柏崎刈羽原発再稼働に関する意見について(市長への手紙、令和7(2025)年7月公開)
手紙と回答の概要
お寄せいただいた内容の概要
次の件について市長の回答を希望する。
- 原子力規制委員会の検査が済んだからといって、必ず安全ではない。もっと根源的な問題で、そもそも原発は安全ありきではない。
- 原発稼働によってできた、これまでの核のごみと再稼働によって新たに作り出されるごみの処分はどうするのか。
- 実際に原子力災害が起きたときのことを想像すると、今のままでは道路が混雑渋滞することは必至である。
- 再稼働と避難計画の同地進行はあり得ない、なぜなら、災害事故はいつ起こるか分からないからだ。
- 社会的弱者にある人たちの具体的避難方法が未だ具体的に決まっていないという中で、何が再稼働なのだろうかと思う。
⇒手紙の全文は以下の「お寄せいただいた内容の全文」をご覧ください。
回答の概要
- わが国の原子力規制は、「原子力規制委員会」でいかなる事情よりも安全性を優先した、世界で最も厳しいレベルといわれる新規制基準による科学的・技術的な審査が行われていると認識しています。
- 放射性廃棄物の処理や使用済核燃料の再処理などの解決は、エネルギーの安定供給に直結することから、国が全面的かつ主体的に責任を持つとともに、これまで以上に危機感とスピード感を持ち、前面に立って国民的議論を喚起し、理解促進を図っていくことが極めて重要であると考えます。
- 基本的にPAZ圏内(発電所からおおむね5キロメートル以内)は避難、UPZ圏内(発電所からおおむね5~30キロメートル)は、屋内退避となっています。そこにある原子力に関する情報を市民の皆さまに正しく理解していただくことが、冷静かつ適切な避難行動につながると思っておりますので、引き続き正しい情報の普及に取り組みます。
- 市は、万が一の原子力発電所の事故に備えた原子力防災対策として、柏崎市地域防災計画(原子力災害対策編)、柏崎市原子力災害広域避難計画を策定しています。今後も国、県および関係機関と連携しながら、避難の実効性を高めるための取り組みを継続してまいります。
- 市内全ての社会福祉施設等で施設ごとの避難計画が策定済みであり、避難先が確保されています。
⇒回答の全文は以下の「回答の全文」をご覧ください。
手紙と回答の全文
お寄せいただいた手紙の内容と市からの回答を、個人が特定されないように編集した上で掲載しています。
お寄せいただいた内容の全文
先日、櫻井市長がテレビニュースで原発再稼働の是非をいつ判断するのか「県知事に対して、マスコミの皆さん、もっと突っ込んだ回答を迫る質問をしてください」と述べていた。市長は、再稼働をしたがっているようだが、現在の状況に至っては、地元の同意があれば再稼働してもよいという問題ではないと思う。
福島で起きた原発事故を見ても、これは県全体の問題であり事故が起これば柏崎刈羽のみならず、その周辺地域や県全体、しいては隣県、日本全体にも必ず影響があることである。地元だけのことでは済まされない。
下記について市長の回答を希望する。
- 原子力規制委員会の検査が済んだからといって、必ず安全ではない。何度となく起こっている東京電力の不祥事があり、つぎはぎだらけの施設管理では、到底再稼働などあり得ない。東京電力に責任管理能力があるとは思えない。原発地域にある住民にとっては不安でしかない。これは、もっと根源的な問題で、そもそも原発は安全ありきではない。
- 原発稼働によってできた核のゴミの処分はどうするのか。これまでの核のゴミと再稼働によって新たに作り出されるごみの処分はどうするのか。それも中途半端なまま再稼働をするのか。この点いついても市民は、疑問を持っていると思う。この問題を棚に上げておいて再稼働はあり得ない。この点について、市長はどう考えているのか?納得させられる考えを持っているのか?
先日、県民投票による原発の是非を問う件について、県議会では否決された。大変残念なことだと思う。市長は、妥当な判断だというが、様々な意見を聞いたところで、原発を動かすか動かさないかは二つに一つしかないわけで、では県民はどうやってその意志を表せば良いのかと思う。県民投票をして、県民がどのように思っているのか投票によって聞いたって良いと思う。むしろその方が明確だ。その結果を受けて、ではどのようにしていくのか、それを考えるのが行政の役割なのではないかと思う。
市長は、日本全体のエネルギーの供給のためと言っているが、目先の経済にばかり目が向いて再稼働ありきの考え方では、市民の安心安全の生活や命は守れない。再稼働したいのであれば、もしもの事故の場合に備えて市民が安全に確実に避難できる実効性のある避難計画は必須である。しかし、それが現在、実際に整っているとは思えない。
市から出ている原子力防災のガイドブックを読んだ。何度か改訂版が出されている。災害発生時の地域ごとの大筋の避難方面や避難経路等は示されており、避難の基本は自家用車で、それ以外は近隣の避難場所へ集合しバス移動するとあった。 - 実際に原子力災害が起きたときのことを想像すると、今のままでは道路が混雑渋滞することは必至である。細かなことを言えば、移動バスはどこのバスがどこからどこへ行くのか、何人乗りで何台来るのか等は分かっていない。
- 足の不自由な人、障害のある人等は支援が必要で時間もかかる。市民一人一人の命は大切である。まだまだ具体的に検討し準備しなければならないことがたくさんあるのではないか。それが市民に浸透し、環境が整って避難の実効性があるという状況になった段階で初めて再稼働論ができるのではないか。再稼働と避難計画の同地進行はあり得ない、なせなら、災害事故はいつ起こるか分からないからだ。
