市長定例記者会見(令和6(2024)年1月11日)

市長定例記者会見(令和6(2024)年1月11日)のお知らせ

写真:市長が防災ガイドブック自然災害編を記者に見せながら説明しています。
写真:記者会見会場で、市職員が作成した「2分で分かる!プラスチック製容器包装のリサイクル」の動画をスクリーンに投影しています。

以下の「定例記者会見」で、概要をご覧いただけます。

報道機関との質疑応答を追加しました。

市長記者会見インターネット録画配信

市長記者会見の録画映像を「YouTube柏崎市公式チャンネル」でご覧いただけます。

発表事項

「かしわ★ざ★キッズ!スターチケット」の電子決済がスタート!

今まで0~3歳までのお子さんがいる世帯に、1年間につき1万円分の「かしわ★ざ★キッズ!スターチケット」を紙でお渡ししていました。今年度から、私が公約に挙げていた、スターチケットの電子化がスタートします。今年度、電子決済を利用できるのは、令和5(2023)年12月から令和6(2024)年3月までに生まれたお子さんがいる世帯で、転入者も対象です。それ以前に生まれたお子さんがいる世帯は、今年度は、紙チケットをお使いいただくことになります。令和6(2024)年4月以降は、チケット交付対象者全員が電子決済を利用可能です。希望すれば、紙チケットもご利用できます。初回は、1月12日(金曜日)に発送します。対象者は26人です。紙チケットを使える事業者は87事業者ですが、電子決済を利用可能な事業者は現在69事業者です。紙チケットの利用先の多くは、紙おむつなどを購入できるドラッグストアだと承知しています。ドラッグストアは電子チケットも利用できますので、大きなところはカバーできると思っています。また、小児科や歯医者でも利用できるところもあります。紙と比べて、電子はスマートフォンで残高を確認でき、1円単位の決済もできますので、利便性が向上すると考えています。また、事業者の方々にとっても、チケットの枚数確認や清算手続きが不要になりますので、双方にメリットがあると考えています。

(主管:子育て支援課 電話番号:0257-47-7075)

「柏崎の花―Spring Collection 2024―」を開催します

今回は新たに、熊谷守一(くまがい もりかず)さん、中島千波(なかじま ちなみ)さんをはじめ、県内で活動されている方々の花の作品を購入しました。柏崎で長く活動していらっしゃる池坊や古流、花工房の皆さまの生け花、また大崎雪割草保存会の方々の雪割草など、非常に多くの方々に楽しみにしていただいている展覧会です。今回は、市役所の中でも作品を飾っている、社会福祉法人ロングラン所属の堀井銀次さん、西須奈津子さんの絵画制作の実演会を開催します。ぜひ多くの方々からご来場賜りたいと思っています。

(主管:文化・生涯学習課 電話番号:0257-20-7500)

動画で解説!プラスチック製容器のリサイクル

プラスチック製容器がどのようにリサイクルされるのかを解説した動画を、環境課の職員が作りました。柏崎市はリサイクルに非常に力を入れています。平成16(2004)年に資源物リサイクルセンターをオープンして以来、年間約23万人の方々にご利用いただいています。分別回収の品種は22品種で、県内最多です。市民の皆さまの環境への意識が高く、ありがたいと思っています。お子さんたちや町内会長から、集まったリサイクル品がどうなるのか示してもらいたいというお話がありましたので、2分程度の動画にまとめました。教育の場や町内会でもご利用いただいて、さらに環境への意識を高め、リサイクルへの取り組みを進めていただければありがたいと思っています。

(主管:環境課 電話番号:0257-23-5170)

冬の味覚大放出フェア! 冬の水産物と「米山プリンセス・シスター」の特別販売会を行います

令和5(2023)年11月にはおさかなまつりを行いましたが、今回は「米山プリンセス・シスター」も併せて、水産物・農産物のフェアを行います。処理水などの問題で、太平洋側ではいろいろな水産物の売り上げが低迷しています。同じく原子力発電所を有している柏崎市でも、太平洋側の水産事業者の方々を応援させていただきたいと、ホタテのバター焼きの無料配布や太平洋側の水産物の販売を行います。また、市のヒゲソリダイを特別価格で販売する他、昨年夏の猛暑と渇水の中、非常においしく作っていただいた「米山プリンセス・シスター」をぜひ多くの方々に召し上がっていただきたいため、特別販売を行います。「米山プリンセス・シスター」を使った鯛めしもご用意します。会場は、市内の株式会社柏崎魚市場の競り場です。水産物と「米山プリンセス・シスター」のコラボレーション、特別販売会にぜひ多くの皆さまにお越しいただき、太平洋側の漁業者の方々を応援させていただきたいと考えています。

