東京電力ホールディングス株式会社から再稼働などに関する取り組み状況の回答を受けました(令和7(2025)年9月4日)
市長が東京電力ホールディングス株式会社より、令和7(2025)年7月15日に同社へ提出した確認事項に対する回答を受けました。
確認事項に対する回答について(2025年9月4日) (PDFファイル: 149.6KB)
回答日
令和7(2025)年9月4日
提出者
東京電力ホールディングス株式会社
内容
確認事項に対する回答について
2025年7月15日に柏崎市長より頂戴した確認事項につきまして、下記のとおりご回答申し上げます。
エネルギー基本計画に沿った事業運営
<最適な電源構成の構築>
[確認事項1:再エネの開発方針]
東京電力リニューアブルパワー株式会社(以下、「RP」)による新規再エネ電源の開発方針に変更はないか。時間軸、規模、主力電源化としての位置づけなど具体的なところを明示。再明示願いたい。また、新潟県内における水力発電の増強、新設、系統安定化のための蓄電池等の整備についての検討状況を明示願いたい。
【回答】
昨年8月に『「『柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方』への評価」に関する取り組み状況』(2024年8月22日付)でご報告した、RPにおける、新規再エネ電源の開発方針に変更はなく、今後も取り組みをさらに進めてまいります。
昨年8月のご報告以降の新潟県内における具体的な開発計画の進展としまして、当社のグループ企業である東京発電株式会社において、県内における複数の地点で新設を含む水力発電所の増強などを検討しており、このうち、姫川第八発電所(糸魚川市)(検討段階での出力38,700kW)に関しては、環境アセスメントの準備書の手続きまでを終了しております。
また別紙のとおり、RPにおいて、湯沢発電所(湯沢町)(出力16,100kW)は2019年石打発電所(南魚沼市)(出力5,800kW)は2021年、下船渡発電所(津南町)(出力6,600kW)は2022年、清津川発電所(湯沢町)(出力16,300kW)は2026年に、それぞれ発電電力量の増加や発電効率の改善を図るための老朽化設備の改修を実施または予定しております。今後、その他再生可能エネルギーの新潟県内における設置可能性についても、さらに検討を進めてまいります。
加えて、蓄電池については、新潟県内の複数自治体において関心が高いことが把握できております。今後、ビジネスとしての事業性評価や資金調達方法、設置要件等も踏まえながら検討を始めているところです。
[確認事項2:最適な電源構成の構築]
「特定重大事故等対処施設」の竣工延期、及び、再稼働準備の6号機への集中といった情勢変化を踏まえ、2024年8月22日に御社が提出した文書における<最適な電源構成の構築>に関する、現在の考えを説明していただきたい。
【回答】
当社は、引き続き、非化石電源の確保に努めているところであり、現時点で最適な電源構成をお示しできる状況にありませんが、この度の情勢変化を踏まえ、6号機の再稼働が見通せる状況になるまでに、廃炉を含めた最適な電源構成の検討状況について具体的にご説明させていただきたいと考えております。また、6号機の再稼働後2年を待たずに前倒しを図り、1~5号機に関して、廃炉を含む最適な電源構成の道筋を確実に付けてまいります。
なお、市長が従来から仰るところの7基の集中立地へのご懸念につきましては、県内でも同様のお声があることを十分に意識して検討してまいります。
<広域系統整備に向けた協力>
[確認事項3:超高圧海底直流送電ケーブル]
超高圧海底直流送電ケーブルに関する現在の検討状況について示していただき、改めてその意思をお示しいただきたい。
【回答】
昨年8月のご報告以降の動きとして、東京電力パワーグリッド株式会社(以下、「PG」)は、2024年12月に北海道本州間連系設備(日本海ルート)の新設事業について、関係する他の一般送配電事業者等3社(北海道電力ネットワーク株式会社、東北電力ネットワーク株式会社、電源開発送変電ネットワーク株式会社。PGも合わせ以下、「4社」)とともに応募意思表明を行いました。2025年2月には電力広域的運営推進機関(以下、「OCCTO」)による応募資格審査の結果、有資格事業者に認定されたところです。その後、OCCTOが公募要綱上に定める「検討体」を4社で構築し、「応募意思表明に当たっての条件」に関わる事業検討や技術検討を進めております。
