加え、どこを再稼働させたいかということを明確にしていただきたいということであります。

県内における再生エネルギ―関連事業への取り組みです。村上・胎内沖の洋上風力における御社もしくは関連企業の取り組み結果は残念なものでありました。また、関連企業による県内既存水力発電の出力増量に関しても期待に応えるほどのものでもありませんでした。

原子力発電の意義を認めている県内自治体において再生エネルギーの領域においても東京電力の力を発揮してもらいたいと考えるのは柏崎市だけにとどまりません。国が掲げる方針、GX:再エネと原発の両立を日本の電力会社の盟主東京電力、福島事故を起こした東京電力であるからこそ、原発と再エネを新潟県において実効的なものにしてもらいたいのです。

6号機再稼働前後までに、本市「柏崎市地域エネルギービジョン」、国が計画する海底直流送電柏崎揚陸への本市における協力を含め、新潟県内において再エネ事業を力強く展開していただきたい、もしくは原発と再エネとの両立に理解ある自治体の事業に協力していただきたい。そのための基金ファンドを作って頂きたいと考えます。

また、脱炭素電力である原発の電力を柏崎市のみならず県内事業者に一定の方程式で供給してもらいたいという要望は従来伝えてきましたが、原発の再稼働の意義を認める自治体首長からも強い要望として届き始めています。この実現に向け引き続き、検討いただきたいことを重ねて要望いたします。

地元経済界との関係強化、原子力本部300人の移住などの取り組みに関しては評価いたします。一時的なものではなく、継続的な取り組みが期待されているところです。また、社長、副社長、代表、所長自ら地域に溶け込み、多様な意見に耳を傾ける姿勢は多くの市民から高く評価されているものと認識しています。

むすびに、本日の米山、柏崎のランドマークである米山は曇り空ではありますが、くっきりとその姿を見せておりました。今後、御社と柏崎市がお互い、今まで以上に率直な意見交換を行いながら、福島の復興、日本のエネルギーセキュリティ確保、気候変動地球温暖化の防止という非常に大きな国家的課題の解決に向け少しでも前に進めるよう努力してまいりましょう。柏崎市は柏崎市の責務を果たします。この曇り空を青空に変えていくのは御社であり、柏崎市民であり、新潟県民であり、日本国民であり、私たちの責務であると考えております。

7号機の再稼働に関し、私柏崎市長といたしましては御社からの要請がなされた場合、その要請に応えられる段階に至ったことを表明いたします。

柏崎市長と東京電力ホールディングス株式会社小早川社長の面談発言全文

小早川社長:本日は大変お忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。市長におかれましては、柏崎刈羽原子力発電所をはじめ、当社事業に対してご協力賜りまして、改めて感謝申し上げます。
まず、柏崎刈羽原子力発電所7号機に関しては、今年の6月12日までに、燃料装荷後の健全性確認を一通り実施いたしました。発電所の安全性が向上し、一定の水準に到達したことを、引き続き県民の皆さまに丁寧にご説明し、ご理解していただくために努めてまいります。
それでは回答文書の内容を、ご説明させていただきます。

まず1ページ目、2019年11月に市長から当社の取り組みに対する評価をいただいた以降、エネルギーを取り巻く環境が大きく変化しております。特にウクライナ情勢など地政学的なリスクの高まりに加えて、データセンターの建設動静などでの電力需要の増加が予想されており、エネルギーを巡る不確実性が高まっております。昨年は政府による「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され関連法が成立するなど、エネルギー政策の大きな転換を見せております。

2ページ目をご覧ください。最適な電源構成の構築についてです。
資源の乏しい我が国においては、S+3Eの観点から多様なエネルギー資源をバランスよく組み合わせることが重要とされており、当社といたしましても、この考え方にのっとり、最適な電源構成を考える必要がございます。当社グループといたしましてもカーボンニュートラルへの事業の軸をシフトしていきたいと考えており、再エネの主力電源化を目指しているところでございます。新潟県内におきましても、既存の水力発電所の出力増強などを進めており、さらには、蓄電池など新たな事業の可能性についても検討を進めて参ります。
一方、原子力発電につきましては、安全を大前提とすれば、エネルギーミックスの一翼として欠かすことができない重要な電源と考えております。当社は、引き続き非化石電源の確保に努めているところであり、現時点で最適な電源構成をお示しできる状況ではございませんが、7号機の再稼働が見通せる状況になった段階において、廃炉を含めた最適な電源構成の検討状況についてご説明させていただきたいと考えています。また、6・7号機再稼働後2年以内に、1~5号機に関して廃炉を含む最適な電源構成の道筋をつけたいと考えております。