(主管:農林水産課 電話番号:0257-43-9131)

物価高騰などに対し総合的に支援します

市民の皆さまに向けた支援として、市民税均等割非課税世帯の約8,200世帯に、1世帯当たり7万円を給付します。これは国の制度に則った支援です。また、市独自の事業で、エアコン買い替えの補助を行います。この事業は以前も行い、とても好評でした。新しいエアコンの環境性能が非常に高くなってきていますので、低炭素社会に資する事業だと考えています。そして、新しいエアコンは消費電力も小さくなっています。今のエネルギー価格高騰への対応、また環境性能の高いエアコンで脱炭素社会へ対応するため、今回もエアコンの補助を挙げました。
事業者向けの支援では、LED照明への入れ替え、空調設備の入れ替えを行います。物価高騰に関しては、障がい者施設や高齢者施設、病院などに支援します。
農業者向けの支援では、収入保険や農業共済への補助をします。また、昨年夏の高温、渇水の影響を含め、経営耕地面積が30アール以上で、令和5(2023)年にコシヒカリを作付けした農業者には、コシヒカリの作付面積10アール当たり4千円を補助します。
漁業者向けの支援では、石油製品が高くなっているということで、発泡スチロール製魚箱の購入を補助します。また、フジツボや海草類をきれいに落として船底を塗装し直すと燃費が上がるというお話を漁業者から伺いましたので、上限5万円で船底塗装費用の2分の1を補助し、農業者だけでなく漁業者も応援します。
(主管:財政管理課 電話番号:0257-21-2364)

行事予定

イベント

定例記者会見の質疑応答

報道機関から受けた質問項目は、以下のとおりです。
  • 「かしわ★ざ★キッズ!スターチケット」に関する質問
  • 「柏崎の花―Spring Collection 2024―」に関する質問
  • 「米山プリンセス・シスター」に関する質問
  • 原子力規制庁による説明会に関する質問
  • 令和6年能登半島地震に関する質問
  • 今年1年の市長の抱負に関する質問
  • あい・あーるエナジー株式会社に関する質問

「かしわ★ざ★キッズ!スターチケット」に関する質問

記者:市長の約束11の実現と、令和5(2023)年度の施政方針にも掲げていたと思うが、電子決済の実現によって出生率の低迷や人口減少に歯止めがかかるという期待があるのか。
市長:保育料の無料化のときにも申し上げましたが、電子決済導入後すぐに出生数が多くなるということにはならないだろうと思います。電子化で便利になった、保育料が無料化になったなど、柏崎市が今まで以上に子育て施策に力を入れている、お子さんのいるご家庭を応援している姿勢が市民の皆さまに伝わればと思っています。
スマートフォンで残高を確認でき、1円単位で決済ができるのは、電子化の賜物(たまもの)だと思っています。行政の中でもDXを進めていますが、職員には、市民の皆さまに便利になった、豊かになったと思っていただけるサービスを提供するのがDXの目的だと話しています。もちろん行政側には、行政コストを削減する目的もありますが、この電子チケットに関しては、柏崎市が子育て施策に力を入れている証とご理解賜れればありがたいと思っています。
記者:利用見込みはどれくらいか。
市長:発送数がまだ26人分ですが、若いお父さん、お母さんたちは紙よりスマートフォンを使う方がほとんどだと思います。今まで使えたお店が87店舗あって、そのうち69店舗が電子決済可能で、残り18店舗は紙のみという状況ですので、いきなり全部が電子決済利用にはならないのではないのかと思います。

「柏崎の花―Spring Collection 2024―」に関する質問

記者:前年度作品を4点購入して、今年度も5点購入しているが、市民に見てもらう機会がこの展覧会だけだったように思う。見てもらう機会がもっと増えてもいいように思うが、どう考えているか。
市長:これは私があえて冬しか出さないと決めたものです。何度も出してしまうとありがたみがなくなってしまうところもそうですが、柏崎に足を運ぶ方が一番少ない2月、3月早々に行うことを定着させたいです。真冬の柏崎に行けば花の名画、雪割草、生け花の展示が見られるというイメージを定着させて、市外の方にも柏崎にお越しいただけることを目指しています。逆に冬でなければ見ることができないというふうにしたいので、少なくとも私の任期の中ではこのようにさせていただければと思います。

