綾子舞を知る

柏崎の宝 綾子舞紹介のパンフレットの写真

綾子舞は、柏崎市大字女谷(おなだに)に約500年前から伝わる民俗芸能です。

かつては、4つの集落がそれぞれの芸風を守っていましたが、明治中期になると途絶えてしまった集落もありました。

現在、高原田(たかんだ)と下野(しもの)の2つの集落にある座元が、先祖伝来の芸能を誇りにし、情熱を燃やして受け継いでいます。

綾子舞の由来

地元ではいくつかの説がありますが、2つの説が有力です。

一つは、今から約500年前に、越後の守護職・上杉房能(ふさよし)が、臣下の長尾為景に討たれた際、房能の奥方「綾子」が女谷に落ちのびて伝えたという説です。

もう一つは「北国武太夫(ほっこくぶだゆう)」という武士が、京都北野神社の巫女「文子(あやこ)」の舞を伝えたという説です。

囃子舞(はやしまい)と狂言は、江戸時代中期に京都の寺侍「茂田茂太夫」という狂言師の夫妻によって伝えられたものであるといわれています。

ユネスコ無形文化遺産・国の重要無形民俗文化財「綾子舞」

出雲のお国一座などが始めた、女歌舞伎の踊りの面影を色濃く残していて、重要な資料として注目され、研究されてきました。

芸能史上極めて価値の高いものと認められ、1976年5月4日に、国の重要無形民俗文化財第1回の指定を受けました。2026年に、国の指定を受けてから50周年を迎えます。

また、2022年11月30日に41件の「風流踊(ふりゅうおどり)」の一つとして、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

綾子舞の演目

女性が踊る小歌踊(こうたおどり)と、男性による囃子舞(はやしまい)、狂言(きょうげん)の三つを総称して「綾子舞」と呼びます。

現在、高原田と下野の二つの座元が伝承しています。

それぞれの座元で、歌やせりふに違いがあります。

公演のときの後幕は、高原田は夫婦岩、下野は家紋のデザインです。

小歌踊

「出羽(では:踊り手の入場のこと)」「本歌(ほんうた)」「入羽(いりは:踊り手の退場のこと)」の3段階構成が特徴で、囃子と室町時代後期に流行した小歌に合わせて踊ります。

頭に「ユライ」と呼ばれる赤い被り物をつけ、扇の美しい手ぶりや足を交差させる足さばきで優雅に踊ります。

高原田は2人、下野は3人で踊ります。衣装にもそれぞれ違いがあります。

かつては11演目あったとされています。

ここでは「小切子踊(こきりこおどり)」と「小原木踊(おはらぎおどり)」を紹介します。

小切子踊<高原田>

綾竹を打ち鳴らしながら踊る2人の女性の写真

現地公開での小切子踊

菅原道真公が九州に流されることになり、都を去る時に、都七条坊門の娘、文(あや)が夢のお告げにより、三条大橋のたもとで菅原道真公を見送って舞った踊りです。都の風景と女心が歌われています。

頭にユライ、その上にきらびやかな天冠(てんがん)を被ります。振袖着物に緋ばかま、白足袋を身に着けます。はかまを足首のところで結ぶのが特徴です。

他の踊りと違い、扇の代わりに綾竹(あやだけ)と呼ばれる装飾された細い竹の棒を持っています。

小切子とはこの綾竹のことです。綾竹を回したり、軽快に打ち鳴らしたりしながら踊ります。

小原木踊<下野>

扇をふり、足を交差させながら踊る3人の女性の写真

現地公開での小原木踊

京都の大原というところの女性を大原女(おはらめ)と呼んでいました。

大原女が都にいる恋人に会うために、薪を売って歩く様子と恋心を表しています。19種類の扇の手ぶりが美しい踊りです。

頭にユライを被り、振袖着物と白足袋を身に着けます。

高原田と違い、はかまははきません。帯をダラリに結び、赤の帯締めをし、左腰に赤いシゴキ帯を下げて踊ります。

囃子舞

猿若芸(さるわかげい)の系統をくんでいて、ユーモラスな歌と囃子に合わせて男性が1人で舞います。

決まった振りを繰り返すものと、歌の文句に合わせて物まねするものがあります。

かつては22演目あったとされています。

ここでは「恵比寿舞」を紹介します。

恵比寿舞<下野>

足を交差させ扇子を持ち、囃子に合わせて舞う男性の写真

現地公開での恵比寿舞

太郎の恵比寿と次郎の恵比寿が船に乗って沖に出て釣りをしたら、めでたいことに姫子鯛を釣り上げたという祝歌です。

狂言

武家の洗練された能・狂言とは違い、はつらつとした面白みがあり、庶民の間に広まった素朴な狂言です。

殿様と冠者(召し使いの若い男性)の能狂言風のものと、地域性のある自由な形の地狂言風のものがあります。

かつては33演目あったとされています。

ここでは「海老すくい」を紹介します。

海老すくい<下野・高原田>

殿様は両手を広げて、片手に白い扇子を持ち、殿様と冠者を演じる2人の男の子の写真

殿様が冠者に、明日の来客のご馳走に海老を買ってくるよう命じます。

冠者が代物(だいもつ:お金のこと)を請求しますが、殿様は「代物はない。自分で用意しなさい」と言います。

腹を立てた冠者は、殿様をだましてやろうと考えます。

途中の狂言小謡・小舞が、ほのぼのとした味わいの良さを添えている能狂言風のものです。

海老すくいは両座元に残っていますが、それぞれの座元でせりふに違いがあります。

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更新日:2024年09月25日