先日、家族が入所している施設で総会があったが、そこで原子力災害が発生した場合、避難方法や避難場所はどうなっているのか質問があった。 - 施設側の回答は、避難場所は決まっているが、移送については市と協議途中だとのことだった。避難方法について具体的な話は進んでいない。ガイドブックには、原子力災害の発生時にはまず、要配慮者の避難を優先するとあったが、社会的弱者にある人たちの具体的避難方法が未だ具体的に決まっていないという中で、何が再稼働なのだろうかと思う。
このような点について市長はどのように考えているのか。
回答の全文
お手紙拝見しました。
このたび、柏崎刈羽原発再稼働に関するご意見・ご質問をいただきました。
五項目につきまして、以下のとおりお答え申し上げます。
【1について】
我が国の原子力規制は、国家行政組織法第3条に基づく独立性の高い三条委員会である「原子力規制委員会」において、いかなる事情よりも安全性を優先した、世界で最も厳しいレベルと言われる新規制基準による科学的・技術的な審査が行われていると認識しております。その一方で、たとえ世界一厳しい基準に則した安全対策を行ったとしても、原子力発電所における事故発生の可能性をゼロにすることはできないと考えております。併せて、大規模な地震や津波が原子力災害を同時発生させるという誤った認識は、原子力発電所が立地する地域住民の不安をいたずらに増長させ、冷静かつ適切な避難行動の妨げになるとも考えております。
加えて、柏崎刈羽原子力発電所における一連の不祥事に対しては、所長自ら先頭に立って市民の信頼回復に努めていると認識しておりますが、東京電力ホールディングス株式会社の責務であると考えております。
【2について】
放射性廃棄物の処理や使用済核燃料の再処理など、いわゆる「バックエンド問題」は、我が国のエネルギー政策における喫緊の重要課題であり、国全体で議論すべきものと認識しております。また、柏崎刈羽原子力発電所を例に申し上げれば、保管されている使用済み核燃料の一部が令和6(2024)年9月に青森県むつ市の中間貯蔵施設へ搬入され、核燃料サイクルが一歩前進いたしました。しかし、同県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理施設は竣工が度々延期されるなど、国全体で見れば「バックエンド問題」は、いまだに先行き不透明であると言わざるを得ません。
しかしながら、「バックエンド問題」の解決は、エネルギーの安定供給に直結することから、国が全面的かつ主体的に責任を持つとともに、これまで以上に危機感とスピード感を持ち、前面に立って国民的議論を喚起し、理解促進を図っていくことが極めて重要であると考えております。
【3について】
原子力災害時におけるバス避難については、県の所管であります。県が公益社団法人新潟県バス協会と人員輸送に関する協定を締結し、市内事業者のバスだけではなく、全県のバス事業者からバスを手配する体制となっております。
さらに、県内のバス事業者による手配で不足する場合には、国と県が調整して県外のバス事業者からバスが手配されることとなります。なお、バス避難の詳細については、○○様のご自宅にも配布しております「防災ガイドブック原子力災害編」でご確認ください。
また、同ガイドブックには柏崎刈羽原子力発電所からの距離に応じた避難の方法等も記載されております。基本的にPAZ圏内(発電所からおおむね5キロメートル以内)は避難、UPZ圏内(発電所からおおむね5~30キロメートル)は、屋内退避となっております。東日本大震災においても放射線被ばくによる死者、健康被害はゼロでありましたが、無理な避難などによる誠に残念なケースが多発したことを教訓としたものであります。
そこにある原子力に関する情報を市民の皆さまから正しく理解していただくことが、冷静かつ適切な避難行動につながると思っておりますので、引き続き正しい情報の普及に取り組んでまいります。
【4について】
市は、万が一の原子力発電所の事故に備えた原子力防災対策として、柏崎市地域防災計画(原子力災害対策編)、柏崎市原子力災害広域避難計画を策定しております。原子力防災対策に完璧や終わりはなく、常に更新していく必要があると認識しております。今後も国、県および関係機関と連携しながら、避難の実効性を高めるための取り組みを継続してまいります。
【5について】
社会福祉施設等の避難については、県の所管でありますが、市内全ての社会福祉施設等において施設ごとの避難計画が策定済みであり、避難先が確保されております。また、万が一避難等が必要な場合を想定して、新潟県内のバス会社やタクシー会社等が保有する車両のほか、社会福祉施設や東京電力ホールディングス株式会社が配備する車両により、必要台数は確保されていると認識しております。さらに不測の事態により、確保した輸送能力では対応できない場合は、自衛隊等による実動組織により避難先へ移動していただくことと承知しております。
以上、五項目について、お答えしました。
私は、常に理想と現実を申し上げています。最終処分場のことも事故のことも心配せずに済む、太陽光・風力など再エネ100%は理想でありますが、現在の日本の電源の約70%は、火力発電によるものであり、世界各国から「化石国」と言われる不名誉が現実です。地球温暖化が進み、柏崎を含め、異常気象による災害、被害が多発しております。
また、令和6(2024)年12月26日より、宮城県にある東北電力株式会社女川原子力発電所2号機が再稼働し、新潟県、そして、柏崎にも、その電力を供給し始めました。東日本大震災において、津波などにより800名を超える死者・行方不明者を出した女川町にある原子力発電所です。
多くの新潟県民、柏崎市民が原子力発電所の電気を使っているのも現実です。
私は、今後、○○様のご不安も頭に入れ、国・県にも電気事業者にも私の考えを伝えながら市の施策を進めてまいります。ご意見ありがとうございました。
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更新日:2025年07月15日