市長定例記者会見(令和7(2025)年7月2日)
令和7(2025)年7月2日に開催した市長定例記者会見の概要についてお知らせします。
令和7(2025)年7月定例記者会見レジュメ (PDFファイル: 227.3KB)
令和7(2025)年7月2日(水曜日)柏崎市長定例記者会見(YouTube柏崎市公式チャンネルのサイト)
発表内容
市長発表事項
拉致問題の完全解決に向けた街頭署名活動を行います
7月26日(土曜日)、ぎおん柏崎まつり海の大花火大会の会場で、拉致問題の完全解決に向けた街頭署名活動を行います。今回は、拉致被害者である蓮池薫さんからも街頭署名活動にご参加いただく予定です。全国の拉致被害者の関係者やご家族の高齢化が進み、非常に厳しい状況になっています。昨年の花火大会の開会のあいさつでも、私は「この会場は拉致事件が起こった場所です」と申し上げました。祭りの日に拉致の話は聞きたくなかったという意見や、拉致問題の厳しい現実を知れて良かったという意見がありました。拉致問題の完全解決に向けての足取りの遅さに対し、危機感やもどかしさを覚えています。このような危機感の高まりなどから、より多くの方々に拉致問題の完全解決に向けて皆さんのお力添えをいただきたいと考えています。
(主管:人権啓発・男女共同参画室 電話番号:0257-20-7605)
資料:拉致問題の完全解決に向けた街頭署名活動を行います (PDFファイル: 810.6KB)
空き家条例改正案に係るパブリックコメントを開始します
先月の記者会見で「管理不全空き家の所有者・管理者への罰則強化に着手します」と発表しました。さらに検討を重ね、より具体化した内容を基に皆さまにパブリックコメントを求めます。
罰則強化に係る内容は2つあります。1つ目は、期限までに勧告に従わない場合は命令を発出し、期限までに命令に従わない場合は、命令を受けた者の住所、氏名、特定空家等の所在地、措置命令の内容を公表するというものです。公表の方法や期間などは柏崎市空家等推進協議会で審議し、柏崎市管理不全空家等及び特定空家等認定基準・対応要領で定めます。2つ目は、命令に従わない、立ち入り調査を拒む、妨げる、または忌避するなどの場合は、法による過料を科すというものです。また、命令発出に伴い設置する標識を毀損した場合には条例による過料を科します。今後のスケジュールですが、本日からパブリックコメントを開始し、8月の推進協議会で審議します。その後、9月の市議会に条例改正案を上程する予定です。なお、現在、氏名などの公表や過料を定めた条例は、県内にはありません。
(主管:建築住宅課 電話番号:0257-22-2291)
資料:管理不全空き家の所有者・管理者への罰則強化に向けたパブリックコメントを開始しました (PDFファイル: 76.2KB)
物価高騰などに対し支援します
水道事業と学校給食費に対して支援を行います。学校給食では、食材費の値上がりが進んでいます。本来は、保護者に物価高騰分の費用を負担いただく必要がありますが、今回は、国からの交付金などを使い、市が給食材料費の高騰相当部分を負担します。児童・生徒1人当たり約3千円を支援します。事業費は1,706万4千円で、財源内訳は国からの物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金が550万9千円、市の一般財源が1,155万5千円です。
(主管:財政管理課 電話番号:0257-21-2364)
資料:物価高騰などに対し支援します (PDFファイル: 65.4KB)
水道料金の基本料金令和7(2025)年8・9月検針分を全額減免します
今年2・3月にも基本料金全額減免を行ったため、2回目の実施です。一般の家庭が使う13ミリ口径の水道の場合、1カ月の基本料金が1,045円かかりますが、この部分を2カ月間、全額減免します。事業費は8,299万円で、財源内訳は国庫支出金が2,679万4千円、市の一般財源が5,619万6千円です。
(主管:経営企画課 電話番号:0257-22-4111)
資料:水道料金の基本料金令和7(2025)年8・9月検針分を全額減免します (PDFファイル: 122.3KB)
トヨタ自動車の服部勇馬さんを迎え「第23回柏崎マラソン」を開催!
