新潟県の「福島第一原発事故に関する3つの検証総括報告書」に関する市長コメント(令和5(2023)年9月13日報道発表)

本日(9月13日(水曜日))、新潟県において「福島第一原発事故に関する3つの検証総括報告書」が公表されたことに関して、市長のコメントを次のとおりお知らせします。

コメント

時間をかけること、時間がかかることが必ずしも「安全・安心」につながるのものではない。5年、6年という年月をかけ、発生から12年も経過した「福島事故」について政府事故調査委員会、国会事故調査委員会と異なる検証結果が得られたのであろうか。(別紙参照)

知事がおっしゃる通り本来「3つの検証」の目的が福島事故に関しての「技術」「健康・生活」「避難」の検証であるとするならば、この6年でその目的は変わってきたと言わざるを得ない。福島事故の検証であるべきものが柏崎刈羽原子力発電所を巡る現施策の「検証」に変わってきている。一般的に現在のものに関して「検証」とは言わないのではないか。

総括の時期に関しても、そもそも「米山隆一県知事が1期目の任期を終える2020年10月までに報告書を提出する考えを示した」と検証総括委員長でいらっしゃった池内了氏の意向が2020年2月新聞報道されている。

花角知事の場合も、2回の知事選挙とも「3つの検証が終わるまでは再稼働の議論をしない」ということを表明された。しかし、この「3つの検証」が本来的な目的のみに終始し、検証が行われたならば、前4年で総括がされ、その結果に基づいて再稼働議論が行われることも可能であったと考える。つまり、2回目の知事選挙において信を問うべきであったと考える。
もちろんこの間、東京電力自身の右往左往があり、結果、再稼働には結びつかなかったと考えるが、それは別問題である。

私は花角知事就任直後から「3つの検証は合理的に進めていただきたい」と要望してきたが、残念ながら前述の通り本来的な目的を見失い、柏崎刈羽原発に関する課題、問題点を指摘する場に変わってきたかのようであった。それは実質的な再稼働議論である。

一部福島事故の検証から、新たな方向性を見いだそうとする試みもあったが、結果は異なる意見の両論併記などで終わるなど「総括」などできていない。
具体例を挙げるならば「避難委員会」においての検証、スクリーニング問題も一例である。また「福島事故の検証」とも思えない事案に関しても言及している。原子力災害時PAZ圏内住民を原発に向かって誘導避難させるシミュレーションを提案した「新潟県原子力災害時避難経路阻害要因調査」を追認するなど、本来的な目的を見失っているのみならず、重大なミスリードをも見逃している。

総括を巡る混乱も「3つの検証」に関する不審をさらに大きなものとした。極めて遺憾であった。結果的に、東電の右往左往、スケジュールに合わせるかたちとなったが、いずれにせよ6年越しの「総括」をもとに早々に広範囲の意見を聴取し、その上で議会制民主主義における熟議と結論が導かれることを心より願う。

令和5(2023)年9月13日

柏崎市長 櫻井 雅浩

情報発信元

柏崎市危機管理部(電話番号:0257-21-2323)

更新日:2023年09月13日