3.本田貴哉さんへのインタビュー

FMピッカラ新春特別番組「柏崎の花 Spring Collection 2025」

このページは、令和7(2025)年1月1日放送の「FMピッカラ新春特別番組『柏崎の花Spring Collection 2025』」を基に作成しました。ダイジェスト版は、広報かしわざき令和7(2025)年1月号に掲載します。

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本田貴哉さんへのインタビュー内容

絵を描き始めたきっかけ、日本画の特徴・魅力

写真:笑顔でインタビューに答える本田さん

本田 貴哉さん

高橋:続いては、本田 貴哉(ほんだ たかや)さんにお話を伺います。本田さん、あけましておめでとうございます。

本田:あけましておめでとうございます。

高橋:本田さんが絵の制作を始めたきっかけはなんですか?

本田:幼い頃から絵を描くのが好きで、大人になった現在でも絵を描き続けています。両親からは、3歳くらいからよく絵を描いていたと聞いています。

高橋:本当に小さい頃から自主的に絵を描いていらっしゃったんですね。

本田:友達と遊ぶより絵を描くほうが好きという子どもでした。

高橋:子どもの頃はクレヨンや絵の具で水彩画を描くと思うんですが、本田さんが日本画を始めたきっかけはなんですか?

本田:高校生の時に専門的に美術を勉強したいと思い、美術大学受験を志しました。その際、デッサンを習っていた絵画教室の先生から「本田君は日本画向きなんじゃない?」と言われまして。たまたまと言いますか、入試の形態も透明水彩の静物着彩と鉛筆デッサンが試験で出されるのですが、それらが得意だったので、これも何かの縁かなと思って日本画専攻を受験して、美術大学の日本画専攻に進んだのがきっかけですね。

高橋:美術大学に進学されたわけですね。今、いろいろなお話が出てきましたけれど、日本画の特徴はなんですか?

本田:そうですね。日本画の特徴は、主に画材ですね。日本画では、主に和紙や絹に描きますが、伝統的な日本画の画材としては、カキの貝殻などから作られる胡粉(ごふん)という白い絵の具や墨、金箔などが挙げられます。ですが、日本画を紹介する上で、岩絵の具の存在は外せません。天然の鉱物や人工の鉱石を粉末状に砕いたもので、砂粒のような状態で売っています。透明水彩などのチューブ入りの絵の具と違って、そのままでは紙にくっついてくれないので、主に膠(にかわ)と呼ばれる接着剤を岩絵の具と水を一緒に溶き合わせてから筆で塗るといった画材ですね。

高橋:描くのにも準備が必要なんですね。

本田:そうですね。1色を塗るまでに結構時間がかかるんですが、そういった色を準備する中で次の1手はどうしようかなと考えるなど、間を楽しみながらといった感じの制作工程になってますね。

高橋:岩絵の具、あまり聞き慣れないですけれども、いろんな鉱物が入った絵の具というのがあるんですね。

本田:はい。鉱物と言いますと、例えば青い色の群青は、天然のものですと藍銅鉱という青い宝石のような石が原料です。天然の緑青、緑色の絵の具ですと孔雀石という石が原料になっています。実際に宝石のような石を原料とした絵の具もありますね。

高橋:そうなんですか。初めて聞く鉱物の名前でしたけれど、鉱物や宝石みたいだと絵の具、高いんじゃないですか?

本田:そうなんですよね。岩絵の具の中には天然のものと人工のものがあるんですけれど、特に天然のものは高価ですね。なので僕はなかなか使えませんけれども、眺めるだけでも綺麗で美しいなと思うような絵の具ですね。

高橋:なるほど。なかなか学校で美術の勉強をしただけでは日本画というものがちょっとよく分からなかったんですが、少しどんなものか分かりました。では、本田さんが描いてる絵はどんな絵ですか?

本田:主なモチーフは風景を選んでいます。風景と言っても、どこか決まった眺めのいい場所や富士山などではなく、住宅街の一角であったり、日向と影のコントラストだったり、または道路のアスファルトとか、身近な日常の一コマを切り取ったような、何の変哲もない景色を好んで描いています。

県展賞受賞作品の説明

高橋:今回、県展賞を受賞した作品、本田さんの作品もスタジオにお持ちいただきました。作品について教えていただけますか?