3ページ目をご覧ください。広域系統整備に向けた協力につきましては、国による広域連携系統のマスタープランが策定され、超高圧海底直流送電ケーブルを柏崎市周辺で陸揚げするという計画の検討が進められております。今後、議論を注視しながら、当社グループとして必要な協力を最大限実施して参ります。

次に、柏崎刈羽原子力発電所の安定的な運転、災害への備えについてでございます。
原子力発電を継続して利用していくためには、使用済燃料の再処理を中核とした原子燃料サイクルの推進が不可欠だと考えており、今後も日本原燃やRFSを支援して参ります。使用済核燃料プールの保管量低減に関しましては、今年の9月末を目標にRFSへの搬出を進め、同時期に7号機に貯蔵されている使用済燃料の号機間輸送も開始できるように準備を進めて参ります。また、市長からのご要請のあった、使用済核燃料税の経年累進課税化につきましては、避難・防災体制の強化や、市民の皆様の安全・安心の向上を期待し、2020年4月にすでに合意をさせていただいております。

最後に4ページをご覧ください。柏崎市の将来への貢献につきましては、地元企業との取引拡大に最大限取り組んでおり、今後の大型工事に関しましても、地元企業の皆さまのご意向を直接お伺いしながら対応を進めて参ります。併せて、柏崎市地域エネルギービジョンにつきましても、エネルギー事業者としての知見等を活用しながら、柏崎市における次世代エネルギー開発の可能性などについても幅広く具体的に検討して参りたいと考えております。当社は、地域の皆様から多くの声を頂戴するために、訪問活動、そして発電所でのイベント、コミュニケーションブース、地域説明会など、地域の皆様とのコミュニケーション活動を積極的に実施しております。これらの活動を通じていただいた声を、協力企業を含めた発電所で働く仲間に伝えていくとともに、発電所運営に反映して参りたいと考えております。

以上がご要請いただいた7項目に関する当社のこれまでの取り組みや、今後の対応の方向性となります。本日のご説明した考えのもと、地域の皆様との繋がりを大切にしながら、引き続き事業活動を進めて参りたいと考えております。それでは市長におかれましては、今後ともご指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。私からは以上です。

櫻井市長:今ほど小早川社長から、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方への評価、5年前に私が発出をさせていただきました文書に関しまして、それに対する取り組み、御社・東京電力ホールディングス株式会社の取り組み状況についてご報告を賜ったところでございます。確かに承りました。

まずは私自身の原子力発電所、とりわけ御社・柏崎刈羽原子力発電所に対する認識について、まず申し上げたいと思います。
東京電力・柏崎刈羽原子力発電所は、大事な発電所である。御社にとっても、福島の復興のためにも、柏崎にとっても、新潟県にとっても、日本にとっても、大きな言葉遣いで恐縮でございますが世界にとっても重要な原子力発電所である、というふうに認識をしております。一方、世界の中で、原子力発電所を有する国の中で、日本は世界一の地震大国であります。その国土面積当たりの大規模地震の数、頻度等を見ても、やはり原子力発電所を有する国の中では、世界一の地震大国であるというふうに言わざるを得ません。そして同時に、それを規制する、安全に原子力発電所を動かすために、国の規制、つまり原子力規制庁、規制委員会の原子力規制行政は、これもまた世界一厳しい規制だというふうに言われていると私は認識をしております。そしてまた、日本を資源という面から考える場合、世界でも稀にみる資源小国であります。経済大国と言えるかどうか今わかりませんけれども、しかし、製造業中心に物を作り、経済活動を行い、国として富を得ている。その国にあって、そのエネルギーをどのように生み出すのかということを考えたとき、日本は、やはり資源小国であると言わざるを得ないと考えております。

また、昨今、地球温暖化、気候変動が著しく激しく進む中で、今現在、日本の電力の約7割が火力発電所、CO2を出し続けながら、電力を作っている。御社にもあるわけでございます。7割が火力発電所によって賄われている現状を見るとき、この環境問題の観点から見ても、原子力発電所の存在、CO2を、発電時にCO2を出さないという環境特性を持つ原子力発電所の存在は、さらに大きなものになってきていると、私は認識をしております。この5年間たくさんのことがございました。5年間の起点は言うまでもございません。

