2.【柏崎地域森林組合】組合長・石塚正好さんへのインタビュー

このページは、令和4(2022)年1月1日に放送された、FMピッカラ新春特別番組「柏崎の林業のこれから」を基に作成しました。ダイジェスト版は、広報かしわざき令和4(2022)年1月号に掲載します。

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石塚正好さんへのインタビュー内容

柏崎地域森林組合の仕事内容

柏崎地域森林組合の石塚組合長が、マイクに向かって話しています。

石塚 正好さん(柏崎地域森林組合 組合長)

高橋:はじめにお話を伺うのは、柏崎地域森林組合 組合長の石塚 正好さんです。あけましておめでとうございます。

石塚:あけましておめでとうございます。

高橋:柏崎地域森林組合では、どんな仕事をしているのか教えてください。

石塚:奥が深い仕事ですが、簡単に申し上げますと、木を植え育てるという、森林整備、森づくりのお手伝いをしています。支障木となる伐採や松くい虫の防除なども行っています。森林整備に関連する機材なども販売しています。

蛍光オレンジの森林ウエアを着た従業員の中村貴洋さん

中村 貴洋さん(柏崎地域森林組合 従業員)

高橋:ところで、中村さんが使用されているウエアは、かなり蛍光のオレンジで目立つし、格好いいですね。

石塚:このウエアは、組合のユニホームとして、全従業員に配布しています。

高橋:本当にすてきな装いですね。

力を入れていること

高橋:特に力を入れている点はどういう点ですか。

石塚:「提案型集約化施業」です。

高橋:「提案型集約化施業」とはなんですか。

石塚:森林は、基本的には山主さんが山の手入れをすることになっています。しかし、昨今は高齢化などによって、それがなかなかできない状況になっています。
柏崎地域森林組合では、複数の山主さんの山を取りまとめ、間伐という作業を一体的に行っています。間伐というのは、木の間引きのことです。間伐した材木は、山から出して販売します。作業には高性能林業機械という大きな機械を3台使い、機械化することによってコストを削減します。この取りまとめ、集約化をすることで、国・県・市からの補助金を利用することができます。山主さんから一切の費用を頂かないというのが基本で、多少でも山主さんにお返しできるように施業を進めています。

高橋:すばらしい取り組みですね。山主さんとしても、少し気が楽になるのではないかと思います。

森の中に作業道ができています。

開設した森林作業道

搬出間伐着手前で、多くの樹木で混み合っています。

搬出間伐着手前の様子。多くの木がみられます

搬出間伐着手後で、木と木の間に空間ができています。

搬出間伐着手後の様子。間伐を行ったことで木の本数が減り、木と木の間に空間ができました

SDGsの取り組み

高橋:冒頭にSDGsについてお話ししました。17の目標の中には「陸の豊かさも守ろう」という内容があります。森林の持続可能な管理により、森林の減少を食い止めることが求められています。柏崎地域森林組合では、SDGsについてどのような取り組みをされているのですか。また、持続可能な管理を行うことで、森林は私たちの暮らしにどのような効果をもたらすのですか。

チェーンソーで木を切っています。

間伐の様子

石塚:間伐を推進することが、持続可能な森林経営につながります。育ってきた木が混み合うと、森の中が暗くなり、木の成長を妨げます。間伐することで、空間ができるので森の中は明るくなり、残された木はたくさんの光を受けて、二酸化炭素をどんどん吸収して、健全に成長することができます。つまり、間伐は、地球温暖化防止に大きく寄与しています。
また、健全な森は、水源涵養機能、土砂流出・崩壊防止機能、地球温暖化防止機能という、多面的な機能を発揮します。山がきれいになると、鳥獣対策にも有効です。