本田:はい。この作品は、神奈川県の川崎市を訪れた際に、朝の散歩中に見た町の景色を描きました。多摩区の小田急線沿いの景色なんですが、山の斜面に住宅やマンションがずらっと並んでいる地形になっていて、平野育ちの僕からすると、カルチャーショックというか、すごく壮観に映りました。そこを朝日が照らす様子を高台の方から眺めていたんですけれども、ふとそれを見ながら、この町に住んでいる元気な人も、悩んでる人も、 夜仕事を終えてこれから寝る人も、みんな等しく朝を迎えているんだな、と考えました。そうした1人1人違った1日が始まるんだろうなということに思いを馳せて、この度の作品のタイトル「はじまり」なんですけれども、作品を作りました。

高橋:風景としても本当に高低差が感じられますし、そしてこの住宅街、皆さんが生活している風景が思い浮かぶすてきな作品だなと思いました。本田さんは県展賞を受賞したという一報が入った時、どんな感想でしたか?

本田:僕も電話で「県展賞ですよ」というお知らせが来たんですけれども、正直実感が湧きませんでした。しばらく経ってからはだんだんと県展賞いただけたんだなという喜びがこみ上げてきまして。さらに翌朝、新潟日報さんの紙面で僕の名前を見た時に、現実なんだなとそこでやっと思えるようになりました。

高橋:新聞を見て実感したわけですね。

本田:そうですね。僕の名前ある、と思いました。

「柏崎の花Spring Collection2025」ライブペイントについて

高橋:昨年の柏崎の花では「ハクモクレン」という作品が展示されまして、私も拝見しました。非常に美しい作品でしたが、花の絵はよく描かれるんですか?

本田:実は子どもの頃は動物や昆虫とか、動くものにしか興味がなくて全く描いてこなかったんです。ですが、日本画の作品を手がけるようになってから、花の美しさや面白さに気づきました。まだ作品として、花はあまり数は多く描いてないんですけれども、今後ぜひ挑戦したい、どんどん描いていきたいと思っています。

高橋:今後も「柏崎の花Spring Collection」で本田さんの作品見られるのを楽しみにしています。今回ライブペイントしていただくわけですが、ライブペイントを通して、市民の皆さんに伝えたいことを教えてください。

本田:まず、日本画の制作風景を目にする機会があまりないと思いますので、ぜひご覧いただき、日本画とはどんなものかということを知っていただけるととても嬉しいです。そして、作業工程として、1色1色を膠(にかわ)と水で混ぜて色を作るような、少し独特な工程が複雑に見えるかもしれませんけれども、それ以上に日本画は面白いものですので、ライブペイントを通して日本画の魅力や、作品を作ることの面白さを皆さんにご紹介できればと思っています。

高橋:どのようにして描いているのか、見せていただけるのを楽しみにしています。

お二人の話を受けての教育長の感想

写真:マイクに向かって話す近藤教育長

近藤教育長

高橋:近藤教育長、お二人のお話を伺っていかがですか?

教育長:はい。今、私はものすごく興奮しているんです。目の前に県展賞作品が2点並んでます。阿部さんの作品は、非常に重厚な感じを受けます。先ほどお話を伺っていまして、この作品のベースとなるいろいろなお考え、あるいは人生経験って言うんでしょうか、そういったものをお聞かせいただいて、また違った、この作品の持つ意味を深く捉え始めたところです。一方、本田さんの作品は、非常に爽やかというか、私も以前東京郊外に住んでいたことがあって、確かにこういう風景があったなと、またある意味で懐かしく思い出されていたところです。絵を見て、第一印象というのも非常に大事かと思いますが、お二人のお話を伺って、絵画の素晴らしさ、面白さ、奥深さを改めて感じ取りました。

高橋:そうですね。本当に作者の意図をお伺いすると、より深く絵を感じられるようになるなと思いました。

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更新日:2025年01月01日