令和7(2025)年度の市長随想

このページは、「広報かしわざき」に掲載した記事をもとに作成しています。

青い鳥(広報かしわざき2025年6月号)

写真:塀の上で羽を休めるイソヒヨドリのオス。頭から喉にかけてと背部が暗青色、胸腹部が赤褐色、翼が黒と鮮やかな色をしています。

新緑が雨に濡れている。
わが家の裏の小さな森では、コナラの木が二階の窓近くまで枝を伸ばしてきた。
緑を濃くした葉の間には小さな白い花が咲いている。
ヒヨドリが雨宿りに来る。
休日、コーヒーを飲みながらその姿を楽しんでいる。

春はシジュウカラやウグイスも小さな姿で歌声を競っていた。
時折現れるイソヒヨドリはお天気のいい日、石の上で日だまりを楽しんでいる。

イソヒヨドリは青い鳥である。
青い鳥としては川のハンター、カワセミが有名であるが、イソヒヨドリの青はもう少しシックな青だ。
幸せを呼ぶ鳥として知られている。

『青い鳥』、モーリス・メーテルリンクの童話をおさらいしてみよう。

質素な生活だが、父母の深い愛情を受けて育つ兄妹、チルチルとミチルがクリスマスイブの夜、夢を見る。
娘の病気を治してもらいたい妖精の頼みで、二人は青い鳥を探しに出ることになる。
さまざまな冒険を繰り返し、青い鳥を探すのだが、見つからない。
そして、クリスマスの朝、目が覚め、現実世界に戻る。
隣に住む女性がやってきて、兄妹が飼う鳥を、病気で歩けなくなった娘のために譲ってくれないかと頼む。
二人は快くその申し出を受け入れ、鳥かごに目を向ける。
かごの中の鳥は青い鳥に変わっている。
そして、その青い鳥は娘の病気を治し、空へ飛び立つ。

身近なところに幸せがある、という解釈もあり、求め続ける自らの心のうちに本物が見える、という表現も何回か物語の中で現れる。
文豪ゲーテの言葉を思い出す。
「見よ、善きことはまこと近きにあり」

さて、柏崎のわが家。また、ヒヨドリが飛んできた。
イソヒヨドリではない。青くない。
あっ、フンをした。
運の尽きか、はたまた運が付いたのか。
青い鳥よ、プリーズ カムバック!
皆さんの周りにはきっと「青い鳥」がいますよ。
探してみましょうよ。

春の小川と鯉のぼり(広報かしわざき2025年5月号)

春の小川は さらさら行くよ
岸のすみれや れんげの花に

(『春の小川』から引用。作詞 高野辰之)

やさしい春の名曲である。
子どもの頃は2番の「えびやめだかや小ぶなのむれに」という言葉に反応していた。
小川にはエビがいるのか!とタモを持って、校区外まで遠征していた。

実は63歳になった今でも透明な川の流れに小魚を追い回す夢を見る。
その川は富士山の麓の柿田川のようで、水中にはバイカモの白い花さえ見えるのだ。

私は柏崎刈羽内水面漁協の組合員、30年選手のアユ漁師である。
子どもの頃の夢を青年になって実現し、未だ現役である。
30歳前後になった3人の息子たちも川で遊ぶ。

甍(いらか)の波と 雲の波
重なる波の 中空(なかぞら)を
橘(たちばな)かおる 朝風に
高く泳ぐや 鯉のぼり

(『鯉のぼり』から引用。作詞者 不詳)

こちらは、初夏、薫風さわやかな名曲だ。
健やかな子どもの成長を願うこいのぼりは立派な日本の文化だ。

子どもの頃、父が買ってくれたわが家の大きなこいのぼり。
小さな裏庭で竹の棒に結びつけられたが、隣家が迫っている環境では「高く泳いでいる」姿を見たことはなかった。
竹に巻き付くチクワ状態だった。

大学生になって、やはりこいのぼりは大きな空間でなけりゃ、と考え北アルプス奥穂高岳の頂上で上げたこともある。
その当時、5月の上高地は雪に閉ざされていて、沢渡(さわんど)集落から14キロ、雪をかき分け、釡トンネルを通って、歩いて入ったのだった。

親となって「やはり風に泳がないと!」と家の前の屋根にポールを設置したのだが、今度は風向きが逆方向で、こいのぼりはスルメ状態で窓にへばりついていた。

ウクライナ問題が解決したら、ウクライナ国旗に代わり、国旗、市旗に加え、5月はこいのぼりを市役所前に掲げたいと思うがどうでしょうか。

写真:柏崎市役所西口で風になびく日本国旗と柏崎市章旗。左端にはウクライナ国旗もあります

沈丁花、そしてタンポポ、桜花(広報かしわざき2025年4月号)

沈丁花(じんちょうげ)が咲き始め、その気品ある香りを楽しませてくれている。
結構弱い木であり、少しの雪ですぐに折れる。
結構強い木であり、折れたところをガムテープで留めてあげると再生する。
ガムテープというところが私である。

40年前、東京都杉並区荻窪に住んでいた。
高級住宅街の一角、風呂なしアパート、銭湯暮らしだった。
都会の沈丁花は1カ月ほど早い。
駅まで歩く20分は早春の到来、香りを楽しむ時間だった。

花言葉は「永遠」「不滅」「栄光」だが、実は樹液などに毒があり、少し要注意。
何となく分かる感じもする。もちろん私は花言葉を信じるようなタイプではない。

柏崎の春は大崎の雪割草、高内山のカタクリ、伊毛の大ヤブ椿、西山花三姉妹から始まり、谷根のハナモモと続くのだが、最も身近な野の花となればタンポポということになるのではなかろうか。

誰もが知る、そして、どこにでも咲く強い花である。
大好きである。
今年の冬、積雪3メートルを超えた鵜川、高柳の道端、日だまりにもこれから明るい花を咲かせるだろう。

写真:道端に咲く数輪の黄色のタンポポ。そのうち1つだけ綿毛の状態です

紅白のカタクリ

ギザギザの葉がライオンの歯(フランス語Dent de lion)に似ていることからダンデライオンとも呼ばれる。
松任谷由美さんの歌で耳にした人も多いかもしれない。
葉が歯に似ていて、少しややこしい。
花言葉「真心の愛」は、花をまっすぐ太陽に向け咲く一途さを表現しているという。

そして、日本において春の花といえば、もちろん、桜。
花言葉「spiritual beauty(精神の美)」と「a good education(優れた教育)」は、アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンが大切な桜の木を切ってしまったことを正直に話した、という例の逸話から来る。
うん、やはり、私(櫻井)にぴったりだ、と調子に乗ったが、私は山桜であった。
さて、花言葉などあるのだろうか。

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更新日:2025年06月05日