服部勇馬さんは十日町市旧中里村出身で、箱根駅伝での区間賞獲得や福岡国際マラソンでの優勝、東京オリンピックに日本代表として出場されるなど、新潟県が誇るトップランナーです。その服部さんをお迎えし、ご本人からもハーフマラソンにご出場いただきます。申し込みが7月1日(火曜日)から始まっていますので、ぜひお申し込みください。
(主管:スポーツ振興課 電話番号:0257-20-7010)
資料:トヨタ自動車の服部勇馬さんを迎え「第23回柏崎マラソン」を開催! (PDFファイル: 153.5KB)
パンフレット:柏崎マラソン (PDFファイル: 7.0MB)
市内飲食店で「幻の超高級魚アラ」の試食会を開催します
参加費千円でアラ料理を1品以上含む3千円相当の料理を味わっていただけます。8月2日(土曜日)に2店舗、5日(火曜日)に1店舗、それぞれ定員を決めて試食会を開催します。柏崎で取れる高級魚アラは、人気が高いため、市外や県外の事業者から落札されることが多いと聞いています。アラのおいしさを市民の皆さまにもぜひ味わっていただきたいという漁業者の要望もあり、市も支援します。柏崎伝統の漁法である桶流し一本釣りで1尾ずつ丁寧に漁獲されたアラを、ぜひ味わっていただきたいと思います。
(主管:農林水産課 電話番号:0257-43-9131)
資料:市内飲食店で「幻の超高級魚アラ」の試食会を開催します (PDFファイル: 312.4KB)
行事予定
7月12日(土曜日)から8月17日(日曜日)までの土・日曜、祝日に番神自然水族館が行われます。7月19日(土曜日)、20日(日曜日)には、サザエの採取体験も予定されています。人数が限られていますが、海に親しむ子どもたちが多く育ってほしいと思いますし、海に親しんでいただきたいという思いは漁師さんも同じです。漁業協同組合の協力でこのような体験が行われます。また、7月には市民一斉地震対応訓練や「親子わんだーランド 生き・活き・子育て!」、8月には、被爆体験伝承講演会や天文同好会の天文トークがあります。この他「海辺の運動会」や「海で水球in柏崎」「親子の運動あそび教室」など、海や外で体を動かすイベントが多く予定されています。
イベント
- オペラプレセミナー
(主管:文化・生涯学習課 電話番号:0257-20-7500) - 市民一斉地震対応訓練
(主管:防災・原子力課 電話番号:0257-21-2316)
チラシ:市民一斉地震対応訓練(PDFファイル:382.8KB) - 女声合唱のひととき コーロ・カンタービレコンサート
(主管:文化・生涯学習課 電話番号:0257-20-7500) - ぎおん柏崎まつり
(主管:商業観光課 電話番号:0257-21-2334) - ロビー展示「モノが語る戦争の記憶」
(主管:博物館 電話番号:0257-22-0567) - 親子わんだーランド 生き・活き・子育て!
(主管:人権啓発・男女共同参画室 電話番号:0257-20-7605)
チラシ:親子わんだーランド 生き・活き・子育て!(PDFファイル:664.7KB) - 被爆体験伝承講演会 ―次代につなぐ平和への願い
(主管:人権啓発・男女共同参画室 電話番号:0257-20-7605)
チラシ:被爆体験伝承講演会 ―次代につなぐ平和への願い(PDFファイル:12.7MB) - 核兵器と戦争に関する16の問い展
(主管:人権啓発・男女共同参画室 電話番号:0257-20-7605) - 満州柏崎村の塔前に献花台を設置します
(主管:人権啓発・男女共同参画室 電話番号:0257-20-7605) - プラネタリウムイベント投影「第2回 柏崎天文同好会による天文トーク」
(主管:博物館 電話番号:0257-22-0567)
チラシ:プラネタリウムイベント投影「第2回 柏崎天文同好会による天文トーク」(PDFファイル:418.4KB)
スポーツ
- 親子でチャレンジ 海辺の運動会
(主管:スポーツ振興課 電話番号:0257-20-7010)
チラシ:親子でチャレンジ 海辺の運動会(PDFファイル:779.4KB) - 海で水球in柏崎 笠島
(主管:水球のまち推進室 電話番号:0257-41-4020)
チラシ:海で水球in柏崎 笠島(PDFファイル:4.3MB) - 親子運動遊び教室
(主管:スポーツ振興課 電話番号:0257-20-7010)
チラシ:親子運動遊び教室(PDFファイル:2.3MB)
定例記者会見の質疑応答
- 拉致問題の完全解決に向けた街頭署名活動に関する質問
- 空き家条例改正案に係るパブリックコメントの開始に関する質問
- 物価高騰に対する支援に関する質問
- 水道料金の基本料金全額減免に関する質問
- アラの試食会に関する質問
- 博物館のロビー展示に関する質問
- 中学校統合に関する質問
- 参議院議員選挙に関する質問