本事業は、広域的取引上、特に重要なものであり、全国における再生可能エネルギーの導入拡大の見込みや、電力のレジリエンス強化の観点からGX実現に向けた重要な系統整備である一方、国内では過去に類を見ない長距離海底ケーブルの敷設を含む大規模なものであり、かつ資金調達の規模も非常に大きなプロジェクトです。プロジェクトファイナンスが前提となっている点や、未確定の要素もあることから、4社としては、責任をもって実現可能という見通しが持てる実施案を作成するために解決すべき課題を整理しながら各条件が成立するよう、様々な関係者の皆さまの協力・支援をいただき、検討を進めております。
当社グループとして本事業が実現に向かって進むよう、引き続き、柏崎市内における必要な協力を最大限実施してまいります。
柏崎刈羽原子力発電所の安定的な運転、災害への備え
[確認事項4:6号機の使用済燃料プールにおける保管量の低減]
2024年8月22に御社が提出した文書には、使用済燃料に関し「号機間輸送やRFSのリサイクル燃料備蓄センターを活用しながら、適切に対応」とあるが、6号機に関しても「概ね80%以下」という目標について、6号機の再稼働工程に影響を与えない範囲内で速やかに実行していただきたい。
【回答】
柏崎刈羽原子力発電所においては、昨年度計画されていたリサイクル燃料貯蔵株式会社(以下、「RFS」)のリサイクル燃料備蓄センターへの使用済燃料(69体)の搬出、及び、7号機に貯蔵されていた使用済燃料(380体)の3号機への号機間輸送を予定通り完了しております。
今後は、今年度下期に計画されているRFSへの使用済燃料の搬出に向けた準備を進めるとともに、6号機に貯蔵されている使用済燃料についても、号機間輸送の実施に向けた準備を6号機再稼働の工程の中で、遅滞なく進めてまいります。
当社は、引き続き、日本原燃株式会社の再処理事業やRFSの中間貯蔵事業など、早期の原子燃料サイクル確立に向けた支援を行うとともに、使用済燃料が再処理工場に搬出されるまでの間、号機間輸送やRFSのリサイクル燃料備蓄センターを活用しながら、柏崎刈羽原子力発電所の安定的な運転のため、適切に対応してまいります。
柏崎市の将来への貢献
[確認事項5:地域経済への貢献・柏崎市地域エネルギービジョン]
2024年8月22日に御社が提出した文書には「地域に根差した事業者として、地域経済への貢献の観点から、地元企業との取引拡大に最大限取り組んでおります。」とある。ここ数年の御社の姿勢は文字通り「最大限」のものと評価する。「『柏崎市地域エネルギービジョン』を踏まえ、柏崎市における次世代エネルギー開発の可能性などについても幅広く具体的に検討」を実行、具現化していただきたい。
【回答】
当社は、地域に根差した事業者として、地域経済へ貢献する観点から、地元企業との取引拡大に最大限取り組んでおり、至近では、柏崎刈羽原子力発電所の新事務本館、柏崎新本社事務所、柏崎レジリエンスセンター等の大型土木建築工事に関して、多くの地元企業に参画いただいております。引き続き、地域経済の活性化のために、積極的に取り組んでまいります。
また、「柏崎市地域エネルギービジョン」を踏まえ、当社としても原子力と共に、柏崎市における次世代エネルギーの開発は重要であると考えており、現在、案件の具現化に向けて、検討を進めているところです。
地域の皆さまとのコミュニケーション
[確認事項6:多様な考え方の傾聴]
「柏崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会(「地域の会」)」をはじめ、原発推進、容認、反対様々な立場の方々と率直な意見交換を行っている姿勢は評価できる。また、地域行事への参加など所長を筆頭に積極的であることは多くの市民が好ましく思い、評価しているところである。
【回答】