「米山プリンセス・シスター」に関する質問

記者:物価高騰対策の一つで「米山プリンセス・シスター」を学校給食用米として提供するが、昨年末も飲食店での「米山プリンセス・シスター」の購入を行政として補助していた。「米山プリンセス」のときはここまでしていなかったと思うが、販売が苦戦しているのか。
市長:「米山プリンセス・シスター」は収量が多く取れ、食味も一般のコシヒカリよりもおいしいのですが、一般のコシヒカリよりも値段が高いです。「米山プリンセス」を目指した農家の方々は努力されて、普通のコシヒカリを作るよりも多くのコストをかけていますので、農家の方々をさらに応援したいと思っています。せっかくコストをかけておいしいお米ができたのに、販売が伸び悩むようでは結果的に農家の方々の実入りが確保できません。行政としては物価高騰対策を含め、呼び水というかたちで、学校給食で提供します。「米山プリンセス」は「米山プリンセス・シスター」よりも高いお米ですので、そこまで高いお米を給食に使うことはできません。

原子力規制庁による説明会に関する質問

記者:原子力規制庁に対してどのような説明を求めたいと考えているか。
市長:私が原子力規制庁に対して説明を求めるものではありません。原子力規制庁、原子力規制委員会は3年近い年月をかけて追加検査に至ったわけですので、そのプロセスを、順を追って、なぜ起こったのか、なぜ追加検査に至ったのか、追加検査はどのようなものだったのか、どういう議論があったのか、議論の様子も含めて、市民の皆さまに詳細をできる限り明らかにしてもらうことが大事なのではないかと思います。
記者:適格性の判断について、規制委員会の伴委員などは適格性という言葉の解釈が曖昧だと話している。原子力規制庁、原子力規制委員会で再確認する適格性の範囲と、市民が本当に東京電力に任せていいのかという広い意味での適格性とはギャップがあると思うが、説明会を通じてギャップを埋められると考えているか。
市長:事件が起こったときに会見の場で、私は確か東京電力の資質という言葉を使ったと思います。本来であれば科学的、技術的、合理的な領域を審査するのが原子力規制庁、原子力規制委員会の役割だろうと思いますが、なぜこういったことが起こるのか、非合理的な領域に関しても原子力規制庁、原子力規制委員会から検査してもらえばありがたいと申し上げたと思います。それが適格性という言葉につながったのだろうと思いますが、適格性という言葉を使おうが資質という言葉を使おうが、これは非合理的な領域であるのは間違いないだろうと思います。体質、資質が変わったことをどうやって見える化するのか、数字化するのかは、ナンセンスな話だろうと思います。原子力規制庁、原子力規制委員会も非常に苦労されたのではないかと思いますが、一定の尺度で確認して適格性があると判断したと思いますので、この適格性の問題などを原子力規制庁から説明してもらうことで、市民の皆さまから一定程度のご理解をいただけるのではないかと考えています。
記者:市が住民説明会を原子力規制庁に依頼、要望したということで、その経緯を伺いたい。
市長:議会で私が申し上げたことがきっかけです。私が原子力規制庁、原子力規制委員会に説明会を行ってもらいたいと要請したからです。
記者:原子力規制委員会の追加検査の結果などの最終判断をしたのは、規制委員会の委員たちだと思う。委員たちに対して説明を求めたわけではなく、あくまでも原子力規制庁でよいという判断だったのか。
市長:原子力規制庁は基本的に原子力規制委員会の事務局です。取りまとめをした結果ですので、事務局で説明してもらってよいと思います。当然議事録なども公開されていますので、それぞれの委員の見解も明示されています。
記者:原子力規制委員に出席を要望したわけでも、断られたわけでもなく、最初から原子力規制庁に説明を求めたという経緯だったのか。
市長:最終結果が出ていない段階であれば、委員の方々が住民の方々の疑問を伺うことも必要だったかもしれませんが、今は結論が出ている段階です。結論に至るまでのプロセスも、それぞれ議事録などがホームページなどで公開されています。結果に関してご説明いただくことは、事務局である原子力規制庁で十分対応できると考えています。