- 柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する質問
拉致問題の完全解決に向けた街頭署名活動に関する質問
記者:蓮池さんの他に、支援団体などが署名活動を行う予定はあるか。
市長:現時点でその予定はありません。
記者:蓮池さんの署名活動参加は初めてのことなのか。また、今の蓮池さんの思いを聞いているか。
市長:蓮池さんが署名活動に参加されるのは今回が初めてのことであり、快くお受けいただきました。近年、拉致問題完全解決に向けての進展がみられず、拉致被害者ご家族の高齢化やご逝去という非常に厳しい状況が続いており、蓮池さんは強い危機感をお持ちであると承知しています。
記者:飲酒している方が多い中での署名活動はふさわしくないと感じるが、どのように考えているのか。
市長:確かにベストではないかもしれませんが、多くの方に拉致問題の完全解決に向けた強い願いを知っていただくために、イベント会場で署名活動を行うことのメリットは大きいと考えています。飲酒に関しては、皆さんの良識に期待するところです。
記者:改めて、市として拉致問題にどう取り組んでいくのか、伺いたい。
市長:当市と小浜市、佐渡市の3市は、拉致問題の早期解決を目指し連絡協議会を設置し連携を進めています。佐渡市では、拉致被害者の曽我ひとみさんが、いまだ消息不明の母・ミヨシさんの帰国を願い署名活動や講演会を繰り返し行い、首相や米国政府への働きかけを続けています。昨年は、私自身も在日米国大使館の独立記念日レセプションに参加し、大使に対して直接拉致問題解決への協力を要請しました。しかし、いまだ具体的な進展が見えず、被害者家族の高齢化が進み、関係者の方々が亡くなられているという現実があります。横田めぐみさんの母・早紀江さんも、長年にわたり痛切な訴えを続けておられます。私共としては、蓮池さんをはじめとする拉致被害者やそのご家族の思いを受け止め、一刻も早い完全解決を目指して、のぼり旗の設置や署名活動等を行いたいと考えています。
空き家条例改正案に係るパブリックコメントの開始に関する質問
記者:改めて条例の制定を目指す狙いをお伺いしたい。
市長:条例改正案の提案に至ったきっかけは、今年のゴールデンウィーク中に市内の空き家で壁が崩落し、近隣住民や通行人に危険が及ぶ状態が発生したことによります。この物件は、過去にも繰り返し所有者に対して改善を求めてきましたが、長期間にわたり対応がなされず、音沙汰もない状態が続いていました。実際の危険発生を重く受け止め、今回の条例改正案を提案させていただくこととなりました。
記者:新たに条文に加える部分を教えてもらいたい。
市長:新たに2つの改正を行う予定です。1つは、空き家の所有者・管理者の住所や氏名を公表すること、もう1つは、過料を科すことです。過料は、現在ある法に基づくものに加え、条例にも別の過料の規定を明記するものです。
物価高騰に対する支援に関する質問
記者:学校給食費の支援は、保護者と学校のどちらにお金が交付されるのか。
市長:保護者に直接交付するものではなく、本来は保護者にご負担いただく予定の約3千円分の費用を、市が負担する仕組みです。
記者:支援する期間はいつからいつまでになるのか。
市長:今年度中の物価高騰により増加が見込まれる給食の食材費として、児童・生徒1人あたり約3千円分の支援を行うものです。
記者:今年度の高騰分を見込んだ額を教育委員会の担当に振り込むという考えでよいか。
市長:今回の給食費支援は、年度をまたぐことは想定していません。ただし、1人あたり3千円の支援で今年度いっぱい対応できるかどうかは、今後の物価の動向次第です。さらに物価が高騰し、現在の支援額で不足する場合には、追加の対応を検討する必要があります。
記者:今まで1食あたりいくらで作られていたものがどれぐらい上がったか、数字で教えてもらいたい。また、どのようなものが材料費の高騰を押し上げているのか。
教育委員会:小学校はこれまで1食330円、中学校は1食390円でしたが、1食あたりそれぞれ15円を上乗せして対応する予定です。物価高騰の影響が特に大きいのは米と牛乳です。
水道料金の基本料金全額減免に関する質問
記者:2・3月に基本料金全額減免を行った際は多くの市民が恩恵を受けられるため、実施に踏み切ったと説明されていたが、今回も同様の考えか。
市長:基本的に前回と同様の考えです。8・9月は特に暑さが厳しく、水の使用量も増える時期であるため、水道料金の基本料金を減免することとしました。当初は各課からエアコン購入補助やLED照明の導入支援など、さまざまな活用案が出されましたが、今年は水道事業90周年の節目にあたること、そしてより広く市民に恩恵が行き渡ることから、水道料金の減免に充てることとしました。
アラの試食会に関する質問
記者:市でアラを食べてもらうキャンペーンや試食会を行う意義をどのように考えているか。