確認事項で触れていただきました「地域の会」の存在は大変ありがたく、地域の皆さまの安全・安心のため、多岐にわたるご議論を重ねていただいており、深く感謝申し上げます。
加えて、柏崎市の皆さまを代表する柏崎市議会におかれましても、柏崎刈羽原子力発電所の誘致決議以降、長年にわたり原子力をはじめとするエネルギー問題、そして発電所との共生の在り方について、深いご議論と貴重なご助言を賜り、厚く御礼申し上げます。当社といたしましても、引き続き多様なご意見に真摯に耳を傾け、事業を進めてまいります。
また、当社は地域の皆さまとの交流を深めるべく、様々なイベントにも積極的に参加しておりますが、ぎおん柏崎まつりでの「民謡街頭流し」、「海の大花火大会」での有志による花火の打ち上げ、えんま市や花火大会後の美化清掃などにおいては、所長をはじめ、社長も参加し、市民の皆さまのお声を直接伺っております。今後も様々な機会を通じて交流を深めてまいります。
そのほか、地域の皆さまから多くの声を頂戴するため、訪問活動、発電所のイベント、コミュニケーションブースをはじめ、コミュニケーション活動を積極的に展開しております。コミュニケーションブースについては、昨年度、県内で42回開催し、11,300名の皆さまにご来場いただきました。また、昨年12月には新たな取り組みとして、エネルギーや放射線に関する知識、発電所の安全性などのご理解を深めていただくイベント(「東京電力フォーラム」)を長岡市で開催いたしました。
このような活動を通じていただいた「声」を、引き続き、発電所の運営に活かしてまいります。
今後も地域の皆さまとのつながりを大切にしながら、わたしたちが目指す姿である「地域を愛し、地域に愛される発電所」に向け、事業活動を進めてまいります。
以上
市長発言要旨
今ほど小早川社長より当方からの確認事項についてご回答をいただきました。検討を誠実に重ねられた、基本的に理解できるものであると考えます。
昨日は柿澤新潟本社代表を通して小早川社長とかなり細かなやり取りを夜に至るまでさせていただきました。御社の考え、本市の考え、率直な考えを伺い、お話しすることができ、有意義なものであったと考えております。
その上で申し上げます。
まず、何よりもこのような事態に至ったのは、御社の7号機特重施設の工事の遅れに起因してであるということです。4年以上も遅れるとおっしゃいます。
昨年、8月22日に社長と交わした文書、確認の時点でも既に見通せていたものと考えざるを得ません。難しい工事であり、その見込みも正確なところを言明することも困難であるのかもしれませんが、4年以上というのはあまりにもの年月であります。
当たり前のことですが何事においても互いの「信義」を元に仕事をしています。このことは何よりも確認願いたいところです。
各事項について申し上げます。
確認事項1「再エネの開発方針」に関して
御社、また関連グループ企業による「再エネ」開発がさらに進められ、湯沢、南魚沼、津南などにおける水力発電の増強もよくわかりました。
また、糸魚川の姫川第8水力発電など、具体的な計画も明らかにしていただき、加えて他県内複数地点における水力発電の新設、他再エネの設置可能性検討など言明していただき評価いたします。
さらにまた、蓄電池を使ったビジネスについても県内複数地点における検討を始めたという点も評価いたします。
いずれも当該自治体市町村長においては期待しているものと考えます。
確認事項2「最適な電源構成の構築」に関して
2019年、御社から発出された文書における「地元のご理解をいただき6・7号機が再稼働した後5年以内に、1~5号機のうち1基以上について、廃炉も想定したステップを踏んでまいります」という表明、また昨年2024年の文書、「6・7号機再稼働後2年以内に、1~5号機に関して、廃炉を含む最適な電源構成について道筋を付けたいと思います」という表明がありました。
今回「6号機の再稼働後2年を待たずに前倒しを図り、1~5号機に関して、廃炉を含む最適な電源構成の道筋を確実に付けてまいります。 市長が従来から仰るところの7基の集中立地へのご懸念につきましては、県内でも同様のお声があることを認識しており、こうしたお声を十分に意識してまいります。」という表明は御社の確実なる一部廃炉への意思の表明と考え、それを評価いたします。