高橋:木を切ってしまうのはもったいない気がしていましたが、間伐を適切に行うことで、私たちの暮らしを支える森林の働きが保たれているのですね。

市長の感想―森のいろいろな役割

高橋:市長、ここまでのお話をお聞きになって、いかがですか。

市長:石塚組合長がお話された最後の部分、森がいろいろな役割をしているということが重要だと思います。石塚組合長がお話しされたように、かつては山の手入れが行われていました。適切な年齢になった樹木を伐採し、植林をするというサイクルがうまく機能していたのだと思います。
実は私のメールアドレスは「sea」「mountain」「river」なんです。海・山・川がキーワードとして入っています。山に降った雨が一気に川に流れ、洪水を起こさないように、山の木が保水能力、いわゆる水源涵養の働きをしています。谷根の山はすべて柏崎市が買収しています。当時の小林治助市長、管理者である月橋たかしさん(月橋さんの「たかし」の漢字は「大」+「云」となります)は、慧眼だったと思います。その柏崎の水源を保っている山の基盤は、すべて柏崎市の木です。もしあの木、もしくは山が無かったら、一気に水が川に流れ込み、洪水になってしまいます。そして、柏崎の自慢のおいしい水も保たれなくなってしまいます。木のおかげで、山が一旦水を受け止めてくれて、浄化作用をもって、川に流れます。川ではサケ、ヤマメ、イワナ、下流ではフナやコイといった魚も生きていけます。生物多様性を育むことができるわけです。そして、鵜川も、鯖石川も、谷根川も、川は日本海に下り、海から水が蒸発して雲となり、雨が降るサイクルがあるわけです。そういった意味で、一番大切な山、そして木を守ることが森林組合の大切な仕事であり、石塚組合長をはじめ、皆さんが頑張っていらっしゃることに敬意を表します。
ただ、心配なのは、日本だけが頑張ればいいわけではないということです。私が市長になる前、今から10~20年ほど前に、柏崎の山が紅葉でもないのに一気に茶色になったことがありました。いわゆるナラ枯れがあり、夏でも茶色になっていました。大陸の方からくる酸性雨が柏崎の山にも降り、酸性雨で弱ったナラの木にカミキリムシのようなものが付き、ナラ枯れになったと思われています。
環境に配慮し、持続可能な社会・環境を作るSDGsの意識を柏崎や日本だけでなく、世界中で持つことが大切だと思います。改めて石塚組合長のお話を伺い、山を守る・山に関わる仕事は、今の時代本当に大切な仕事だと実感しました。

高橋:本当に環境にとって大事だと私も感じました。

柏崎地域森林組合の歴史

高橋:市長から石塚組合長に質問があるそうですね。

市長:柏崎の森林組合がいつからできて、どのような歴史的な経過を辿ってきたのか知りませんでした。柏崎地域森林組合の生き字引である石塚組合長からお聞かせいただきたいと思います。

石塚:森・山は所有者が管理することが原則でした。昭和初期には、おおむね集落単位で森林組合がありました。戦後、山に木を植えるよう国の施策が出され、「戦後造林ブーム」が起こり、森林組合の位置づけも時代とともに変わり、おおむね集落単位であった森林組合は、昭和30年初期には市町村単位の17カ所になりましたが、その後10年の間で解散・合併の過程をたどり、昭和40年初期には、柏崎市森林組合、高柳町森林組合、西山森林組合、鯖石森林組合の4カ所となりました。昭和56年に柏崎市森林組合と鯖石森林組合が合併、平成17年に柏崎市森林組合・高柳町森林組合・西山森林組合が合併して今の柏崎地域森林組合が設立されました。本所を三和町に置き、事業所を3カ所置いています。

市長:石塚組合長からいただいた資料を拝見しますと、西山森林組合・高柳森林組合・柏崎森林組合・鯖石森林組合があったということですから、石塚組合長の地元・鯖石森林組合が一番長い歴史を持っていることが分かりました。柏崎の森を守り、木を育てる仕事を頑張ってもらいたいと思います。また、石塚組合長は、中村さんをはじめ若い人材を育成するということで非常に期待が持てるところです。給料も上げていただいて、どんどん若い方が柏崎の森を育てていただければありがたいです。私たちも応援します。

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更新日:2022年01月01日