東京電力ホールディングス株式会社から「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方」が提出されました
市長が東京電力ホールディングス株式会社に対して要請していた、柏崎刈羽原子力発電所1号機から5号機までに係る廃炉計画の策定について、同社より「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方」が提出されました。
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方 (PDFファイル: 486.5KB)
提出日
令和元(2019)年8月26日
提出者
東京電力ホールディングス株式会社
内容
柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方
当社は、2017年6月、櫻井柏崎市長より、柏崎刈羽原子力発電所6,7号機の再稼働を認める条件として、1~5号機にかかる廃炉計画を2年以内に示すようご要請をいただきました。その後も、近隣自治体を含む住民のみなさまが7つの原子力発電プラントが立地していることに不安を抱かれていること、「安全・安心」のためには再稼働と廃炉計画、両方の明示が必要である等、今後の発電所のあり方を考える上で重要なご意見をいただいてまいりました。
当社は、これらのご要請やご意見もふまえつつ、大きく変化する事業環境の中で、当社に求められている社会的責任を果たすために目指すべき「将来の電源構成のあり方」を検討してまいりました。本日、市長のご要請に対する当社の回答として、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働および廃炉に関する基本的な考え方をまとめましたのでご報告申し上げます。
将来の電源構成のあり方について
エネルギー産業をとりまく事業環境は、国内の人口減少や事業者間競争の激化、再生可能エネルギーを中心とする分散型電源の普及、世界的な脱炭素化など、今後も大きな変化が見込まれます。こうした中、資源の乏しい日本において、当社が電気事業者としての基本的使命、すなわちお客さまに低廉で安定的かつCO2排出量の少ない電気をお届けするという役割を果たすには、安全を最優先に「安定供給」「経済性」「環境」の観点から多様なエネルギー源を用いて電源を構成していく必要があります。
電源構成を検討する際は、将来の電力需要や今後の燃料価格の見通し、CO2排出量等にかかる環境規制の動向、再生可能エネルギーの普及見通し等、様々な事業環境の変化による影響に加え、当社に関係する原子力発電プラントの新規制基準にかかる適合性審査や安全対策工事の進捗、原子力発電事業に必要な資金や要員の確保、エネルギー基本計画等も考慮しながら、総合的な検討を行います。
特に、世界的な脱炭素化の潮流の中で、日本は温室効果ガスの排出量を2030年までに2013年度比26%削減、2050年までに80%削減する高い目標を掲げ、その達成に向け、再生可能エネルギーの導入等を積極的に進めることとしています。第5次エネルギー基本計画においても、2030年断面で発電電力量の約4割を非化石電源とし、太陽光、風力、水力、地熱等の再生可能エネルギーと原子力で対応していくとされています。
当社も、これらの目標の達成には、再生可能エネルギーの更なる推進に加え、原子力も将来にわたって活用していくことが必要であると考えており、今後10年間を目途に、洋上風力を中心に再生可能エネルギーを200~300万キロワット開発することを目指すとともに、原子力発電プラントを最大限に活用することも志向して再稼働等に取り組んでまいります。これら電源確保に向けた取り組みの現状は以下のとおりです。
- 再生可能エネルギーについて、洋上風力事業を主力に推進し、現在、銚子沖地点について当社初の大規模開発候補として検討しています。今後、再エネ海域利用法に基づき、洋上風力促進区域の指定や海域占用公募が実施され、国内最初の開発区域・開発事業者が決定されます。これを見据え、銚子沖地点については準備を進めている段階です。
- 柏崎刈羽原子力発電所6号機および7号機については、2020年12月を7号機の安全対策工事等の完了時期としており、現在、新規制基準にかかる許認可取得および安全対策工事に鋭意取り組んでいます。
- 柏崎刈羽原子力発電所1~5号機については、6・7号機の審査内容を踏まえつつ、新規制基準への適合可能性に関する検討を進めています。
- 東通原子力発電所1号機については、2020年度を目途に他事業者との協力の基本的枠組みを整えていくことを目指し、更なる安全性向上のための地質調査を進めています。
- 当社が受電する他社の原子力発電プラントについては、安全審査や安全対策に関する取り組みを進めている状況です。
当社は、お客さまに低廉で安定的かつCO2排出量の少ない電気をお届けするために、これらの取り組みを鋭意進めていますが、現時点では、事業の成立性や供給力として活用できる時期について見通しが得られておりません。当社の電源構成については、多岐に亘る判断材料の最新の情勢を捉えつつ、その進展に合わせて構築していく必要があると考えています。
再稼働または廃炉に至る判断プロセス
原子力発電プラントを再稼働するにあたっては、日頃より、発電所におけるトラブル等について速やかに情報発信するとともに、新潟県が進める「3つの検証委員会」に最大限ご協力する等、地元の皆さまの「安全・安心」に繋がるよう努め、ご理解をいただくことを大前提とします。その上で、以下の2つを満たすことを確認します。
安全性を満たすものであること
新規制基準に則って詳細な技術検討を行い、対策を実施することで発電所の安全性を確保します。また、原子力災害時の避難計画の実効性を高めるための、事業者としての役割をしっかりと果たしてまいります。
低廉かつ安定的な電気を供給できること
燃料価格や環境規制等の最新動向をふまえた評価の中で、他電源に対する競争優位性や、長期かつ安定した電源としての供給信頼性など、お客さまに低廉かつ安定的な電気を供給できるかを確認します。
上記の判断プロセスから外れるプラントについては、廃炉の意思決定へと手続きを進めてまいります。
柏崎刈羽原子力発電所1~5号機に関する再稼働および廃炉の判断時期の見通し
「1.将来の電源構成のあり方について」にて述べたとおり、銚子沖洋上風力の開発や柏崎刈羽原子力発電所6、7号機の安全対策工事等の取り組みを鋭意進めていますが、長期にわたる十分な規模の非化石電源の確保に見通しが立っていない現時点においては、同発電所の1~5号機は当社が低廉で安定的かつCO2の少ない電気を供給する上で必要な電源であると考えています。
一方、今後において、十分な規模の非化石電源の確保が見通せる状況となった場合には、地元の皆さまのご理解をいただき6・7号機が再稼働した後5年以内に、1~5号機のうち1基以上について、廃炉も想定したステップを踏んでまいります。
今後はこの基本的考えの下で取り組みを進め、進捗状況や情勢変化等について、引き続き市長との定期的な意見交換の場においてご説明させていただくとともに、ご意見やご要望をお聞かせいただきたく存じます。
当社は、昨年3月公表の「新潟本社行動計画」に則り、安全最優先で柏崎刈羽原子力発電所を運営するとともに、地元の皆さまからのご意見、ご質問に真摯にお応えしてまいります。特に、地元の皆さまから「集中立地」とのご不安・ご懸念があることを踏まえ、まずはそうしたお声についてしっかりと傾聴し、対応してまいります。また、市が掲げる「柏崎市地域エネルギービジョン」の実現に、原子力発電事業にとどまることなく、電気事業者としての様々な知見をもってご協力させていただき、「豊かで持続可能なまち」をともに目指してまいります。
今後ともご指導賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
この記事に関するお問い合わせ先
危機管理部 防災・原子力課 原子力安全係
〒945-8511
新潟県柏崎市日石町2番1号 市役所 本館3階
電話:0257-21-2323/ファクス:0257-21-5980
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更新日:2020年03月25日