まずは新潟県による3つの検証といったものが行われました。そして、残念ながら御社による事案が、複数回起こり、複数事案起こり、3年間停滞した、といったこの3年間もこの5年間には含まれております。また、先ほど社長からもお話があったように、ウクライナ情勢、それに伴う日本のみならず、世界的なエネルギー危機、そして先ほど申し上げましたように、日本のみならず世界的な気候変動、地球温暖化による災害の多発、そして、今年も昨年もそうでしたけど柏崎市における猛暑、そういったことがこの5年間にあったわけであります。今ほど、社長からご報告いただいた、私どもが、私が要請をしました7つの事案について、それぞれお話をさせていただきたいと思います。今ほどいただいたご報告について、私の考え方を申し述べさせていただきたいと思います。

まず、廃炉計画、再稼働計画、新潟県内における再生可能エネルギーへの取り組みなどは、いまだ段階を経るものもございますけど、7号機の再稼働に目処がついた段階、また、6号機の再稼働後2年以内、引き続きそれぞれ努力していただきたいと考えるところでございます。
廃炉もしくは廃炉計画につきましては、電源構成という言葉の中で、7号機再稼働前後、皆様の言葉をそのまま使わせていただくならば、「7号機の再稼働が見通せる状況になった段階において、廃炉を含めた最適な電源構成の検討状況について説明させていただきたい。」という言葉がございました。また、「6・7号機再稼働後2年以内に、1~5号機に関して、廃炉を含む最適な電源構成の道筋をつけたいと思います」という言葉を表明していただいたところでございます。
ご存じの通り私自身は8年前、原発のいわゆる推進派と呼ばれる方々、また、いわゆる原発反対派と呼ばれる方々、それぞれから立候補の要請を、そして、その間の細い道を行くと申し上げ、最初の市長としての当選を受けたところでございます。そして2回目の当選、4年前は公約として「約束イレブン」というものを掲げ、その8番目はこれから申し上げるところであり、議会の所信表明でも明らかにしたところでございます。
約束イレブン8番目、原子力発電所の安全確保、安心向上を不断に求めて参ります。国による安全性審査、県のいわゆる「3つの検証」、市議会でのご議論を見極めながら、柏崎刈羽原子力発電所7号機に関する最終判断を行います。従来から申し上げておりますように、私自身の考え、つまり条件つき再稼働容認、7つすべての再稼働は認めないという立場、姿勢は変わりありません。基数、期間、限定的ながら、原子力発電所再稼働の価値を認め、集中立地によるリスク低減を図りながら、安全で市民の皆様からより一層安心していただけるような施策を、事業者である東京電力ホールディングス株式会社および国に求めて参ります。
再稼働後、同社から提出される廃炉計画の具体性を厳格に見定めて参ります。この廃炉計画の提出とその内容は、東京電力ホールディングス株式会社という会社が信頼され、原子力発電所を運営するに足る公器であるか否かということをも占う試金石であると考えております。
続く6号機の再稼働に関しましても同様であります。核燃料サイクルの進捗を厳しく注視して参ります。使用済核燃料の搬出促進を求め、実効性ある避難計画のさらなる充実、不断の見直しを求め、実践して参ります。と、所信表明でも申し上げたところであります。
「7つすべての再稼働は認めない」という考えは、繰り返し議会でも表明しているものであり、より具体的な廃炉計画を求めてきたところであります。
このことを否定する、もしくは軽んじることは、政治家としての柏崎市長のみならず、市長を圧倒的多数で選んでいただいた、選んだ柏崎市民をも否定すること、軽んずることと同義であるということを肝に銘じていただきたいというふうに考えております。
7号機再稼働時、そして、6号機再稼働前後までにさらにより明確な廃炉計画をお示しいただきたいと考えております。
重ねて申し上げますが、従来から申し上げているところでありますが、誤解なきよう重ねて申し上げますが、私自身は、1号機から5号機すべてを廃炉してもらいたいということを申し上げているわけではございません。どこを廃炉し、7・6号機に加え、どこを再稼働させたいか、1号機から5号機のうち。7、6に加え、どこを廃炉し、どこを再稼働させたいかということを、御社から明確にしていただきたいということを求めているところでございます。

