4.【柏崎木材協会】会長・太田正昭さんへのインタビュー

このページは、令和4(2022)年1月1日に放送された、FMピッカラ新春特別番組「柏崎の林業のこれから」を基に作成しました。ダイジェスト版は、広報かしわざき令和4(2022)年1月号に掲載します。

←前のページ「3.【柏崎地域森林組合】組合長・石塚正好さん、従業員・中村貴洋さんへのインタビュー」を読む

次のページ「5.今年の抱負・今後の展開」を読む→

太田正昭さんへのインタビュー内容

柏崎木材協会・材木店の仕事内容

柏崎木材協会会長で太田材木店代表取締役の太田正昭さんがマイクに向かって話しています。

太田 正昭さん(柏崎木材協会 会長、株式会社太田材木店 代表取締役)

高橋:続いてお話を伺うのは、柏崎木材協会の会長を務められている、太田材木店の太田 正昭さんです。太田さん、あけましておめでとうございます。

太田:あけましておめでとうございます。

高橋:柏崎木材協会とは、どのような組織ですか。

太田:柏崎木材協会は、木材を取り扱っている柏崎市内の材木店などの組織です。私が柏崎に帰ってきた約30年前は25~26社加入していましたが、現在は9社と減少しています。

高橋:材木店自体が少なくなってしまったのですか。

太田:そうです。

高橋:材木店では、どのような仕事をされているのですか。

太田:材木店の主な仕事は、主に丸太を仕入れて製材、乾燥、乾燥したのちに住宅用などの木材を製造することです。弊社では、家づくりまで一貫して行っています。

ウッドショックの影響と木材の地産地消

高橋:木材の流通というと、世界的な木材不足「ウッドショック」のニュースがあります。アメリカで住宅の新築・リフォーム需要が増加したことによって、日本に建築用の輸入木材が入ってこなくなり、供給不足や木材の流通価格の高騰などといった影響が生じています。これは、コロナ禍でリモートワークなどの巣ごもりが広がり、新築需要が高まったことが背景とされています。このことに伴い、日本国内の木材の流通価格も上昇しているようですが、ウッドショックの影響は、柏崎市でもみられるのですか。

太田:柏崎も影響を受けています。海外からの木材が入ってこない、価格が高騰したことから、国産の木材に目が向けられ、新潟県産材、柏崎産材の木を地域で使う「木材の地産地消」を図っています。

高橋:木材の地産地消には、どんなメリットがありますか。

太田:地域の木材を地域で使用するため、運搬などのコストを抑えることができます。また、森林の整備・循環の点でも地産地消は重要です。森林は伐採の手を掛けてやらないと、どんどん荒れてしまいます。石塚組合長や市長もお話しされていましたが、一度荒れてしまうと、大雨や土砂崩れなどの自然災害が発生する可能性があり、地域住民に及ぼす影響が大きくなってしまいます。地域の森林を伐採し、木を有効に使い、再造林をする。この循環を生むことが未来の子供、孫世代につながっていく大切な作業です。

柏崎の木の特徴

丸太が2本並んで置かれています。

市有林で伐採された柏崎産の杉

高橋:柏崎の木の中では、どういった木が使われることが多いのですか。

太田:主に、人工林で、杉が多いです。

高橋:柏崎の杉にはどんな特徴がありますか。

太田:杉は、小口を切ってみると、赤と白の綺麗な断面が現れます。赤い部分が赤黒い、のが柏崎産の特徴です。赤黒い部分は虫が入りにくいという特徴があります。また、日本海側の強い風雪に耐えているので、大変粘り強い木でもあります。

高橋:柏崎の杉は粘り強いのですね。木は、何年ぐらい経ったものが適切なのですか。

太田:本来ですと、30~40年ぐらいが適齢期で、材木店が製材するには利用しやすい大きさになりますが、今、山には70年を超えるような大きな木もたくさん残っています。

木材の地産地消を進めるための取り組み

子どもが工具を使ってイスを組み立てています。その作業を大人が手伝っています。

イス作りワークショップの様子

高橋:柏崎の木材の地産地消を進めるために、柏崎木材協会、また太田さんはどのような取り組みをされているのですか。

太田:地産地消を進めるために、まずは市民の皆さんが地元の木に興味を持ち「使いたい」「使わなくては」という使命を持っていただくことが必要です。そのために、柏崎産木材のPRを進めています。弊社では、イス作りワークショップを行い、実際に柏崎産の木を手に取ってもらう機会を作っています。

たくさんの丸太が積み上げられています。手前にはデータが印字された木材が置かれています。

ICチップ(株式会社太田材木店「OHTAG」)が打ち込まれた丸太と、ICチップに記録されたデータが印字された木材

太田:また、丸太にICチップを打ち込み、データの管理をしています。この柱は、どこで切られ、どのように加工されたかという木の履歴を見える化しました。「木材のトレーサビリティ」です。東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村ビレッジに使用された柏崎産の木材にもこのシステムを用いました。

高橋:市長、すばらしい取り組みですね。

市長:本当にすばらしいと思います。トレーサビリティは、誰がどこの山から切ってきた、どういう木なのかということを記録する、木自身の身分証明のようなものです。特許出願中と伺っていますが、木を使う方は安心して使えて、出荷する方も責任を持ってお届けできるというシステムで、素晴らしい取り組みだと思います。

太田:ありがとうございます。

高橋:東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村ビレッジプラザに使用された木材は、順次柏崎市へと返却されます。柏崎の木が木材になり、選手村の一部になったということが、ICチップでのデータ管理により証明できるのですね。「木の履歴書」が分かると、地元の木材にも親しみがわくと思います。

行政の木材の地産地消への取り組み

木製のベンチに2人の子どもが座っています。

ベンチの試作品

高橋:地元の木材に触れる、興味を持つ機会を作るという点で、行政の取り組みもあります。柏崎市は、ふるさと納税の寄附金を活用して、柏崎産の木材を使ったベンチと掲示ボードを作成し、市内の保育園・幼稚園・元気館に配布する取り組みを進めています。柏崎地域森林組合は伐採、柏崎木材協会はベンチ・掲示ボードへの加工でご協力いただいています。子どもたちや保護者の皆さんが木に興味を持つきっかけとなることが期待されます。

木材の地産地消に対する市長の考え

高橋:市長は柏崎産木材の地産地消について、どう思われますか。

市長:私は10年ほど前に家を建てました。残念ながら、柏崎産の木材は使えませんでしたが、やはり、自分のところで育った木、自分のところの材木店・工務店から作っていただく、そして身近なところで自分たちの地域の木に触れることができる、温かみを提供できる地産地消の動きは非常にありがたいことだと思いますし、すばらしいことだと思います。市長という立場で、柏崎産の木材をより多くの市民・県民・国民の皆さんから使っていただくために、どのような応援をすればよいか、少し頭を悩ませたいと思っています。

この記事に関するお問い合わせ先

総合企画部 元気発信課 情報発信係

〒945-8511
新潟県柏崎市日石町2番1号 市役所 本館2階
電話:0257-21-2311/ファクス:0257-23-5112
お問い合わせフォームはこちら

更新日:2022年01月01日