令和6年能登半島地震に関する質問

記者:今回の地震で、柏崎刈羽原子力発電所ではプールの水があふれていることが確認されたが、大きな異常はなかったと思う。一方で、震源域に近い北陸電力の志賀原子力発電所では、外部電力を受ける構内の変圧器のトラブルが起きるなど、さまざまな面でこれまで想定されなかったトラブルが起きている。今回の地震を受けて、市長として柏崎刈羽原子力発電所の地震対策について、さらなる対策の実施などを東京電力に求める考えはあるか。
市長:さらなる対策を求めるつもりはありませんが、確認はお願いしたいと思っています。おととい余震があった時、私は出張中で、東京のホテルからリモートで市職員と情報共有会議を3回行いました。会議は午後6時30分、7時30分、8時30分に行い、その段階で東京電力からはプラント1号機から7号機の全てに異常はないという報告があり、その旨を防災無線で市民の皆さまにお伝えしました。石川県ほどではないですが、余震が続いています。最初の大きな地震で傷んだところはないと思いますが、もし少し弱くなったところがあったとするならば、さらに揺れが続くとそこにまた負担がかかると考えられます。大事な時期を迎えているところですので、私としては地震が一旦落ち着いた段階で、本当に今回の地震で全ての機器に影響がなかったか、東京電力にもう一度確認を要請したいと考えています。
記者:全ての機器とは、1号機から7号機まで全てということか、再稼働の準備が進んでいる7号機に限ってということか。
市長:1号機から7号機全てです。どれぐらいのレベルで調査するかはまた別ですが、目視での確認が中心だろうと思います。
記者:さまざまなレベルの機器があると思うが、原子炉建屋の周辺など、環境に影響を及ぼすところ全てということか。
市長:私は専門外ですが、原子力規制庁、原子力規制委員会から確認したほうがよいという指導があるかもしれません。例えば、少量でも水はあふれたので、プールの周りなどを再確認することも必要ではないかと思っています。どのレベルでどこまでやるかは私からは申し上げられませんが、一般的な事項の中で通常揺れが起こったときに東京電力が直後に行う検査を、1、2週間後に、もう一度念のため検査するというレベルでいいだろうと思っています。
記者:これから直接柏崎刈羽原子力発電所に伝えるということか。
市長:私か担当課が伝えることになるだろうと思います。気象庁は余震が1週間から1カ月程度続くと考えているので、余震がほぼ収まってから、改めて確認してもらえばよいと思っています。
記者:収まった段階で要請するのか、今からすぐに要請するのか。
市長:私のこの発言で要請する考えは伝わっていると思いますので、改めて担当課から伝えたいと思っています。
記者:津波警報が県内に出されたことで、車で急いで高台に避難しようとした住民の方で渋滞が起きたところもあると聞いている。中には、原子力災害との複合災害になったらという不安が頭を過(よぎ)った方もいた。市長として、当日の避難行動と不安の声についてどう受け止めているか。
市長:津波警報がテレビなどで流れ、危機迫る臨場感が伝わってくるアナウンスの仕方が重要な効力を発したと思います。同じ放送が柏崎市にも流れていて、その結果、車で高台に向かった方も多かったと承知していますし、市内の道路も渋滞していたと確認しています。私自身は市役所近くのスーパーで買い物をしていた最中でしたので、地震が起きて10分後ぐらいには市役所に入りました。その後、防災行政無線を流し始め、津波に関しては防災ガイドブック自然災害編をご覧くださいと市民の皆さまに放送しました。残念ながらその後、防災ガイドブックはどこにあるのかとか、もう捨ててしまって手元にないという電話があったと聞いています。防災ガイドブックを見ていただければ、津波のときにはどういう行動を取ればいいのか、お住まいの地域ではどこが津波の高台避難の場所なのか書いてありますが、慌てると手元にあるはずの防災ガイドブックよりもテレビ放送のアナウンスを優先してしまうと思います。全戸に配った防災ガイドブック自然災害編の津波のハザードマップなどをご確認いただきたいと、改めて町内会長などを通して周知を図っていきたいと思います。
記者:防災ガイドブックには、津波から避難するときは徒歩で、基本的に車は原則禁止と書いてある。市内で高齢者の方が多い地域では、急いで逃げるとなったときに車を選択した方もたくさんいて、中にはもしこれが原発事故と重なったらと思った方もいたと思う。原子力災害時は自家用車を使ってよい区域の方は自家用車で避難するが、今回車が渋滞し、前になかなか進めなかったことは不安を感じた要因だと思う。渋滞についてはどう感じているか。