次に、7つの項目の2番目、県内における再生可能エネルギーへの取り組み状況でございます。村上・胎内沖の洋上風力における御社、もしくは関連企業の取り組み結果は残念なものでありました。また、関連企業による、今ほどご説明をいただきました県内既存水力発電の出力増量に関しても、確かに出力増強・増量はなされたわけでありますが、残念ながら期待に応える程のものではなかったと評価せざるを得ません。
原子力発電所の意義を認めている県内自治体においては、再生可能エネルギーの領域においても、東京電力の力を発揮してもらいたいと考えているのは、柏崎市のみならず、県内他の自治体、複数ございます。原子力発電所の意義を広め、そして重ねて、東電から再生可能エネルギーをも県内においてその力を発揮してもらいたいという県内自治体は、柏崎以外にも複数ございます。国が掲げる方針、GX。つまり、再エネと原発の両立を、私自身は未だ御社・東京電力ホールディングス株式会社は、日本の電力会社の盟主であると考えております。その盟主たる東京電力、そして残念ながら福島事故を起こしたのも東京電力であるわけでありますが、であるからこそ盟主であり、福島事故起こした東京電力であるからこそ、原発と再エネの両立を、この新潟県内において、実効的なものにしていただきたいということを強く願うところでございます。

6号機再稼働前後までに、本市柏崎市地域エネルギービジョン、また、国が計画をする、先ほどのお話にもございました、国が計画する、海底直流送電の柏崎揚陸への本市における協力を含め、県内において再エネ事業を力強く展開していただきたいと思います。これは柏崎市においてのみ申し上げているわけではありません。重ねてになりますが、県内において、御社から再エネ事業を力強く展開していただきたいと考えてございます。また、もしくは原発と再エネの両立に理解のある自治体、県内自治体に協力をしていただきたいと考えております。そのための基金、ファンドを作っていただきたいと考えるところでございます。

また、脱炭素電力であるところの、原発の電力を柏崎市のみならず、県内事業者に一定の方程式で供給してもらいたいという要望は、従来からお伝えしてきたところでありますが、新潟県内における原発の再稼働の意義を認める県内自治体、首長さんからの強い要望として、私のところにその声が届けられ始めております。脱炭素電力である原発の電力を県内にも供給していただきたい。特に事業者に提供してもらいたいという、この要望の実現に向け、引き続き検討をしていただきたいというふうに考えるところでございます。

また、御社から、柏崎商工会議所、西川会頭とともに、今までよりも一層地元経済界との関係を強化してもらいたいという要望を、従来から申し上げておりますが、地元経済界との関係強化、また、御社の原子力本部300人の柏崎への移住等を含めた取り組みに関して、評価するところでございます。一時的なものではなく、継続的な取り組みが強く地元経済界から期待されているということを申し添えます。

また、今朝は私、久しぶりに歩いて自宅から市役所へ登庁しました。その際、町中の商店街に御社の社員の皆様が、ごみを拾いながら地域美化に、本日も務めておられました。また先般、私ども柏崎が誇るぎおん柏崎まつり海の大花火大会の翌日には、小早川社長はじめ、御社社員の皆様が多くその清掃活動に携わられた。こういったことを始めとして、社長、副社長、代表、そして所長はじめ、多くの東電の社員の方々が、地域活動を行い、そして、賛成の方も反対の方も多様な意見に耳を傾けるという姿勢には、心から敬意を表し、高く評価をさせていただくところでございます。

結びに、今は見えませんけれども、歩きながら私どもの柏崎市のランドマーク米山を仰いで参りました。今日は曇り空でありましたけれども、くっきりとその米山の姿が見えております。今後、この曇り空を青空にして、くっきりとした米山の姿を仰ぐことができるようにするのは、御社と私ども柏崎市の責務でもあるというふうに考えております。御社と柏崎市が今まで以上に、率直に意見交換を行いながら、冒頭申し上げた、福島の復興を果たすために、また、日本の経済活動を支えるエネルギーセキュリティーを確保するために、また、地球温暖化、気候変動を防ぐためにも、その大きな国家的な課題を少しでも解決するべく、前に進むためには、御社も、また私どもも、抱える責務は非常に大きなものがあるというふうに考えるところであります。柏崎市としては、柏崎市の責務を果たして参ります。