市長:地元の漁業者に直接話を伺ったところ、アラが高値で市場に出回るのはありがたい反面、その多くが市外や県外の業者に落札されてしまい、市民が味わう機会が非常に少なくなっているという実情があるそうです。漁師の方々のもどかしい思いに、私たちとしても何か応えたいと考えています。地元で取れたアラのおいしさを市民の皆さんに知ってもらい、こんなに良い魚が地元で水揚げされていると実感してもらえるようなPRや取り組みを進めていきたいと考えています。
博物館のロビー展示に関する質問
記者:戦後80年の節目に新たな展示などは行うのか。
教育委員会:毎年行っている展示などに加え、今年は柏崎市大字長崎地内に模擬爆弾が投下された当時の証言をまとめたパネルの展示を行います。
中学校統合に関する質問
記者:先日、北条中学校の統合についての説明会があり、保護者からは、統合が1年早まることへの不安などが挙げられたが、これからの統合の方針についてどのように考えているのか。
市長:悩ましいですよね。中学校の統合は、実施時期によって対象となる生徒が変わってしまうため、判断が非常に難しい問題です。1年早めるか遅らせるかで、その影響を受ける生徒や保護者も変わってきます。ただし、統合という方針自体は既に決定されており、どこかで明確に線を引かざるを得ません。説明会の会場では「どうせ統合するなら早く進めてほしい」という声や「東中学校と第五中学校が統合した翌年に北条中学校を統合するよりも、同時に統合した方が子どもたちも落ち着くのではないか」という声もありました。また、北条地域の保護者からは「統合が避けられないのであれば、できるだけ早くより良い教育環境を整えてほしい」といった声もいただいています。統合の年と受験が重なる子どもたちが出てしまうため、保護者や生徒さんが不安に思う気持ちもよく分かります。今後は、そうした不安なお声にも対応し、説明責任を果たしていく必要があると考えています。
参議院議員選挙に関する質問
記者:特定の候補の応援に入る予定はあるか。また、論戦の中で期待したいことは何か。
市長:個別に依頼があった場合や、一定の政治的課題に対して考えを共有できる候補者がいれば、その方を応援する可能性があります。県選出の候補者であっても、国会議員である以上は国全体の課題に取り組む必要があります。その中で、市の立場から特に重要と考える課題として、人口減少やエネルギー政策、お米を始めとした農業関係の課題などが挙げられます。これらの重要課題について、各候補者には具体的な見解を示していただきたいと考えています。
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関する質問
記者:東京電力柏崎刈羽原子力発電所の稲垣所長が先日の記者会見で、6号機にリソースを集中し、7号機を長期停止する旨を発表した。このことについて、どのように受け止めたか。
市長:発表の前日に電話で事前連絡を受け、翌日には新潟本社代表や稲垣所長らが来訪され、正式に説明を受けました。6号機に人的資源などを集中させる方針であると改めて伺い、その方針は承りましたと返答しました。私としては、これまでも7号機の再稼働に際して東京電力に7項目の確認事項を提示し、その回答を踏まえて受け入れ可能と判断した経緯があります。今回、6号機を優先させる方針が示された以上、同様にその7項目を6号機に当てはめて再確認を行う必要があると考えています。そのため、7月前半までに確認したい事項を文書で東京電力に提出し、それに対する回答を東京電力から受ける予定です。これは恐らく一度で済むものではなく、複数回のやり取りになると見込んでおりますが、最終的に双方が確認事項に納得ができた段階で、改めて小早川社長に東京電力としての正式な考えを示していただきます。その上で、7号機のときと同様に、6号機の再稼働が受け入れ可能な状況になったと判断できれば、その旨を正式に表明する考えです。この一連の流れについては、おおよそ8月をめどに進めていくことを、東京電力とも共有しています。
記者:小早川社長と話し合った7項目の中でも特に重要な廃炉計画について、昨年8月の時点では「7号機の再稼働が見通せる段階で、廃炉を含めた最適な電源構成について説明する」としていたが、現在7号機の再稼働が遅れる可能性があり、計画との整合性が問われている。特に「6・7号機再稼働後2年以内に1~5号機の廃炉の道筋を示す」という表現にある2年以内という時限について、市長はどのように考えているのか。
