森林環境譲与税の使途を個人所有林の育林に直結するように(市長への手紙、令和7(2025)年2月公開)
手紙と回答の概要
お寄せいただいた内容の概要
林業従事者の担い手確保の取り組みは大切ですが、なぜ森林環境譲与税を使い森林組合の職員雇用を図らなければならないのかということです。そこに投入するよりも、森林所有者個人が負担する育林費用の軽減と間伐材の有価物化に充てることの方が森林所有者の森林整備意欲を呼び戻すことにつながると考えます。
⇒手紙の全文は以下の「お寄せいただいた内容の全文」をご覧ください。
回答の概要
市としては、所有者個人で森林を整備することは非常に難しいことから、複数の所有者の森林を集約して整備を進める方が現実的であると思います。また、その整備も専門性のある柏崎地域森林組合に委託することが必要と考えています。
森林環境譲与税の使途は、国が事例としている林業従事者に対する支援や林業事業者の労働環境の改善に係る経費に活用しています。そのほか、公益上、整備が必要な森林の伐採、森林環境教育、公共施設への市産材にも活用しています。
⇒回答の全文は以下の「回答の全文」をご覧ください。
手紙と回答の全文
お寄せいただいた手紙の内容と市からの回答を、個人が特定されないように編集した上で掲載しています。
お寄せいただいた内容の全文
森林組合には、組合員がいると思います。その数や組合員からの出資金・賦課金、組合としての業務の現状が分からないので、新聞報道にあるような公金投入が一概に悪いは言えません。
また、市に入る森林環境譲与税全体の使途も分かりませんが、次のような現状認識をしているため疑問を持ちました。
林業従事者の担い手確保の取り組みは大切ですが、なぜ森林環境譲与税を使い森林組合の職員雇用を図らなければならないのかということです。そこに投入するよりも、森林所有者個人が負担する育林費用の軽減と間伐材の有価物化に充てることの方が森林所有者の森林整備意欲を呼び戻すことにつながると考えます。
市域の65%を占める森林所有者は、市有林もありますが大部分は個人・企業だと思っています。そういう中、山林の荒廃がなぜ起きたかと言えば、ご承知のとおり育林の手間(費用)を掛けても見返り(売上収入)が得られなくなったからです。
植林してから伐期を迎えるまでの数十年とか百年単位の期間、下草刈り・雪起こし・絡まったツル切り・枝打ち・間伐などの手入れ(育林)をしなければ良い材はできません。昭和40年代初頭頃までは、そうした手入れをしても見合う値段で売れました。買い手業者も搬出道路がなければ鉄索を掛けたり、雪が降るのを待ってソリを使ったりして道路まで搬出していたし、そうやってでも業として成り立っていました。
それが高度成長期に入ると、外材の輸入増加や木造建造物の減少等々のために国産材の需要が減り、伐採・搬出条件が良く、かつ商品価値の高い材が相当量まとまってある森林でないと全く買い手がつかない。それどころか所有者が伐採・搬出費用の一部を出すなら伐採しても良いというようなことが、まことしやかに言われる時代になりました。手入れをする元気など失せるのは当然です。若者はなおのこと。植栽から伐期まで数十年とか百年単位を要する上、不採算な林業など見向きもしなくなって今に至っています。
近年、国産材が見直され建築に使う国産材価格はかなり高くなっているようです。市内でもオリンピック選手村に使われたなど明るい報道を目にしますが、その材は育林が行き届いている市有林の材かと思われます。市有林は、たぶん今も森林組合が育林を担っていると思いますので、多くの個人所有林と違い高品質に育っているはずです。
しかし、個人の所有林は、今でも相変わらず伐採搬出費用、立地条件、手入れ(育林)の良し悪しを声高に言われ、期待する売上収入は見込めない。かと言って枝打ちや間伐などを森林組合に頼んでも、その費用回収が見込めないとなれば放置したまま。それが現状と認識しています。
また、間伐材の商品化も広がっていると聞いてはいますが、市内に限って言えば、その材が有価材として評価され、買い上げられることは極めてまれです。もし、この現状認識が的外れでないとしたら、森林組合への若い技術職員雇用に公金を投入することには終止符を打ち、森林所有者が森林組合等に頼む間伐等育林作業に掛かる費用を、極端にはゼロにするくらいの手を打たなければ森林整備は進まないと思っています。
例えば、森林所有者の負担する枝打ちや間伐等育林費用が1万円/haで済み、それを大きく上回る間伐材収入が得られるようになれば、新規の造林や下草刈り、ツル切りなどを自らやる意欲も湧いてくることが期待できます。
森林組合には、新規組合員の募集、技術職員の待遇向上、森林組合法に基づく業務に自助努力を求めていくのが筋だと思います。ただ、そうした公金の使い方が森林環境譲与税の使い方として認められているか否かは承知していません。
全国の取り組み事例を参考にするとともに、県にも申し入れるなどして育林が進むように取り組んでほしいと願っています。
回答の全文
お手紙拝見しました。
このたび、森林環境譲与税の使途について、ご意見をいただきました。
○○様のご指摘のとおり、柏崎市内の森林は、国産材の需要と価格の低迷により森林整備が滞るとともに林業従事者が減り、結果的に伐採に適した時期を過ぎた樹木が大半を占めています。○○様のように、意識の高い森林所有者ばかりであれば良いのですが、実態はそうではありません。
市としては、所有者個人で森林を整備することは非常に難しいことから、複数の所有者の森林を集約して整備を進める方が現実的であると思います。
また、その整備も専門性のある柏崎地域森林組合に委託することが必要と考えております。しかしながら、冒頭に申し上げたとおり、林業従事者が減少していることから、森林環境譲与税の活用方法として認められている林業従事者確保のために柏崎地域森林組合に支援しています。これは、林業従事者の確保はもちろんでありますが、市内で働く人を増やすことにもつながっています。
森林環境譲与税の使途については、国が事例としている林業従事者に対する支援や林業事業者の労働環境の改善に係る経費に活用しています。そのほか、公益上、整備が必要な森林の伐採、森林環境教育、公共施設への市産材にも活用しています。年度ごとの活用方法については、市のホームページでも紹介しておりますので、ご覧いただければ幸いに存じます。
市としても○○様からいただいたご意見は、森林の大切さ、森林整備の重要性などを森林所有者だけでなく、広く市民の皆さまにもお伝えすることが必要であると改めて認識したところであります。
このたびは、貴重なご意見をくださり、ありがとうございました。
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更新日:2025年02月06日