「2年を待たず」ということの意味は、まずは6号機の安全、安定的な運転を行い、収益を確保し、福島の廃炉、補償等に振り向ける、定期点検を経て、次の期の安定的な運転が始まったころと、理解いたします。
なお、お手元のプリントは御社福島第一原子力発電所所長でいらっしゃった吉田昌郎氏の政府事故調査委員会における証言であります。何よりも重いものであると考えております。
確認事項3「超高圧海底直流送電ケーブル」に関して
先般、社長もご存じの通り、商社ならびに電気事業者、ゼネコンなどにより予定されていた促進地域3地域における洋上風力事業からの撤退が表明されたところであります。
その中にあって、今回の御社の回答、説明はともに日本海側事業に取り組む東京電力パワーグリッド株式会社を含む4社の現状と今後への検討を率直に表明されたものと理解しております。
「当社グループとして本計画が実現に向かって進むよう、引き続き、柏崎市内における必要な協力を最大限実施してまいります。」という表明を評価いたします。
確認事項4「6号機の使用済燃料プールにおける保管量の低減」に関して
「今年度下期に計画されているRFSへの使用済燃料の搬出に向けた準備を進めるとともに、6号機に貯蔵されている使用済燃料についても、号機間輸送の実施に向けた準備を6号機再稼働の工程の中で、遅滞なく進めてまいります。」という表明を認めます。
もとより80%を超える貯蔵率は御社にとっても大きな課題であり、市民にとっても安定した原子力発電所の運転ができるのだろうかという不安、また使用済みといえども潜在的なリスクを抱える核燃料を置き続けることへの不安があるものと拝察しております。今後も誠実な履行とその目途について随時公開、ご報告願います。
確認事項5「地域経済への貢献・柏崎市地域エネルギービジョン」に関して
地元における取引拡大など、誘致以来56年間の信頼は揺らぐものではないと考えますが、一方、今後とも御社は公益企業と呼ばれる「公器」であることも自覚され、公平かつ合理的な事業運営に心するよう期待するものであります。過日、国に対して表明された地域への「協力」に関しても、その形式は前時代的なものではなく、税という公平・公正なシステムによるものであることを強く期待いたします。
「柏崎市地域エネルギービジョン」を踏まえた「原子力と共に、柏崎市における次世代エネルギーの開発は重要であると考えており、現在、案件の具現化に向けて、検討を進めているところです。」という表明は心強いものであると評価いたします。
確認事項6「多様な考え方の傾聴」に関して
「地域の会」のみならず、市民を代表し、誘致決議以来56年間多様な観点から議論してきた「柏崎市議会の存在」について触れていただいたことは特筆するべきことと評価いたします。
また、社長、所長、歴代新潟本社代表はじめ社員の皆様など率先して地域に出て、厳しい意見にも耳を傾けてきたその姿勢は最大限の評価をいたします。今後もその継続を期待いたします。
結びに、事業の進展は冒頭申しあげたように御社、御社社員、関係会社、社員と56年間、立場の違いはあれ共に歩いてきた地元・柏崎市民との間で築き上げてきた「信義」と共にあります。今後も互いに重く認識していきたいと考えておりますし、期待いたします。
最後に申し上げます。さる7月17日付で国ならびに新潟県に対し、「地元の定義」などについて照会文書を発出いたしました。公文書であります。これらの問いに関して、一定の回答が国、新潟県からなされ、御社による事業者使用前検査が行われ、その適法性を確認する原子力規制委員会の判断がなされるというプロセスの中で、柏崎市長として東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機の再稼働について理解することを表明いたします。以上です。
柏崎市長発言要旨(2025年9月4日) (PDFファイル: 1.3MB)
その他
面談概要は後日掲載します。
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更新日:2025年09月04日