市長:確認事項の中でも、1〜5号機の廃炉計画の提出に関する項目は確かに大事なところです。この点については、以前7号機の再稼働に関しても「再稼働後2年以内に廃炉計画を提出すること」という条件を示してきました。しかし、現状は、7号機の再稼働は特定重大事故等対処施設の問題により4年程度先になる見通しです。「再稼働から2年以内」という条件をそのまま適用した場合、廃炉計画の提出が最大で6年先になる可能性があります。昨日、東京電力新潟本社の代表や所長が来訪した際にも、このような状況になったのは御社の責任であると指摘した上で、状況の変化を踏まえて改めて確認させていただくと伝えました。現在、東京電力に対して6号機再稼働に関する確認事項を文書で提出する準備を進めており、7月前半までには提示したいと考えています。
記者:市長は以前「東京電力から8月ごろまでに一定の回答が得られて、7号機と同様に要請があれば、6号機の再稼働も容認できる状況になる」と発言していた。逆に、東京電力からの回答に市長が納得できなければ、6号機の再稼働を容認しない可能性もあるという理解でよいか。
市長:当然その可能性はあります。
記者:市長は、先日の全国原子力発電所所在市町村協議会の総会で「法に基づかない地元の同意が、法を超えることはあってはならない」と述べ、昨年10月の原子力政策地域会議での事前発言として提出していた文書でも「電力事業者は規制委員会の許可を得たら遅滞なく再稼働すべきであり、地元に対し過度に忖度(そんたく)するべきではない」との見解を示している。一方で、今回東京電力に対して追加の条件や要求を出す姿勢は、市長のこれまでの発言や立場と矛盾しているようにも見えるが、どのように整理しているのか。
市長:はっきりとした制度でないにもかかわらず、安全協定や地元合意が、実際には大きな影響力を持っている実情を、おかしいなと思っています。特に、地元や立地地域といった言葉がどこまでの範囲を指すのか、今後、国や県、東京電力に対してその定義を確認したいと考えています。ただ、おかしいなと思いながらも、こうした地元合意などのプロセスが、実際には全国の原子力発電所立地地域でも制度のようなものとして機能している現状がありますので、私自身もその仕組みを一つのルールとして受け止め、従っていくということです。また、私は、地元合意は全く必要ないなどと言っているのではなく、今の県のあまりの状況を考えれば、ある程度の制限や整理が必要ではないかと申し上げているわけです。こうした対応をずる賢いと言われることもあるかもしれませんが、政治の場では、理想だけでなく現実にも向き合う必要があると考えており、そのような指摘も真摯(しんし)に受け止めたいと思っています。
記者:国と県にも確認したいとのことだったが、具体的にどのように行うのか。また、いつ頃、どの省庁や誰宛てに出す予定か。
市長:現在、どなた宛てに文書を送るべきか検討しています。前回の防災会議では内閣総理大臣が議長を務められ、石破首相が発言されていますから、国はトップである内閣総理大臣宛て、県に対しては花角知事宛てになると考えています。確認事項を整理しながら、東京電力には今月前半までに伝える予定ですので、国や県に対しても同時期までに確認事項をまとめた文書を送付したいと考えています。
記者:地元の範囲だけでなく、5月の全国原子力発電所所在市町村協議会の総会では、法に基づき地元同意が得られなくても事業者が再稼働できることを明確にすべきだと話していたが、そういった考えも含めて確認したいということか。
市長:法で動いているところ、法以外で動いているところ、動いていないところ、様々な実態があります。全国の原子力発電所の安全協定を改めて確認したところ、唯一、福井県が関西電力などと結んだ安全確保に関する協定書には「運転再開の協議」という条項が明記されています。一方、当市や新潟県、刈羽村が東京電力と結んでいる安全協定には「運転再開の協議」という条項はありません。そもそも全国の安全協定自体に法的な位置づけはありません。このような状況はおかしいのではないかという問題意識を持っています。この考え方を整理しながら、国や県にも確認を求めたいと考えています。まずは地元という言葉の定義付けから確認したいと思っています。
記者:市長は、地元同意に法的な位置づけはないと言っているが、経済産業省は原子力エネルギー基本政策において、国は地元の理解に努めるべきとして、地元同意が必要と見ている。市長はその見解自体がおかしいと考えているのか。
市長:「地元」がどこを指すのかが非常に曖昧だと申し上げています。今回の公聴会や地域ごとの意見交換会では、この地元が県全域に及ぶ範囲かのようになっています。地元は具体的にどこを意味しているのか、県に確認したいと考えています。
記者:安全協定の当事者であり、広域自治体として他の28市町村を代表する立場である県が、全体の意見をまとめるために公聴会を行うことは、プロセスとしてはおかしなことではないと思うが、どのように考えているか。