市長:防災行政無線で伝える内容が少し足りなかったかもしれません。放送したときにはもう車は動き始めていましたので、その後徒歩でお願いしますと言ったとしても、高齢者に徒歩は無理だとなれば一定程度車は必要になります。地域は申し上げませんが、津波のハザードマップに書いてある避難場所ではないお寺に避難した地域の方もいました。高齢者の多い地域でしたので、車で行けるところに避難したかたちでした。外で待つ方もいたので、車を用意しますのでそちらに移動してくださいとお願いしましたが、もう動きたくないという高齢者が多くいました。実際は難しいと実感しました。今後、津波災害が予測される場合に、基本的には徒歩で、どうしても移動できない方は車で、という内容をどうアナウンスするかが検討課題だろうと思っています。
記者:今回の地震で上越市の国道8号で土砂崩れがあり、そこは避難経路に指定されている。複合災害の不安がある中で、高速道路も一時通行止めが起き、もしさらに大きな地震が起きれば、県内各地で同じことが起きる恐れも十分にあると思う。その点は今回どう見ていたか。
市長:国道8号線の茶屋ケ原から名立谷浜インター入口交差点の通行止めについて都市整備部に確認しましたが、復旧の見込みは今のところまだ立っていないそうです。原子力災害時、糸魚川に避難するには、国道8号線か北陸自動車道を通るしかありません。原子力災害が起こって、8号線で避難した場合、名立谷浜インターの入り口で止まってしまうので、糸魚川に避難する方は、そこから戻って上越インターから乗らざるを得なくなります。市民の方々が上越市、糸魚川市、妙高市に避難するためには8号線と北陸自動車道を確保することが必須だと再三申し上げていましたが、図らずも令和4(2022)年12月には柏崎市内で、令和6(2024)年1月は上越市内で、糸魚川市までの動線が1つ閉鎖される事態になっています。国も十分認識していると思いますが、改めてこの実態を伝えて対応をしっかりしてもらいたいと考えています。
記者:津波に対する避難について、避難した場所が建物に守られていないケースもあったと思う。今回は幸い原子力災害には至らなかったが、もし原子力災害が重なった場合、建物に守られていない場所に避難するのは適切なのか、市長としてどのような問題意識を持っているか。
市長:もちろん原子力災害が重なった場合は津波を考慮して高台に避難しますが、屋外は適切ではないです。高いところでの屋内退避が一番良いですが、そうはなかなかならないので悩ましいところです。しかしどちらを優先するのかと言われれば、津波は物理的に来るので、高いところに避難せざるを得ないと思います。低いところにとどまれば津波に飲み込まれてしまうので、屋外であっても高いところにいち早く避難する必要があるだろうと思っています。確かに高いところに屋内退避できる建物があればいいですが、原子力災害が重なった場合は、屋外に避難されている方に車を派遣して屋内の津波避難施設への移送を考えていましたので、そういった対応が行政にも必要になると思っています。いつまでも屋外の高いところに住民の方々を放置したままにしないということは私共もやはり考えなければいけないと思っていますし、今回もそのように対応したということです。
記者:柏崎市は中越沖地震や中越地震でも被災していて、原発もあり市民の防災意識が高いと思っていたが、今回のような津波は市としてもあまりないことだったと思う。今回の対応の中で、市として教訓になった部分などはあるか。
市長:車での避難が多くなってしまった現実は、もう一度検証しなければならないと思っています。市内で観測された最大の津波は鯨波の前川河口付近で約40センチと承知しています。また、原子力発電所に近い高浜漁港の近くでも、一旦海底が見えるほど波の引きがあったと承知しています。柏崎でも津波が来たと考えると、市民の皆さまも行政も、津波に対応する術として、高台避難で一旦終わらせていいのかを含めてさらに考えていかなければいけない問題だと思っております。
記者:柏崎刈羽原子力発電所の下にも、活断層ではないが断層がある。市長として再度検証を要請する考えはあるのか。
市長:サイト内の断層は原子力規制庁、原子力規制委員会も確認していると思いますので、あえて私からは今回の地震を機に再度調べるよう申し上げるつもりはありません。能登半島が震源だったことは間違いないですが、だんだん震源が東のほうに移ってきて佐渡沖まで来ているというような話もあります。今回の地震は、県内では新潟市西区を中心に液状化などの被害が大きく、震源の動きなど心配な部分もあると思います。国か県どちらの仕事か分かりませんが、今回佐渡沖まで至っている震源の動きをチェックしていかなければいけないのかもしれないと思っています。ただし、それは柏崎市の仕事ではないように思っています。