ここに7号機の再稼働に関し私柏崎市長といたしましては、御社・東京電力ホールディングス株式会社から、再稼働の要請がなされた折には、その要請に応えられる段階に至ったということを表明するものでございます。
以上でございます。

小早川社長:ただいま櫻井市長から、私どもの報告書に対する、当社事業に対する、本当に大きな課題を頂戴し、私としては大変身が引き締まる思いであります。

まず廃炉に関する市長のお考えを改めていただきました。集中立地に対するご懸念、ご不安が、市民の皆様の中にある声が、これまでもお応えしておりましたし、承知しております。
他方で、先ほど申し上げました通り、エネルギーを巡る不確実性がある中で、カーボンニュートラルの実現に非化石電源の確保に取り組んでいるところでございます。当社といたしましては、最適な電源構成の道筋がつけられるようしていきたいと思いますし、また、今日拝聴した、非化石の推進につきましては、しっかりと報告させていただきます。それから、県内の自治体さまに対する当社への期待、配慮の必要性についても市長にお話しいただきました。感謝申し上げます。

ご提案の主旨は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働により、発電所がある意義を地域の皆様にも感じていただくことが重要なテーマだというふうにまず認識しました。県内における再エネ事業の協力についてお話いただきましたが、新潟県内でエネルギー事業を行う者として、再エネの活用も1つの選択肢に入れて、県内の産業や経済に何らかの貢献ができないか。あるいは近年激甚化する自然災害に対して何らかの支援ができないかなど、地域の皆様のご意見、それからご事情を丁寧にお伺いしながら、さまざまな可能性を検討して参りたいと思います。

また、3点目、地域経済への、引き続きの関係強化につきましては、これはすでに私どもの方で、本社機能移転であるとかですね、レジリエンスセンター、さまざまありますが、非常にしっかりと地域にお願いし、また発電所をただ置かせていただいているだけではなく、地元企業としてしっかりと皆様に寄り添い、皆様に愛される発電所を目指してまいりたいと思います。

引き続き、地元の皆様ともより、一緒に取り組んでまいりたいと思いますし、よろしくお願いしたいと思います。いずれにしましても、本日はお時間いただきましてありがとうございました。今日、いただきました追加のご意見、私どもに対するご意見をいただきありがとうございました。

櫻井市長:今ほど別添で配らせていただいた、アンケートは4年前に行われたものでございます。改めて、1号機から5号機についての市民の皆様のご意見です。
全号機再稼働が必要とされる方は6.1%。これは4年前ですので、ウクライナ情勢を踏まえる前でございます。多分、このウクライナ情勢の後には、再稼働が必要という方々がさらに増えているというふうに承知をしております。理解します。そしてまた、廃炉をすべきだという考える方はより少なくなっています。これは全国等の新聞等の世論調査から見ても、減り続けていることであります。

裏面の方をご覧いただきたいと思うんですが、地域エネルギービジョンに関しましたアンケートです。つまり、原子力発電所の限定的な基数や期間、限定的な原子力発電所の利活用、風力・太陽光・蓄電池・水素など再エネとの産業化、これも同じく4年前に行ったものでありますが、実はこの同じ文面で、先般、今年同じアンケートをさせていただきました。速報値でございますが、4年前は大いに賛成、概ね賛成が71.5%いただきましたが、4年後の今年もこの大いに賛成、概ね賛成はほぼ同じ数字でございました。つまり、70%ほどであります。つまり、市民の皆様は7割の方が、原子力発電所を、制限的ではありますけれども、限定的ではありますけれども、その再稼働の利活用と、そして同時に再生可能エネルギーの産業化を求めるという市民の皆様のお考えが7割を占めるということはご認識いただいた上で、今ほど社長からお話いただいたことを、是非とも今後ともまた意見交換をしながら前へ進めていきたいと思います。

まだ、7号機の目の前でありますけれども、次6号機、そして先ほど申し上げましたように1号機から5号機の中で、さて次、ということもあるわけでございますので、引き続き、柏崎市、また新潟県、国と、これは御社の問題でもあり、柏崎市の問題でもあり、やはり日本全体の問題でもある、というふうに考えておりますので、そういった責務をお互い担っているという認識のもと、意見交換を終わりたいと思いますので引き続きよろしくお願いいたします。
今日はありがとうございました。

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更新日:2024年08月27日