市長:これまでルールとされてきた立地自治体の枠を超えて、一体いつから全ての県内自治体に意見を聞くことになったのか、また再稼働に当たって他道県でも同様のことを行っているのかどうかという点を含めて、おかしいのではないかと指摘しています。先月当市で開催した原子力防災の講演会には、新潟県内の首長で唯一村上市の高橋市長だけが参加されましたが、村上市は最北端が原発から約180キロと大きく離れています。原子力防災においてPAZは5キロ、UPZは30キロと一定の科学的根拠に基づく距離で決められている一方で、今回の県の論理のように広範な自治体に意見を求めること自体に疑問があります。この論理が正しいとするならば、北海道は泊原子力発電所から300キロ以上も離れた根室市にも意見を聞くのでしょうか。地元の定義が曖昧なままで合意形成や、議会活動がなされたりするのはおかしいというのが私の問題提起です。
記者:確かにPAZやUPZは距離に基づいた取り決めだが、地元同意をとるためということではなく、県が距離に関係なく全ての自治体の意向を把握しようとすることには意味があるのではないか。離れてはいるが、村上市や糸魚川市は原子力災害時の避難先にもなっており、原子力災害と無関係とは言えない。そのような地域の行政や市民の意向を知事が把握しようとするのは自然なことだと思うが、どのように考えているか。
市長:もちろん一定の意味はあると考えています。ブロックごとに意見を伺うことは必要なことかもしれませんが、最終的に賛成・反対といった形で整理されることや、国のエネルギー政策が、地元という定義が曖昧なままに進められたり、停滞したりすることでいいのだろうかと疑問に感じており、改めて確認したいと考えています。
記者:東京電力に改めて確認する事項について、廃炉計画を挙げていたが、その他に何か確認したいことはあるか。
市長:令和元(2019)年11月19日(火曜日)付けで私から東京電力に提出した文書内の7つの要望について改めて確認したいと考えています。この7項目については、すでに皆さんにもお示しし「マル」「バツ」「サンカク」といった評価をつけています。今回はその7項目を中心に、確認を行いたいと考えています。また、日本全体のエネルギー需給状況は変化しており、国のエネルギー基本計画自体が新しくなっています。そういった背景を踏まえて、東京電力として原子力発電所をどのように位置づけているのか、その考えについても改めて伺いたいと考えています。
記者:国と県に確認したいこととして、地元の範囲の定義付けを挙げていたが、その他にどのようなものを考えているか。
市長:安全協定の在り方や法的な位置づけが明確にされていない点なども確認したいと考えています。「地元」の定義や、安全協定の存在そのものについて、国に対して確認させていただきたいと考えています。
記者:7号機から6号機に、人的リソースなどの集中対象が変わることについて、どう考えているのか。
市長:私自身、これまで7号機の再稼働を前提に議論を進めてきました。しかし、職員のIDや核物質防護の違反といった事象により議論が止まり、県でも3つの検証作業の議論が始められない状況が続いていました。そのような中でも7号機の再稼働を前提として、東京電力に対して自らの考え方を示し、7つの確認項目も含めて提示してきました。それに対する回答をいただいたのが昨年8月です。一方で、今年2月に特定重大事故等対処施設の整備が約4年半延期されるとの報告を受けました。この件も、東京電力に責任があると認識しています。結果として、10月までの期限に間に合わず、6号機を活用せざるを得なかったというのが実情です。この点は、東京電力の非常に大きな失態だと考えています。6号機と7号機どちらの再稼働が先かという順番を問題ないとは考えていません。
記者:市長は、再稼働については条件付きで賛成という立場だと思うが、そのスタンスは変えずに、日本のエネルギー事情などが変わってきていることを踏まえ、必要な点をアップデートする、状況を改めて確認するという趣旨なのか。
市長:7号機に関しては、昨年の小早川社長との面談の際や、それ以前から継続してお話ししてきました。特に、昨年3月に市内11会場で開催した原発再稼働に関する地域懇談会では、522人の市民の皆さんにご参加いただき、うち約100人の方から直接ご意見をいただきました。対面で率直な意見を伺えたことは非常に意義深かったと思います。その場でも申し上げましたが、私は原子力発電所の再稼働には一定の意義があると考えています。ただし、当面の間は制限を付けて、かつ7つ全ての再稼働は認めないということを申し上げてきました。日本のエネルギーを取り巻く現実を踏まえれば、原子力発電所の再稼働に意義はあると考え、その再稼働を進めるためには、提示してきた条件や要望を前提に置いていただきたいということを申し上げてきました。
記者:廃炉計画は東京電力に提出した7項目の中に含まれており、今回も改めて確認されると思う。今回はさらに踏み込んだことを求めるのか、そのような意図はないのか、伺いたい。