記者:津波避難は原則徒歩になっているにもかかわらず国道で渋滞が起きてしまった中で、車での避難が許されている原子力災害時にはもっと渋滞がひどくなってしまうのではないかという懸念の声もある。この懸念について市長はどのように感じているか。
市長:もう一度避難方法を整理しなければいけないと思います。防災ガイドブックは、原子力災害編と自然災害編に分かれています。原子力災害編には津波の避難場所は書いてありません。自然災害編に書いてあります。複合災害になった場合には両方の冊子が関わってきますので、徒歩なのか車なのか、またPAZ(即時避難区域)、UPZ(避難準備区域)のどちらにいるのかにもよりますので、もう1回整理しなければならないと感じます。原子力災害、地震、津波があった場合には、津波は物理的に来ますので、避難は基本的に徒歩で、もしどうしても動けない場合には車も仕方ないと思います。いずれにせよ高いところに、建物があろうがなかろうがすぐに逃げるのが津波に対する鉄則だろうと思っています。市民の皆さまに分かりやすく、こういった場合にはどういう行動を取るのかということを、どうお伝えするのがいいのか、検討課題だと考えています。
原子力災害の場合、これは徹底していただかなければいけないと思いますが、PAZの方々は車で避難、UPZの方々はまず屋内退避です。UPZである発電所からおおむね5~30キロメートルの方々は、柏崎や周辺自治体も含め、まずは屋内にとどまるのが求められる行動です。PAZもUPZも車で移動するとなると、さらに大混乱になりますので、原子力災害の場合、PAZの方々は車で避難、UPZの方々はまず屋内退避という意識を徹底しなければいけないと思っています。
記者:今回の地震、津波で渋滞が起きた点で、住民に対する防災の意識や防災マニュアルの徹底が市長としては不十分だったと捉えているということか。
市長:100点ではないですが落第点ではなかったと思っています。渋滞が何時間、何十時間も続いていたということであれば、大きな課題があったとなりますが、渋滞の時間は長くなかったと承知しています。私は今回、市民の皆さまの行動も、市の体制や指示、施策も十分に合格点だったと考えています。また、避難所になっていない場所に市民の皆さまが集まってきたところもありますので、そこに職員がすぐに行って開放したという柔軟な対応をしたことなど、十分に合格点に達しているものだったと認識しています。
記者:防災ガイドブック自然災害編を捨ててしまった方がいたという話があったが、原子力災害編も同じことになっている可能性もあるということか。
市長:十分考えられます。冊子を単独でお配りすると新聞と一緒に出されてしまう可能性があったので、捨てられないようなバインダーに差し込んで各ご家庭にお配りしました。それでも捨ててしまった方がいらっしゃれば、ホームページにも防災ガイドブックの内容は掲載していますが、大事なものですので必要であればまた冊子を市にお求めいただきたいと思っています。
記者:自然災害編と原子力災害編を統合した冊子はないのか。自然災害と原子力災害が重なった場合に見る冊子はないということか。
市長:市が県や国と一緒に行っている避難計画などはありますが、市民の皆さんに対して複合災害の場合にどうしたらよいかという記載が足りないかもしれませんので、それは課題だと思っています。何よりも、改めて市民の皆さまに呼びかけますが、まずお手元に冊子があることを確認して、平時にも見ていてくださいとお願いしたいと思います。市の課題も、早々に対応しなくてはならないと思っています。
記者:市内での渋滞はどれぐらいだったのか。
市長:市役所前や柳橋町、中央跨線橋など、山の方面でそれぞれ渋滞が発生したと情報が入っています。信越線を越える陸橋が2つとも渋滞していたと承知しています。あとは赤坂山公園方面も渋滞していたと聞いています。それぞれの渋滞の距離は分かりませんが、何時間も渋滞が続いたということではなかったと承知しています。
記者:市長として、原子力災害時の避難へ不安は感じたか。
市長:市民の皆さまの行動も、私たち行政の対応も、十分に合格点だったと思っています。しかし、車で避難された方もいらっしゃって渋滞が発生しましたので、大きな課題になる前に対応していかなければいけないと考えています。