市長:廃炉計画自体の内容とその時期についても改めて確認したいと考えています。東京電力の責任によって生じている今の状況の中で、7号機よりも6号機の再稼働を先行させるという判断をしたことや7号機の特定重大事故等対処施設の完成が最低でも4年半後になるという見通しになったことで、これまで交わしてきた文言が、現時点では実質的に意味を持たなくなっています。これを意味あるものにするためにどうすべきか、個別・具体的な内容も含めて確認したいと考えています。
記者:市長は、地元同意を前提に7項目の要求をしていると思う。ずる賢いとの発言もあったが、要求する思いの背景や整理のつけ方について伺いたい。
市長:「悪法もまた法なり」という言葉があるように、納得できないものであっても法には従うべきだという考え方があります。今回の場合、法ではなく慣例や前例などが共通認識のようになっているもので、私は、おかしいと思うわけですが、政治の場に身を置く者として、慣例がある以上はそれに従い、市民の安全・安心、豊かさのために活用させていただきたいと考えています。この活用とは、経済的な利益のみならず、市民の安心や安全をより高めるために必要な条件や要件を提示していくということです。また、事前了解や地元合意といったプロセスを全くゼロにしてよいと考えていないことは重ねて申し上げておきます。
記者:これまで7号機の再稼働を前提にして進んできたプロセスを、改めて6号機でもやり直すということか。
市長:全てをゼロからやり直すということではありません。7号機の再稼働を前提として私から東京電力に要望を提出し、それに対する回答をいただいていた合意事項の中には、例えばOCCTO(オクト)(電力広域的運営推進機関)が計画している海底直流送電のように、すでに動き出しているものもあります。それが今回東京電力の責任において、また日本全体の状況の中で変えざるを得ない状況が生まれたわけです。その部分的な変更も含め、改めて確認させていただくということです。
記者:先ほどの質問の中で、市長は、7号機の再稼働には同意する意向を表明されている一方で、6号機については再稼働に応じない可能性もあると話していた。この結論は、これからの確認作業の中で得られる根拠を基に、改めて判断するということでよいか。
市長:基本的に原子力発電所の再稼働には意義があると考えており、6号機も要請があれば再稼働を認める方向で考えています。しかし、私は7基全てを再稼働することは認めないと最初の市長選挙の時から一貫して申し上げてきており、それを前提に改めて確認するということです。
記者:6月27日(金曜日)に政府で行われた原子力防災会議で、自衛隊による除雪など、県特有の事象に対しても議論があった。このことについての市長の受け止めと、今後国に対して求めることを伺いたい。
市長:県民から寄せられた除雪や屋内退避、積雪時の避難対応といった課題に対し、これまで以上に具体的な方向性が示されたことは、大変良かったと思います。ただ、以前お伝えしたとおり、1つ、2つ私としては少し違うのではないかという問題もありました。
記者:昨年8月に小早川社長が「6・7号機の再稼働から2年以内に一部の廃炉を含めた計画を出す」と話していたが、7号機の再稼働が4年半も先になるという中で、市長としては、この文言の見直しの要望などを検討しているのか。
市長:「7号機の再稼働が見通せる状況になった段階で、廃炉を含めた最適な電源構成の検討状況について説明したい」との小早川社長の言葉があるわけですが、現時点では、7号機の再稼働自体が見通せない状況にあります。これは、東京電力の責任において見通せなくなっているわけです。基本的にこの文言は実態に完全に合っていないので、変えてもらわなければならないと思っていますし、文言の修正や内容の変更も含めて今考えているところです。
記者:6号機の使用済み核燃料プールの貯蔵量は現在92パーセントで、7項目のうち「使用済み核燃料プール貯蔵量をおおむね80パーセント以下にする」という条件をクリアしていないと思うが、8月に東京電力へ要望を出す際には、この点も含めて改めて確認するという理解でよいか。
市長:使用済み核燃料に関して、昨年小早川社長からは、7号機に貯蔵されている使用済み燃料の号機間輸送を開始できるよう準備を進めるとのお話をいただきましたが、6号機に関しては言及されていないわけです。今回、東京電力として6号機を優先して再稼働させたいという意向が示されている以上、使用済み燃料の取り扱いについてどのようなお考えか確認させていただきたいと思います。
記者:改めて小早川社長から説明を受けるとのことだが、3月に7号機の再稼働についての地域別懇談会を行ったように、今回も6号機に関する市民向け説明会などを行う予定はあるのか。
市長:現時点ではまだ具体的に決めていませんが、私は、これまでの選挙公約でも、個別の号機に特化して再稼働云々と申し上げてきたわけではなく、原子力発電所の再稼働には意義があるということを申し上げてきました。今後、市が主催する地域懇談会もありますので、そういった場面で東京電力への要請について説明させていただくことはあるかもしれません。
記者:正式な日程発表はまだだが、中越ブロックの市町村長と花角知事の懇談会が開かれる見通しである。昨年11月の懇談会では、市長は知事や他の首長に向けて、再稼働についての法に基づいた合理的な判断や、県の時間軸だけでなく日本や世界の時間軸で考えるよう提起されていた。また、原子力防災に関する国への要望も、目的に沿った本格的なものに限定すべきと話されていた。今回の懇談会では、知事に対してどのような考えを伝えるつもりか。
市長:現時点で事態は変わっていないので、前回同様の内容になるかもしれません。先ほど申し上げたとおり県には改めて文書をお送りする予定であり、関連して「地元」とは何かという点について知事にもお伺いしたいと考えています。加えてUPZですが、自治体単位では範囲が曖昧になるケースがあります。例えば、燕市はごく一部がUPZの範囲内であるものの、市全体で見れば大半が圏外です。それでもUPZ圏内の自治体として扱われています。一方で、上越市は、UPZ圏内の町内会長の意見を聞く意向を示しています。しかし、その範囲はUPZに該当する地域に限られており、全町内会長の意見ではないということであります。長岡市や十日町市も、それぞれ住民の意向調査を行いたいという考えを示しています。このように、それぞれの自治体が異なる対応をしていると承知しておりますが、一体どの範囲にどういうふうにプラス・マイナスの影響があるのか、メリット、デメリットがあるのかを含めて県の見解をお聞かせいただきたいと思っています。
正直なところ、先日の県の公聴会なども含めて私はおかしいなと思っていますが、私一人が何か言っているような形で、私がよっぽどおかしいことを言っていると思い、少し自信がなくなってきておりますが、次回の懇談会では、他の首長や知事とも率直に意見交換させていただければありがたいと思います。
記者:燕市についての話があったが、UPZの範囲がごく一部であっても、市として原子力防災や避難計画を策定しなければならない立場にあるのは変わらないと思う。範囲の大小で対応が変わるべきではないと思うが、その点はどうか。
市長:確かにそれはそうです。ただ、一方でUPZ圏内の人口約40万人とされる中に燕市全ての人口は含まれておらず、該当するのは300人程度だと承知しています。つまり、UPZ圏内として扱われながら、実際の対象人口はごく一部に限られている自治体も存在するということです。そのような状況を踏まえるとUPZを有する自治体というくくりで一律に対応するのは、やや無理があるのではないかとも感じます。燕市のようにごく一部だけがUPZに該当する自治体において、その対象地域だけで訓練を行うことは、果たして適切なのかという問題もあります。同時に、小千谷市のように、ほぼ全てがUPZ圏内であるにも関わらず、柏崎市と隣接していないために恩恵を受けにくいという主張もよく理解できます。距離や地理的条件によって、扱いや認識にばらつきがある現状は、やはりおかしいと思っています。30キロ圏内は大丈夫で35キロは駄目なのか、それでは50キロ、100キロ、県単位では200キロ圏内はどうかなど話が際限なく広がっていく可能性もあります。かつてはEPZという言葉もありましたが、PAZ、UPZなどの区域設定についても改めて議論が必要なのではないかと思います。これは新潟県だけに考えていただくことでないかもしれませんが、他道県に先んじて全県的に市町村長や公聴会を通じた取り組みを進めようとされている現状を考えれば、他の原子力発電所立地地域にも影響する前例となり得る重要なプロセスです。限られた時間ではありますが、私の考えをしっかりとお伝えできればと思っています。
記者:国と県に「地元」の定義について文書を送るとのことだったが、返答に期限を設ける予定はあるか。また、市長として現時点で「地元」とはどの範囲を指すと考えているか。
市長:「地元」の定義だけに限った話ではなく、いくつかの事項について、確認が必要だと考えています。期限は、現時点では特に考えていません。一般的に「地元」と言われるのは、柏崎刈羽原子力発電所が実際に立地している柏崎市と刈羽村のことだと考えています。
定例記者会見の概要と質疑応答(印刷用)
この記事に関するお問い合わせ先
総合企画部 元気発信課 情報発信係
〒945-8511
新潟県柏崎市日石町2番1号 市役所 本館2階
電話:0257-21-2311/ファクス:0257-23-5112
お問い合わせフォームはこちら
更新日:2025年07月03日