今年1年の市長の抱負に関する質問

記者:市長自身の、今年1年に向けての抱負を伺いたい。
市長:私にとって今年は2期目の任期最終年で、1年を切っています。2期目最初の所信で改めて挙げた約束11の政策の実現を、残り11カ月ほどでしっかりと仕上げていくことが、市民の皆さまの安心や安全、豊かさに結びつくと考えています。約束11の中でも「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の意義を認める」「7つ全ての再稼働を認めない」「徐々に減らしていく」「再生可能エネルギーを大事なものにしていく」と申し上げているつもりですし、そのような産業施策も含めて、ウィズコロナ、アフターコロナになりつつある中で、明るい芽出しを行っていきたいと思っています。
令和5(2023)年は脱炭素元年で、あい・あーるエナジー株式会社も実際に稼働を始め、供給を始めています。レドックスフロー電池が機能し始めますので、再生可能エネルギーの安定化に資すると思います。子育て施策に関しても、年度途中から1歳児、2歳児の保育料無料化も始めていますし、スターチケットの電子化も始まります。20年前に比べて出生数が半分以下になっている厳しい現状もあります。これらもしっかりと対応しなければいけないと思っています。櫻井だからこんなに急いでやっていると言われるかもしれませんが、世の中の動きがこれだけ激しくて早いので、私個人が好むと好まざるにかかわらず対応せざるを得なくなっています。あえて申し上げれば、学校の問題や柏崎ショッピングモールフォンジェの問題も含めてです。昨年の夏の猛暑やおととしの大雪など、本当に文字通り何が起こるかわからない時代の中で許された時間はそう多くないです。短い時間の中で物事を決めていかなければ全部駄目になってしまいますし、ゆっくり考えていける問題は残念ながらありません。ほとんどが、短い時間の中で物事を決めていかなければ全てが駄目になってしまうような課題ばかりですので、お叱りをいただくことも多いだろうと思いますが、私は柏崎の生き残りを果たすためにも物事を決めていき、残りの任期を全うしたいと思っています。
記者:2期最後の予算編成で最大限力を注ぎたいテーマはあるか。
市長:柏崎市第五次総合計画の後期基本計画で挙げたように、子育て施策、子どもたちの教育を含めた環境の整備と、大変革期であるところの産業イノベーションへの対応、つまり製造業を中心とした産業対応が令和6(2024)年度の新年度予算の大きな柱になっていくと思います。高齢者や障がい者などの福祉、教育、子育て施策を支えるのは経済です。柏崎の場合、経済の中核を成すのは製造業です。製造業も脱炭素の波の中でどうやって生き残っていくのか、どうやって付加価値が高いものを出していけるのかが焦点です。製造業の業績は今のところ良いと承知しています。業績が良い企業には、可処分所得を上げるためにも、賃上げをして経済の好循環を作ってもらいたいと思っています。ダイレクトに世界の動きが柏崎の動きのようになっているところもありますので、いろいろなお話を伺いながらスピード感を持った対応を継続したいと思います。

あい・あーるエナジー株式会社に関する質問

記者:あい・あーるエナジー株式会社は太陽光と蓄電池を整備しているが、令和6(2024)年はどのようなことをすると考えているのか、あい・あーるエナジー株式会社の社長として伺いたい。例えば、民間への販売は考えているのか。
市長:現在、西長鳥と鯨波発電所で発電した電力は、あい・あーるエナジー株式会社を活用し、柏崎市から購入してもらっています。新年度はあい・あーるエナジー株式会社で国の補助金を受け、蓄電池と太陽光の整備を進めていきたいです。蓄電池の割合が大きくなるため、太陽光が1万キロワットより少なくなる見込みです。今後4、5年間で、3万キロワットの蓄電池と、約1万キロワット弱の太陽光を整備する計画の2年目を進めていきたいと思います。
令和5(2023)年度は公共施設37カ所を中心に太陽光の電力を販売していましたが、新年度は株主の企業を筆頭に、民間企業にも太陽光、蓄電池で蓄えた再生可能エネルギーの電力を販売していきたいと思いますし、十分できるだろうと思っています。

定例記者会見の概要と質疑応答(印刷用)

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更新日:2024年01月12日